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社交ダンスを始めるということ 第15話へ




和夫真理の練習日。

和夫が少し遅れでレッスン場に到着すると、
真理はすでに練習中?・・・だが、何やら異様な雰囲気だ。

フロアーの端っこで両足をやや広げたまま、
彫像のような感じで突っ立っている、真理。

自分の右手のひらをじっと見つめている。

真理ちゃん、どうしたんだろう?
和夫がそばに寄るが、真理は気がついていない様子だ。


和夫は真理を観察。

右手のひらは、思いっきり開かれ、
しかも、指1本1本がピーンと反ったように、
伸ばされている。
よく見ると、
手のひら全体が硬直し、小刻みに震えているではないか。
そして、
それを見つめる真理の目もギラギラしている!?


「真理ちゃん、どうしたんだよ」
和夫は、声をかけた。


すると真理は、フーッと息を吐きだし、
それから和夫の方に向き直った。
「アレ?カズ、来てたの? 
全然、気がつかなかったわ」


「ナニしていたの?」


「昨日のグループレッスンで習った、アレよ。

フラストレーション
(第1145話参照)

今ね、手を使ってその感触をつかむ練習をしていたんだ」


「手で?どうやって?」


「まず、こうやって
(真理は右手を“パー”にする)
思いっきり手のひらを広げて、
指も伸ばす。
で、次に、閉じようとする。(“グー”をすること)
でも、その閉じようとする動きに抵抗するの。
『閉じたい、でも簡単には閉じられない』
って状況を自分で作るワケ」
と、言いながら真理はやってみせている。

「こうやっているとね。
分かって来たんだ、

エネルギーをためる感覚って、

こんな感じかなぁって」


和夫もマネをやっている。
「お、いいねぇ。
本当だ、わかりやすいねぇ」


「でしょ?
お腹にもグーッて力が入ってくるし。
こうやって、
閉じたくても閉じられない・・・状況のなか、
呼吸を、吸ったり、吐いたりすると
ね、さらにいい感じでしょ?」


和夫はマネをしながら、
「本当だね。
確かに。
すごく集中できる。

全身に良いパワーが

わき上がってくるような感じ
だね」


すると、真理は得意げに
「でしょ?
それに、もひとつ、今日練習していて発見したんだ」

ソウ言うと、おもむろに踊り始めた。
といっても、足は肩幅に開いたまま、動かず、
つまり、ステップは何もせず、
踊らせているのは上半身のみだ。
腕も上手く使っている。
エネルギッシュで、しかも、しなやかだ。


和夫は感じた。
「へぇ~、真理ちゃん、やるなぁ」


「ね、どう見える?」
と、真理。


「カッコいいよ。
アーム・アクションが、ハッキリ、見える。
なんだか、

腕の動きにメッセージ性があるんだ」


真理は、言った。
「これ、
何の種目をイメージして踊っているのか、わかる?」


「ルンバ・・・だろ?」


「当たり!
ルンバも、

フラストレーション・テクニックを使うと

すごく、踊れてる!
って、感じが分かる様になったんだ。

スクイーズする感じが・・・」


「スクイーズ・・・絞る(しぼる)感じだね?」
と言いながら、
和夫も真理のマネをやって見ている。

そして、
「本当だ、いい感じだ。
あ、ルンバの曲がかかったよ。
しばらく、コレで各自、踊ってみようか」


二人は、音楽の中に入って行った。

陶酔・・・


       続く第1150話へ





Real Junko Voice
(目次)

スペシャルバージョン36

~見えない未練のカタチ~ 

わーわー泣き、言いたいことをぶちまけたからだろうか。
急に、ワタシのココロは静まって行った。
自分の気持ちを冷静に見る、余裕ができたのだ。

ワタシは “その人”と再会直後の、自分の気持ちを思い出していた。
懐かしさは、感じないのに、
じっと見ていると、泣き出してしまいそうになる・・・
その意味が、突然わかったように感じたのだ。

ワタシは、“その人”のことを可哀相に思った、のだ。
いや、哀れに思ったというほうが、より近いだろう。
つまり、同情した、のだ。
何も聞かなくても「八方塞がり」であることなど、
電話を受けた段階で察しがついていた。
あぁ、まだ、この人はもがいているんだな、苦しんでいるんだな。
そう感じたワタシは、
何か“してあげる”ことはないだろうかと、考えたのだ。
元気付けてあげよう、と、思った。
力になってあげよう、と、思った。
だから、生徒サンにも声をかけて、あげた。

でも、この“してあげる”というココロの裏に、
暗くイヤな感情があるのを見抜けなかったのだ。
「ワタシは、こんなに幸せになったのよ。
大阪の一等地に、スタジオだって持てるようになったのだから。
アナタとだったら、絶対叶えられなかったことばかりよ」

ワタシは気づかない間に、
上からの目線で“その人”を見ていた・・・

以前“その人”と一緒にいたときのワタシは、
いつもコンプレックスを抱えていた。
どう転んでも“その人”には敵わない、そう思っていた。
ワタシの小さなココロは、
今回、初めて優勢に立つことに、喜びを感じてしまっていたのだ。

ワタシは、恥ずかしくなった。
それとともに、知ったのだ。
ソウいえば、ズーっとこう思っていたなぁと・・・
「もし、アナタが、どうしようもなくなったとき、
ワタシがなんとかして助けて“あげる”」
ワタシは愕然とした。
自分の中に“その人”への未練がこんなカタチで残っていたのか・・・

ソコまで、考えが及んだワタシは、
“その人”に向かって、そのマンマの気持ちを述べ、そして、謝った。

受話器の中から、ほんのり笑ったような明るい声が聴こえて来た。
「人って、本当はみんな、優しいんだな、
そう思ったよ」
それは、Y氏に対しての深い感謝の気持ちも入っている言葉だった。

最後には、
「ありがとう。お互い、がんばっていこう」
を、言い合って電話は、切れた。

お互いに、今、できる限りの気持ちを分かり合えたことに対する
温かい想いが残っていた。



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