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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということvol.7 

細井平洲のお話

ダンス実学主義の夜明け ⑧


ワタシが「実学」という言葉を知り、

自分に欠けていたのは、コレだ!と直感
以後、ダンスのレッスンに何とか取り入れたいと
お手本にしていたのは、この方の偉業・・・
まずは、

細井平洲(ほそいへいしゅう)

以前、チョコッと取り上げたこともあるんだけれどもね。
(第288話参照)

ダンスには・・・関係ないっちゃ、まったく関係ない人だけど、
ダンスに関わらず“教師”という職業の方で、
「ホソイ・ヘイシュウ? そんな人、知りません」
ではあまりにも残念なんで、コレを機会にお見知りおきを。

「江戸時代最大の教育者」との呼び声高い、
細井平洲は“折衷派(せっちゅうは)”※
として高名な“儒学(じゅがく)者”なんだ。

※いろいろな学問の良いところを取り入れていく姿勢
儒学の理論体系を極めることよりも、
教育、啓蒙(けいもう=人々に正しい知識を与え、
合理的な考え方をするように教え導くこと)
に力点をおいていた。

儒学って何か?をおおざっぱに言うと、
「儒教の理想を、
四書五経※などの経典の研究を通じてもとめる学問」
んん? 難しい?
して儒教とは
「中国の孔子に始まる教えで、
個人の道徳と社会の理想を説く」学問。
おぉ、高校の時の“漢文”よね。

※儒教で重要な経典として尊重された書物。
四書とは「大学」「論語」「孟子」「中庸」
五経とは「易経」「詩経」「書経」「礼記」「春秋」
中でも“論語(ろんご)”って有名。
高校の時習ったモンの中で唯一覚えているもの。
「義を見てせざるは、勇なきなり」 って好きな言葉
意味(眼前に正しいことを見ながら、
それが断行できないのは勇気がないというものじゃ)

ところで、
江戸時代、経済的困窮に陥っていた
“米沢藩(山形県)”を立て直したことで有名な名君

上杉鷹山(うえすぎようざん)

って、ご存知かな?

その上杉鷹山に、殿様としての心構えや、
藩を立て直す方法を教えた先生が、
細井平洲なんだな。

細井平洲は、
尾張国知多郡平島村(今の愛知県東海市)農家の生まれ。
7歳の時から寺子屋へ通って勉強をしていたんだって。
頭が良くて、口が達者・・・
なまいきな、わんばく小僧だったそう。
9歳で名古屋に出て学問を積み、
やがて江戸で、
私塾・嚶鳴館(おうめいかん)を開くに至るんだ。
彼の教えはすごく分かりやすいと評判に。
で、
平洲37歳、鷹山14歳のときに師弟関係が始まる。
上杉鷹山の大切な相談役として重用され、
藩財政の建て直しに大活躍!

平洲はまた、
武士ばかりでなく農民や町民にも学問を教え、
多くの人々から慕われた。
その後、尾張藩に返ってきて、藩校「明倫堂」を開設、
武士ばかりでなく町人も講義を聴ける日を設けた。
「人はみな学ぶことによって
正しい人の道を知ることができる」

平洲の貫き通したという、信念だ。 

なぜ、平洲なのか?
を知っていただくために、名言なりを掲げておこう。

上杉鷹山のお国入りに際して、平州が与えた言葉。
「勇なるかな 勇なるかな 
勇にあらずして何をもって行わんや」

(意味) 
藩政改革にあたって、最も必要なのは勇気です。
勇気なくしてどうして政治が施せるのでしょうか。
道を行うには、知・仁・勇の三つの徳が必要だが、
まず最初は、
「勇」をもって始めることが、大切であると諭したんだな。

常にこういう教えだった・・・

学思行 相まって 良となす 

(がくしこう あいまって りょうとなす)                  
(意味)
学び、考え、実行することの三つがそろって、
初めて学んだことになる
これぞ、実学主義だよねぇ~。

平洲の著作の1つ、
「嚶鳴館遺草(おうめいかんいそう)」より
総じて人を取りて育て申す心持ちは
菊好きの菊を作り候様には致すまじき儀にて、
百姓の菜大根を作り候様に致すべき事に御座候

(意味)
人を教えるうえでの心得としては、
菊好きの人が菊を作るようにしてはならないもので、
百姓の菜・大根を作るように心得なければならない。

どーいうことを言いたいか分かるかな?
菊好きの人が菊を作るというのは、
「花の形が見事に揃うよう、
立派な花ばかりを咲かせよう」として、
多くの枝をもぎ取り、延びすぎたところは切り揃え、
その人の好みの通りに仕立て、
咲かない花は、花壇の中に1本もないようにするもの。
育てる側の都合に合わせ、
カタにはめ込もうとするという話。

一方、百姓の菜・大根作りというものは、
そのままを活かそうとするって事ね。
畑の中には、上手に育ったもの、そうでないもの、
へぼなものもあったりして、大きさも大小、
さまざまに不揃いなものであっても、
それぞれを大事に育て、良く出来たもの、
そうでないものも、食の役に立つように育てる。
カタチの少々悪いモンが、
実はとってもおいしかったりするしね。
違いを活かし、

その人なりの良さを引き出す教育を

ってところでしょね。

最後に・・・
平洲は、第1級の学者として、
大名クラスを相手に
次元の高い話ができるばかりではなく、
一般大衆の中に自ら入って、
町人や農夫にもわかる言葉でかれらを教育できた
という。

コレが彼の教育者としてのスゴサだろうと思うんだ。


      続く第905話へ



ちょっと長くなっちゃったんで、
Real Junko Voiceはお休みします・・・。



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