2008.09.24 (第610話)社交ダンスを教えるということ vol.5 優先順位⑫
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特別シリーズ
社交ダンスを教えるということvol.5
徹底!優先順位
“内側から外側へ”
優先順位 ⑫
ベテラン花村さんご夫妻の
「ワルツを全くの基礎からやり直したい」
というご要望をかなえるべく・・・
レッスンがスタートだ。
まず、ジュンコ先生が問う。
「ワルツの基礎と、
ひと口に言っても
色んな観点からの基礎があるわね。
スイング?スウェイ?
その前に、立ち方・・・ポイズ?
いや、ホールドかな?
もっと具体的に、
ナチュラルターンとリバースターン?
コレ、みんな、基礎になるんだけど・・
では、お二人に聞いてみましょう。
ご自分たちにとって、
今、どのような基礎が必要
だと思います?」
「ソウですねぇ」
二人はしばらく考えていたが
ご主人がこんなことを言い出したんだ。
「音楽・・・ですね。
ワルツの
音楽を表現できる動き
それが、
一番欠けているように思います」
奥さんは、
「わたしは、
無駄な力の抜けた
気持ちの良い
ワルツを踊ること・・・
主人が、私に
『腕や肩にすごく力が入ってくる』
って言うんで」
と、苦笑。
すると、ご主人
「(奥さんの)右のホールドが
だんだんキツクなってくるんですわ。
背中がスーッと
柔らかく動いてくれるときもあるんですが」
そして、
笑いながらこう付け足したんだ。
「僕のせいかもしれませんが・・・」
ジュンコ先生は、
フンフンと聞きながら、
アタマの中で整理していく。
『ご主人は、今、
自分に必要な基礎は
“音楽表現”と考え
奥さんは、
“無駄な力の抜けた運動”を必要としている。
フムフム・・・コレは両方とも、
つながっているぞ。
つまりは、
無駄な力が抜けたら、音楽表現が可能。
また
音楽表現ができているときは、
無駄なリキミは入らない
教えるべきは・・・
おそらく、アレだろう』
と、目星をつけてから、
実際の“診断” にうつることに。
音楽をかけ、
「では、様子をみてみましょうか。
一度踊ってみてくださいね」
二人は、スタンバイに入った・・・
さて、ここからが重要
先生としてのすごーく大切な
チャレンジが待っているよ。
ある意味、
ズーッと見慣れた感のある、
お二人のダンスを、
全く新しい目で
見直さなければいけないんだ。
特に、今回のような、
「もう一度基礎からやりなおそう」
のレッスンの時はなおさらだけどね。
最初に踊ってもらう、
いわゆる“ダンス診断”のときに
「この人のダンスは・・・
確かコンナ感じだったな」
てな、
先入観を持たない
ように意識するってことは、
先生として重要なことなんだ。
ダンスのレッスンは気をつけないと、
すぐにマンネリズムを生んでしまうんだな。
特におなじみの生徒さんになればなるほど、
どうしてもいつもと同じような目で見てしまう。
だから、いつもこう心がけているんだ。
「今の、あるがままのダンスをみる」
「で、心に引っかかってくるものに
注意をはらう」
要は、生徒さんのダンス診断にも、
先生側の正しいリラックス
(第582話参照)
が必要ってこと。
まぁ、新米先生・ジュンコの頃には
とてもじゃないけどできなかった手法ではあるが。
果たして、花村さんご夫妻が演舞の間に、
“情報”は集まった。
「お二人とも、ボディではなく
ほとんど“脚・足”のみを使って踊っている。
だから、
インナーマッスルのネットワークが働かず、
ホールドと脚部の動きがリンク(つながること)
していない」
「ボディの内側が動かないと
“脚・足”のダンスによる音楽表現は無理」
「奥さんも、
脚でしっかり踏ん張ってのダンスなため、
どうしてもリキミが出る。
痛めている腰にも良くないだろう」
結果
「インナーマッスルを使って、
カラダを引き上げ、
かつ、
カラダの内側から
ワルツを踊る・・・
これを徹底レッスンだ!」
と、最初に
目星を付けたとおりのレッスンを決定。
って言ってもね、
“インナーマッスルを使うこと”
“カラダの内側から踊ること”って、
競技ダンス時代の
“カラダの外側のみを教授する”
先生から
“カラダの内側のことを教える”
ことができる先生への進化過程で、
花村さんご夫妻にも
(過去の自分たちの
レッスンを是正するかのように、
訂正をしながら)
ずいぶんレッスンしてきたことでは
あるんだけどね。
なぜに、今なお、
「ボディではなく “脚・足”を使う・脚で
しっかり踏ん張ってのダンス」を
お二人がしてしまうのかって言うと、
コレマタ、
教授側のミス・コーチがどうしても否めないんだ。
どういうことかというと、
先生である私の方に迷いがあったってこと。
迷いがあったから、
徹底できなかったってこと。
それで、結果、
花村さんご夫妻のダンスの進化が
遅くなったと思うんだな。
チョイ詳しく説明しよう。
例えば
「ホールドの力を抜くように」
と教えるときも、今なら、
徹底してソウ(力を抜かせることを)させる。
それで、ちゃんとしたホールドが
形成されていくってコトを知っているから。
足の力も同様だ。
「ヒザは勝手に曲がるから
曲げようとしなくて良い」
「太ももやふくらはぎは
使わなくって大丈夫」
てな感じで、“みぞおちから脚”の
ぶら下げ感覚を徹底させるだろう。
なぜなら、
カラダの習慣を変えるときは、
ホンマ、マジで、徹底して、
やらないとダメなんだ。
心に迷いが生じると
途端にカラダも迷ってしまう
んだよな。
で、
「やっぱり、
少しくらいは脚に力入れて踏ん張っておかないと、
ヤバいんじゃないの?」
って風に、チョイとでも脚や
アウターマッスルに頼ろうとした時点で、
インナーマッスルが“おさぼり”を始めちゃう。
だから、やっぱり、
手・脚・アウターマッスル主体の
ダンスになっちゃうんだな。
カラダの使い方の優先順位は
“内側から外側へ”
コレをとにかく
徹底すれば
確実にカラダは変わる
いや、徹底しないと、変わらないのだ。
ってコトを今は、知っているんだな。
必要な知識と多くの体験を通して・・・。
ジュンコ先生は二人を呼んで、
上記“情報”を伝え、
レッスンの方針も明らかにした。
「インナーマッスルを使って、
カラダを引き上げ、
かつ、
カラダの内側からワルツを踊りましょう」
なぜ、脚を使わないほうがいいのかの
理由として
インナーマッスル(今回は大腰筋)の
簡単な説明をし、
二人の納得性を高めてから、
みぞおち辺りを意識してもらう。
その辺りが動く体感をある程度習得後
「では、実際のワルツの踊りの中で、
カラダの中にある脚の付け根から
動かした感覚を練習して見ましょう」
ってコトで、登場したのが、
本場の社交ダンスである
クォーターターンズ・ワルツだ。
(第221話参照)
先生と奥さん、
ご主人それぞれが踊り、
感覚をカラダで感じてもらってから、
二人で踊る用に指示。
もちろん、
ミュージックはずっとかけている。
で、また、
どのようなカラダの動きをしているか、
先生のカラダ(みぞおち辺り)に触れてもらう。
2つのスイング(縦と横)の起こし方など、
必要な部分を口頭で説明してから、
また、実践を繰り返した。
結果、お二人からコンナ声が・・・
「コンナに、カラダの内側が
動いてるとは思いませんでした」
「踊ってる!ッテ感じがすごくします」
「音楽が、よく聴こえます」
「カラダの内側に集中するので、
無駄な力が抜けますね」
「色んなステップしなくても、
コレ(クォーターターンズ)だけで
十分楽しめます」
成功だ。
最後に次回予告。
「手に関する筋肉連動で、
(インナーマッスルの菱形筋)
踊ってみましょう」
さぁ、見学者・ジュンコさん、
参考になったかな?
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徹底!優先順位
“内側から外側へ”
優先順位 ⑫
ベテラン花村さんご夫妻の
「ワルツを全くの基礎からやり直したい」
というご要望をかなえるべく・・・
レッスンがスタートだ。
まず、ジュンコ先生が問う。
「ワルツの基礎と、
ひと口に言っても
色んな観点からの基礎があるわね。
スイング?スウェイ?
その前に、立ち方・・・ポイズ?
いや、ホールドかな?
もっと具体的に、
ナチュラルターンとリバースターン?
コレ、みんな、基礎になるんだけど・・
では、お二人に聞いてみましょう。
ご自分たちにとって、
今、どのような基礎が必要
だと思います?」
「ソウですねぇ」
二人はしばらく考えていたが
ご主人がこんなことを言い出したんだ。
「音楽・・・ですね。
ワルツの
音楽を表現できる動き
それが、
一番欠けているように思います」
奥さんは、
「わたしは、
無駄な力の抜けた
気持ちの良い
ワルツを踊ること・・・
主人が、私に
『腕や肩にすごく力が入ってくる』
って言うんで」
と、苦笑。
すると、ご主人
「(奥さんの)右のホールドが
だんだんキツクなってくるんですわ。
背中がスーッと
柔らかく動いてくれるときもあるんですが」
そして、
笑いながらこう付け足したんだ。
「僕のせいかもしれませんが・・・」
ジュンコ先生は、
フンフンと聞きながら、
アタマの中で整理していく。
『ご主人は、今、
自分に必要な基礎は
“音楽表現”と考え
奥さんは、
“無駄な力の抜けた運動”を必要としている。
フムフム・・・コレは両方とも、
つながっているぞ。
つまりは、
無駄な力が抜けたら、音楽表現が可能。
また
音楽表現ができているときは、
無駄なリキミは入らない
教えるべきは・・・
おそらく、アレだろう』
と、目星をつけてから、
実際の“診断” にうつることに。
音楽をかけ、
「では、様子をみてみましょうか。
一度踊ってみてくださいね」
二人は、スタンバイに入った・・・
さて、ここからが重要
先生としてのすごーく大切な
チャレンジが待っているよ。
ある意味、
ズーッと見慣れた感のある、
お二人のダンスを、
全く新しい目で
見直さなければいけないんだ。
特に、今回のような、
「もう一度基礎からやりなおそう」
のレッスンの時はなおさらだけどね。
最初に踊ってもらう、
いわゆる“ダンス診断”のときに
「この人のダンスは・・・
確かコンナ感じだったな」
てな、
先入観を持たない
ように意識するってことは、
先生として重要なことなんだ。
ダンスのレッスンは気をつけないと、
すぐにマンネリズムを生んでしまうんだな。
特におなじみの生徒さんになればなるほど、
どうしてもいつもと同じような目で見てしまう。
だから、いつもこう心がけているんだ。
「今の、あるがままのダンスをみる」
「で、心に引っかかってくるものに
注意をはらう」
要は、生徒さんのダンス診断にも、
先生側の正しいリラックス
(第582話参照)
が必要ってこと。
まぁ、新米先生・ジュンコの頃には
とてもじゃないけどできなかった手法ではあるが。
果たして、花村さんご夫妻が演舞の間に、
“情報”は集まった。
「お二人とも、ボディではなく
ほとんど“脚・足”のみを使って踊っている。
だから、
インナーマッスルのネットワークが働かず、
ホールドと脚部の動きがリンク(つながること)
していない」
「ボディの内側が動かないと
“脚・足”のダンスによる音楽表現は無理」
「奥さんも、
脚でしっかり踏ん張ってのダンスなため、
どうしてもリキミが出る。
痛めている腰にも良くないだろう」
結果
「インナーマッスルを使って、
カラダを引き上げ、
かつ、
カラダの内側から
ワルツを踊る・・・
これを徹底レッスンだ!」
と、最初に
目星を付けたとおりのレッスンを決定。
って言ってもね、
“インナーマッスルを使うこと”
“カラダの内側から踊ること”って、
競技ダンス時代の
“カラダの外側のみを教授する”
先生から
“カラダの内側のことを教える”
ことができる先生への進化過程で、
花村さんご夫妻にも
(過去の自分たちの
レッスンを是正するかのように、
訂正をしながら)
ずいぶんレッスンしてきたことでは
あるんだけどね。
なぜに、今なお、
「ボディではなく “脚・足”を使う・脚で
しっかり踏ん張ってのダンス」を
お二人がしてしまうのかって言うと、
コレマタ、
教授側のミス・コーチがどうしても否めないんだ。
どういうことかというと、
先生である私の方に迷いがあったってこと。
迷いがあったから、
徹底できなかったってこと。
それで、結果、
花村さんご夫妻のダンスの進化が
遅くなったと思うんだな。
チョイ詳しく説明しよう。
例えば
「ホールドの力を抜くように」
と教えるときも、今なら、
徹底してソウ(力を抜かせることを)させる。
それで、ちゃんとしたホールドが
形成されていくってコトを知っているから。
足の力も同様だ。
「ヒザは勝手に曲がるから
曲げようとしなくて良い」
「太ももやふくらはぎは
使わなくって大丈夫」
てな感じで、“みぞおちから脚”の
ぶら下げ感覚を徹底させるだろう。
なぜなら、
カラダの習慣を変えるときは、
ホンマ、マジで、徹底して、
やらないとダメなんだ。
心に迷いが生じると
途端にカラダも迷ってしまう
んだよな。
で、
「やっぱり、
少しくらいは脚に力入れて踏ん張っておかないと、
ヤバいんじゃないの?」
って風に、チョイとでも脚や
アウターマッスルに頼ろうとした時点で、
インナーマッスルが“おさぼり”を始めちゃう。
だから、やっぱり、
手・脚・アウターマッスル主体の
ダンスになっちゃうんだな。
カラダの使い方の優先順位は
“内側から外側へ”
コレをとにかく
徹底すれば
確実にカラダは変わる
いや、徹底しないと、変わらないのだ。
ってコトを今は、知っているんだな。
必要な知識と多くの体験を通して・・・。
ジュンコ先生は二人を呼んで、
上記“情報”を伝え、
レッスンの方針も明らかにした。
「インナーマッスルを使って、
カラダを引き上げ、
かつ、
カラダの内側からワルツを踊りましょう」
なぜ、脚を使わないほうがいいのかの
理由として
インナーマッスル(今回は大腰筋)の
簡単な説明をし、
二人の納得性を高めてから、
みぞおち辺りを意識してもらう。
その辺りが動く体感をある程度習得後
「では、実際のワルツの踊りの中で、
カラダの中にある脚の付け根から
動かした感覚を練習して見ましょう」
ってコトで、登場したのが、
本場の社交ダンスである
クォーターターンズ・ワルツだ。
(第221話参照)
先生と奥さん、
ご主人それぞれが踊り、
感覚をカラダで感じてもらってから、
二人で踊る用に指示。
もちろん、
ミュージックはずっとかけている。
で、また、
どのようなカラダの動きをしているか、
先生のカラダ(みぞおち辺り)に触れてもらう。
2つのスイング(縦と横)の起こし方など、
必要な部分を口頭で説明してから、
また、実践を繰り返した。
結果、お二人からコンナ声が・・・
「コンナに、カラダの内側が
動いてるとは思いませんでした」
「踊ってる!ッテ感じがすごくします」
「音楽が、よく聴こえます」
「カラダの内側に集中するので、
無駄な力が抜けますね」
「色んなステップしなくても、
コレ(クォーターターンズ)だけで
十分楽しめます」
成功だ。
最後に次回予告。
「手に関する筋肉連動で、
(インナーマッスルの菱形筋)
踊ってみましょう」
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