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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということ vol.4 

あるカップルとの悲しい結末

~カップルレッスン修行 ⑦~



新人教師ジュンコ先生、
一生懸命、がんばりましたよ、
ソウ、ある意味
生徒さん以上に必死だったかもね。
慣れないながらも(T氏の)奥様と組んで、
何度も何度もワルツを踊り、
もっとこうしたほうが良い、
ああした方が良いって、アドバイス。
横で見守るT氏に代わってもらい、

「あぁ、踊りやすくなりました」

と言ってもらえるや、ホッ。
奥様がうれしそうな顔で、

「そう、うれしいわ。
いっつもあなたの足ばっかり引っ張って、
悪いなぁって思っていたのよ」


とニコッとされるや、
ココロから良かったなぁって思ったもんよね。


それどころか、
お二人に喜んでもらえたことで、
チョイ、私はいい気になっていたんだよな。
「結構、いいレッスン、
できるようになってきたん違うン!?」

ってね。
カップルレッスンに対する、
コンプレックス、
マイナスイメージをコレで
払拭できるんじゃないかしらってくらいに、
しばらくの間はいいムードだったんだ。


で、ある日、
T氏からこんなうれしい話も聞かされた。

「女房がサークルに
参加するようになったんですよ。
先生のおかげで、
ちょっと自信を持ってくれたのかなぁと
思っています」



スゴイ!

ソレは良かったじゃない!?

大成功じゃない!?



ナンだけど・・・・・・・・・・・


今のジュンコ先生から見れば、
「もっと根本的な解決に着手しないと
このままではダメよ」

ってことになるんだろうね。


え?根本的な解決?


「ソウ。
せっかくご夫婦で来られているのだから、
もっとダンスの中に見え隠れしている、
お二人のホントウのニーズに
焦点を当てないとダメよってこと」



???


「奥様と踊りたいと願うご主人
でも、自分がかばって踊ってあげなきゃ、
彼女は一人で踊れないって思って
引っ張りまわしてしまう。
そのご主人に威圧感を持ちながらも、
一生懸命ついていこうとする奥様。
この関係は、良くないでしょ?」


「この関係を、
ジックリと大切に変化させていくことでしか、
お二人のリキミは解消しないかもよ」

「今、あなた(当時のジュンコのこと)が
レッスンでしているように、
奥様がもっとスイングをして
ご主人のお荷物にならないように踊るってこと
・・・のみをしていても、

真のリキミは取れないってこと。

むしろ気をつけないと、
奥様はご主人以外の男性と踊るときも、
きっと、同じように、
イエ、それ以上に
力んじゃうようになるでしょうね」




果たして・・・
どうもそのとおりになっちゃった
事件が起ってしまったんだ。


T氏夫妻のレッスン当日、
突然、キャンセルの電話。

「すみません。
実は、
女房がケガをしまして」




「え?」


T氏は私が心配しないように、
できるだけ明るく伝えようと
苦心している様子が
電話の向こうからも伝わってくる。

「サークルで、一人、
結構飛ばして踊る男性がいるんですが、
その人と踊っていて、
カルイ、肉離れを起こしたみたいなんです。
エエ歳して、ちょっと、
がんばりすぎたんかなァッて
本人は笑ってますが」



なんだかすごくショックだった。
「主人以外の人と踊るのが苦手」
と言っていた、
奥様が、自分からサークルに参加、
二人で仲良く楽しい時間を過ごすはずだったろうに。
コレは、エライことになった・・・。
私はホンマ、そう感じたんだ。


「僕の方も、
仕事が片付かないので、
今日はお休みに・・・。
すみません・・・」



とってもとっても悲しいことなんだけど、
実はコレが
最後になっちゃったんだ、お二人とは。
イヤ、直接的には、
ご主人の仕事が突然忙しくなって、
というのが理由なんだけど
真意のほどはわからない。
最後に、
丁寧な挨拶と感謝の言葉を伝え、
T氏ご夫妻とは、
お別れになっちゃたんだ。
スタジオ勤務時代の、苦い思い出でもある。


ソレからも、
多くのカップルの方に出会ってきた。
ご夫婦、他人同士
学生サン、競技選手、
サークルのデモ用カップル・・
色んなケースがあって、
色んな問題を抱えていて、
ものすごい課題を私に突きつけてきて。
そして、
たくさんの別れも体験した。

その多くが、つらいものであったり、
今、会っていれば、
もっとマシなレッスンができただろうにと
悔やむものであったりもする。
でも、ソノ人たちのオカゲで
ほんの少しずつではあるけれど、
私は“先生”になってこれたんだ。


で、次回より、
その頃の体験をもとに築き上げつつある
今現在のカップルレッスン事情を取りあげてみよう
・・・と思う。



      続く 第495話へ



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