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さて、ジュンコ先生の
タンゴのレクチャーの続きに戻ろう。


「“タンゴの組み方”のプリント(第309話参照)
に関する質問、他にあるかな?」



「ハイ」
手を上げたのは坂田さんだ。

「⑨“男性、右アームで
女性の背中に少し深く触れる”の部分の、
質問というか、僕の抱えている問題です。
ホールドしたとき、

右の肩が前に出てしまうんです。

習ったように
“床からの反作用を利用して
カラダの中から手を上げよう”とか
“呼吸を使って”とかってやっていると、
少しマシになったように思うのですが、
それでもまだ気になります」




すると森田さんも

「あ、ソレはボクも同じです。
タンゴを踊っているとき、
人から

『右肩が上がっている』

とよく注意を受けるんです。
自分でも、女性と組んだあたりからもうすでに、
右肩が気になり始めるんですが、
どうしたら改善できるのか良くわかりません」




ジュンコ先生は、
うなずきながら聞いていたが

「OK。
では、実際に組んで見せてもらいましょうか。
坂田さんは、カナちゃんと、
森田さんには千恵子さん、お願いね。
他のみんなは、
どうアドバイスしてあげたら良いか
様子を見ながら考えてみてね」



2カップルがホールドを始め・・・



坂田さんの様子を見ていた、
平田さんが

女性を迎えに行き過ぎ

のように感じるのですがね。
右アームを前に伸ばすとき、
一緒に肩も持っていって、
結果、バランスも前に取られているようにも
見えますわな」




坂田さんは、
ハッとするような表情をして 

「ハイ、一生懸命、
女性を迎えにいこうとしています。
(女性の)背中に
深く手を入れないとってあせっていますね。
そういえばバランスも確かに、
右足、土踏まず辺りに立っていたつもりが
右アームを上げたときには、
ボールのほうに移動してしまっています
・・・アァ、それが原因かも」




ジュンコ先生はニコニコして

「そうね。
平田さん、よく観察できたわね。
坂田さんは女性を迎えに行き過ぎて、
右肩が前に出てしまうくらい
右アームを差し出しているわね。
その結果、
左胸が女性から
そっぽを向いた形になってしまう

それで右肩が前に出る。
それと、坂田さん、もう一度

一連の流れでスタートを切る

のプラクティス (第317話参照)を参考にして、
カラダの中の運動と呼吸を感じながら女性と組む、
シャドウでのシミュレーション(模擬実験)を
よーくしてみて欲しいの。
左アームの運動と
右アームの運動につながりがないのも
右肩の出る原因
だからね」



坂田さんが聞き返す。
「つながりがない?」



「そうよ。
左手で女性の手を取ってから、
自分のカラダの中や呼吸を感じる間もなく、
急いで右アームを女性の背中に
持っていこうとしていないかしら?」



「あぁ、そうしています」



「だからきっと、右足の上で、
床とのコンタクトが外れて
反作用のエネルギーがもらえない状態に
なってしまうのね。
女性と組んだ時点で、
お腹にパワーが来ていないでしょ?」



「ハイ。
ダメだ、組んじゃった、
もう早くスタートを切らなきゃって感じです(笑)」




「女性と合わせるのも大切だけれど、
自分のリズムを壊したり、
自分が床から離れてしまっては、
かえってNGよ」


「森田さんのほうはどうかしら。
誰かアドバイスできる人はいるかな?」
ジュンコ先生がみんなを見回すと



紀子さんが声をあげ
「右肩や腕が力んで、
緊張しているからではないでしょうか?」




森田さんは
「ハイ、確かにすごくチカラ、入りますね(笑)
タンゴのホールドは特にソウなんですが」




紀子さんは
「ひじ・・・
曲げようってすごく思っていません?
それで力むんじゃないでしょうか?」




「ソウ思っています。
タンゴのホールドなのでコンパクトにしようと
・・・あ、ソレが原因かもしれませんね」

(第316話参照)



ジュンコ先生は、
うなずきながら聞いていたが・・・

「これもいい指摘ね、紀子さん。
ひじを曲げる運動は、
上腕二頭筋(力こぶのできる側の筋肉)が
短縮したり
胸の筋肉も同じく短縮したりしがち
だから、
それら筋肉に引っ張られて、
結果、右肩が上がったり前に出たりするのね。
改善方法としては、腕をがんばって上げないことと、
わざとひじを曲げようとしないことね」



「え?腕を上げない、ひじを曲げない・・・
ではホールドにならないんじゃないですか?」

森田さん、少々解せないようだが、



ジュンコ先生は微笑みながら
「そんなことはないわよ。
骨のつながりだけを感じながら
右ホールドを作る
と可能なのよ」



骨のつながり?



余計にわからなくなったかのような
森田さんだが・・・



「腕は、胸鎖関節から始まって鎖骨、
まずココまでが一つながりね。
鎖骨は、関節をはさんで肩甲骨とくっついていて、
肩甲骨はまた関節をはさんで上腕をぶら下げている
・・・という構造だったわね。
(第163話参照)
ということで、
左の手で右鎖骨に触れて、
ソレ(右鎖骨)が横一直線に感じるところで、
楽に、ひじまでの上腕(肩からひじ)骨を前に
ホールドをする感じで上げていく

・・・そうすると、
ひじから下の前腕(ひじから手首まで)の部分は
内側に垂れ下がったままでしょ?
手首から先はさらに下に下がる

・・・これがひじが曲がっている状態、
これでタンゴの右ホールドのフレームはOKなの」



やってみながら、森田さんは
「エ、コンナ楽な感じでいいんですか?
でもこれだと、
弱すぎるような気がするのですが」




「これで、完成ではないわよ。
このフレーム中にエネルギーを通していくの。
そのときは(エネルギーの通り道である)筋肉を感じて
・・・ホラ、ちゃんと張ったホールドになったでしょ?」



「はぁ、なんとなくは理解できます。
ボクは最初から力んでいたんですね」




「さて、他にも実は男性の右肩が出る・上がる・・
ホールドのラインが崩れる原因があるのよ。
坂田さんも森田さんも、その傾向があるようね」
とジュンコ先生。



みんなは、きょとんとしているが・・・



「注目するべきは・・・“足先”よ」



「あ、開いていますね」



「そうよ・・・実はね、
そこに大きな問題があるのよ」

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      続く 第330話へ



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