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チョット中休み エッセイvol.8 

一瞬のきらめきは進化の証

~進化とは退化すること!? ③~


今、思い出しても可笑しくなってくる。
「あなたは“イヌ”よ」
と言われたときのヒデ君の顔を思い出すと。
ウツロ眼で片鼻の横にシワを寄せ、
ハアッ?てな感じの呆れ顔。
しかもその上、

「あなたのダンスは進化していってる。
今、ようやく四足動物になってきたところ」


なぁんてマジ顔で告げられたって、
それで一体ドーナンって思ったヤロね。

褒められているのか?
けなされているのか?
ハテマタからかわれているのか?
戸惑い表情のヒデ君に私はこう言ったんだ。



「私、(デモを見て)うれしかったよ。
狙い通りの進化をしていってるなって思って。
(進化の速度は)思った以上に速いしね。
ソコだけ見れば、
マリトースキーに勝ってるんやない?」



「ヘッ、どういうこと?」
ヒデ君の顔に明るさが戻った。



「だって、彼ら、
世界のトップの人たちは小さい頃から踊ってる。
しかも英才教育を受けているでしょ?
でも、あなたは、
ダンスなんて無縁の人生を送っていた人だし、
ダンス的な筋肉、体つき、センス・・
才能面の無さは、
本人が一番分かっているだろうし」



ヒデ君、
突っかかりかけたがガマン。



「年齢だってソコマデ若くはナイ。
カラダを動かすことがなかった分、
肉体年齢は実際より老化していたもんね」



これにはヒデ君、
うなずかざるを得ない。



「そのあなたが、
短期間でこんな動きできるようになったなんて、

ある意味驚異的なこと

だと思うのよ」



「ソレは、自分でもビックリしているし
喜んでもいるけどね。
でも、ダンスとしてはドウなの?
映像見て、
『なんじゃコレ?』
って正直ショックやったし。
みんな、ホンマはドウ思ったんやろ?
って気にもなるし・・・」




「さっきも言ったけど、みんなは、
この人はものすごく上手なのか?
その反対か?
正直、分からなくもなったとも思うわ。
だってね、
たぶん自分のダンス人生の中で、
見たことのナイ動きだったんだもの」



「見たことのナイ動き? 
ジュンコ先生も?」




「うん、ソウね(笑) 
でも、私はこれでOKと思ったし、
たぶん、
コウなるだろうと踏んでもいた。
ちょっと予想以上だったから驚いたけどね」


私は話を続ける。


「みんなからも、それなりの良い評価を
受けることができた理由を言うとね、
まずは、これでエエンヤ!とばかり、

堂々と思い切り踊っていた

ところかな。
『ヨウ、あそこまでやるナァ』
って感じだったんじゃない?(笑)」



「ジュンコ先生は、
それで爆笑していたん?」




「そうよ。
で、ココからが重要なんだけど、
みんながハッと思ったもうひとつの理由・・・」
言いながら、私は、
テレビ画面にヒデ君のチャチャチャを映し出し、



「ほんの一瞬だけど、
ビックリするくらい
良い動きをしているところがあるからなの」
で、映像を巻き戻しながら、
あるシーンで止めた。



「例えば、この一瞬、
ココだけ見ればもう名人級よ」
の言葉に、
食い入るように自分の姿に見入るヒデ君。



で、突然、大きな声で、

ホンマや

カッコええ動きしてるヤン!!




「ココ以外にもいくつかあるんだけど、
これって、無意識でしょ?」



「モチロン。
自分がどんなカッコウして踊ってるのかなんて
全然知らんモン。
でもなんで、こんな動き、
できるようになってんやろ?」




カラダの中の“癒着(ゆちゃく)”がはずれ、

“フリーズ状態”

(凍りついたかのように固まった状態)
が溶け始め
骨、筋肉のパーツパーツが適材適所の位置で
本来の役割を取り戻しつつある今、
カラダの中に新たな“秩序”が
生まれようとしている、ヒデ君ボディ。
一瞬のきらめくような動きは、
その、カラダの新体制による、
インナーマッスル・サポート・ネットワークの形成
より生まれたものに他ならない。
そう

一瞬のきらめきは進化の証

なのだ。
そしてこの一瞬一瞬が、より精妙に高度化し、
そして、
踊っている間のすべての瞬間を
埋め尽くすことができるようになれば・・・
あぁ、マリトースキーもビックリ、
スペシャル・ダンス!だろうなぁ。
まぁこれって、私自身が憧れ、
今もなお、目指す道でもあるけどね。

ヒデ君自身は無意識のままに、
インナーマッスル・サポート・ネットワークの形成は
着実に進んでいるようだが、
もちろんまだまだビギナー体制、
完璧には程遠い。
ゆえに、
やり過ぎてしまったり、
ヘンテコリンな動きになってしまったり・・
が、不規則に混在するので
“見たことのない不思議な動きをする人” であり
“上手なのかどうなのか分からない人”となり
ある人にとっては
“暴れすぎ、
コレは(イングリッシュスタイル)ダンスやない!”
と目に映り、酷評をいただくこともあるだろう。
で、とにかく見苦しい動きはとっちゃェとばかり、
矯正されちゃうんだよねぇ。
しかしですよ、コレって気をつけないと、
そりやぁ、無駄でヘンな動きは
消し去ることはできるかもしんないけど、
一緒に、

きらめきの一瞬まで

奪うことになっちゃう・・・


だから、絶対NGなんだ。



「あなたの今回のダンスは例えるなら、
赤ちゃんがタッチして歩き出す前の時期、
高速でハイハイしているって感じよね」



「“イヌ”“四つ足動物”の次は、
赤ちゃんかいな!?
俺、みんなの前で
高速でハイハイしてたん?(笑)
・・・あかん、
ほんまに恥ずかしくなってきたわ」




「赤ちゃんのハイハイは、
“四つ足動物”運動のなごりなのよ。
ハイハイって見た目は手と足の運動だけど、
実は、
脊柱(せきちゅう)の動きの練習をしているのよ。
言わば、
脊柱(せきちゅう)の動きと
手足の動きの相関関係を赤ちゃん、学習中ってこと。
次なるアクション、
タッチとヨチヨチ歩き・・・に向けてね。
つまり、

肩甲骨辺りと骨盤辺りの連動という、

身体能力開発に欠かせない

エクササイズをやっているってワケ。

十分ハイハイした赤ちゃんは、
いいタッチ、歩きっぷりになるはずよ」



「ハーン、だからジュンコ先生から与えられた
“カラダほぐしメニュー”の中に
“四つんばいポーズで
肩甲骨・骨盤を好きなだけ動かす”

ってヤツが入ってるんか」

と、ヒデ君納得だ。

(このエクササイズはいずれ紹介しますね)



「そうよ。
ホントなら、実際にハイハイも
いいダンス用エクササイズになるよ。
身体能力を上げるために家の中では、
ソレ(ハイハイ)で移動するのもいいかも」
冗談ぽく言ったにもかかわらず



「そうか・・・でも今、
このカラダでソレやったら結構キツいやろな」

と、まじめに答えたヒデ君の素直さに、
愉快な気分になりながら



「さて、ココからが本題。
この半年間のヒデ君の進化を
一緒にたどってみましょうか」



「なぜ、俺が
“イヌ・四足動物”呼ばわりされながらも、
ソレが進化と言い切られ、
赤ちゃんのハイハイ・ダンスだったのに、
それで良し!
とジュンコ先生のお墨付きをいただいたのか、
ちゃんと教えてもらえるってコトヤネ」




「そう(笑)なぜ、私が
『ヒデ君、ちゃんとした進化のプロセスを歩んでいるよ』
と自信を持って言えるかのポイントは、
あなたの手、腕の動きにあるの」



ヒデ君、怪訝(けげん)そうな顔をして
「あの、すごいスピードで
ムチのようにぶん回してるヤツ?」




私は、うなずきながら
「アレはね

手が“前足”としての機能を思い出して来た証拠…」



      続く 第347話へ



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