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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということ vol.4 

先生と生徒の関係のレッスン

~カップルレッスン修行 ⑪~



以下は、

片方のみが自立

もう片方は依存しているタイプ


このタイプのカップルについては、
2つのパターンを見てみよう。

まず1つ目

次郎奈々子(どちらも仮名)は、
次郎が50歳前半、
奈々子が40歳後半のカップル。
次郎が主催し講師を勤めるアマチュアサークルに、
奈々子が入ってきたのが1年前、
まだ初心者だった奈々子を次郎が見初め、
カップルになった。


奈々子
「最初は、
次郎さんが私の“先生”でしたが、
二人でもっと上手くなりたいということで
プロの先生に
レッスンをお願いすることにしました」


お題はワルツ。
まずは、
音楽をかけ、踊ってみてもらい
先生側がビジュアルによる
情報収集を開始する。

次郎のダンス歴は20年ほど、
サークル活動も10年近くとベテランの域。
一方、奈々子のダンス歴はまだ2年ほど。
しかも、次郎は奈々子の
“先生と生徒”でもある関係・・・
ソンナコンナの情報からは、
“次郎は自立を果たしており、
奈々子はまだまだ
次郎に依存しつつ踊っている”
という想像をしてしまい勝ちであり、
また、事実そうであってもおかしくはないのだが、
目の前のダンスを見れば???
次郎は踊り慣れており、
知っているフィガーも多く、
ホールド・ポイズなどのカタチも
ある程度できあがったものを持ってはいるが、
かえってそれらが良いほうに働いていない様子。
リキミのある非常にクセのある踊りであり、
ダンス・テクニックに対しても
多くのこだわりを持ってしまっている風だ。

ソレに引き換え、
奈々子のダンスは非常にナチュラル。
まだまだ磨かざるダイヤといったところだが、
とてもイイモノを持っているようだ。
(たぶんその辺のところを次郎も見抜き、
自分のパートナーにしたのだろう)
ただ、今は、次郎が抱え込み、
自分の型に彼女をハメて踊ってしまっており、
彼女の良さが表には出てこれないといった状況・・・
ウーン、コレは少々、
ヤッカイなパターンだな。


二人のダンスを見守りながら、
これからの

レッスンに向けての焦点を絞り

始める。

次郎が “素直に”自分を見つめなおし、
すでに身についてしまっている

“もう役に立たなくなったテクニック”

を手放せるかどうか?


が、カップルとしての成長の
キー・ポイントだろう。
奈々子の前で、
“俺があなたの先生だから”とばかり、
ええカッコウする自分を選択した
態度をとり続ければ、
その分、奈々子の自立は遅くなり、
結果、二人の成長も手間取ってしまう。
また、同時に、(カップルとしてではなく)
奈々子の個としてのレベルアップも
促進していかなければならない。
このままだと、“次郎のパートナー”という
低いレベルで終わってシマいかねない。
次郎への尊厳を継続させつつも、
正しい自立への方向へ導いていくコトが必要だ。


ダンスにおける自立度の高さは、
本人のダンス歴・経験の数・競技会での成績・・
と必ずしも比例しないところが、興味深い点だ。
さまざまな人と出会うたびに
ホント、真のダンスの成長とは難しいモノなのだ、
ということを思い知らされてしまう。
今回の次郎のように、
表面上は上級者、が、実際はアララ・・・・
「長い間、足踏み状態だったんだろうなぁ」
な人は結構多い。
で、もちろん多く場合、
本人にはその自覚が、ナイ。

またコレは、
“指導者”“先生”という人に
見受けられやすいパターンなのだが、
自分よりもテクニックのナイ
(と思われる)人ばかりを指導していると、
つい、自分は凄く上手い人!
という感覚が過ぎてしまい、
正しく自分の評価ができなくなってくるんだな。
しかも、生徒を教え引っ張っていくには
信念が必要・・・な、立場であることも、
時にマイナスに働く。
こだわりを生みやすい状況を作り出してしまい、
それがダンス成長の妨げになるからだ。
今回の次郎がまさにそのパターン。
しかし(考えようによったら)
彼は今、チャンスなのだ!
奈々子という“新しい風”により、
自分のダンスを見直していくビックチャンス

という風にこのカップルを捉えつつ、
サァ、では、
実際のレッスンに進もう。


ダンス披露の後、
本人たちから自分たちの問題に
発言してもらうようにする



「何か問題はありますか?」


次郎
「もういっぱいあるんですけど(笑)
まだ(彼女が)ちゃんと立ってくれませんから。
エーと、ドコを見てもらおうかなぁ」


次郎は、上手くいかないところは
すべて奈々子が未熟であるからとでも
言いたげな感じだ。


次郎
「まずは、(ナチュラル)
スピンターンなんですけどね、
ココ(回転する前のカウント3)で
しっかりロゥアしないで、
突っ込んでくるんです」

「あ、ソレと
オーバーターン・ターニングロックも、
上手くいきません。
やっぱり突っ込んでくるんです。
ゼンゼン、立ててないし・・・」


僕には問題がナイハズですので、
彼女をレッスンしてやってください
といった感じで、話は進む。 
かたわらで奈々子は、
申し訳なさそうな表情で静かに笑っている。
たぶん、この雰囲気はいつものことであり、
彼女は、言われっぱなしな状況に
慣れっこになってしまっているようだ。


と、いきなり、
次郎は奈々子を促し、
先生の目の前でスピンターンをやってみせるが…
なぜ、彼女が突っ込むかは一目瞭然だった。
次郎が引っ張っているからだ。
もちろん彼は、
そんなことには全く気が付いていない・・・。
たぶん、
オーバーターン・ターニングロックなど
その他のフィガーにおいても、
イヤ、スタンダード種目の全般にわたって
ソウではないか
(次郎が奈々子を引っ張って踊っている)
という想像は容易につく。

ダンスにおける問題は

どちらかが一方的に悪い

ということは滅多にない


ゆえに、

発言していない側の意見も

必ず聞くことが必要


必ず何か言い分があったり時には問題解決に向けて
貴重な意見を聞き出すことが
できるかも知れないからだ。
また、今回のように立場上、
意見が言いにくそうな場合は、
コチラから誘導したり、言いやすい
“場の空気”を作ることも大切だ。


「奈々子さんは、どうかしら? 
スピンターン、やりにくいかな?」


奈々子
「ハイ、すごく難しいです」


「自分が突っ込んでいるという感覚は
あるのかしら?」


奈々子
「イエ・・・あの・・・」


「なんでも、遠慮せず言葉にしてみてね。
次郎さんだって聞きたいと思うわ、
奈々子さんの意見。
どんなふうに感じたのか
言葉にしていく作業は、
ダンスにおいてはとっても大切で、
いいパートナーシップを築いていくためには
必要なことなのよ・・・
ソウよね、次郎さん」


次郎
「そう!
何でも先生に聞いてもらって、
質問して・・・。
そのためにココに(習いに)
来てるんだから」


奈々子
「ハイ。
あの、立っていられないんです。
なんだか、
引っ張られるような気がして…」


次郎
「オレが、引っ張ってるって!?」


奈々子
「たぶん、私が踊れないから、
踊らせてあげようと
思ってのことだと思うのですが」


次郎
「・・・」


ココで先生側として大切なことは、
二人の関係性をよーく知りつつも、
そちらの方に焦点を当て、
ヘンに気を遣わずに
二人ともを

あくまで

“平等に”“あるがままに”

見ることだ


次郎のプライドを守ろうとするあまり、
奈々子の意見を軽くあしらうことも、
ここぞとばかり、
奈々子と“徒党を組んで”
次郎をやり込める方向に動くのも
どちらもNGだ。

ではどうするか?
まず、かなりの経験者(次郎)にも、
初心者(奈々子)

二人ともに有意義な

レッスンの内容を選択する
こと。

つまり
次郎には、こだわりを取り、
新しい価値感を取り入れてもらう
奈々子にはこれからにつながる、
普遍的な考え方を知ってもらう
ようにし、
そしてもちろん、
今回問題に上がっている
「スピンターン、
オーバーターン・ターニングロックで
女性が突っ込む(男性が引っ張る)」
の解決に至ることを目指すのは言うまでもない。

私が、今回そのレッスンとして選択したのは

“ホールドの作り方”

についてだった。

なぜなら、
次郎は奈々子を引っ張っているのではなく、
引っ張っているのは結果だからだ。
ホールドが堅い、融通が利かないため、
(特に後退の時)引っ張ってしまうのだ。

私は二人に自分のホールド作って見せたり、
それぞれと組み体感してもらいながら

ホールドは、
いかに力を抜いて作るかが大事
ホールドは、
カタチ作るものではなく、
動きを伴っている
などをいつものようにレクチャー

いつしか、
次郎は興味を示し始め、奈々子をホっておいて、
自分の方が一生懸命に聴き入っている。
そうして、奈々子と組んで実践。


次郎
「あ、ホントウ、踊りやすい」


ココロの中では
気が付いているかも知れないのだ。
奈々子ではなくて
自分を変化・成長させることのほうが
ズッと楽しいものであること。
そして、カップルとしての成長も
アリだということを。

そして、奈々子も。
次郎に頼ることなく、
自分の感覚を信じ、
新たな認識を持つことで
ダンスが上手くなっていくことに
興味を示し始めるだろう。


ポイントは、

男女それぞれが

新しい価値感へと目を向け

自らの成長に興味を持ち

ダンスレベルを内側から

釣り合わせていくことを支援




      続く 第499話へ



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