fc2ブログ
目次へ

エクササイズ&プラクティス集へ




チョット中休み エッセイvol.9 

タンゴにおける停止と静止

~タンゴでカラダのクセをとる!? ⑥~


「ホラ、
マリトースキーのチャチャチャを見たときにも
言ってたじゃない?『静けさがある』って。
(第325話参照)
あれも、今あなたが言った
“静止”の世界の体現したものなのよ」
(第375話参照)

「ジョアンナ
(マリトースキーのパートナー)のスピンなんて、
まさにコマ(独楽)よね。
芯が全くぶれない、
驚異的な完全なるスピンでしょ?
あれも“静止”の世界」

「彼らのチャチャチャが、
アレだけボディが動いていても
見ていてちっともうるさくなく、静かで、
透明感があって、
いつもスッと立っているように見えるのは、
ものすごく細やかに
ある意味高速で、
カラダの内側が動いているから
なのよ。
ちょうどコマ(独楽)の芯に当たる部分、

体幹のコアの部分が・・・」



「ソレに引き換え、
オレのはぶれまくりやったモンな(笑)
で、えーと、コアって何やったっけ?」




「まずは脊柱・・・背骨よね
(第303話参照)
それから、丹田って言われる腹部も。
腹横筋や多裂筋、モチロン大腰筋も」



「つまり、
ボディのインナーマッスルちゅうやつやな?
大切なんは」




「ソウ!だから、
今回のタンゴにおけるあなたの課題が
“センター・コアをもっとシッカリさせていこう!”
になったわけ(第348話参照)
ルンバ・チャチャチャに引き続き、
めいっぱいカラダの内側を使って踊るわけよ。
ただし、女性とかかわりが多い分、
ラテンのように暴走はできないからね。
もっと精度を上げていかないと」



ここまで聞いて、ヒデ君、
ようやくタンゴにおいての自分の方向性が
見えたようなんだ。



「あ~、

タンゴもカラダの中を使うんか・・・。

全部、ダンスはつながってるんやな。
ほんなら、
ルンバやチャチャチャでの練習が活きるわけや」


と、目をキッと輝かせたヒデ君、
こんなことを言い始め

「ホーキンスとか見てたら、
ピシッパシッって・・・なんやった? 
あ、ソウ、リンクとか
プロムナードが終わったところで、
(動きが)完全には切れてへんモンな。
微妙にズーッと動いている」




お、スゴイことを見ぬいてますな、
ヒデ君よ。
と、少々驚いた私だったが、
こんな風に説明したんだ。

「そう、あれも“停止”はしていないの。
カラダの中はずーと動き続けている、
つまり“静止”の状態ね。

カラダの内部は

次の動きに向けて

リリースされている状況
・・・」



と、ものすごく興味ありげにヒデ君が聞く。

「リリースって何?」



「解き放つこと」



「わぁ、エエ言葉や!
そういうの、好きや、オレ」 
なぜかエラク喜ぶヒデ君だが、



「カラダの表面的な動きは
止まっているからこそ、
中身の充実が最も感じられる
最高に気持ちの良い時間よ」
と言うと、



ヒデ君、マジ顔になって
「へぇ~タンゴって、オモロそうやな」

で、

「考えてみたらソラそうやろな。
チャチャチャのときかって、
最初は足だけバタバタさせていて、
苦痛やったもんな。
タンゴも、カラダの中から・・・コウか?」

と言いながら、
少々ワザとらしくカラダの内部を使って
ウォーク・リンクをやってみせる、ヒデ君。



「ソウソウ! 
まぁ、そんな感じよ(笑)
でも、今のは、
ヒップ・アクション付きになっちゃってるから、
周りからはタンゴに見えない!
って言われるヤロウけどね」



すると、ヒデ君ケタケタ笑いながら、
「ルンバみたいな動きでやってみてん。
インナーマッスル使って・・・」




「ソレは、“ルンゴ”っていうのよ」



「るんご?」



「そう、ルンバと
タンゴを掛け合わせたもの(笑)」


「アノ、ニヒル君の“コンパ芸”
ボディアクション・ヒップアクションを入れながら、
タンゴを踊るんだけど、
上手だったから、すごくウケタのよ。
それに、
一緒に踊ると意外に良い感じでね・・・」



「へぇ~、オモロ~! 
ニヒルさんって
いろんな面を持ってる人やってんなぁ」




いまや、ヒデ君にとって、
ダンスの先輩にもなったニヒル君の話は、
しょっちゅう、
夫婦の間でナチュラルに交わされているモノ。



「でも、感覚、分かるわ。
硬く固まって、
足だけが動いているタンゴより、
ずっといい感じやモン。
インナーマッスルって大切やネンナァ」




「ソウ!それが主導で
カラダのまず芯に当たる部分が動いている。
ソレと連動して、アウターマッスルも動いている。
ただし筋肉は導管で、
(筋肉の)中に入っているエネルギーを伝達していて、
それが骨格のアライメント(整列具合)を
変化させるってコトでダンスをしているワケ・・・
まぁ、この辺りのお話はまだ、
難しいでしょうけど」
(第121話参照)



「いや、なんとなくワカルで。
結局は、ダンスって

筋肉や骨やらを上手く動かして

エネルギーを体中に

循環させている状態
みたいなモンヤロ?

で、そのエネルギー循環がスムーズになるためには
リラックスが重要・・・ってコトや」




「すごい!よく分かってるヤン!」



「合気道と一緒やから(笑)
合気道の先生が

静止は動の極致で、

一番強い状態

反対に

停止は動を失い

全くの無力
である。

静止と停止は、
全く“似て非なるもの”である』
みたいなことをいうてた。
カラダを固めて踊ったら、
その“停止”状態になるんやろうな。
そうなったら、
インナーマッスルも使われへん。
インナーマッスルを使えへんから、
(停止状態に)なってしまうんかも知れんけど…。
それでなくても
タンゴって固まりやすそうな種目やから、
ホンマ、気ぃ付けなアカンな」
と、解説してから、ヒデ君


「そういえば、“停止”と“静止”の話って、
合気道やダンスだけや無くて、
すべてに通じるもんみたいやな。
ある、有名な経営コンサルティングの人が
言うてるのを聞いたことあるんやけど
『“停止”は、
行動も思考も全てが止まった状態のことで、
“静止”は、カラダは止まっているが、
思考も気も働いている状態である』って。
すごく良い仕事のできる人は、
“静止”状態を自ら生み出せるんだって」



ヒデ君、自らが言い出した
“停止”と“静止”の話によって、
タンゴのイメージが大きく変わってきた模様。


「とりあえずは、ヒザ曲げたり、腰かがめたり・・
イランことセンと、
できるだけリラックスして、
カラダの中から
足を動かすようにってやってみるわ」




さぁ、ヒデ君のタンゴ、
どうなっていきますのやら・・・
次なるドキュメントの機会をお楽しみに!!



      続く 第377話へ



いつも 応援クリック ありがとうございます。
      ↓ ↓ ↓
   
人気blogランキングへ
とても励みになっています。(ジュンコ)

Secret

TrackBackURL
→http://universaldance.blog88.fc2.com/tb.php/387-2e112c82