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今から思えば、あの西部日本ラテン戦のリーパー発表が、
一つの節目だったんだな、私のダンス人生においての。

マーカス君と組むか、ニヒル君と組むか、
表面的にはそれだけのことなのに、ね。
でも、それは、


人を選んだのではなく

結果、これから先の、

ダンスとの関わりを選択した

ようなものだったんだな。


え?選んだのは執行部じゃなかったのかって?
確かにそうなのだが、実はそうとも言えないような・・・。
なぜって、執行部にしても、
恋愛リーパーの扱いは難しいものであり、
誰からも不満が出ないカタチ、
つまりは優勝を手に入れることで、
堂々組ませてやりたいという、
自然な計らいのが、そこにはあったハズ。
ほかの部員にしてもソウ。
「気ぃつかうし、ややこしいことになりたくないから、
好きなもの同士組んでくれたらエエし…」

まぁ実力的にも、現時点では認めてやるしって感じじゃないの?

いわばこの時点での「ニヒル・ジュンコ組」は、
これ以外には考えにくいほどに、
部員全員が納得の末選んだともいえる(もちろん、私も含めて)、
ナチュラルなものだったってわけ。

でも、それより・・・なのよねぇ。
とにかく、この時のリーパー発表は、
この先の私と、ダンスとの関係を明らかにするいい機会になったんだよなぁ。


もう少し詳しく見てみよう。

あの時点でもし、マーカス君と組んでいたなら、
西部日本ラテン戦はたぶん優勝。 
その後の競技会でも、関大始まって以来の成績を残し、
全日本戦でも、結構いいところまでは行ったハズ。
ものすごーくがんばったら、
本当の天下取り=全日本優勝!も、
夢ではなかっただろう。
(しかもスタンダード)

さらに、彼は2回生の途中、私とのリーパーが終わってから、
「オレのダンス観を変えてくれた」師匠との出会いを果たし、
そこの教習所(プロのスタジオ)に通うようになるんだけど、
もしマーカス君と組んでいたら、
彼に従い、私も必然的にそこでの体験が待っていたわけ。
とっても優しいおじちゃん&おばちゃんって感じの先生で、
そこに行っていれば、それほど厳しい目にはあってはいなかっただろう。
ただ、先生に対する反発もない分、
その世界からなかなか抜けられなくなって、
私が今のようなダンス観にいたっていたかどうかはハナハダ疑問・・・。

でも何はともあれ、これだけはハッキリ言える。
マーカス君と組んでいれば、 

人生、ほとんどすべてを競技ダンスに懸けただろうってこと。

それで、ホンマに幸せだったら、マルキシOK!
結果がどうであれ、人生の輝き・彩りとして、
「ダンスやってきて、本当に良かったね・・・」となるだろうし、
ダンスというものを通して自分と向き合ってきた時間は、
絶対に賞賛に価するべきもの。
そこには、競技ダンスのことを知らない人が、
「そんな、しんどいのん、ようやりはりますなぁ」なんて、
口を挟む余地もないほどに、

競技をやってみた者にしかわからない、素晴らしさ

ってあると思うんだな。


でも、私、という個人においてはどうだったのか?


人から見たら、
「ダンスってものにめぐりあえて、頑張りはって、それで良かったですヤン」
でも、何に本当の幸せを感じるかは、ホンマ自分自身の気持ち一つ。
自分が幸せなら、それが幸せ。
不幸せなら、不幸せ…だもんな。

大学のあの当時、
競技ダンスに、ほとんどの時間とエネルギーを費やし、
それでもイイと心から思えたのは、ヤッパ結果が出せたから。
マーカス君との楽しい時間が過ごせたのも、
つまり、勝てたからってことが大きい。
「結果がついてこなくても、最高のパートナーシップさえあれば」
「いやぁ、勝てなくても参加することに意義があるから」

ってなんとなぁく、ホント??って気がするし、
勝つという結果を全く求めない競技ってのも、
ナチュラルじゃないように思うし・・・。

じゃぁってことで、勝つことを堂々目標に掲げたとしよう。
しかし、勝った!優勝した!とはいっても、
ふと我に返れば、
例えば学生ダンスという特定の範囲に通用する、
セマーイコミュニティの中だけの勝者。
それでもまぁ、一つの天下を取ったことには変わりないかもしれないが、
自分の中のあるちっちゃな欲望だけが叶えられたのに過ぎないのであって、
もっと大きな世界の視点に立てば、
「Oh、サムライ、アナタ、ダレデスカ?」
ってな惨めぇーなものになりかねない。

その点、
競技ダンスの最高・・・プロフェッショナル・世界チャンピオン級のダンサー!
そこまで行けば、そりゃぁ楽しいだろうなぁ!!って思うわけよ。
おおげさじゃなく、生まれてきたカイってものがあるだろうね。
頂点に行きつくためには、
ダンスを超えた、ものすごい人生的な学びもあったろうし、
もちろん、ダンスならではの学びもあったろうし、
そんなこんなのすべてをダンスの表現として昇華させ、
人々に伝え、感動、生きる意欲を授ける・・・

自分たちだけのセコーイ範囲での喜びで終わらず、
それがそのまま、とんでもなく大きなみんなの喜びにつながっている、
それこそが競技ダンサーのヤリ甲斐ってものじゃない!!

ちょっと、それは言い過ぎじゃないの?
世界チャンピオンでなきゃ、競技ダンスをやる意味がないってこと?
もちろん、そんなバカな話はないんだが、
自分の中では、こういう気持ちがなぜだかどうしても外せない・・・。
だから、苦しんだともいえるんだけど。

ソウ残念だが、私はその器じゃない・・・
それは客観的に自分を見ればすぐにわかることだった。
もし私に、自分の踊りを見てもらうことで、
本当に自分自身が喜びを感じ、
人々にも幸せを感じてもらう・・・
そんな「天命」みたいなものがあるとするならば、
限られた人生の中で効率よくコトが運ぶように、
生まれは、たぶん「欧米人」。
両親は競技選手、
チャンピオン級の腕前で、英才教育を受ける、
もちろんカラダつきだって、もっと見るからにダンサー風。
後天的に身につけることは不可能そうな域、
例えば背の高さ・顔の美醜・首の長さ・・
は、すべてクリアってしてこの世に出現しただろうし…。
(2月8日の記事参照)

でも、悲しいかな、私はぜーんぜん違う。
今から思えば、負け惜しみでも冗談でもなく、
生まれも、育ちも、このカラダ、この顔も、
今のままでよかった、というか、


ほんまに、ウマイことなってるわ


そう心から思っている。

つまりは、私の人生で目指すのは、最終、競技ダンサーではなかったってこと。
だから、あのまんまマーカス君と、素晴らしいパートナーシップが発揮でき、
ある程度の高みまでは到達できたとしても、
「ヤッパ違う」と思うときがやってきたと思うんだ。

それは、「勝つ」ことができなくなった頃?
年をとり「競技ダンス」を終えるとき?
ひょっとしたら、
「ナンバーワンになれなくてもいい、

自分にしかできないオンリーワンが、

競技ダンスの中にはなかった・・・
ってわかるときかもしれないが。


確かに、ニヒル君と一緒に歩むダンスの道は険しかった。
ダンスの中ですぐに「できる喜び」を味わうことなどほとんどなく、
まずは「できない辛さ」から入る。
「人知れずがむしゃらな努力」という道にいたり、
その間には、
嫉妬心羞恥心劣等感・・
できたら味わいたくないような感情ばかりに襲われる。
それだけでも、あーシンドなのに、
ニヒル君が2回生になって選んだ教習所のプロ先生がまた厳しくって・・・。
もう、最後に残ったプライドまで、
自分のリーダーの目の前で粉々に砕かれてしまうんだもの。
(2月5日の記事参照)


・・・ところが、私は今とっても幸せだ。
ということは、人生的にはこの頃の葛藤が、
愉快なことにすべて「吉」と出たわけ。


エ? どういうことかって?


つまり、

人にダンスを教えるときには、

自分ができなかったことがとっても役に立つ


ってこと!!


私はダンサーではなく、

ティーチャーとしての人生を歩むために、
ニヒル君と組んだ・・・と考えれば、
ものの見事にピタッとはまるのだ。

生徒さんが“できない・わからない”ってところを、
たいてい同じように私も苦しんできたから、
何をドウ指導すれば良いのかが理解してあげやすい、

これって特権!

まぁ、自分のデキが悪すぎて苦し紛れに、
いろいろな方面、例えば運動生理学や、
脳の働きやらみたいなことを、早くからコツコツ勉強してきたことも、
役に立っているみたいだし。

それになんたって、生徒さんの気持ち、
できないときのツライ気持ち
できたときの涙が出るほどにうれしい気持ち
・・も、
理解してあげやすい。

これが、最高に良かったことかもね。

「自分が最初から苦労なくできていたら、
でけへん人の気持ちもわかれへんし、
よう教えられんかったんと違うかな?」


今もなお、先生としての修行は続いているし、
ひょっとしたら、

もっとこれ以上のオンリーワンが、

まだ控えてるかもしれないが・・・。

まずはまぁ、めでたし、めでたし・・・



さて、
今はそんな余裕もちょっとはあるけれど、その当時はモチロンなし。
西部日本ラテン戦を前に、ジュンコはすごく気負っていた。

絶対優勝!

それしかないんだもん。




アレッ?ニヒル君たら意外にも・・・。


     続く 第34話へ



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