2008.04.05 (第438話)チョット中休み エッセイvol.11 ~ダンスは感情体験で上手くなる ③~
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チョット中休み エッセイvol.11
熱演とは解放だ!?
~ダンスは感情体験で上手くなる ③~
ヒデ君&ユーちゃんが
ルンバ・デモ・リハーサル決行、の日曜日、
同じフロアーで
“タンゴ”の個人レッスンを受けていた男性がいる。
M氏、年齢50歳、ダンス歴約4年。
「ダンスは楽しくなくっちゃ」
をカラダ全体で表現したい!!
そんな彼、タンゴは非常に苦手だった
・・・というんだな。
「なんか、踊っていて
腑に落ちないけったいな(おかしな)
種目だと思っていました」
「カラダの力を抜けと言われるけれど、
世界のトップの人のダンスを観ていたら、
非常にパワフルでスピーディ切れもアル。
一体どうやっているんかな?
って不思議だったんです」
ところが、つい、最近、
M氏は、タンゴに目覚めた!
「カラダの中(インナーマッスル)が
動くようになってきて、楽しくなってきました。
力を抜くことと、
思い切り踊ることがつながってきたんです」
そう、彼は、ようやく念願であった
タンゴにおける
“熱演”ができるようになってきたんだ。
その“熱演”が
彼の中から最初に飛び出してきたのは、
ある日のレッスンで、
「ずい分カラダの癖が取れて、
無駄な力が取れるようになってきたから、
一度思い切って踊ってみましょうか」
と声をかけたときだった。
で、好きな音楽はあるかと尋ねると
「ラ・クンパルシータ」という答え。
私は、思い切って、
コンチネンタル・タンゴの雄、
アルフレッド・ハウゼ・オーケストラの
「ラ・クンパルシータ」をセレクトしたんだ。
ナニが思い切ってなのか言うと、
超アップテンポ・・・だから。
力んだら絶対に踊れない。
いや、無理すれば踊れないことはないが、
もう大変な目にあうのは必至だ。
でも、上手くいけば、
ムッチャ楽しく踊れるシロモノだ。
抜群にハギレが良い演奏だから、
気分も乗りやすいだろう。
音楽、スタート。
M氏は「アレッ?」という表情、
「お、こ、コレは速い」と思ったのか。
しかし、次に
「でも、思い切って、
ヨーシ、いくぞぉ~~!!」
で、彼は“豹変”した・・・。
ガオォォ~~!!
両手をパーにし、ガガッと広げ、
おたけびをあげるM氏。
それは、スンゴイ顔だった。
顔中、口ってな感じで、
“火”を噴いているかのよう!?
眉間、鼻筋、いっぱいにしわを寄せ・・・
もうまるで“怪獣”だ。
私はもうビックリ、
ズッコケ、大笑いしちゃったけれど、
それがM氏ならではの
タンゴに向かうための“表現”であり、
スタートを切る直前、
エネルギーを調達しているアクションであり、
ってことはわかったので、
そのまま、トライ・レッツ・ダンス!!
で、一緒に踊ってみて、
さらにビックリしましたよ。
カラダ中で“タンゴ”
そして
“ラ・クンパルシータ”を踊ってるんだモン!
もう、あれあれあれ?
おいおいおい、どうなってるの?って感じなんだ。
水を得たサカナのごとく、踊りまくる、M氏。
おそらく外身も、
ビックリに値するものだったかもしれないが、
私は思った。
「M氏は“殻”を破ったんだな」
それからM氏は、
“タンゴ・熱演スイッチ”なるものを、
身につけたようなんだな。
レッスンの終わりの方で、
カラダがこなれて
(無理なく動けるようになって)きた頃を見計らい、
先の「ラ・クンパルシータ」や、
ピアソラの「リベルタンゴ」をかける。
すると熱演スイッチ・オンで
“エネルギー調達”が始動し、彼は全開する。
解き放たれ
タンゴの表現に自らを誘うのだ・・・
「それ、生徒さん同士で踊るとき、
やったらあきませんよ。
『Mさん、おかしくなりはったわ』
って言われて、ドン引きですよ」
とヒデ君。
「それに、
そんなにエンジン全開の“熱演”に、
きっと誰も付いてこれませんしね」
コレは、精神的なことだけではなく
肉体的にもってことなんだろうけどね。
ただ、私はこう思っているんだ。
こういう“熱演”は誰もができるもの、であるし、
心の中で望んでいるものではないか・・・と。
ナゼって
“熱演”は“解放”だから
優れたダンサーたち、
特に海外の一流ダンサーほど、
確かなテクニックとともに、それに基づいた
“熱演スイッチ”を持っているんだ。
いざ、本番ってなると、
スイッチ・ON!!
豹変し、もう、別人になる。
ある意味
“バカになれる”んだ。
「イヤァ、そんなこと、
テクニックがない自分たちがやったら、
見れたモンやないよ」
「無理、無理。
ムチャクチャ踊るな!
表現なんて10年早いって、
コーチャーに言われるよ」
って、おっしゃる方がいるかもしれないが、
私にしてみれば
「キレイにカタチをまとめて、
無難に安全に踊る・・・なんて、ダメダメ」
モチロン、
パーティの時のダンスは目的が違うんだもん、
“安全・安心・丁寧”を心がけないと、
お相手さんから
“NO、サンキュー”になっちゃうだろうが、
デモなどの、表現できる場でのダンスは、
もっともっと発散しなきゃ、
自分を出さなきゃって思うんだな。
思い切り自分なりの音楽表現がしたい、
でも、できないから、テクニックが必要なんであって、
身につけたテクニックを
ただただ
披露スルモンでは決してない
と思うんだ。
ちなみに、
ダンスの表現は観ている人のためにあらず
・・・とも思ってる。
じゃぁ、誰のためかって?
モチロン、自分のため。
自分を喜ばし、称え、解放する
ためだ。
さてさて、ヒデ君&ユーちゃん、
ルンバ・リハ決行、の日曜日に話を戻そう。
間近でM氏の“熱演スイッチON”で、
“怪獣が火を噴く”模様を目撃してしまった、
ユーちゃん、
「え~!?!?」
って感じで驚き、お腹を抱えて笑い転げ、
一体、これからどうなっていくのかを、
唖然としながらも見守っている。
冗談なのか超ホンキなのか?
お笑い芸人さながらの顔の表情で、
怪獣は火を噴きまくり、広いフロアーを駆け回る。
リンク・アクションのたびに、
シュパシュパ揺れまくる、
前髪が、なんともおかしい。
“熱演”するM氏の姿は、
異様かもしれないが愛すべきモンでもあった。
このM氏の“熱演”が、
ユーちゃんの心に変化をもたらしたんだ。
「そうか、こういう表現もアリなんだ」
「表現といったら、先生や、
チャンピオンダンサーのようなものをやりたかったし、
目指したけれど、私はその人とは違う。
体験もなければ、テクニックもナイ・・・
で、行き詰っていた。
でも、M氏の姿を見て
コレで良いんだッて心が軽くなったンだ。
今の自分にできる表現でいいんだ・・・」
って、トコだろう。
そして、当日、本番、
奇跡は起った・・・
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熱演とは解放だ!?
~ダンスは感情体験で上手くなる ③~
ヒデ君&ユーちゃんが
ルンバ・デモ・リハーサル決行、の日曜日、
同じフロアーで
“タンゴ”の個人レッスンを受けていた男性がいる。
M氏、年齢50歳、ダンス歴約4年。
「ダンスは楽しくなくっちゃ」
をカラダ全体で表現したい!!
そんな彼、タンゴは非常に苦手だった
・・・というんだな。
「なんか、踊っていて
腑に落ちないけったいな(おかしな)
種目だと思っていました」
「カラダの力を抜けと言われるけれど、
世界のトップの人のダンスを観ていたら、
非常にパワフルでスピーディ切れもアル。
一体どうやっているんかな?
って不思議だったんです」
ところが、つい、最近、
M氏は、タンゴに目覚めた!
「カラダの中(インナーマッスル)が
動くようになってきて、楽しくなってきました。
力を抜くことと、
思い切り踊ることがつながってきたんです」
そう、彼は、ようやく念願であった
タンゴにおける
“熱演”ができるようになってきたんだ。
その“熱演”が
彼の中から最初に飛び出してきたのは、
ある日のレッスンで、
「ずい分カラダの癖が取れて、
無駄な力が取れるようになってきたから、
一度思い切って踊ってみましょうか」
と声をかけたときだった。
で、好きな音楽はあるかと尋ねると
「ラ・クンパルシータ」という答え。
私は、思い切って、
コンチネンタル・タンゴの雄、
アルフレッド・ハウゼ・オーケストラの
「ラ・クンパルシータ」をセレクトしたんだ。
ナニが思い切ってなのか言うと、
超アップテンポ・・・だから。
力んだら絶対に踊れない。
いや、無理すれば踊れないことはないが、
もう大変な目にあうのは必至だ。
でも、上手くいけば、
ムッチャ楽しく踊れるシロモノだ。
抜群にハギレが良い演奏だから、
気分も乗りやすいだろう。
音楽、スタート。
M氏は「アレッ?」という表情、
「お、こ、コレは速い」と思ったのか。
しかし、次に
「でも、思い切って、
ヨーシ、いくぞぉ~~!!」
で、彼は“豹変”した・・・。
ガオォォ~~!!
両手をパーにし、ガガッと広げ、
おたけびをあげるM氏。
それは、スンゴイ顔だった。
顔中、口ってな感じで、
“火”を噴いているかのよう!?
眉間、鼻筋、いっぱいにしわを寄せ・・・
もうまるで“怪獣”だ。
私はもうビックリ、
ズッコケ、大笑いしちゃったけれど、
それがM氏ならではの
タンゴに向かうための“表現”であり、
スタートを切る直前、
エネルギーを調達しているアクションであり、
ってことはわかったので、
そのまま、トライ・レッツ・ダンス!!
で、一緒に踊ってみて、
さらにビックリしましたよ。
カラダ中で“タンゴ”
そして
“ラ・クンパルシータ”を踊ってるんだモン!
もう、あれあれあれ?
おいおいおい、どうなってるの?って感じなんだ。
水を得たサカナのごとく、踊りまくる、M氏。
おそらく外身も、
ビックリに値するものだったかもしれないが、
私は思った。
「M氏は“殻”を破ったんだな」
それからM氏は、
“タンゴ・熱演スイッチ”なるものを、
身につけたようなんだな。
レッスンの終わりの方で、
カラダがこなれて
(無理なく動けるようになって)きた頃を見計らい、
先の「ラ・クンパルシータ」や、
ピアソラの「リベルタンゴ」をかける。
すると熱演スイッチ・オンで
“エネルギー調達”が始動し、彼は全開する。
解き放たれ
タンゴの表現に自らを誘うのだ・・・
「それ、生徒さん同士で踊るとき、
やったらあきませんよ。
『Mさん、おかしくなりはったわ』
って言われて、ドン引きですよ」
とヒデ君。
「それに、
そんなにエンジン全開の“熱演”に、
きっと誰も付いてこれませんしね」
コレは、精神的なことだけではなく
肉体的にもってことなんだろうけどね。
ただ、私はこう思っているんだ。
こういう“熱演”は誰もができるもの、であるし、
心の中で望んでいるものではないか・・・と。
ナゼって
“熱演”は“解放”だから
優れたダンサーたち、
特に海外の一流ダンサーほど、
確かなテクニックとともに、それに基づいた
“熱演スイッチ”を持っているんだ。
いざ、本番ってなると、
スイッチ・ON!!
豹変し、もう、別人になる。
ある意味
“バカになれる”んだ。
「イヤァ、そんなこと、
テクニックがない自分たちがやったら、
見れたモンやないよ」
「無理、無理。
ムチャクチャ踊るな!
表現なんて10年早いって、
コーチャーに言われるよ」
って、おっしゃる方がいるかもしれないが、
私にしてみれば
「キレイにカタチをまとめて、
無難に安全に踊る・・・なんて、ダメダメ」
モチロン、
パーティの時のダンスは目的が違うんだもん、
“安全・安心・丁寧”を心がけないと、
お相手さんから
“NO、サンキュー”になっちゃうだろうが、
デモなどの、表現できる場でのダンスは、
もっともっと発散しなきゃ、
自分を出さなきゃって思うんだな。
思い切り自分なりの音楽表現がしたい、
でも、できないから、テクニックが必要なんであって、
身につけたテクニックを
ただただ
披露スルモンでは決してない
と思うんだ。
ちなみに、
ダンスの表現は観ている人のためにあらず
・・・とも思ってる。
じゃぁ、誰のためかって?
モチロン、自分のため。
自分を喜ばし、称え、解放する
ためだ。
さてさて、ヒデ君&ユーちゃん、
ルンバ・リハ決行、の日曜日に話を戻そう。
間近でM氏の“熱演スイッチON”で、
“怪獣が火を噴く”模様を目撃してしまった、
ユーちゃん、
「え~!?!?」
って感じで驚き、お腹を抱えて笑い転げ、
一体、これからどうなっていくのかを、
唖然としながらも見守っている。
冗談なのか超ホンキなのか?
お笑い芸人さながらの顔の表情で、
怪獣は火を噴きまくり、広いフロアーを駆け回る。
リンク・アクションのたびに、
シュパシュパ揺れまくる、
前髪が、なんともおかしい。
“熱演”するM氏の姿は、
異様かもしれないが愛すべきモンでもあった。
このM氏の“熱演”が、
ユーちゃんの心に変化をもたらしたんだ。
「そうか、こういう表現もアリなんだ」
「表現といったら、先生や、
チャンピオンダンサーのようなものをやりたかったし、
目指したけれど、私はその人とは違う。
体験もなければ、テクニックもナイ・・・
で、行き詰っていた。
でも、M氏の姿を見て
コレで良いんだッて心が軽くなったンだ。
今の自分にできる表現でいいんだ・・・」
って、トコだろう。
そして、当日、本番、
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ジュンコ
whiteさん
コメントありがとうございます。
本当に自分が表したい
素直で正直な自分の姿とは!?
ソレを教えてくれるのも、ダンスなのかもしれませんね。
あせらずユックリいきましょう!
コメントありがとうございます。
本当に自分が表したい
素直で正直な自分の姿とは!?
ソレを教えてくれるのも、ダンスなのかもしれませんね。
あせらずユックリいきましょう!
2008/04/05 Sat 22:36 URL [ Edit ]
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