2008.02.01 (第374話)チョット中休み エッセイvol.9 ~タンゴでカラダのクセをとる!? ④~
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エクササイズ&プラクティス集へ
チョット中休み エッセイvol.9
映像から見えてこないテクニックの本当
~タンゴでカラダのクセをとる!? ④~
前回のルンバ・チャチャチャのときは、
レッスン開始前から、
ヒデ君にイメトレ
(イメージ・トレーニング) 用のDVDを渡し、
世界のマイケル・マリトースキーと
セルゲイ・サーコフご両人と“引き合わせ”
をした私であるが
今回のタンゴにおいては、
「ウーン、(DVDを薦めることは)
まだもう少し様子を見てからのほうがいいだろう」
って感じで、動かずにいたんだな。
なぜって、ヒデ君のタンゴが
あまりにも未知数であるから。
カラダの新体制による
インナーマッスル・サポート・ネットワークの形成が
成されつつある彼のカラダが、
(第346話参照)
どんなふうにタンゴってものをとらえ、
受け入れようとしていくのかを見届けてからでも
遅くはナイと思ったし、
ヒデ君マインドの潜在的な部分にまで
ググッと食い込みつつの指導をお任せすることになる
(ヒデ君のことだから、
また強力なりきりパワーを生むだろうからね)
DVDの中のお師匠さんを
誰にするかを決めかねていた、
ということでもある。
ソレと・・・実は、
コッチのほうが理由としてはデカいんだけれど
いまのヒデ君の目で、
世界のすごいダンサーのタンゴを見ても、
まぁ
“コトの真意”は見抜けないだろう、
それどころか
誤解してしまうだろうと踏んだからなんだ。
というのも、かつて
「ナァ、
タンゴの参考になる映像ってないの?
あるなら見せてよ」
との要請により、
ありモノで良かったらと何気なく
ビデオを手渡したことがあったんだ。
ホーキンスのベーシックレッスン。
ソレを見たヒデ君
「コイツ、顔もエエし、
きっとすごい人気あるヤロ?
マリトースキーとか(ラテン・ダンサー)と
全然感じが違うな」
と、フフって笑ってから、
しばらく見入り、そして
フーンって感じでこう言った。
「エライ簡単そうに踊ってんな」
続いて、
「スーッと立って、ピタッと組んで・・・
こんなん、すぐにでもできそうヤン」
ウーン、ヤッパソウくるよねぇ。
で、この言葉、
「きっとすごいことやってンやろうけど、
正直、オレにはさっぱり分からんわ」
「鑑賞してる分には、
チャチャチャとかの方が、変化があってオモロイな。
スタンダードって、
みんなずっと同じことしているように見えるんや」
ってコトで、
あんまし興味も沸かない様子なんだ。
「それにタンゴは音楽も
“どれ聞いてもみんな一緒”って感じがするネン」
ハーン、なるほどねぇ。
ならば、コレはイメトレより
体験先行のほうがいいだろうって思ったわけ。
スタンダードって、
ラテン以上に見ているのとやっているのとの
ギャップが激しいモンだしね、
実体験をすればDVDの見方も変わり、
そうなってはじめて映像レッスンの価値が
出てくるってことで、イメトレは後回し。
だから、そんなにまだタンゴのイメージって
ヒデ君の中にはナイハズなんだけど、ね。
今、目の前で繰り広げられている、
ヒデ君のウォーク・リンク・プロムナード
のアリャリャな動きに、
(第373話参照)
なんでなん???
笑いをこらえながら
凝視している私の様子に気付いたヒデ君、
「え?ジュンコ先生、
スゴイ顔して見てますけど・・・
そんなに俺、オカシナ動きしてる?」
「うん、してる(笑)
ビデオで撮って見せてあげたい」
と、言うと、
ヒデ君あわてたように
「わぁ、まだ、ビデオはええわ」
そして改めて
「どんなふうになってるのか教えて。
自分では結構、
コツをつかめたように思っててんけど」
と言うわけよ。
ってコトは、
初心者特有の無意識的行為ではなく、
自ら意識的に“やろう”とすることで、
こんな風になっちゃってるってわかったモンで、
それなら、チョイ今のうちから
意識転換しておかなきゃヤバイなと感じた私、
少々真顔で話し始めたんだ。
「あなたは背が高いでしょ・・・
180センチだった?」
「いや、そこまではナイ。
178センチかな」
「ソウ、でも今踊っている姿は、
ソレより20センチくらいも低く見えるよ」
「ウソ! 20センチって
・・・そんな大げさな」
とブッ飛びそうに驚くヒデ君、
それからチト考えるや、
したり顔(得意げな顔)に切り替わり
「ソラまぁ、
こうやってるからソウ見えるヤロ」
と言いながら、
ヒザを曲げ、腰を落として
・・・ってまた始めるわけ。
長い足のあまったヒザを窮屈そうにたたみながら、
右肩を落としての、ナナメウォーク。
「こんなんちゃうの?
タンゴウォークって」
と言わんばかりだ。
そんな彼の肩をトントンってたたき、
私はたずねた。
「ねぇ、なぜ、
わざわざヒザを曲げたり
腰を落としたりしているの?」
「え、だってそうするんでしょ?」
「そうするって誰が言ってたの?」
「誰って・・・
ホーキンスも言っていたし、
実際、見てもそうやってるし」
で、チョイ、
ホーキンスの姿を思い出したのか
「あ、ヤツは、
もっと背筋がスッと伸びてたな
・・・こんでどう?」
と言いながら
ひざは曲げ、腰は低くしたまま、
背筋をグッと起こしたんだ。
すると、
プリーン♪
コレ、何の音かというと、
オシリが出る音(笑)
ソウ、ヒデ君、こういう格好をすると
オシリが出ちゃうんですよね。
と同時に
パリーン♪
アバラも開いてしまう。
その様子をまんま伝えると
「え~ウソ!?」
あわてて、鏡の前で点検するや
「わ、ホンマや。
ブサイクなかっこう・・・
くそっ!まだ“ミツバチマーヤ”
治ってへんかったんか」
(第211話参照)
って悔しがるわけ。
残念ながら、そうなんよねぇ。
まっすぐに立つ&使える足を作る
プラクティスは続けてはいるものの、
長年の習慣から仕組みを成してきた、
骨格・筋肉の改造には忍耐強く向かい合わないと
一朝一夕には絶対行かないのよね。
落ち込むヒデ君に、
私は矛先を変えさせようとこんなことをたずねた。
「ねぇ、私と一緒に歩いているとき
(タンゴ・ウォーク・プラクティスのこと)
はどうしてるの?
ソウ(ヒザを曲げたり腰をかがめたり)してる?」
「ウーン・・・いいや、
あの時はそんなこと
(ヒザを曲げたり、腰をかがめたり)
をやっている間がないな。
ただ、音楽聴いて、キゲンよう歩いてる」
私がニコニコしているのを見て、
「え、あのときのほうがエエの?
アレはただズーッと歩いているだけで、
特にナーンにもしてないで」
って不思議そう。
そして、歩いてみせるわけ
「コレでいいってこと??」
ほとんど突っ立った感じで歩くヒデ君に
「そう!ソッチのほう
ずっと背が高く見えるし、
キョリも出てるよ。
さっきシャドウでやっていたのより
ずっといいヤン!」
と言うと、
「そらコッチのほうが歩きやすいけど、
コンナン“タンゴ”と違うンヤロ?」
私はその言葉を聞いてビックリしたし、
面白いなとも思いましたよ。
初心者だからって、侮れないわよねぇ・・・
だって、
ヒデ君はヒデ君ナリの
タンゴのイメージってものをすでに
脳の中では構築し始めてるってことでしょ?
たった数回しか見ていない映像の中から、
その記憶の断片をかき集め、
印象に残ったものをクローズアップし、
その人なりの解釈を施し、
タンゴというものをイメージ化していく・・・
コレ、ひょっとして誰でも
やっていることなのかもしれないけどね。
ソコから生まれる、思い込み・決め付け。
やがてそれらがミョウな“こだわり”と化し、
「イヤァ、
そうするもんだとズーッと思っていました」
で、クセがなかなか取れない。
コリャ私自身も気をつけなきゃなんないなと、
ヒデ君の様子から密かに学ばしていただきながら、
「ビデオなんかで言ってる
“コレがタンゴの基礎です”っていうのは、
もうすでに相当レベルの高いところから
始まっているって思わないとアカンよ。
言ってるとおり、
見たとおりをソク真似したって
決して目指すものにはならへんよ」
「世界のトップレベルの人は、
カラダができている、
もっと俺らカラダを作っていかないと、
やつらのようにはイカンっていうんヤロ?
ソレはわかるけど、
じゃ、トップのやつらの言う基礎に向かう前の、
“もっと土台の部分”みたいなのができたら、
ヒザを曲げても、腰を落としても大丈夫、
おかしくならないってコト?」
「ううん、ソウとも言えるけど、
あなたの今言った、
“もっと土台の部分”をモノにできれば
ヒザを曲げるとか
腰を落とすとかって表現される感覚が
実は、全然ベッコのモン
だったって理解できるわね」
ヒデ君、キョトンとし始め、
「ベッコのもん?」
「そうね、トップダンサーたちは、
言葉の表現としては、
“タンゴは他の種目より、
ヒザを曲げて、とか、腰を落として”と言うわね。
私もそう習ってきたしね。
ほとんど100パーセントのコーチャーがそう言う。
それが
あたかもタンゴの大前提のように・・・
でも、実際には、
カラダからもらっているタンゴでやるべき情報は、
実はそれだけでは絶対ナイわけ。
ものすごく繊細かつ膨大な情報が
カラダの色んな部分からやってくる。
そんなものすべてを言葉にしようとすれば、
もうコレは大変なことになるわ(笑)
で、
一番分かりやすいところの“ヒザを曲げても、
腰を落として”で、落ち着くわけ」
「まぁ、なんでもよう理解せんうちから、
外側だけマネしてたら、
アカンいうことやわな」
ヒデ君、
しみじみ感じ入ったように言い出したモンで、
私はチョイマジな話に持ち込んだんだ。
「タンゴってね、教えるのが難しいのよ。
できる人はデキルけど、
できない人はどんなにがんばっても上手くならない、
それどころかおかしくなる一方、そんな種目。
前にも言ったと思うけど、
クセが出やすい種目だからなのよね。
で、いろんな人を指導していて、
タンゴがどうしてその人の悪いクセを
助長させるのかって考えたんだけど、
最初の段階で習う、
タンゴというものの大前提
“タンゴは他の種目より
ヒザを曲げて腰を落として”
って言う
固定観念にあるんじゃないかって思ったわけ」
ヒデ君、
興味深げに身を乗り出して・・・
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レッスン開始前から、
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(イメージ・トレーニング) 用のDVDを渡し、
世界のマイケル・マリトースキーと
セルゲイ・サーコフご両人と“引き合わせ”
をした私であるが
今回のタンゴにおいては、
「ウーン、(DVDを薦めることは)
まだもう少し様子を見てからのほうがいいだろう」
って感じで、動かずにいたんだな。
なぜって、ヒデ君のタンゴが
あまりにも未知数であるから。
カラダの新体制による
インナーマッスル・サポート・ネットワークの形成が
成されつつある彼のカラダが、
(第346話参照)
どんなふうにタンゴってものをとらえ、
受け入れようとしていくのかを見届けてからでも
遅くはナイと思ったし、
ヒデ君マインドの潜在的な部分にまで
ググッと食い込みつつの指導をお任せすることになる
(ヒデ君のことだから、
また強力なりきりパワーを生むだろうからね)
DVDの中のお師匠さんを
誰にするかを決めかねていた、
ということでもある。
ソレと・・・実は、
コッチのほうが理由としてはデカいんだけれど
いまのヒデ君の目で、
世界のすごいダンサーのタンゴを見ても、
まぁ
“コトの真意”は見抜けないだろう、
それどころか
誤解してしまうだろうと踏んだからなんだ。
というのも、かつて
「ナァ、
タンゴの参考になる映像ってないの?
あるなら見せてよ」
との要請により、
ありモノで良かったらと何気なく
ビデオを手渡したことがあったんだ。
ホーキンスのベーシックレッスン。
ソレを見たヒデ君
「コイツ、顔もエエし、
きっとすごい人気あるヤロ?
マリトースキーとか(ラテン・ダンサー)と
全然感じが違うな」
と、フフって笑ってから、
しばらく見入り、そして
フーンって感じでこう言った。
「エライ簡単そうに踊ってんな」
続いて、
「スーッと立って、ピタッと組んで・・・
こんなん、すぐにでもできそうヤン」
ウーン、ヤッパソウくるよねぇ。
で、この言葉、
「きっとすごいことやってンやろうけど、
正直、オレにはさっぱり分からんわ」
「鑑賞してる分には、
チャチャチャとかの方が、変化があってオモロイな。
スタンダードって、
みんなずっと同じことしているように見えるんや」
ってコトで、
あんまし興味も沸かない様子なんだ。
「それにタンゴは音楽も
“どれ聞いてもみんな一緒”って感じがするネン」
ハーン、なるほどねぇ。
ならば、コレはイメトレより
体験先行のほうがいいだろうって思ったわけ。
スタンダードって、
ラテン以上に見ているのとやっているのとの
ギャップが激しいモンだしね、
実体験をすればDVDの見方も変わり、
そうなってはじめて映像レッスンの価値が
出てくるってことで、イメトレは後回し。
だから、そんなにまだタンゴのイメージって
ヒデ君の中にはナイハズなんだけど、ね。
今、目の前で繰り広げられている、
ヒデ君のウォーク・リンク・プロムナード
のアリャリャな動きに、
(第373話参照)
なんでなん???
笑いをこらえながら
凝視している私の様子に気付いたヒデ君、
「え?ジュンコ先生、
スゴイ顔して見てますけど・・・
そんなに俺、オカシナ動きしてる?」
「うん、してる(笑)
ビデオで撮って見せてあげたい」
と、言うと、
ヒデ君あわてたように
「わぁ、まだ、ビデオはええわ」
そして改めて
「どんなふうになってるのか教えて。
自分では結構、
コツをつかめたように思っててんけど」
と言うわけよ。
ってコトは、
初心者特有の無意識的行為ではなく、
自ら意識的に“やろう”とすることで、
こんな風になっちゃってるってわかったモンで、
それなら、チョイ今のうちから
意識転換しておかなきゃヤバイなと感じた私、
少々真顔で話し始めたんだ。
「あなたは背が高いでしょ・・・
180センチだった?」
「いや、そこまではナイ。
178センチかな」
「ソウ、でも今踊っている姿は、
ソレより20センチくらいも低く見えるよ」
「ウソ! 20センチって
・・・そんな大げさな」
とブッ飛びそうに驚くヒデ君、
それからチト考えるや、
したり顔(得意げな顔)に切り替わり
「ソラまぁ、
こうやってるからソウ見えるヤロ」
と言いながら、
ヒザを曲げ、腰を落として
・・・ってまた始めるわけ。
長い足のあまったヒザを窮屈そうにたたみながら、
右肩を落としての、ナナメウォーク。
「こんなんちゃうの?
タンゴウォークって」
と言わんばかりだ。
そんな彼の肩をトントンってたたき、
私はたずねた。
「ねぇ、なぜ、
わざわざヒザを曲げたり
腰を落としたりしているの?」
「え、だってそうするんでしょ?」
「そうするって誰が言ってたの?」
「誰って・・・
ホーキンスも言っていたし、
実際、見てもそうやってるし」
で、チョイ、
ホーキンスの姿を思い出したのか
「あ、ヤツは、
もっと背筋がスッと伸びてたな
・・・こんでどう?」
と言いながら
ひざは曲げ、腰は低くしたまま、
背筋をグッと起こしたんだ。
すると、
プリーン♪
コレ、何の音かというと、
オシリが出る音(笑)
ソウ、ヒデ君、こういう格好をすると
オシリが出ちゃうんですよね。
と同時に
パリーン♪
アバラも開いてしまう。
その様子をまんま伝えると
「え~ウソ!?」
あわてて、鏡の前で点検するや
「わ、ホンマや。
ブサイクなかっこう・・・
くそっ!まだ“ミツバチマーヤ”
治ってへんかったんか」
(第211話参照)
って悔しがるわけ。
残念ながら、そうなんよねぇ。
まっすぐに立つ&使える足を作る
プラクティスは続けてはいるものの、
長年の習慣から仕組みを成してきた、
骨格・筋肉の改造には忍耐強く向かい合わないと
一朝一夕には絶対行かないのよね。
落ち込むヒデ君に、
私は矛先を変えさせようとこんなことをたずねた。
「ねぇ、私と一緒に歩いているとき
(タンゴ・ウォーク・プラクティスのこと)
はどうしてるの?
ソウ(ヒザを曲げたり腰をかがめたり)してる?」
「ウーン・・・いいや、
あの時はそんなこと
(ヒザを曲げたり、腰をかがめたり)
をやっている間がないな。
ただ、音楽聴いて、キゲンよう歩いてる」
私がニコニコしているのを見て、
「え、あのときのほうがエエの?
アレはただズーッと歩いているだけで、
特にナーンにもしてないで」
って不思議そう。
そして、歩いてみせるわけ
「コレでいいってこと??」
ほとんど突っ立った感じで歩くヒデ君に
「そう!ソッチのほう
ずっと背が高く見えるし、
キョリも出てるよ。
さっきシャドウでやっていたのより
ずっといいヤン!」
と言うと、
「そらコッチのほうが歩きやすいけど、
コンナン“タンゴ”と違うンヤロ?」
私はその言葉を聞いてビックリしたし、
面白いなとも思いましたよ。
初心者だからって、侮れないわよねぇ・・・
だって、
ヒデ君はヒデ君ナリの
タンゴのイメージってものをすでに
脳の中では構築し始めてるってことでしょ?
たった数回しか見ていない映像の中から、
その記憶の断片をかき集め、
印象に残ったものをクローズアップし、
その人なりの解釈を施し、
タンゴというものをイメージ化していく・・・
コレ、ひょっとして誰でも
やっていることなのかもしれないけどね。
ソコから生まれる、思い込み・決め付け。
やがてそれらがミョウな“こだわり”と化し、
「イヤァ、
そうするもんだとズーッと思っていました」
で、クセがなかなか取れない。
コリャ私自身も気をつけなきゃなんないなと、
ヒデ君の様子から密かに学ばしていただきながら、
「ビデオなんかで言ってる
“コレがタンゴの基礎です”っていうのは、
もうすでに相当レベルの高いところから
始まっているって思わないとアカンよ。
言ってるとおり、
見たとおりをソク真似したって
決して目指すものにはならへんよ」
「世界のトップレベルの人は、
カラダができている、
もっと俺らカラダを作っていかないと、
やつらのようにはイカンっていうんヤロ?
ソレはわかるけど、
じゃ、トップのやつらの言う基礎に向かう前の、
“もっと土台の部分”みたいなのができたら、
ヒザを曲げても、腰を落としても大丈夫、
おかしくならないってコト?」
「ううん、ソウとも言えるけど、
あなたの今言った、
“もっと土台の部分”をモノにできれば
ヒザを曲げるとか
腰を落とすとかって表現される感覚が
実は、全然ベッコのモン
だったって理解できるわね」
ヒデ君、キョトンとし始め、
「ベッコのもん?」
「そうね、トップダンサーたちは、
言葉の表現としては、
“タンゴは他の種目より、
ヒザを曲げて、とか、腰を落として”と言うわね。
私もそう習ってきたしね。
ほとんど100パーセントのコーチャーがそう言う。
それが
あたかもタンゴの大前提のように・・・
でも、実際には、
カラダからもらっているタンゴでやるべき情報は、
実はそれだけでは絶対ナイわけ。
ものすごく繊細かつ膨大な情報が
カラダの色んな部分からやってくる。
そんなものすべてを言葉にしようとすれば、
もうコレは大変なことになるわ(笑)
で、
一番分かりやすいところの“ヒザを曲げても、
腰を落として”で、落ち着くわけ」
「まぁ、なんでもよう理解せんうちから、
外側だけマネしてたら、
アカンいうことやわな」
ヒデ君、
しみじみ感じ入ったように言い出したモンで、
私はチョイマジな話に持ち込んだんだ。
「タンゴってね、教えるのが難しいのよ。
できる人はデキルけど、
できない人はどんなにがんばっても上手くならない、
それどころかおかしくなる一方、そんな種目。
前にも言ったと思うけど、
クセが出やすい種目だからなのよね。
で、いろんな人を指導していて、
タンゴがどうしてその人の悪いクセを
助長させるのかって考えたんだけど、
最初の段階で習う、
タンゴというものの大前提
“タンゴは他の種目より
ヒザを曲げて腰を落として”
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