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チョット中休み エッセイvol.11 

熱くなって踊れ!!

~ダンスは感情体験で上手くなる ②~


月1パーティの本番さながらのリハーサルで、
(第416話参照)
納得のいく踊りができなかった二人から、
申し出があったんだ。
本番直前の日曜日に、

「お願い!デモ前リハーサルとして、
もう一回、踊らせて欲しいんや」

(by ヒデ)

その日はベテランさんのカップルレッスン
(しかもご夫婦ばかり)が、続いてあるんだけど、
その合間の時間に突撃参入!!させてもらい、
ダンスを披露。
で、みなさんから評価をいただきたいと言うわけね。

「最後の緊張を味わいたい。
自分らがどうなるかを確かめたいしね」



事情を話し、
快諾(かいだく=快く受け入れる)
をいたただいてからスタンバイ。
「ヨロシクお願いしまーす」


みんなが見つめる中、
踊り切った二人にコンナ評価が下されたんだ。

「ウーン、
結婚式の披露宴で踊るにしては、
暗いんじゃないかナァ」


「表現が硬い感じがする。
観ているコッチまで緊張してくるよ(笑)」


「すごく、上手くなってるんだから、
もう少し自分をアピールして踊っても
いいんじゃないかしら」
etc.


みんなの意見は、
面白いほどに一致していたんだな。
テクニックはさておき、
印象が、

暗い・表現が硬い・アピールがない

そんな声を聞きながら、
私はチョイ感心しましたわね。
さすが、マイ・スチューデント!
“急所”をズバッと指摘してくれるナァッテね。
確かにそうなんだ。
ここに来て、二人のダンスの中に
表出してきた問題点があるんだな。
ベテラン・ギャラリーのコメントは
ソコを鋭く突いてくださったというワケなんだ。


問題点その1
さらに高度なテクニックに目覚めつつある二人は、
それをヤロウやろうとするあまり、
いざ、本番になっても
“ダンスを楽しむ”ことができずに、
踊りを小さくしてしまい、
深刻な印象のダンスになってしまう。

問題点その2
コレは、どちらかと言えば、
パートナーのユーちゃんに
大きく関わることなんだよね。
もし、ユーちゃんが
関大舞研の選手だったなら、
K先輩あたりから
こんな注意を受けたんやないかなぁ。
「パートナー、
もっと顔を上げて、笑って! 
下向いてても、
金目のモン、落ちてへんぞぉ」


そう、ユーちゃんは、踊っているとき、
始終うつむき加減、で、笑顔は、ナイ。
マジメにシリアスに、
時にストイックに、
テクニック披露を試みてしまう。
ヒデ君もそれにつられるかのように、
なんとなーく欝なダンスに・・・
が、カップルの持ち味なんです・・・
なぁんて、

ダメダメ!ナンだよナァ。


かといって、
ユーちゃんがダンシング中に笑う時が、
全くナイわけではない。
いや、むしろ反対に、普段はよーく笑う。
で、どんなときに笑うのかっていえば、
その大半が、
ヒデ君がオカシーな動きをした時だ。
「ココ、別に
笑いとるトコと違うんですけど…」

と、立ちすくむヒデ君の目の前で、
爆笑しながら崩れ落ちていく。
そんなユーちゃん、
見詰め合って踊る=アイコンタクトなんて、
まぁマァ無理。
(コレは相手がヒデ君ということも
大いにアルのだろうが)
吹き出してしまって、
踊りが中断・・・するのがオチなんだ。

ヒデ君
「ちょっとぉ~、失礼やわぁ~」
ってチョイ心外な表情だ。

「せっかく気分乗せて、踊ってるのにぃ」
と、半怒り状態、
の様子を見てさらにおもしろさが募り・・・
ってな感じ。


つまりはユーちゃん
作り笑い・お愛想笑いといった、
ウソっぽいことが超ニガテだってことなんだ。
気持ちも入っていないのに、
「顔を上に上げて、
アピールして、笑って・・・」
なんて、きっとカラダがうけつけないんだな。
私は、その辺、
ものすごく良く理解できるし、
別段、顔を上げる必要もなければ、
笑顔を試みる必要もないと、指導している。
無理にしようものなら、
一発でカラダが硬くなってしまうからだ。

“ダンスは感情の表れ”だ。

顔を上げたくなったら、それに従えば良いし、
笑いたくなったら、笑えば良い。

一番ナチュラルでGOODなのは、
心の中や意識といった世界と、
肉体的な表現が一致しているときだろうからね。
極端に言えば、
「私は“欝”な暗い表現をするのが好きなんだ。
自分に合ってると思うし、
そういう表現をしてる自分が大好きなんだ」
ってことなら、
人がなんと言おうと、全然OKなんだよね。
そのうち、
“下を向いて、笑わずに、シリアスな雰囲気で踊る”
は、その人の“個性”として
良い評価を受ける時だってあるだろう。
でも、ユーちゃん本人が、
「暗いなんてイヤなんです。
もっと音楽そのものになって、
楽しんでいる自分を感じながら
めいっぱい踊りたい!!」

なのに
それができない・・・って事態だから、
問題なんだよね。

それに、私は、もうひとつ
打ち破って欲しい“殻=から”のようなものを、
ユーちゃんに感じていたんだ。
そう、その“殻=から”を破ることこそが、
今回のデモの時に試して欲しい“課題”なんだ。


ベテラン・ギャラリーからの的を得たコメントに、
やや肩を落とし気味の、
ヒデ君&ユーちゃんに、私は言った。
「二人とも、

もっと“熱演”してごらん」


“熱演”=熱くなって踊ること
コレが、二人、特にユーちゃんに、
もっとも難しいことであるがゆえ、
もっとも体験して欲しい“課題”であったのだ。

この“熱演”とは、
「もっと外に向かって自分をアピールする」
とか
「顔を上げて、シッカリ感情を表現して」
ってことでは、ナイ。
イヤ、ソウいう意味もあるだろうけれど、
本当の意味での“熱演”ができたなら、
放っておいても、
外へのアピールにはなっているだろうし、
顔もそれなりに上がるだろう。
それより何より、
顔だけではなく、カラダ全体から
表現というフィーリングが、
勝手にほとばしるであろう・・・モンなんだな。

では、本当の意味での“熱演”ってナンだろう?
簡単に言えば、
自分の内部深くにドンドン分け入っていくことだ。
カラダの奥深くの、
ギューッとかシュッとかバヒューンとかを、
味わい切ることだ。
具体的に言えば、
インナーマッスルサポートネットワークの

うごめき・こすれあいや、

ソコに流れる

呼吸感覚をたどっていく感覚・・・

熱とはエネルギーとも言い換えられるよね。
だから「“熱演”してごらん」とは、
もっともっと

高エネルギーでもって

自分の身体を操作
してみてごらん、

ってことなんだ。
床から汲み上げる反作用エネルギーが全身に充満し、
循環し、心地よく放出する・・・
それがダンスという“営み”だ。

ホンマにそういう佳境に入ることができたとき、
カラダは「超心地イイ~」とのたまうであろう。
で、もっと
自分のカラダを気持ちよく感じたいから、踊る、
踊ることで、もっと心地よくなっていくんだ。
そして
色んな動きを試したくなって、
実際にやっても見るだろう。
そう、ガンガンにやればいいんだ。
何をやっても面白いほどに上手くいくだろうから。
なぜって、
どんなアクションをも許されるモノであり、
ソコにはマチガイとか、
ヤッチャァいけない動きなんてものが一切ないからね。
コンナふうに踊ってるときって、
とってもナチュラルだけど
すごく良い顔になるもんなんだよ。

・・・なぁんてね、
私は二人を目の前において、“熱弁”をふるったんだ。 
まだ初心者の彼らにしたら、
「この先生、何、言うてはるんヤロ?」
みたいなエキセントリックな
内容の話であったかもしれない、が、
二人は真剣な面持ちで聞いていた。
で、この場で、
その“熱演”とやらに
挑戦してみることになったんだな。



ミュージック、スタート。

♪♪♪♪~



果たして

・・・みごとにダンスは変わった!!



ただし、横から先生の気合いが
スゴかったんだけどね(笑)
「もっと、感じて!」
「冷めないで!」
「そこ、そこ、やめないで!」

声だけ聞いてたら、
一体何やってマンネン?って感じだけど。


観ていたベテラン・ギャラリーから、拍手が起った。
「スゴイ、全然違う。
良くなった」



二人もモチロン満足げ・・・だ。
なんともいえない、
充足感に満たされた表情だ。


「ソウか、
ここまで、やってエエンヤな」

とヒデ君。


ユーちゃんも
「熱演できました。
踊れました・・・」




この後、
さらにユーちゃん、

驚愕!おお喜び!!

“熱演”のための

“モデル”が出現!?



      続く 第438話へ



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