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チョット中休み エッセイvol.15 

弱々しいホールドはイヤだ!?

~スタンダード上達への優先順位⑫~


「アカン、スタンダード、
全然思うようになれへん!」

と、ユーちゃん同様、
凹んでいるヒデ君と、

“なぜ、スタンダードが

上手くいかないのか”


について、
夜遅くまで話しあった内容から、
公開しよう。


話のきっかけを作ったのはヒデ君だった。
っていうか、
「あ~痛い」
とブツブツ言いながら、
左腕の付け根をモミモミしている
ヒデ君のことが気になって
私のほうから声をかけたんだ。

「腕、どうしたの?」


すると、ヒデ君
「おかしいナァ、
腕立て伏せで鍛えてるのにナァ」

と、前置きしてから

「ユーちゃんの(ホールドの)
右手がゴッツ重いねん。
なんでと思う?」

チョイつらそうな顔をして聞いてくるんだ。


ユーちゃんの右手って、
そんな重い?
突っ張っているって風でもないのになぁ
と、感触を思い出そうとしていると、


「ジュンコ先生は、重くないの?」
と尋ねるわけ。


「ウン・・・全然。
右ホールドは、なんともない。
左ホールドだって、彼女なんて軽い方。
重い人は(他に)いっぱいいるよ」


すると、ヒデ君、フーンって感じで
ちょっと考えてから、

「なぁ、(ユーちゃんと)
二人で踊ってたら、
マジ、ドウ見えるのん?」

と、矛先を変えてきたんだ。


私は言った。
「可愛い小動物が2匹、
ピョコピョコ遊んでいるように見える」


と、ヒデ君
「な、なんや?それ!?」

思いがけない答えに、
ドウ解釈していいのやら。


「スタンダードにまだ、
見えないわね。
ラテンを踊っているようよ」


「・・・」


「マァ、
まだソレでいいんだけどね。
正式に組んでいないから」


と、ヒデ君、
私の言葉を聞いていたのかいないのか、
良くわからないような返答、
というより“文句”を言い出して

「オレはもっと
スーッと踊りたいのに、
なんか、
でけへんねん(できない)」

「(ユーちゃんが)
固まっているように感じるし・・・」


いかにも、ユーちゃんのせいで
上手く踊れないって言いたげなヒデ君。
でも、こういう時って、
ユーチャン側にも
絶対言い分があるはずなんだ。


私は、チョイ
イジワルそうな口調でこう言った。

「ユーちゃんが固まるのは、
自分がシッカリしなきゃって思うから、
または、危ない!
って感じるからじゃないの?」


「え、危ない?」


「安心していられないんでしょ。
アナタと組んでいると」


「どういうこと?」


「結構スピードを上げて踊ってくるし」


とたんにヒデ君は、
不満そうな顔になり
「オレ、あれでも
結構セーブして踊ってるねんで。
クィックステップなんか、
もっと走りたいし、
スローも歩幅出していけるのに・・・」



さらに色々言いたげな
ヒデ君をソッと押しとどめ、
私は言った。

「ユーちゃんがアナタの動きを
止めているみたいに言ってるけど、
彼女、私と踊ると、
別に問題なく、チャンと踊れるよ」


すると、ヒデ君 
「まぁ、そうやろな。
オレかって、
飛ばして踊れるのは、
先生とやから…」



声のトーンを落とす
ヒデ君に向かって私は言ったんだ。

「ヒデ君、

女性と一緒に踊っていない

自分独りだけで踊ってる
でしょ?

マァ、私と踊っているときは、
そういうジャンジャン踊る体感も必要だから
好きなように踊ってもらっているけどね(笑)
ユーちゃんとじゃ、そうはいかないよ」

「アナタが女性を
その自分のスピードの中に
巻き込んで踊るだけの、
強さやテクニックは持ち合わせてたら、
まったく問題はないんだけどね」


「ソラ、まだ無理や。
でも、オレがチャンと踊ってたら、
付いてきてくれると思っててんけどなぁ」



私はおかしくなってきたんだ。
なぜって、
ユーちゃんと組んで一生懸命奮闘している
ヒデ君の姿を思い出したから。


「つまりは、ヒデ君、
まだチャンと男性の役割は
果たしていないってことよ」
と、チョイ冷たく言ってからさらに、

「今のヒデ君に
最も欠けているものは、
ナンダと思う?」


「女性と組む意識?」


「もちろん、そうね。
その、意識の具体的な現われ・・・かな」


「あ、ホールド?」


「そう、
ヒデ君に必要なのは、

ホールドの強さよ」


「ホールドの強さ・・・
もっとこうやって張れってこと?」


ヒデ君ヒジをグッと張って、
エエカッコのホールドを作って見せるが
そうしながら

「でも、リキンでるナァ、
これやったら。
全然、続かへんモン」


で、
「オレのホールドって
まだそんなに弱々しい?」

と聞いてくる。


心の中でフフフと
微笑みながら私は言う。

「ホールドだけじゃなくて、
全部が弱いよ」


「エ?全部?」


「そう、存在全部。
だからユーちゃんが
安心して伸び伸び踊れないのよ」


と、ヒデ君怪訝そうに尋ねる。
「オレ、一体、
ドウ見えてるの?」


「ソウねぇ、まるで

“モ”みたい・・・かな」


「モ?」


「そう、金魚のいる水槽の中で
ユラユラしている、
ヒョロヒョロとながーい“藻(も)”よ」


「なんや、“モ”って!? 
むちゃくちゃ言うわ」



「ウソォ~と思うンやったら、
ビデオに撮ってみる?
でも、ソレくらい頼りない感じってことよ、
女性にとったら」


存在感を出したい
男らしくありたい
が、何よりのヒデ君の目標でもあるのにね。
最近は、毎日自主的に
腕立て伏せや腹筋、スクワットを
かなりの回数やっていて、
「カラダがシッカリ見えてきた!!」
と、鏡の前でウフフなヒデ君だったから
余計にショックだったろうね。


「藻って、ひどいナァ。
でも、その弱さって、
どうしたらエエねん?」


と口のうちで言いながら
ムッチャ、凹み始めるヒデ君に、
私は言った。


「OK!ジャこれから、
ヒデ君にピッタリの

強いホールドの作り方講座

をしましょうか…」



      続く 第623話へ



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