初めての方へ 目次 エクササイズ&プラクティス集
テーマ別インデックス
特別シリーズ
社交ダンスを教えるということvol.6
「気になる、気になる」がいっぱい
のレッスン
木を見て森を見ず!? ①
「さぁ、ナニする?」
おもむろにコーチャーは口を開いた。
右手には煎れたてのアメリカンが入った白いカップ。
こじんまりしたスタジオ中にかぐわしい香りが漂っている。
ふと時計を見るや、
お、まだ午前8時を回ったばかりだよ。
はぁ~カラダ、動くかなぁ?
てな、私の心配をヨソに、
リーダーは用意しておいた言葉を礼儀正しく送り出す。
「スロー・フォックストロット、お願いします」
「ヨシ、思い切って踊ってみろ」
音楽スタートだ。
今日は、
とあるコーチャーのレッスン
を受けに大阪の郊外に来ているんよね。
そこでの、朝一(あさいち)レッスン。
有名コーチャーで生徒が多く、
この時間しか予約が取れなかったからなんだけど、
それにしても、
アップもろくに出来ていないカラダで、
「ヨシ、思い切って踊って・・・」
は、かなりキツイ。
フェザーステップからバウンス・フォールアウェイ・
ウィズ・ウィーブ・エンディング・・
一応、自分たちのルーティンをやっては見せるが、
全然、気分が乗らないし、
ヤッパカラダもまだ、寝ているよ。
と、コーチャーの声が飛ぶ。
「ちょっと、ベーシックを見せてごらん」
フェザーステップ・リバースターン・スリーステップ・・
リバース・ウェーブの4~6歩・バックフェザーに差し掛かった頃、
また、コーチャーの声
「女子の、
ヒザの使い方が気になるな。
カタイんだよ。
もっと、使わなきゃ。
カタンカタンしてるじゃないか」
ヤバイ、
ソウ思った私は、ヒザを意識してぐっと曲げてみる。
すると、すかさず、
「コラ、腰を落とせ、とは言ってないぞ」
の声。
私はあわてて腰を上げようと試みるが、
上手くはいかない。
ツカツカと近寄ってきたコーチャー、
リーダーから私を引き離し・・・
自分が組んで教えようという算段だろう。
まごつくワタシとホールドし、ベーシックを踊り始める。
必死でついていく私。
リバース・ターンに入ろうとした途端、
「あ」
と、小さく声を上げる、コーチャー。
どうも、ワタシがヒールターンで男性の動きを妨げる
“ナニカ”をしでかしたようなのだ。
果たして彼は言う。
「うーん、
腰元が気になるなぁ。
股関節を柔らかく使って下がってくれないと、
男性の前進を止めてしまうよ」
「頭も気になる。
もっと、左に・・・そう。
男性の方に入ったらダメだ」
リバース・ウェーブに入ると、
「ヒザを使って。
ドンドン、出てこなくちゃ」
しかし、途中で
「やっぱり、
腰が抜けているのが気になるなぁ」
と、ホールドを解き、私の骨盤を直し始める。
続いて、ヒザの使い方も。
「ロウァは足首より前に、
膝頭が出るくらいにしないとダメ。
ウーン、違う。
足首の硬いのも気になるよね」
「スタンダードは、よっぽど女性がひどくない限り、
男性ばっかりが直される」
と言う世の定説とは異なり、
結局、レッスンの前半、
コーチャーはほぼ私にかかりきりだったんよね。
それにしてもこんなトホホなレッスンは、心身ともに辛く、
いっぱい直してもらった割には、
実り(みのり)は少ないモンなんだ。
後半はリーダーもナンやカンやと直されていたけれど、
コーチャーの「気になる」箇所が圧倒的に多かったのは、
この、ワタシ。
まぁ、よっぽどひどかったってことでしょ・・・
と、落ち込んでいた、競技選手現役の頃、
私は、こういうレッスンを幾度となく受けていたんだ。
こういうって、どういうレッスンかと言うと、
「コーチャーの『気になる』
ところの指摘を受け、
ソレを直していくという形のレッスン」
自分で言うのもナンやけど、
かなりまじめぇに努力し取り組んできた方だと思うのだが、
事態は一向に良くならなかったんだな。
つまり、ダンスが上手くはならなかったんだ。
一体ナゼなんでしょ?
の、理由が実はアルという。
現ジュンコ先生は言う。
「モチロン、最終的には、
生徒側の努力次第ってところも大きいのだけれど、
このカタチのレッスンには“問題”があるわ。
生徒は、
上手くはならないでしょうね・・・」
の衝撃発言。
さて?
続く 第840話へ
Real Junko Voice
「もう一つの学連物語」
vol.28 ~ しなくても良い体験 ~
話は、“再試練のための電話”を“その人”にかけたところに、
戻ってきました。
「オレには、決別の後、
彼女とは絶対連絡を取るなってアドバイスをくれたのに、
当時のジュンコはどうして“その人”に電話をしたの?
しかも、1度ならず2度までも」
ヒデ君の質問です。
ワタシは答えます。
「かつてワタシが体験したから、アドバイスできたのよ。
自信を持って、ね」
コレだけではなく、
現在にまで及ぶヒデ君への助言・苦言・提言はみな、
ワタシの過去の体験から学んだものなのです。
しかも、その体験のほとんどが“失敗”に類するものではありますが。
ヒデ君、自分なりの納得を得たようです。
「ソウか・・・ジュンコ先生が、先に体験してくれているから、
オレは道を外さずに済んだんやな。
そういや、アレ以後もズーッと、せんでもエエ(しなくてもいい)
体験はみんな省いてもらっている気がするわ」
質問が続きます。
「当時のジュンコが今のジュンコ先生に一瞬チェンジできていたら、
“その人”に電話をかけることもなかったんヤロ?
それなら、“その人”に彼女ができたことも知らずに済み、
傷つくこともなかったわけで・・・」
ワタシは答えます。
「いや、電話はしたと思う。
ただし1回だけ。
しかも、その1回で、ココロからの感謝を告げ、
彼女ができたことも祝福したと思う」
ヒデ君は不思議そうな顔をして聞いています。
「電話をかけるという行動が悪かったわけではなくて、
動機が悪かったのよ。
何のために電話をするのか、をちゃんと考え、整理することなく、
気持ちが少し立ち直ってきたから、マァ、試しにかけてみよう・・・
そんな安易な気持ちでダイアルした、
そこが問題だったと、気が付いたのよ。
“その人”に心からの感謝と、変わらぬ愛を相手に伝えるには、
時期早尚(じきそうしょう)※、未熟だったというわけね」
うなずきながらも、ヒデ君は、なお食い下がってきます。
「そしたら、ジックリ考えて、
相手のことをすべて受け入れる覚悟ができていたら、
オレも彼女の連絡に応じて良かったというわけ?」
ワタシは首を横に振ります。
「だって、必要、なかったでしょ?
あの時、彼女の愚痴を聞いてあげて、
励ましてあげて・・・としても、元に戻る気はなかったんでしょ?
それなら、切ってあげるほうが、良い。
そっちの方が、中途半端に相手と向き合うよりもずっと、
“愛の仕事”だと思う」
ヒデ君、納得です。
「でもね、ワタシは電話をかける必要があったのよ」
ワタシは静かに言いました。
「試練の内容が、ヒデ君とは違うから。
ヒデ君の試練は、
彼女からの依存心に対してNOと言う強さを持つこと、だったと思う。
ワタシの試練は、もっと別にあったのよ」
※あることを行うにはまだ早すぎること
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社交ダンスを教えるということvol.6
「気になる、気になる」がいっぱい
のレッスン
木を見て森を見ず!? ①
「さぁ、ナニする?」
おもむろにコーチャーは口を開いた。
右手には煎れたてのアメリカンが入った白いカップ。
こじんまりしたスタジオ中にかぐわしい香りが漂っている。
ふと時計を見るや、
お、まだ午前8時を回ったばかりだよ。
はぁ~カラダ、動くかなぁ?
てな、私の心配をヨソに、
リーダーは用意しておいた言葉を礼儀正しく送り出す。
「スロー・フォックストロット、お願いします」
「ヨシ、思い切って踊ってみろ」
音楽スタートだ。
今日は、
とあるコーチャーのレッスン
を受けに大阪の郊外に来ているんよね。
そこでの、朝一(あさいち)レッスン。
有名コーチャーで生徒が多く、
この時間しか予約が取れなかったからなんだけど、
それにしても、
アップもろくに出来ていないカラダで、
「ヨシ、思い切って踊って・・・」
は、かなりキツイ。
フェザーステップからバウンス・フォールアウェイ・
ウィズ・ウィーブ・エンディング・・
一応、自分たちのルーティンをやっては見せるが、
全然、気分が乗らないし、
ヤッパカラダもまだ、寝ているよ。
と、コーチャーの声が飛ぶ。
「ちょっと、ベーシックを見せてごらん」
フェザーステップ・リバースターン・スリーステップ・・
リバース・ウェーブの4~6歩・バックフェザーに差し掛かった頃、
また、コーチャーの声
「女子の、
ヒザの使い方が気になるな。
カタイんだよ。
もっと、使わなきゃ。
カタンカタンしてるじゃないか」
ヤバイ、
ソウ思った私は、ヒザを意識してぐっと曲げてみる。
すると、すかさず、
「コラ、腰を落とせ、とは言ってないぞ」
の声。
私はあわてて腰を上げようと試みるが、
上手くはいかない。
ツカツカと近寄ってきたコーチャー、
リーダーから私を引き離し・・・
自分が組んで教えようという算段だろう。
まごつくワタシとホールドし、ベーシックを踊り始める。
必死でついていく私。
リバース・ターンに入ろうとした途端、
「あ」
と、小さく声を上げる、コーチャー。
どうも、ワタシがヒールターンで男性の動きを妨げる
“ナニカ”をしでかしたようなのだ。
果たして彼は言う。
「うーん、
腰元が気になるなぁ。
股関節を柔らかく使って下がってくれないと、
男性の前進を止めてしまうよ」
「頭も気になる。
もっと、左に・・・そう。
男性の方に入ったらダメだ」
リバース・ウェーブに入ると、
「ヒザを使って。
ドンドン、出てこなくちゃ」
しかし、途中で
「やっぱり、
腰が抜けているのが気になるなぁ」
と、ホールドを解き、私の骨盤を直し始める。
続いて、ヒザの使い方も。
「ロウァは足首より前に、
膝頭が出るくらいにしないとダメ。
ウーン、違う。
足首の硬いのも気になるよね」
「スタンダードは、よっぽど女性がひどくない限り、
男性ばっかりが直される」
と言う世の定説とは異なり、
結局、レッスンの前半、
コーチャーはほぼ私にかかりきりだったんよね。
それにしてもこんなトホホなレッスンは、心身ともに辛く、
いっぱい直してもらった割には、
実り(みのり)は少ないモンなんだ。
後半はリーダーもナンやカンやと直されていたけれど、
コーチャーの「気になる」箇所が圧倒的に多かったのは、
この、ワタシ。
まぁ、よっぽどひどかったってことでしょ・・・
と、落ち込んでいた、競技選手現役の頃、
私は、こういうレッスンを幾度となく受けていたんだ。
こういうって、どういうレッスンかと言うと、
「コーチャーの『気になる』
ところの指摘を受け、
ソレを直していくという形のレッスン」
自分で言うのもナンやけど、
かなりまじめぇに努力し取り組んできた方だと思うのだが、
事態は一向に良くならなかったんだな。
つまり、ダンスが上手くはならなかったんだ。
一体ナゼなんでしょ?
の、理由が実はアルという。
現ジュンコ先生は言う。
「モチロン、最終的には、
生徒側の努力次第ってところも大きいのだけれど、
このカタチのレッスンには“問題”があるわ。
生徒は、
上手くはならないでしょうね・・・」
の衝撃発言。
さて?
続く 第840話へ
Real Junko Voice
「もう一つの学連物語」
vol.28 ~ しなくても良い体験 ~
話は、“再試練のための電話”を“その人”にかけたところに、
戻ってきました。
「オレには、決別の後、
彼女とは絶対連絡を取るなってアドバイスをくれたのに、
当時のジュンコはどうして“その人”に電話をしたの?
しかも、1度ならず2度までも」
ヒデ君の質問です。
ワタシは答えます。
「かつてワタシが体験したから、アドバイスできたのよ。
自信を持って、ね」
コレだけではなく、
現在にまで及ぶヒデ君への助言・苦言・提言はみな、
ワタシの過去の体験から学んだものなのです。
しかも、その体験のほとんどが“失敗”に類するものではありますが。
ヒデ君、自分なりの納得を得たようです。
「ソウか・・・ジュンコ先生が、先に体験してくれているから、
オレは道を外さずに済んだんやな。
そういや、アレ以後もズーッと、せんでもエエ(しなくてもいい)
体験はみんな省いてもらっている気がするわ」
質問が続きます。
「当時のジュンコが今のジュンコ先生に一瞬チェンジできていたら、
“その人”に電話をかけることもなかったんヤロ?
それなら、“その人”に彼女ができたことも知らずに済み、
傷つくこともなかったわけで・・・」
ワタシは答えます。
「いや、電話はしたと思う。
ただし1回だけ。
しかも、その1回で、ココロからの感謝を告げ、
彼女ができたことも祝福したと思う」
ヒデ君は不思議そうな顔をして聞いています。
「電話をかけるという行動が悪かったわけではなくて、
動機が悪かったのよ。
何のために電話をするのか、をちゃんと考え、整理することなく、
気持ちが少し立ち直ってきたから、マァ、試しにかけてみよう・・・
そんな安易な気持ちでダイアルした、
そこが問題だったと、気が付いたのよ。
“その人”に心からの感謝と、変わらぬ愛を相手に伝えるには、
時期早尚(じきそうしょう)※、未熟だったというわけね」
うなずきながらも、ヒデ君は、なお食い下がってきます。
「そしたら、ジックリ考えて、
相手のことをすべて受け入れる覚悟ができていたら、
オレも彼女の連絡に応じて良かったというわけ?」
ワタシは首を横に振ります。
「だって、必要、なかったでしょ?
あの時、彼女の愚痴を聞いてあげて、
励ましてあげて・・・としても、元に戻る気はなかったんでしょ?
それなら、切ってあげるほうが、良い。
そっちの方が、中途半端に相手と向き合うよりもずっと、
“愛の仕事”だと思う」
ヒデ君、納得です。
「でもね、ワタシは電話をかける必要があったのよ」
ワタシは静かに言いました。
「試練の内容が、ヒデ君とは違うから。
ヒデ君の試練は、
彼女からの依存心に対してNOと言う強さを持つこと、だったと思う。
ワタシの試練は、もっと別にあったのよ」
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