fc2ブログ
初めての方へ  目次  エクササイズ&プラクティス集  

テーマ別インデックス  




特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということvol.6 

“心理的な生存”という欲求

木を見て森を見ず!? ⑦


さて、個人レッスンの時、
先生が最も大切しなければならないという

生徒さんとの

開かれたコミュニケーション


そのために必要な“意識”とはどんなモノだろう?


ジュンコ先生
「唐突だけど、
Qさんの、他者、そうね、ご主人でいいわ・・・
に対する精神的な欲求って何かしら?」



「主人に対する精神的欲求? 
え、え、ホント、唐突過ぎて、
ナンと答えてよいか分からないのですが」


ジュンコ先生
「ジャァ、話を替えて。
Qさんが、急にカラダの不調を感じて、
不安な思いで病院に行ったとするの。 
担当のお医者さんは、
Qサンの話を“上の空”でしか聞かず、
ろくに診察もせずに、
『コレは風邪の初期症状だから、薬を出しましょう』
で、終わっちゃったらどう思う?」



「ソレはひどい!
そんなお医者さんのところへは
二度と行きたくありません」


ジュンコ先生
「でも、本当に風邪の初期症状で、
そのお薬で治っちゃったとしても?」



「うーん、気持ち的に満たされません。
コッチは不安な思いで行ったわけでしょ?
話も聴かないなんて、
傲慢でヤなお医者さんです」


ジュンコ先生
「つまり、Qさんのお医者さん対する
精神的な欲求が、
満たされていないってわけよね?」



「ソウいうことです。
あ、精神的な欲求って、分かってきました。
相手に“理解されたい”って気持ちですね」


ジュンコ先生
「モチロン、ご主人にもあるわよね?」



「ハイ、そりゃぁ。
一番、自分のことを理解して欲しいって思っています。
理解されたいし、愛されたいし、必要とされたいし・・
アレ、欲張りでしょうか(笑)」


ジュンコ先生
「いいえ、みんなソウ、同じだと思うのよ。
ある思想家が言っていたわ。
人間にとって“生存”の次に大きな欲求は、

“心理的な生存”だって。

ソレは、自分が相手に
“理解され、認められ、愛され、必要とされ、
感謝されること”




「とても、分かります。
相手に理解された、
分かってもらえたってスゴクうれしいですものね。
私なんか、カラダの生存より、
ソッチの(心理的)生存の欲求のほうが
大きいかもしれません」


ジュンコ先生
「ひょっとしたら、多くの人がソウかもね。
ダンスを学びに来る生徒サンだってソレは同じこと。
だから、とっても重要なのよ、
(ダンスの)コーチャーが
生徒サンを理解するよう努めるということが・・・」

「ダンスは、
カラダのパフォーマンスだけではなく
非常に、

心理的な作業でもあるからね、

ものすごくデリケートなモノだと思うわけ。
生徒さんは、問いかけ、そして、訴えてくるわ。
『どうしたら、上手く踊れるようになるのでしょうか?』 
『どうして、上手く行かないのでしょうか?』
『私のどこがおかしいのでしょうか?』
『私は、間違っているのでしょうか?』
そんな生徒さんに対して、
自分の知っている範囲の“病名”を言い渡し、
薬や注射で表面的な治療にとどまる・・・
そんなレッスンは危険だって思うの」

「だって、ダンスのレッスンって、
その人の改善するべき点を見抜くものでもあるから、
下手したら、
“イチャモン”“難癖””いいがかり“をつけているだけに
なっちゃうことにもなるわ。
『あなた、こんな変な踊りをしていますよ』 なんてね」



「でも、コーチャーがまだレベル的に低くて、
アル域にまで達していなかったら、
生徒サンを理解するって、無理じゃありませんか?
テクニック的にも、
教えきれないこともアルように思うのです。
だから、仕方なく、表面的な知識だけで、
その場しのぎのレッスンをしてしまう・・・
コレ、仕方のないことだと思うのですが」


ジュンコ先生
「さっきのお医者さんの話だけど、
Qさんは、病気が治ったけれども、
気持ち的に満たされていなかったわけでしょ?」



「ソウです」


ジュンコ先生
「コーチャーの場合も、モチロン、
自らのダンステクニックレベルは高い方が良いけれど、
ソレだけではない。
問題なのは、
コーチャー本人のテクニックレベルが高くても、
生徒さんとのコミュニケーションが上手くいかなければ、
何もならないってこと」



「ジャァ、どうしたら・・・」


ジュンコ先生
「いい?

人を理解するって、

才能とか性格によるものではなくて、

努力すること
なのよ」



「ということは、
コーチャーが生徒のことを理解するというのは、
ダンスのテクニックレベルが高いからではなく、
別次元の人間的な努力だと?」


ジュンコ先生
「そういうことなのよ!
今もなお、ワタシ自身も続けているわ。
頭打ちしながらね」



「え~先生でもまだ努力しないと
無理なものなのですか?」


ジュンコ先生
「モチロンよ。
主人への理解もまだまだなのに(笑)
一緒に暮らしてもいない、
他者への理解は非常に困難よ。
特に新しい生徒サンとは時間が掛かるわね、
先生と生徒として、
また人と人として理解しあうまで・・・
忍耐と努力の積み重ねね。」


     続く 第846話へ





Real Junko Voice

「もう一つの学連物語」
vol.34 ~ ラスト・コール ~
 
1回目の時とは違い、電話はあっけなくつながりました。

「ゴメンね、たびたび」
ワタシが言います。

すると、 
「いや・・・」
受話器の向こうから、
昨日話したバカリなのに、一体ナニだろう?
少しピリッとした気配が伝わってきます。

でも、ワタシは動揺しません。
気持ちは落ち着いていました。

昨夜の電話で伝えたいことがあったんだけど、
彼女ができたと聞いて舞い上がってしまい、
上手く話せなかったと、正直に言いました。 
その人の構える体勢がくつろぐのを感じます。

ワタシは、一目散に感謝と愛の言葉を口にするのをやめ、
少しクッションを置こうと思い、“その人”の家族の近況を伺いました。
かつて、父、母、兄、姉と呼んだ方々のことです。
“その人”は、「元気にしているよ」
というような簡単な言葉で終わりにせず、
律儀に一人ずつについての様子を教えてくれました。

ソレを聞きながらワタシは、
その一人ひとりに心の中でありがとうを言いました。
胸が熱くなりました。
“その人”へとは全然違う“愛”がまだあるのだと感じました。

一通り、自分の家族の報告が終わると、
“その人”はなんと、
ワタシの家族についても同じように尋ねてくれたのです。
うれしい気持ちになりました。
温かい空気が通い合います。

私も家族についてコメントした後、驚くべきことが起こりました。
“その人”がワタシの両親に向けて、
「ありがとう」の気持ちを言い始めたのです。
まだ、“息子”であった頃には聞き出せなかった言葉です。
そしてその最後に、
「あなたにも改めて、本当に今までありがとう・・・」
と言う思いを添えてくれました。

こらえていた涙があふれます。
「なに?泣いてるの?」
明るい声が受話器から聞こえてきます。

とても自然に“決行”することができました。
“感謝と変わらぬ愛”を素直に口にすることができたのです。
「彼女のことも含めて幸せを祈っている」

そして “予定外”の言葉も。
「アナタが残してくれた良いダンスを守って、がんばっていくね」

丁寧に受話器を置きました。


本当の意味での決別でした。



いつも 応援クリック ありがとうございます。
      ↓ ↓ ↓
   
人気blogランキングへ
とても励みになっています。(ジュンコ)