2008.02.02 (第375話)チョット中休み エッセイvol.9 ~タンゴでカラダのクセをとる!? ⑤~
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チョット中休み エッセイvol.9
なぜ、安易に
ヒザを曲げてはダメなのか?
~タンゴでカラダのクセをとる!? ⑤~
第322話の「骨格ユニットの距離感を作る」の
蛇足部分でも書いたんだけどね、
ウルトラマンやゴジラぐらいの大きさの人に、
頭をつかんで引っ張りあげてもらい、
上からカルーク振ってもらう・・・
アァ、コレが最も手っ取り早く
人体がきれいな姿勢になれる方法かも!!なんスよ。
言い換えれば、
一番、キレイな姿勢を即効作る方法は、
上から吊るすこと。
その姿勢は、
私たちが求めるダンサー姿勢でもあるのよね。
じゃ、そのキレイなダンサー姿勢って、
具体的にどんなかっていうと、
重力に対して、
自然で最も楽に対処できる
“理想的な姿勢”
この“理想的な姿勢”をチョイ専門的な言い方で、
説明すればこうなる。
理想的な姿勢=身体を支持している
抗重力筋の収縮が最小となり、
工ネルギー消費がもっとも少ない姿勢・・・
コレは、
動きたいときに動きたい方向に動きたい分だけ、
ササット動ける、
機能的な姿勢とも言えるんだな。
それがなんで、
ゴジラさんナリに頭を引っ張り上げ、
フリフリしてもらえばできるのかっていえば、
① 姿勢維持に関わる筋肉群
=背骨周りの深部の筋肉など(第305話参照)
を脱力した状態で
ストレッチさせることができる
そして
② 骨格ユニットの距離感を
作ることができるため、
日頃はカラダの奥に隠れた
腸腰筋などの深部の筋肉を効果的に
ストレッチすることができる
ってことなんだ。
・・・と、ここまで見てですね、
なぜ
“他の種目より、ヒザを曲げて腰を落として”
という固定観念が、
タンゴの上達を妨げちゃうかって分かります?
おおざっぱに説明しよう。
“ヒザを曲げて腰を落として”
ってアクションは、重力方向に順ずる動きでショ?
コレを、重力の支配下にある地球上でヤルってことは、
ソコにじーっととどまるか、下へ向かうには
“最適ね、都合が良いわ”であって、
床(地面)に対して平行に動くには、
不向きなんだ。
ソレを証拠に・・・ソウ、実験してみよう。
ハイ、まっすぐ立って、
特にタンゴなぁんて気構えずに、
フツーにその場でヒザを曲げるなり、
腰をおとすナリをやってみて。
そうすることで、
前に出て行きたい(前進したい)とか
後ろに下がりたい(後退したい)って思わないでしょ?
それなのにタンゴって、
下手すりゃしょっぱなで、
コノ体験をしなきゃいけないんだよね。
本当は、動きだしたくないのに、
無理やり動かなきゃって体験・・・。
ソレは言い換えれば
前進しなきゃ、後退しなきゃいけないのに、
重力さんに引っ張られちゃう~って感触の体験だ。
ってコトでほとんどの人が、
コノ時点でもうすでにリキんじゃう。
つまり、上記のゴジラさんに
フリフリしてもらってるときとは正反対に、
抗重力筋の収縮が最大となり、
工ネルギー消費がもっとも多くなる
姿勢を余儀なくされちゃう・・・
こうなると
姿勢維持に関する筋肉にも負担がかかるため、
カラダがどうしてもゆがみがちになっちゃう。
例えば“ヒザを少し曲げましょう”
ってなアクションだけで、
全身の骨格アライメントの整合性は崩れるわけ。
で、その崩れが次の動きにちゃんと活かされないと、
曲げた分だけ
意味のある運動をしないと
またコレも
筋肉のリキミになっちゃうんだ。
「ただ、まーっすぐに立っていたら、
キレイなのに、
踊りだすとすごくゆがんじゃうのよね」
って人が多いのは、そういう理由。
「まっすぐ立って、その場でヒザを曲げるなり、
腰をおとすナリのタンゴ姿勢」は、
NGデッセ!!のわけはまだある。
これまた、上記のゴジラさんに
フリフリしてもらってるときとは反対に、
インナーマッスルが
使いにくい状況に自ら追い込んじゃうってコト。
なぜって・・・
インナーマッスルって、
カラダの深部にあるわけでしょ?
極端な話、重力方向につぶれた
グシャってカラダになっちゃったら、
インナーマッスルも一緒にグシャ
となってしまい、
分別、識別不可能状態に・・・
そうなったら、
インナーマッスルを使用するための
感受性なんてどこへやら、
もうシャーナイな~ってことで、
とりあえずのアウターマッスル主導の動きに
なっちゃうんだよねぇ。
分かりやすいところで説明すると
たびたび登場する大腰筋(だいようきん)
このインナーマッスルは、
背骨(みぞおち辺り)と
両足の付け根(=大腿骨)を結んでいる筋肉よね。
ってコトは、腰を落として・・・
ってやったトタンに、
せっかくの吊バンド筋肉が
股関節辺りでグシャってなっちゃう。
アララもったいない!!
もう後は、床をけって移動するしかないか・・・
ってな話になってしまうんだな。
そんでもって、
大腿部やふくらはぎのリキミで、
前進、後退したところで、
がんばってもあんましカラダが進まない、
つまり、
ボディスピードが出ないもんで、
オッチラオッチラなダンスになってしまうんだ。
とここまできて、ヒデ君のご質問
「言ってることは分かるけど・・・
でもナァ、頭、上から吊るされた感じで
タンゴ踊ったら、コンナンなるで。
これでいいの?」
で、フラ~フラ~、
地に足が付いてない感じの
“幽霊タンゴ”をやって見せるわけ。
ウンウン、そうよね、
ソウ来るわよねと読んでいた私。
「ある意味、それでOK。
そのフラ~って立ったマンマで、
足の裏にある、地面を感じてみて。
で、ソコから反作用エネルギーをもらうことを意識して、
次に、実際に、
“床からのエネルギーが上がってきたぁ”
ってイメージしてみてよ」
するとヒデ君
「ハーン、なるほどね。
ジュンコ先生のブログに良く出てくる
“床からの反作用エネルギー”
がプラスされるってコトか。
天と地が一体にナランとアカンわけね」
と、エラク納得。
ヒデ君、気分が乗ってきた様子、
で、こんなことを言い出したんだ。
「オレが昔やってた合気道と一緒やナァ。
ダンスと合気道が一緒やなんてオモロイけど。
合気道も、全身リラックスってよく言われたわ。
徹底的に力を抜けって。
そういうカラダが一番強いって」
で、しばし、合気道話に花が咲き、
「合気道でも、
リラックスと虚脱(きょだつ)は、
似てるけど、全然違うし、
リキミとパワーも、
似て非なるものって、習ったわ。
そういう意味で、
達人とド・素人は似てるとも・・・」
「コマ(独楽)の動きにたとえると
達人の動きは細やかで速すぎて
“静止”しているように見える、
かたや、
ド・素人の動きは実際に止まっているから、
“停止”してるんやって」
で、私が
「タンゴはね、
日本の武道に似ているとよく言われるのよ」
と言うや
「へぇ~、そうなんや」
と、すごく興味を示し
「そういうたら、タンゴかって、
世界のトップクラスにはすごい静けさがあるし、
それでいてパワフルやしすごいスピード・・・
タンゴは“静止”が超大切かも知れんな」
ソウ!ヒデ君、おっしゃるとおり!
コレ、ダンスすべてについて言えることだけど、
特にスタンダード、
中でも、タンゴに誤解が多いのは
まさにその点の難しさによるんだな。
つまり
“静止”と“停止”の識別の難しさ
ソレはまさに
カラダの操作方法の差から生まれるものなんだけど。
「あ、それやったら、
オレ、理解できるとオモウで。
コウ見えても、
合気道はなかなかのモンやってんからって
実は1年しかしてないけど・・・」
のヒデ君に、
私は話し始めた・・・
続く 第376話へ
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蛇足部分でも書いたんだけどね、
ウルトラマンやゴジラぐらいの大きさの人に、
頭をつかんで引っ張りあげてもらい、
上からカルーク振ってもらう・・・
アァ、コレが最も手っ取り早く
人体がきれいな姿勢になれる方法かも!!なんスよ。
言い換えれば、
一番、キレイな姿勢を即効作る方法は、
上から吊るすこと。
その姿勢は、
私たちが求めるダンサー姿勢でもあるのよね。
じゃ、そのキレイなダンサー姿勢って、
具体的にどんなかっていうと、
重力に対して、
自然で最も楽に対処できる
“理想的な姿勢”
この“理想的な姿勢”をチョイ専門的な言い方で、
説明すればこうなる。
理想的な姿勢=身体を支持している
抗重力筋の収縮が最小となり、
工ネルギー消費がもっとも少ない姿勢・・・
コレは、
動きたいときに動きたい方向に動きたい分だけ、
ササット動ける、
機能的な姿勢とも言えるんだな。
それがなんで、
ゴジラさんナリに頭を引っ張り上げ、
フリフリしてもらえばできるのかっていえば、
① 姿勢維持に関わる筋肉群
=背骨周りの深部の筋肉など(第305話参照)
を脱力した状態で
ストレッチさせることができる
そして
② 骨格ユニットの距離感を
作ることができるため、
日頃はカラダの奥に隠れた
腸腰筋などの深部の筋肉を効果的に
ストレッチすることができる
ってことなんだ。
・・・と、ここまで見てですね、
なぜ
“他の種目より、ヒザを曲げて腰を落として”
という固定観念が、
タンゴの上達を妨げちゃうかって分かります?
おおざっぱに説明しよう。
“ヒザを曲げて腰を落として”
ってアクションは、重力方向に順ずる動きでショ?
コレを、重力の支配下にある地球上でヤルってことは、
ソコにじーっととどまるか、下へ向かうには
“最適ね、都合が良いわ”であって、
床(地面)に対して平行に動くには、
不向きなんだ。
ソレを証拠に・・・ソウ、実験してみよう。
ハイ、まっすぐ立って、
特にタンゴなぁんて気構えずに、
フツーにその場でヒザを曲げるなり、
腰をおとすナリをやってみて。
そうすることで、
前に出て行きたい(前進したい)とか
後ろに下がりたい(後退したい)って思わないでしょ?
それなのにタンゴって、
下手すりゃしょっぱなで、
コノ体験をしなきゃいけないんだよね。
本当は、動きだしたくないのに、
無理やり動かなきゃって体験・・・。
ソレは言い換えれば
前進しなきゃ、後退しなきゃいけないのに、
重力さんに引っ張られちゃう~って感触の体験だ。
ってコトでほとんどの人が、
コノ時点でもうすでにリキんじゃう。
つまり、上記のゴジラさんに
フリフリしてもらってるときとは正反対に、
抗重力筋の収縮が最大となり、
工ネルギー消費がもっとも多くなる
姿勢を余儀なくされちゃう・・・
こうなると
姿勢維持に関する筋肉にも負担がかかるため、
カラダがどうしてもゆがみがちになっちゃう。
例えば“ヒザを少し曲げましょう”
ってなアクションだけで、
全身の骨格アライメントの整合性は崩れるわけ。
で、その崩れが次の動きにちゃんと活かされないと、
曲げた分だけ
意味のある運動をしないと
またコレも
筋肉のリキミになっちゃうんだ。
「ただ、まーっすぐに立っていたら、
キレイなのに、
踊りだすとすごくゆがんじゃうのよね」
って人が多いのは、そういう理由。
「まっすぐ立って、その場でヒザを曲げるなり、
腰をおとすナリのタンゴ姿勢」は、
NGデッセ!!のわけはまだある。
これまた、上記のゴジラさんに
フリフリしてもらってるときとは反対に、
インナーマッスルが
使いにくい状況に自ら追い込んじゃうってコト。
なぜって・・・
インナーマッスルって、
カラダの深部にあるわけでしょ?
極端な話、重力方向につぶれた
グシャってカラダになっちゃったら、
インナーマッスルも一緒にグシャ
となってしまい、
分別、識別不可能状態に・・・
そうなったら、
インナーマッスルを使用するための
感受性なんてどこへやら、
もうシャーナイな~ってことで、
とりあえずのアウターマッスル主導の動きに
なっちゃうんだよねぇ。
分かりやすいところで説明すると
たびたび登場する大腰筋(だいようきん)
このインナーマッスルは、
背骨(みぞおち辺り)と
両足の付け根(=大腿骨)を結んでいる筋肉よね。
ってコトは、腰を落として・・・
ってやったトタンに、
せっかくの吊バンド筋肉が
股関節辺りでグシャってなっちゃう。
アララもったいない!!
もう後は、床をけって移動するしかないか・・・
ってな話になってしまうんだな。
そんでもって、
大腿部やふくらはぎのリキミで、
前進、後退したところで、
がんばってもあんましカラダが進まない、
つまり、
ボディスピードが出ないもんで、
オッチラオッチラなダンスになってしまうんだ。
とここまできて、ヒデ君のご質問
「言ってることは分かるけど・・・
でもナァ、頭、上から吊るされた感じで
タンゴ踊ったら、コンナンなるで。
これでいいの?」
で、フラ~フラ~、
地に足が付いてない感じの
“幽霊タンゴ”をやって見せるわけ。
ウンウン、そうよね、
ソウ来るわよねと読んでいた私。
「ある意味、それでOK。
そのフラ~って立ったマンマで、
足の裏にある、地面を感じてみて。
で、ソコから反作用エネルギーをもらうことを意識して、
次に、実際に、
“床からのエネルギーが上がってきたぁ”
ってイメージしてみてよ」
するとヒデ君
「ハーン、なるほどね。
ジュンコ先生のブログに良く出てくる
“床からの反作用エネルギー”
がプラスされるってコトか。
天と地が一体にナランとアカンわけね」
と、エラク納得。
ヒデ君、気分が乗ってきた様子、
で、こんなことを言い出したんだ。
「オレが昔やってた合気道と一緒やナァ。
ダンスと合気道が一緒やなんてオモロイけど。
合気道も、全身リラックスってよく言われたわ。
徹底的に力を抜けって。
そういうカラダが一番強いって」
で、しばし、合気道話に花が咲き、
「合気道でも、
リラックスと虚脱(きょだつ)は、
似てるけど、全然違うし、
リキミとパワーも、
似て非なるものって、習ったわ。
そういう意味で、
達人とド・素人は似てるとも・・・」
「コマ(独楽)の動きにたとえると
達人の動きは細やかで速すぎて
“静止”しているように見える、
かたや、
ド・素人の動きは実際に止まっているから、
“停止”してるんやって」
で、私が
「タンゴはね、
日本の武道に似ているとよく言われるのよ」
と言うや
「へぇ~、そうなんや」
と、すごく興味を示し
「そういうたら、タンゴかって、
世界のトップクラスにはすごい静けさがあるし、
それでいてパワフルやしすごいスピード・・・
タンゴは“静止”が超大切かも知れんな」
ソウ!ヒデ君、おっしゃるとおり!
コレ、ダンスすべてについて言えることだけど、
特にスタンダード、
中でも、タンゴに誤解が多いのは
まさにその点の難しさによるんだな。
つまり
“静止”と“停止”の識別の難しさ
ソレはまさに
カラダの操作方法の差から生まれるものなんだけど。
「あ、それやったら、
オレ、理解できるとオモウで。
コウ見えても、
合気道はなかなかのモンやってんからって
実は1年しかしてないけど・・・」
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