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社交ダンスを始めるということ 第33話へ




特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということvol.9 

ムムム!?な個人レッスンより

泰然自若(3)


“競技会” “教師研修会”に続いて、

次は、“個人レッスン”

以下の話は、まだスタジオ勤務していた頃のこと。
ワタシおよびリーダーの生徒サンでは、ない。
んじゃ、誰の?
辺りの詳しいことは、ご想像にお任せして・・・

そのおばさまの名前を仮に、T夫人としよう。
T夫人は教室の“有名人”だった。
自称50代後半という彼女、10歳くらいは、若く見えた。
スリムなボディ。
背もスラリ。
日本人形のように楚々とした顔立ちなのに、
シャープな“ベリーショートカット”というギャップも、
かえって、好印象だ。
「ワタシ、○○先生以外、
どなたにも習ったことがありませんのよ」

アナウンサーのようなきれいな声、
なぜか、標準語だ。

ウワサによると、
ご主人は某有名大学の助教授。
で、ご主人もT夫人自らもその大学の出身。
かなりの“お金モチ”だし、おまけに頭脳の方も・・・
今で言う まさに“セレブ”よね。
ブランドもの(ミラショーン)を粋に着こなし、ニッコリ、笑顔。
いつも、幸せオーラ満開という方だった。

ワタシが“入社”したとき、すでにT夫人は、
メダルテストの最終クラスを目指して特訓中。
華麗なジャイブを担当教師でアル○○先生とともに披露し、
ダンス的にも、周りから一目置かれる存在だった。
なんでも、スタンダードは、
「もう、早くに全部とっちゃったの
(メダルテストの最終まですべて合格)
後は、ラテンだけ。
コレも、もうすぐ終わるのよ」

んじゃ、目標がなくなっちゃうじゃない?
なんて心配は無用。
彼女には、○○先生とのデモンストレーションという道が、
すでについていたからだ。

年2回のホテル・デモのうち、必ず1回は出演。
後は、
“外デモ=よそのスタジオでのデモ出演”の話があったら、
日程がOKなら出演
というような“契約”が、
○○先生と成されていたのかもしれないが。
一つのデモが終了すると、その余韻に浸る間もなく、
「次は、クイックのデモに挑戦ですのよ」
「暮れの△△教室の外デモは、チャチャチャですわ」


ソレを聞いたワタシ
「よくお金が続くなぁ」
が、正直な思いだった。
毎回、ドレスを新調。
席もワンテーブル、お買い上げだ。
先生へのお礼も、かなりの額のはず。
すごいなぁ~

だけど・・・
ソウいう意味では、T夫人が特別という訳ではなかったんだ。
彼女ほど、
テクニック・美貌・お金持ち・・
3拍子も4拍子もそろった人はまれであったにせよ、
担当教師の“看板”のように、
デモをこなす生徒サンは、少なからず、いた。
ヒト声をかければ、デモOK
パーティ券も任せてください
な、ありがたい生徒サンは、
当時、ヒトリの先生につき、3~4人は、いたものだ。
ほとんどの方が、
高年齢、若くて50代後半・・・カナ?
でも、すごくパワーがあった。
なみなみならぬプライドもあった、ように思う。
そのプライドは
「ワタシは、(ダンス)上手いのよ」
であったり
「○○先生の大ファンなのよ」
であったり
「先生にとって、ワタシが最も近い存在なのよ」
であったり・・と、さまざまだが。
ただ、その方たちが、
アル意味、スタジオの財政を支えていただろうことは、確か、だ。

さて、T夫人の“最後”のお話を。
ご主人の“研究”の都合で、
突然、東京へ転居、となってしまったのだ。
T夫人は、涙を流した。
「わたくし、○○先生しか存じませんし、
私にとっては、これ以上はない、最高の先生ですから」

ソウいう、彼女に、
○○先生の方が、
ココで辞めたらもったいないから、
ダンス、続けたら?と勧めたほどだった。
T夫人は、首を縦に振らないまま、大阪を去った。

それから1年、
東京で競技会があった時、
観戦にきていたT夫人と偶然ばったり出会ったのだ。
なんと、ご主人も一緒!?
ワタシとリーダーのことを懐かしがり、夕食に誘ってくれた。
そのとき・・・
何とも意外な事実を聞かされたのだ。

T夫人談
東京でレッスンを受けている。
お相手は、現役の若手有名選手。
そのパートナーに、主人もレッスンを受け始めたところだ。
今日はその先生方の応援に来た。

「やっぱり、東京は違いますわぁ」
とT夫人は言った。

そして、
自分が、今、どんなレッスンを受けているかの内容説明。
優れたコーチ力の自慢。
年に2回はデモをやっているとの報告。
驚くべきことに、
○○先生との“比較”も内容に盛り込まれていた。
「若い現役先生のエネルギーをいただいておりますの」
最後まで、
○○先生への感謝の言葉、は、なかった。

当時のワタシは、あきれたし、憤慨もした。
知らなきゃ良かった、そう思った。
食事に誘われて出向いたことを、後悔した。
その気持ちは、たぶん、T夫人に伝わっていただろう。
気まずい雰囲気の中、別れたことを覚えている。

しかし・・・と、ワタシは反芻する。
今なら、まったく違う気持ちで、
T夫人の話を受け止められただろう。
良い意味で興味を持ち、色々質問もしたことだろう。
「大阪と(レッスンの進め方など)どう違うのですか?」
「今、デモに出られる気持ちはどんな風ですか?」
なぜ?
ソレは、プロ教師としての

泰然自若を学ぶ勉強でもあるからだ。

そして、

大事なのは実態を知ること

ココで言う実態とは “東京と大阪の差”というよりも、
T夫人のようなポジションで、
“個人レッスンを受ける方の思い”について、だ。
T夫人は、特異な例だ・・・で、終わってしまってはいけない、
と思うからだ。
ソコには、
社交ダンスの世界のコレからの成長のためには、
見逃してはならない、大切な感情がアルように思うのだ。
どんな感情か?
「自分にとって、
価値がアルと認めるものに対しては、
すすんで、
時間やお金など・・大事なエネルギーを注ぎたい
そうしても、惜しくはナイと思う、純な感情」

エネルギーは、
姿を変え、
やがては最高のエネルギーでアル
“愛”※に変化を遂げることだって可能だと思うからだ。
だからこそ、否定的な観点ではなく、
もっと、知らなければならないと思っている。
そして、理解したいとも願っている。

目的は、レッスン・・・。

※ココで言う愛は、
男女のソレという限られたものではなく、
普遍的な愛を指す・・・念のため


      続く第1208話へ





※Real Junko Voiceはお休みです。



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