2008.01.03 (第345話)チョット中休み エッセイvol.8 ~進化とは退化すること!? ②~
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チョット中休み エッセイvol.8
ソレは衝撃映像だった
~進化とは退化すること!? ②~
グループレッスンは、
半年間かけて一つの種目を練習する仕組みだ。
(今回はチャチャチャ)
で、あるテーマに沿って組み立てた
アマルガメーションを繰り返し学習しながら、
夏と冬2回のパーティで、
その学習の成果を発表するってワケ。
リーダー&パートナーは本番1ヶ月前に通達され、
ソコからカップルで音楽を選び、
エンディングのポーズも二人の協力で作ってもらう。
当日は1カップルずつの演技発表。
ギャラリー(私の生徒さん+お客様)には
心に残ったカップル
および個人の投票を依頼してあるため、
踊るほうも見るほうもかなり真剣だ。
パーティの最後に表彰式がある。
ジュンコ先生が選んだベストカップル賞と、
みんなから選ばれたMVPの発表・・・
今回、その
“MVPカップル”に選ばれたのが、
ヒデ君たちだったんだ。
パートナーは、
同い年の今回が初デモの女性。
ダンス歴は、二人足してもメチャ浅ながら
グループレッスンの中での
最年少同士のフレッシュなダンスは
見ている者の気持ちをつかんでしまった様子。
ただ、彼女とのダンシングだけではなく、
ヒデ君、個人的に
みんなから良い評価をしてもらえたねってことは、
審査結果を見てすぐにわかったわけ。
なぜって、
もう一人のベテラン女性とのダンスも結構、
ウケていたみたいだし
また、個人MVPもヒデ君に票が集まったんだ。
(カップルとのダブル受賞を避けるため、
実際には、同票だった
もう一人の男性を表彰することにしたが)
おまけに、もう1種目も、
(グループレッスン外で踊ったルンバ)
踊っている間はシーンとしていたギャラリー、
エンディングのポーズに入るや、
割れんばかりの拍手!!
だったんだもの。
ヒデ君は、
もちろん良い評価をされたことは
うれしかったろうが、
随分複雑な気持ちでもあったに違いない。
なぜって、評価を受けている割には、
みんなからの実際的な手ごたえには
「???」なものを感じたからだ。
「そういえばルンバのとき、
オレらが踊り始めたら
周りの空気が異様になったン感じたモン。
ナンカ、
みんなの表情が凍り付いているような・・・」
そして
「ジュンコ先生は、
俺のチャチャチャのどこを見て
あんなに笑っていたの?」
と真剣な面持ちで聞いてくるんだ。
で、私は答えた。
「うん、色々だけど、
とくに(フリーアームである)右手かな」
「そんなヘンやった?」
「・・・高速で動いていた(笑)」
「なんやソレ?
そんなん(右手を)動かそうナンテ
全然思ってナイで!」
ソウなのよね。
ヒデ君は今日の自分の
“動き”のほとんどが無意識のハズ。
だから、
あ~キツイだろうなぁ
自分の映像を見るの
・・・の時間がついにやってきてしまったんだ。
自宅での、
ビデオ編集をかねての試写会。
ヒデ君、
自分の踊る姿を見るなり
デェッカイ声で、
なんじゃこれッ!?
衝撃映像や・・・!!
自分のイメージしていたものとの
あまりのギャップに
「人を絶句させるつもりが、
オレが絶句してもた
(してしまった)やないか・・・」
その目は何か、
不可思議なものでも見ているようで、
異様な光を放っている。
ヒデ君のビデオ鑑賞語録
チャチャチャ
「ナンチュウせわしない動きやネン。
ビデオ、早送りしてルンかと思ったわ」
「右へ左へ、前へ後ろへ、
上へ下へ・・・いっこも(ちっとも)止まってヘン」
「ぐにゃぐにゃの骨ナシ。
コレ、人間の動きに思えんわ」
で、しばらくして
「ホンマや、右手・・・
ナンチュウ動きしとんねん!?」
と、釘付け。
「ね、言っていたとおりスゴイでしょ?」
と笑いながら言うや、
「ムッチャ振り回してるヤン!
ムチみたいや・・・」
で、
「ゼ・ン・ゼ・ン、
こんな(右手の)動き、覚えがないで」
つぎはルンバ・・・
「わ~これも忙しいナァ。
もっとユッタリと踊ってるつもりやったのに」
と、
「アカン、見てられへん」
画像から目を離し、
ヒジョーに暗い顔をして、
「ようコンナン人前で踊ったナァ」
と、ポソッ。
つい数時間前まで
「踊り切った!楽しかった!」
と、得意顔になっていた自分を思ったのか
「恥ずかしくなってきた・・・」
ソファーの上でヒザを抱え込んで
「なんか、(踊るの)イヤになった」
この気持ち、わかる。
私も現役時代、
何度も何度も経験してきたもの・・・よね。
ありのままの自分の真実を突きつけられたショック。
背負い切れないダメージ。
でも、だからって
励ますって気持ちなど毛頭ナイ、私。
なぜって、
こうなるであろうコトは読んでいたからだ。
「みんなが
ビックリしたってわかるでしょ?
この人、
上手いのか下手なのか分からないって
思ったってことも・・・」
「上手い?これが?
もうムチャクチャヤン」
「でも、MVPに選ばれたのよ」
「それは・・・」
色々言いたかっただろう、
でも混乱する頭の中で
自分の言葉の整理が付かないようで、
口をつぐんでしまったんだ。
しばらくして、ヒデ君、
少々冷静になってきたのか、
こんなことを言い始め
「なんで、
こんな踊りになってしまったんやろう」
で、
「ある意味、
アノ最初の頃の映像より今回のほうがショック、
デカイな」
アノ最初の頃の映像って、
去年の暮れに撮影したもの。
まだ、(ダンスに)全然ホンキになっていない、
ド初心者のときのものだ。
で、ヒデ君、リモコンをカチカチ操作し、
私と一緒にチャチャチャやルンバを踊っている
ダンス・デビュー当時の秘蔵映像
を映し出した。
ほとんど、足しか動いていない。
しかもシドロモドロといった感じだ。
右手は・・・だらりと下がったまま、
時折、ピクリと動く程度。
「よく動けるようになったじゃない!?
これに比べたら」
「そらそうやな。
まるで別人ヤロ・・・」
「コレからまだ1年しかたっていないのよ」
「・・・」
「ねぇ、スゴイことだと思わない!?」
ヒデ君、もう一度カチカチして
今日の自分のチャチャチャを映し出す。
見比べてみる気になったようだ。
「ホンマ、ヨウ動けるようになったわ、
ソレは自分でもビックリするくらいに・・・。
でも、マリトースキーやセルゲイとは
ゼンゼン違う」
私はニコニコして聞いていた。
「やつらもスゴク動くけど、
こんなせわしなく見えない。
そう、カラダがぶれていないんや。
オレのはグラグラ」
ココで一呼吸おいたヒデ君、
真顔になって、私に挑んできた。
「ナァ、このままやっていて
(こういうダンスを)
俺、ホンマにうまくなるの?」
イイよねぇ、こういう質問って。
とてもじゃないけど、
自分の生徒さんからは聞きだすことのない、
心地の良い猜疑心(疑う気持ち)だ。
「ジュンコ先生、
アンタの言う“良いダンス”って、
こういうもんかい?
こんなムチャクチャになって、
どーしてくれるんだ?
俺、ホンマに上手くなるのかよ」
って、ドスを突きつけられた瞬間よね。
もちろん、
強い信頼関係で結ばれている、ヒデ君でさえ
こう言いたくなって、
ある意味、当たり前だろうなぁって思うわけ。
アレだけ一生懸命練習したんだし・・・
自分の納得のいく
“上手”になっていっているのかどうか、
ソリャァ不安にもなるでしょう。
さて、
私は待ってましたとばかりコウ言ったんだ。
「もちろん、
スゴク上手くなってるじゃない!」
「・・・」
「あなたは進化の途中なの」
「進化?」
「うん、進化。
ようやく“四足動物”になったところかな。
ヒデ君だったら・・・ソウねぇ、
例えたら“イヌ”かな?」
「い、イヌって?四足って?
ソレって“退化”ヤン。
ジュンコ先生、
ナニ言ってんの?」
ヒデ君は、
バカにされたように思ったのか
少々怒りかけてる・・・?
私はコトモナゲに言ったんだ。
「ナニ言ってんの!
退化していくことが
ダンスでは、
進化していっているってことなのよ」
ヒデ君、唖然・・・
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チョット中休み エッセイvol.8
ソレは衝撃映像だった
~進化とは退化すること!? ②~
グループレッスンは、
半年間かけて一つの種目を練習する仕組みだ。
(今回はチャチャチャ)
で、あるテーマに沿って組み立てた
アマルガメーションを繰り返し学習しながら、
夏と冬2回のパーティで、
その学習の成果を発表するってワケ。
リーダー&パートナーは本番1ヶ月前に通達され、
ソコからカップルで音楽を選び、
エンディングのポーズも二人の協力で作ってもらう。
当日は1カップルずつの演技発表。
ギャラリー(私の生徒さん+お客様)には
心に残ったカップル
および個人の投票を依頼してあるため、
踊るほうも見るほうもかなり真剣だ。
パーティの最後に表彰式がある。
ジュンコ先生が選んだベストカップル賞と、
みんなから選ばれたMVPの発表・・・
今回、その
“MVPカップル”に選ばれたのが、
ヒデ君たちだったんだ。
パートナーは、
同い年の今回が初デモの女性。
ダンス歴は、二人足してもメチャ浅ながら
グループレッスンの中での
最年少同士のフレッシュなダンスは
見ている者の気持ちをつかんでしまった様子。
ただ、彼女とのダンシングだけではなく、
ヒデ君、個人的に
みんなから良い評価をしてもらえたねってことは、
審査結果を見てすぐにわかったわけ。
なぜって、
もう一人のベテラン女性とのダンスも結構、
ウケていたみたいだし
また、個人MVPもヒデ君に票が集まったんだ。
(カップルとのダブル受賞を避けるため、
実際には、同票だった
もう一人の男性を表彰することにしたが)
おまけに、もう1種目も、
(グループレッスン外で踊ったルンバ)
踊っている間はシーンとしていたギャラリー、
エンディングのポーズに入るや、
割れんばかりの拍手!!
だったんだもの。
ヒデ君は、
もちろん良い評価をされたことは
うれしかったろうが、
随分複雑な気持ちでもあったに違いない。
なぜって、評価を受けている割には、
みんなからの実際的な手ごたえには
「???」なものを感じたからだ。
「そういえばルンバのとき、
オレらが踊り始めたら
周りの空気が異様になったン感じたモン。
ナンカ、
みんなの表情が凍り付いているような・・・」
そして
「ジュンコ先生は、
俺のチャチャチャのどこを見て
あんなに笑っていたの?」
と真剣な面持ちで聞いてくるんだ。
で、私は答えた。
「うん、色々だけど、
とくに(フリーアームである)右手かな」
「そんなヘンやった?」
「・・・高速で動いていた(笑)」
「なんやソレ?
そんなん(右手を)動かそうナンテ
全然思ってナイで!」
ソウなのよね。
ヒデ君は今日の自分の
“動き”のほとんどが無意識のハズ。
だから、
あ~キツイだろうなぁ
自分の映像を見るの
・・・の時間がついにやってきてしまったんだ。
自宅での、
ビデオ編集をかねての試写会。
ヒデ君、
自分の踊る姿を見るなり
デェッカイ声で、
なんじゃこれッ!?
衝撃映像や・・・!!
自分のイメージしていたものとの
あまりのギャップに
「人を絶句させるつもりが、
オレが絶句してもた
(してしまった)やないか・・・」
その目は何か、
不可思議なものでも見ているようで、
異様な光を放っている。
ヒデ君のビデオ鑑賞語録
チャチャチャ
「ナンチュウせわしない動きやネン。
ビデオ、早送りしてルンかと思ったわ」
「右へ左へ、前へ後ろへ、
上へ下へ・・・いっこも(ちっとも)止まってヘン」
「ぐにゃぐにゃの骨ナシ。
コレ、人間の動きに思えんわ」
で、しばらくして
「ホンマや、右手・・・
ナンチュウ動きしとんねん!?」
と、釘付け。
「ね、言っていたとおりスゴイでしょ?」
と笑いながら言うや、
「ムッチャ振り回してるヤン!
ムチみたいや・・・」
で、
「ゼ・ン・ゼ・ン、
こんな(右手の)動き、覚えがないで」
つぎはルンバ・・・
「わ~これも忙しいナァ。
もっとユッタリと踊ってるつもりやったのに」
と、
「アカン、見てられへん」
画像から目を離し、
ヒジョーに暗い顔をして、
「ようコンナン人前で踊ったナァ」
と、ポソッ。
つい数時間前まで
「踊り切った!楽しかった!」
と、得意顔になっていた自分を思ったのか
「恥ずかしくなってきた・・・」
ソファーの上でヒザを抱え込んで
「なんか、(踊るの)イヤになった」
この気持ち、わかる。
私も現役時代、
何度も何度も経験してきたもの・・・よね。
ありのままの自分の真実を突きつけられたショック。
背負い切れないダメージ。
でも、だからって
励ますって気持ちなど毛頭ナイ、私。
なぜって、
こうなるであろうコトは読んでいたからだ。
「みんなが
ビックリしたってわかるでしょ?
この人、
上手いのか下手なのか分からないって
思ったってことも・・・」
「上手い?これが?
もうムチャクチャヤン」
「でも、MVPに選ばれたのよ」
「それは・・・」
色々言いたかっただろう、
でも混乱する頭の中で
自分の言葉の整理が付かないようで、
口をつぐんでしまったんだ。
しばらくして、ヒデ君、
少々冷静になってきたのか、
こんなことを言い始め
「なんで、
こんな踊りになってしまったんやろう」
で、
「ある意味、
アノ最初の頃の映像より今回のほうがショック、
デカイな」
アノ最初の頃の映像って、
去年の暮れに撮影したもの。
まだ、(ダンスに)全然ホンキになっていない、
ド初心者のときのものだ。
で、ヒデ君、リモコンをカチカチ操作し、
私と一緒にチャチャチャやルンバを踊っている
ダンス・デビュー当時の秘蔵映像
を映し出した。
ほとんど、足しか動いていない。
しかもシドロモドロといった感じだ。
右手は・・・だらりと下がったまま、
時折、ピクリと動く程度。
「よく動けるようになったじゃない!?
これに比べたら」
「そらそうやな。
まるで別人ヤロ・・・」
「コレからまだ1年しかたっていないのよ」
「・・・」
「ねぇ、スゴイことだと思わない!?」
ヒデ君、もう一度カチカチして
今日の自分のチャチャチャを映し出す。
見比べてみる気になったようだ。
「ホンマ、ヨウ動けるようになったわ、
ソレは自分でもビックリするくらいに・・・。
でも、マリトースキーやセルゲイとは
ゼンゼン違う」
私はニコニコして聞いていた。
「やつらもスゴク動くけど、
こんなせわしなく見えない。
そう、カラダがぶれていないんや。
オレのはグラグラ」
ココで一呼吸おいたヒデ君、
真顔になって、私に挑んできた。
「ナァ、このままやっていて
(こういうダンスを)
俺、ホンマにうまくなるの?」
イイよねぇ、こういう質問って。
とてもじゃないけど、
自分の生徒さんからは聞きだすことのない、
心地の良い猜疑心(疑う気持ち)だ。
「ジュンコ先生、
アンタの言う“良いダンス”って、
こういうもんかい?
こんなムチャクチャになって、
どーしてくれるんだ?
俺、ホンマに上手くなるのかよ」
って、ドスを突きつけられた瞬間よね。
もちろん、
強い信頼関係で結ばれている、ヒデ君でさえ
こう言いたくなって、
ある意味、当たり前だろうなぁって思うわけ。
アレだけ一生懸命練習したんだし・・・
自分の納得のいく
“上手”になっていっているのかどうか、
ソリャァ不安にもなるでしょう。
さて、
私は待ってましたとばかりコウ言ったんだ。
「もちろん、
スゴク上手くなってるじゃない!」
「・・・」
「あなたは進化の途中なの」
「進化?」
「うん、進化。
ようやく“四足動物”になったところかな。
ヒデ君だったら・・・ソウねぇ、
例えたら“イヌ”かな?」
「い、イヌって?四足って?
ソレって“退化”ヤン。
ジュンコ先生、
ナニ言ってんの?」
ヒデ君は、
バカにされたように思ったのか
少々怒りかけてる・・・?
私はコトモナゲに言ったんだ。
「ナニ言ってんの!
退化していくことが
ダンスでは、
進化していっているってことなのよ」
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