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チョット中休み エッセイvol.85 

晴天の霹靂

~アナタに出会えて良かった(3)~


3月11日 火曜日
“東京”から戻った翌日の
ユニプラ、ラテン専科(共に、グループレッスン)
両レッスンの名簿に、Hさんの名前があった。
が、そのどちらにもHさんは現れなかった。
何かの手違い?
忘れている?
などは、考えにくかった。
お仕事を完全退職されたここ1年くらい、
ユニプラ&ラテン専科で、
Hさんの姿を見ないことの方が少なくなっていた。
お休みのときは、キチンと連絡があるし、
なにより、この日を楽しみにされていたはず。
ワタシタチが“東京”に行っていたため、
しばらくぶりのレッスンだったからだ。

実は、
最初のユニプラ練習タイムの時点で、
ヒデ君は“よからぬ予感”があったという。
その日1日中、
Hさんの携帯に何度も電話をしているヒデ君の姿があった。

翌朝、
ようやく、つながった。

「Hさんの携帯ですか?」

違う人が電話に出たようだ。

「入院されている?・・・そうですか」

胸騒ぎがした。

数分間の、やりとり。
一旦、電話を切りかけたヒデ君、あわてて、
「すみませんが、
ご自宅の電話番号を教えていただいて
よろしいでしょうか?」

後に、この機転が活きることになる。
自宅の電話番号を聞き出せていなかったら、
ワタシタチの中で、
Hさんは“消息不明”になっていた可能性がある。

「“お母さん”と話した。
かなりの高齢、とは思うけど・・・
携帯(スマホ)の扱い方が分からなくて、
昨日は出られなかったらしい。
今は触っていたら、
偶然、つながったって」
と、ヒデ君。

3月9日 日曜日
道で倒れているところを通行人が発見。
神戸の災害医療センターに運び込まれた。
12日 水曜日 朝現在
まだ、意識が戻っていない。

手にした情報は、これだけだった。
病名など詳しいことは、不明。

「病院から連絡が入ったって、
(お母さんが)言いはったから、
(電話を)急いで切った」

ヒデ君、ポツリ
「アカンような・・・気がする」

「お母さんも、
『もう、そちらにはよう行かんと思います。
お世話になりまして』
って。
でも(お母さんの)声はしっかりしていて、
すごく気丈やった。
それが、救いやった」

ミキヒコさんと3人で、緊急会議。
以下を申し合わせた。

はっきりしたことが分かるまで、
一切、伏せておく。
が、11日のユニプラ、ラテンで、
Hさんに会わなかったことを心配し、
尋ねてくださる方には、ソノ限りではナイ。
15日 土曜日のゼロプラ(たくさんの仲間が集まる練習会)
までには、
様子が分かるようにしたい。
連絡がなければ、
前日の14日に、
コチラからにコンタクトしてみる。
モロモロを考えれば、
Hさん側からの連絡は、難しいだろう、から。

静かに待った。

3月14日 金曜日朝、ヒデ君が携帯に連絡をとった。
つながらなかった。

実家にかけた。
つながった。
“お母さん”だ。

「容体はどうですか?」

「葬式はこっちでしよう、思うてます」

「・・・亡くなられたんですか?」

「そうです」

死因は心筋梗塞。
3月9日に倒れ、意識が戻らないまま、
13日に息を引き取られたそうだ。

再び、緊急会議。
実家に電話をかけ直し、告別式出席の旨を伝えた。
遠いからと、恐縮される“お母さん”

「どうしても、
行かせていただきたいんです」
と、ヒデ君。

「そうですか、
あの子も喜ぶと思います」

一気にヤラネバならないことが押し寄せて来た。
目下の、決定すべき事項は、
「明日のゼロプラで、
どうやって、みんなに伝えるか?」
だった。
ワタシタチには、
気持ちを整理していく“時間”があった。
でも、みんなにとっては“突然”だ。
かなりのショックを受けることになるだろう。
といって、伝えないわけにはいかない。
“練習会”は、成立するのか。

ミキヒコさんが言った。
「Hさん(の魂は)
ゼロプラに来はる(来られる)と思います。
みんなと一緒に踊りたいって」

そうだろう、と、自然に思えた。
基本、普段通りに、しよう。
参加者とHさんとの関係の濃度には、差がある。
その点に、配慮も必要。
練習時間を多くとりつつ、
その中にレッスンを組み入れる。
様子を観ながら、全員が揃った時点で、話そう。
みんなの動揺を受け止めるべく、
3人が、気持ちをしっかり持たねばならない・・・

今にして思えば、になるのだが、
このときは、まだ、
よくわかっていなかったように思う。
Hさんという人が、
どれほどまでに、“仲間”に影響を与えていたのか、
どれほどまでに、かけがえのない存在であったか・・・


      続く第2614話へ





※Real Junko Voiceはお休みです。