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チョット中休み エッセイvol.13 

熱演違い!?

~タンゴに罪はない ②~


パーティの夜、
自宅での編集をかねてのビデオ試写会。

ザーッと巻き戻し中、
早速、自分のダンス映像を見つけたヒデ君
鋭い目をしながら
「ん?・・・ナーンか、
今、変なモン見たぞ」

と、そのシーンを探す。


で、

「なんじゃぁ~

この顔!!??」



それは、最後に踊った
ベテラン女性とのバックコルテで、
タンゴポジション体勢を
しっかり取ろうとした際の映像。
変なモンとはそのときの
ヒデ君自身の顔の表情だったんだ。

「こ、この、顔・・・
森進一のモノマネか?」


「オレ、
コンナ自分の表情、見たことないぞ」


ムッチャ、凹む、ヒデ君。

「オイ、待てよ、
パッと見ただけでこういうシーンに
出くわすってことは・・・
ワ~、オレ、
ずっとこんな表情で踊ってたんか!!??」


ヒデ君は、そう言うと、
3人の女性と踊る自分の映像を、
見つけ出し、確認。
そして、マジ凹みで、
ナーんにもしゃべれなくなってしまったんだ。
ビデオ試写会も、中止・・・


さて、その驚愕の“表情”って 
“ヒデ君的・タンゴ・熱演”の結果、
自然にソウなっちゃったモノなんだそう。
眉間にややシワを寄せ、

時に情熱的に

時に官能的に

(ってトコなんだろう)
口を半開きにしたりして、目線は泳ぎ、
やや、イッチャッテル感もアル表情だ。


言っておくけど、
この“顔・熱演”って
やっちゃいけない
悪いことでは決して、ない。
いわゆる競技会では、
こういう顔の表情筋を駆使しての
「表現」は、
全然珍しいものでもなく、
アル意味やって当然のことで
なーんもナシの無表情は、かえって
「なんか、今日、元気ないねぇ」
「顔色、悪いぞ」
で、NGだろうしね。
まぁでも、グループレッスンの学習発表で、
ココまで(ヒデ君がやったように)、
顔・熱演する人は、
めったにいないんだけどね。
ソレは、年齢的なコトも大いにあるだろう。
(グループレッスンの生徒さんは、
ヒデ君と同い年の女性一人を除けば、
全員、50歳は超えている?ッテ感じ)
今日の発表時でも、みんな、
非常にナチュラルな
表現にとどまっていたんだな。


「オレ、コワゴワ踊るような、
ぬるいタンゴだけは
ヤランとこうと思ったんや。
すべてに、
めいっぱい踊ろうと思った。
だから、めいっぱい、
顔でも表現してやろうって」

と、ヒデ君。

そう、ヒデ君の熱演は、
顔の筋肉だけにとどまらず
“すべて”にわたっていたんだな。


顔の表情以外で目立ったのは
キレ・スピード・パワーを狙った
リンク・アクション。

「いろいろ、悩んだけど、
ココ(リンクするところ)も、思い切り、
やってやろうって
最終的には思うようになった」



そして、鋭い首振り・・・

「ネック・アクション、
コレ、ヤッパ、
オレ的には外されへん。
メッチャ速く、カッコよく決める、
それしかないと思った」



でも、その結果

「コンナスゴイ表情、
してると思えへんかったし。
それに、こんなに力んでるとも
自分では思わなかったわ」

とヒデ君は言う。


「それに・・・」
私のほうを向いて

「また、コンナン言うたら
笑われるかも知れんけど、
“ミルコ”(ミルコ・ゴッゾーリのこと・
現世界チャンピオン)とは、全然違う。
全く似ていない、
ソレもショックやった」

とも。


「自分の表現ができなかったって、
後悔だけはしたくないって思ったンや」


だから思いきりやったんだろうけど、
今、眼の前のヒデ君は、
自分の映像を目の当たりにし、
なんと
「熱演したこと・・・後悔してるわ」
なんて言ってるよ。


アララ
ソレはえらいことじゃない!?
でも、その気持ち(後悔)は、
自分の映像を見て
「思っていたのと、全然違う」
からって言うような単純なモンではなく
もっともっと深いものであるってコトも、
ヒデ君と話していてわかってきたんだ。


「オレ、みんなに
嫌われたんじゃないかと思って」

と、ヒデ君。

その理由は
「踊り終わった後、
誰一人として褒めてくれなかった」

から。

いや、褒めるコトもけなすコトもなく
「みんな、
オレのダンスに対して
なーんにも触れてくれないんや」


それに
「こんだけ目立って踊ってるんネンで。
しかも、3回も踊ってるネンで。
ソレやのに、
誰も何も言ってくれんし、
オマケに、個人MVPに
オレに入れてくれたのって、
たった3人・・・。
無視されたような、感じがした。
で、『オレみたいなタンゴはダメですよ』
って、対比のように
キレ・スピード・パワーを押さえ、
かつ、感情表現も控えめな、
淡々と踊るタンゴが絶賛された」



ヒデ君にしてみたら、
思い切り自分を出して表現してみたら、
「ソレは、ダメでしょ?
もっと、女性に
優しく丁寧なダンスをしないと」

とたしなめられ、挙句、
「ジュンコ先生のダンス理論では、
タンゴも力を抜いて、
ゆっくりゆったり、
相手を感じて・・・なのに、
ヒデ君、
アナタのやっていることは何よ!?」

と、みんなから責められたんじゃないかって
思ったそうなんだな。 


「オレ、結果、
力んでしもうたかも知れんけど、
3人の女性へのエスコートの気持ちを
忘れないようにだけは心がけたよ」


「俺なりに、
ジュンコ先生のダンスは外していない・・・
で、熱演できたと思っていたんや」


「だって、ジュンコ先生は熱演も、
推奨してるでしょ?」


すっごく辛そうなヒデ君だったが・・・



私はゆっくりと話し始めた。



      続く 第556話へ



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