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特別シリーズ 
社交ダンスが教えてくれたこと 人間美学そして哲学vol.3 

感情のコミュニケーションの力を

初心者は知っている


ダンスは感情体験で進化する ④


第412話の続き
初心者の意見って怖いよぉ~。
ダンスのことをよく知らないから、
先入観ってモンがないわけでしょ?
だからこそ、ダンスにおける良い・悪いの基準が、
よりナチュラルなのかもしれないんだよね。
ってことで、
「たった今、生まれてはじめての
ダンスパーティに臨んできましたよ」
っていう、
ダンス・ビギナー3人組のこんなトンデモ会話、
しばらく聞いていただきましょか・・・



A子「ねぇ、今日のパーティに来ていた人って、

“上手”なのかしら?」


B子「あぁ、私も同じこと考えていたのよ・・・
すごくキャリアのある人がほとんどって感じはしたわ。
みんな、バリバリ踊っていたモノ」


C男「競技会に出ている人もたくさん、
いたって話だよ」


A子「フーン。
でもさぁ、一緒に踊った人の中で
“アレッ?変だな”って人、多くなかった?」


B子「ソウ、そうなのよ!
見ていたらすごい上手だなって感じなのに、
誘われて、いざ一緒に踊ってみると・・・
なんか、全然楽しくないのよ」


A子「ソレ、分かるワァ~。
一緒に踊っていたら、すごく気ばかり遣っちゃう。
『オレが踊ってあげよう』って人がやたら多くって、
リードについていけなかったら悪いとか、
あぁ、下手でごめんなさい・・・
ってそんな気分にさせられちゃう」


C男「女の人にもそういう人多かったよ。
オレが初心者だって分かったら
『私が引っ張っていってあげますよ』って感じ(笑)
反対に『リードが分からないわ』って
イヤァな気分を露骨に出されたり・・・
なんか、スゲェ疲れたよ」


B子「私は、いっぱい知らないワザを仕掛けられて、
全然ついていけなくって・・・。
『できないでーす』って信号出しているのに、
そのおじさん、ちっとも気がついてくれないの。
一人で気分乗って踊ってる」


A子「ホールドが心地悪い人が結構いたし、
手でグイグイ引っ張りまわす人もいた・・・
もう、早く音楽終わらないかな?
ってずっと思っていたわ」


C男「女の人から、手をぐって押されたり、
突っぱねられたりって、良い感じしないよね。
フツーの顔してそうするから、
たぶん、ダンスのテクニックとして
アルもんなんだろうけど、
なぁんかね、オレのこと、嫌ってるんかな? 
下手だから嫌がらせされてるんかな?
って感じがしてね。
中には、もう、二度と踊りたくないくらい、
イヤな女の人もいた」


A子「ねぇ、ダンスで、
余計にストレスたまりそうナ感じしなかった?」


C男「オレは正直言って、した(笑)
あんまり、『私、上手です』
って人とは踊りたくないなって思ったしね。
リードもできないのに、誘ったら、怒られそう」


B子「そういえば、
みんなあんまり笑ってないよね、踊るとき・・・。
お愛想笑はたくさん見たけど、
心から楽しそうに笑っていない・・・
って気がしたわ、見ていて」


A子「ソレにみんな、すごい勢いで、
必死で踊ってるって感じがしたわ。
パーティって気分じゃなくて、
なんか、戦ってるみたい(笑)」


C男「オレ、ここにいるメンバーと
踊ってるのが一番気楽でイイや(笑)」


B子「ホントね。
そういえば、今日一番踊って楽しかった人は、
私から見たらニコニコしている
“オジイチャン”って感じの人。
あんまりステップも知らないし、
小さくしか動けないけど、
私は一番、自分を感じて踊れたわ」


A子「あぁ、アノご老人でしょ?私も。
『ア、この人なら、
何にも文句言わないだろうから、
ちょっと、習ったこと試させてもらおうかな』
って思って、実際やってみたわ。
すごく、踊ったぁって気がして楽しかった」



これは生徒さんからバラバラ、
個々に聞いた実際の話を、
つなぎ合わせたものなんだけどね、
キツイ発言がボンボン、ウーン耳が痛い・・・
を冷静に整理していくと、
ダンス中・上級者あたりが持っている
「この人が、ダンス上手」というレッテルと
チョイ違う観点から見てるって事に気付くのよね。

中、上級者のダンス上手の基準が、

いわゆるダンス・テクニックに

アリなのに比べ、

初級者のソレ

(ダンス上手の基準)はもっと、

感情的なやり取り

主眼を置いているんだな


もっと言えば
ダンス・テクニックではごまかされない、
相手の人間的な部分
をすごく感じとっていて、
そこの部分での

コミュニケーション力を測っている。

判断基準は
自分の気分が良くなったか、悪くなったか・・・
という、超自己チュウなモンやけどね。

こんなことを聞くと、中、上級者あたりから
「そんなこと言われたって、
コッチは一生懸命踊っているんだし、
“感情のやり取り”
といえるかどうかは分からないけど、
リード&フォローだって
ちゃんとやってるつもりだしねぇ」
とか
「初級の人たちだって、
もっと自分が踊れるようになれば、
見る目は変わるはずよ。
まだ、ダンスってものを知らないから言えるのよ。
ダンスって難しくって、大変なんだから」
とかって意見が出そうなんだよね。

私的には、
こういうビギナーさんたちのトンデモ発言は、
大好きだし、
ものすごく貴重だと思っているよ。
ソレをどのような耳で受け止め、
実際のアクションに活かしていくかによって、
これからのダンス界ってモンが
変わるんじゃないかしら?
という予感めいたものさえあるくらいなんだ。
そう、

初心者に学びながら

初心者がホンマに上手になって行く

世界を(先輩の私たちが)示し、作る


ことは、ダンス界が見ていかなければならない
大きな課題のような気がしてならない。


確かに、ビギナーさんの指摘は鋭い。
どっぷりダンスにつかっている私たちの目には、
なかなか見えなくなってしまっているところや
もう当たり前になってしまっているけど
「実は良くよく見ると可笑しいゼ」
みたいな部分をズバッと突いてくるんだモン。
モロモロのダンス・テクニックに奔走し、
一緒に踊っている人を
感じなくなっている人に対して、
「ねぇ、ソレ(そのテクニック)って大切?」
と真顔で尋ねる怖さや、
「アレって、変じゃないんですか?」
と、指差す方向には、
必死になってキレイなカタチをキープしながら
踊っているカップルが
あぁ、“はだかの王様”状態ジャン!?
なぁんて、ホンマ初心者ならでは、
純粋さゆえの恐ろしさを感じちゃうけれどもね。
さて、
ダンス・ビギナーはダンスにおける

感情のコミュニケーションを

大切に感じている


(前号の最後に記載した、
感情によるコミュニケーションに長けている人たちとは、
初心者のことでした! 詳しくは第412話参照

真にダンス上達を願うなら、

私たちも見習うべきである。


このことは、
ズーッと同じ相手と練習をする
競技選手にもすごく言えることだと思うのよ。
「感情のコミュニケーション? 
あぁ、大切にしているよ。
勝っていくためには、
すごく重要なことだからね」
と即答のあなたも、ダンスの表現としてではなく、
個々人間同士のソレとして、
もう一度できたら見直しみたらどう?と思うんだ。
特に、
「最近さぁ、成績、伸び悩んでるんだ」
な人たちや
「この先、競技、やっていけるかどうか悩んでるよ」
な人たちほど、
今現在のカップルとしての力量を、
二人の感情コミュニケーション力で測って欲しいんだな。

ってことで、次回
具体的な感情コミュニケーションの実際を見ていこう。



      続く 第414話へ



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