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チョット中休み エッセイvol.11 

なりたい自分に出会うために

~ダンスは感情体験で上手くなる ④~


ユーちゃんの“奇跡”の前に、
チョイ、
私が経験した“奇跡”をお話しよう。


私が学連の頃、
たくさんのコンプレックスを抱えながら、
それでも、何とか勝っていけたのは、
いざ、本番になると
“熱演スイッチON” できるタイプであったから
・・・と自分では解釈している。
(東部の女性には負けるけどね)

ただし、私の場合は、
確かなテクニックに基づいた“熱演”ではなく、
“ノーテク・パワーのみ、なりきりダンサー” 
そう、テクニックのなさを感情表現で、
補なっちゃうってモン。
ジュンコちゃんの“なりきりダンサー”度は、
競技会の写真からも容易に伺えた。
どの写真を見ても、感情豊か・・・というより、
スンゴイ顔してるんだ。
口が大きくアングリ開いて
笑っているモノがやたら多い。
競技会ではブスッとして踊るなんてご法度。

笑顔!!スマイル!!

これ、勝つための
絶対条件だって教えられていたんだな。
で、実際、勝っちゃった!?
まぁ、それでも、アマチュア・学連の間は、
ソレでも何とかやっていけたんだけどね。

ところがプロになり、
ホンマに自分の力のなさを知ってしまった私は、
自分にとって “ウソっぽい”感情表現が
一切できなくなってしまったんだな。
競技会でも、
「ナンで、そんな暗い顔してんねん!?
もっと自信のある“顔”できんのか!?」

なんて、
お師匠サンからいくら言われても、無理・・・。
私の“熱演スイッチ”はOFFのまんま、
そんなものがあったことさえ
いつしか忘れてしまっていたんだ。


それはターンプロして、3年目の初夏。
目前に“西部日本ラテン戦”という
重要な大会を控え、私は追い詰められていた。
思うように、踊れない、
カラダが、動かない・・モンモン。
いつもにも増して
悲壮な思いに沈んでいる私に向けて、
突然、
「ダンスの神様」が微笑みかけてくれたんだ。

時の世界チャンピオン、
ドニーバーンズ氏のパートナー、
ゲイナー・フェアウェザーだった。
(カップルでスタジオに遊びに来ていた。
で、ついでにレッスンを受けたんだ)

“ファン・ポジションから男性と交叉しつつ、
ロンデ(足を回す)、
男性の後ろから走りこんで、大きくラインを作る”

というアマルガメーション(私の超苦手の部分だった)を、
ゲイナーは私の目の前でやって見せた。
踊っている間中、
ゲイナーはずっと“吼えて(ほえて)”いた。
ファン・ポジションの足の踏みかえで

「シュッ!」 

ロンデで、

「シャカーン!」

最後のラインで、

「フィーニッシュ!!」  

実際に叫び、
カラダをメイッパイ使う。
しかも、スゴイ形相、雌豹(メヒョウ)のようだ。
彼女からほとばしるエネルギーに、
私は圧倒され、そして、感動していた。
これ以上の“熱演”があるだろうか・・・。


猛然フルパワーのゲイナーのダンスは、
私にこう語りかけてくれたんだ。
「もっとダンスを楽しんで、
思い切って表現しなきゃ、
ホラ、こんなふうに・・・ね!」


私は直感した。
「これだ、今、私に必要なのは」

そして、プロになって以来
おそらくは一度も目にすることのなかった、
“熱演スイッチ”を手に取った。

で、

ためらうことなく、押した。


数日後の競技会での、
奇跡的な活躍は、
このスイッチONのオカゲなんだ。 
(ここからの感動話は、
また、オイオイご披露いたしますね)



さてさて、ユーちゃんの話に戻ろう。

披露宴デモ本番の奇跡ってね、
実は、
ユーちゃんが笑ったってこと!!
しかも、

ものすごく良い笑顔での

“熱演ルンバ”
だったんだな。


パートナーの突然の変貌に、
ヒデ君もビックリ。
「あれ、笑ってる!?
何がアッタンだろう?と思ったわ」


いつもより
グッと踊りやすくもあったらしく、
「へぇ~、
コンナに変わるもんなんやな」


で、
「踊っていて楽しかった」
それに、
「(ユーちゃん、笑顔での熱演は)
うれしかったし、感動したよ」



ユーちゃん自体は
どうだったかって言うと、

「花嫁さんの笑顔から、
パワーをもらったんです・・・」


コレって、興味深いコメントなんだ。

デモは新郎・新婦のいるひな壇横、
花嫁さん側で行ったんだけど、
たぶん、
ダンス直前に花嫁さんと目が合い
その美しい、幸せそうな
“ニッコリ”に出合ったんだろうと思うんだ。
で、緊張していた
ユーちゃんの心は一気に解きほぐされ、
彼女の中で目覚めつつあった、
“熱演スイッチ”がONしたんだと、
予想が付くわけ。

この瞬間

一気に彼女のダンス力は上がった



ソコには、普段は見られなかった、
新しいユーちゃんの姿があったんだ。
パァッと華が開いたかのようにあでやかな、
あったかい笑顔は、
実は、ユーちゃんの持っている
“本質”なんだろう・・・
それゆえ、そこにウソはなく、
スポットライトに照らし出された
“熱演”と共に、
とっても輝いていたんだな。

そういえば、
ユーちゃんが憧れ、自らソウなりたがっていた、

“華のある女性”

今の彼女は、まさにソレだった。


ソンナコンナを観ながら
「ウーン、ダンスって良いわネェ」
と、改めて思いましたわね。
私、こういうことがだーい好きなんだ。
え、どんなことかって?

ダンスを通して

人が変わっていく瞬間に出会う
こと。

ユーちゃんは今、
まさに新しい自分と出会っている、
そして、一緒に踊るヒデ君も、
それにつられるかのように、
日頃とはまた違う表情での熱演ブリだった・・・

「さぁ、次なる課題は、
他の種目もルンバと同じくらいは
踊れるようになること!!」
ヒデ君もユーちゃんも
全然やったことのない種目が、
まだ、いーっぱいあるんだモン!
ソレを習得し、ある程度、
熱演できるまでになってみて
欲しいよなぁって心から思うンよ。

ナゼって、また、
新しい自分と出会うことができるから。
先生としての私の密かな楽しみが、
また、増えるだろうし・・・ね。                                 





      続く 第440話へ



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