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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということ vol.4 

奥様をかばうご主人についた癖!?

~カップルレッスン修行 ⑥~



T氏は、私の数少ない
個人レッスンの生徒さんの一人だった。
50歳チョイ過ぎの男性で、
ダンス歴は4年ほど。

「アマチュアの方が教える
サークルでやってるんですけど、
ナカナカ上手くなりません。
意欲はあるんですが、
カラダがついてこないのです。
面倒をおかけしますが、
どうぞヨロシクお願いいたします」


最初のレッスンの時、
そのように言われた誠実な印象、
そのまんまの方。
すぐにリキム体質とか、
肩が上がるクセとか、
足もかなりのガニ股で、とか
ダンス的素養は、
ハッキリ言ってあんまり恵まれてはいないけれど、
ソレを十分補いうる、
自分に対する
忍耐力を持ち合わせている方だったんだ。
新米教師のつたないレッスンを、
真正直に受け止め、ホンマ一生懸命・・・
そう、レッスン中いろんな意味で

“キャッチボール”のできる

ありがたい生徒さんだった。


そのTさんがある日、
ニコニコ顔で私に相談を持ちかけたんだ。

「一度、
女房を連れてきたいのですが…」


奥様は、
ダンスをほとんどされたことがないという。
最初の頃ご主人と同じサークルに
少し顔を出された時期があるが
「(主人以外の)
色んな人と踊るのが苦手」

で 
「私はいいわ・・・」
と引っ込んでしまったというんだな。


ただ、
ご主人がダンスをすることに対しては寛容で、
ゼンゼンOK、問題ナシなんだけど、
ご主人としては、
“女房もいつかまた
キッカケがあったら連れ出したい”
まぁいわば、一緒に踊りたいという、
願望がずっとあったそうなんだ。


「先生とのレッスンの話を
しょっちゅう家でやってるんです。
そしたら、あるとき
『私もまた(ダンス)やってみようかなぁ』
と言い出したモンで、
ホンナラ気が変わらない間に、
と思いまして」



チョッピリ照れながら話す姿は、
とってもイイ感じ。
もちろんOKですよ!と、即答したわけだけど、

しばらくして、

あ・・・でも

またカップルレッスンか・・・

上手くいくのかなぁ?


って、
スゴク不安な気持ちにもなっちゃったんだ。
T氏との個人レッスンは
スゴク良い関係を築けつつあるのに、
カップルでのレッスンになって、
(その関係が)変貌しちゃったら、やだなぁ。
それに、T氏や奥さんの期待に
応えられなかったりすることも、
考えられるしなぁ
などと、色々ネガティブに考えた挙句
まぁ、やってみるしかないわね、
で、迎えたご夫婦でのレッスン初日、


T氏より紹介を受けた奥さんは
アラ、少女のような可愛い方・・・
もちろん年齢は、
T氏と同じほどで50歳チョイかな?ナンだけど、
イメージがですよ、スゴク若いの。
って言うか、純粋無垢なフィーリング。
控えめなおとなしい声で、

「いつも主人がお世話になっています。
私はほとんど全くの初心者なんですが、
(ダンスは)ちょくちょく
家で主人から教わっておりました」



さてそのご主人、
そっと横に寄り添いながら、
さり気なく奥様をガードする体制・・・
へぇ~奥様のこと、
スゴク大切にされているのねぇって感じなんだ。
この分だと、あんな風な夫婦ケンカ勃発
(今もレッスンが続いている、
O氏&E美ご夫婦のこと 第492話参照)
といった心配はないだろう
・・・とホッとしたんだが。


ところが、なのだ
ワルツのレッスン開始早々、

アレレ

なんだかヘンだぞ~


な、雰囲気になっちゃったんだ。


T氏、
やや緊張しつつ奥様とホールドをし、
呼び足からナチュラルターンへ・・・
が、
奥様がドッチの足に体重を乗せて良いかわからず
また、T氏も確認のナイまま、
勢いよく突っ込んじゃったため、あえなく失敗、
途中で突っかかっちゃったんだな。

その瞬間だった、
T氏の表情がサッと一変。
スゴク怖い顔をし
「何やってんだ!」って感じで、
奥様をにらんだんだ。

奥様は、その気配を敏感に察知。
カラダがググーッて緊張したのが、
傍目からでも見て取れたんだ。
T氏、
次の瞬間にはモウいつもの
“顔”に戻ったんだけどね、
私はチョイドキッとしてしまったんよ。
ナァンか、
見ちゃいけないモノを見ちゃったような、
イヤイヤなんともいえない気分・・・。
T氏は、
私のほうを向いて頭を下げ、

「すみません・・・
もう一回最初からやります」


で、今度は、
奥様をしっかりめにホールドし、
結構、強引なナチュラルターンに持ち込んだんだ。
奥様は引っ張られ、バランスを崩す。
T氏、ソレを必死でかばうようにしながら、
スピンターンにもつれ込む。

フト見ると
奥様はご主人T氏のホールドの中で、
固まったまんまだ。
その様子に気が付いているのか、いないのか、
T氏は真っ赤な、しかも怖い顔をして、
一生懸命なんとかキツキツのバランスを保ちながら、
踊り通そうと試みている。


フゥ~・・・

見ていて何だかつらいなぁ・・・

 
さっき、
オウチで練習するとか言っていたけど
いっつも、ひょっとしてこんな風なんかなぁ。
と私は思った。
で、T氏の力むクセって、
「奥さんを何とかカバーして踊らなきゃ」
って気負いから、
染み付いちゃッたものなんかなぁ?
と思い当たったんだ。


今の私だったら、
個人レッスンだけではわからなかった、
T氏に関する貴重な情報を入手できたと理解し、
その辺のところをクローズアップ。
奥様のことはユックリユックリでいいから、
T氏のココロのありようの改善から着手しただろうに、
当時の私は、
奥様の方に気持ちが行ってしまったんだ。
そう、直すべき、鍛えるべきは奥様だと・・・


で、奥様とホールドをしてみて、
ビックリしたんだ。


ものすごく力んでる!?


最愛のご主人と組む
“喜びのアーム”では決してなく、
「あなたと組むのはイヤ!怖い!」
って感じがするんだもん。


コレ(奥様のホールドのリキミ)に関しても、
今の私だったら、
すごくデリケートに扱っただろう。
ナゼって、単なるテクニックでは
絶対解決できない分野のお話だからだ。
「力を抜いてね」
とも、言わないかもしれない。
なぜなら、ホントウに力を抜くべきは
カラダやアームではなく、奥様のココロだから。
そしてそのために必要なのは、
ダンスのテクニックではなく、
ご主人の協力だから。


ところが、当時のジュンコには、
チョイ荷が重過ぎて・・・



あぁ悲しい結末!?



      続く 第494話へ



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