2007.12.17 (第328話)チョット中休み エッセイvol.7 ~カラダが変化する喜び ④~
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チョット中休み エッセイvol.7
踊り過ぎを恐れるな
~カラダが変化する喜び ④~
「ビデオ撮ってみていい?」
と、言い出したのはヒデ君だった。
「ちょっと見るの怖いけど、
以前よりかは絶対に良くなってると思うし」
この“以前”と言うのは、そう去年の暮れあたり。
まだ、(ダンスに)全然ホンキになっていない頃に、
「最初の時期のビデオって撮っておくと、面白いよ。
これからドンドン上手くはなっていくけど、
時には行き詰ることもアル。
そういうときに見ると、
『あ~こんな時もあったんや。
これに比べたら良く踊れるようになったな』
って励みになるからね」
ってな、軽い気持ちで撮ったもの。
そん時は、
フンってな感じで笑っていたヒデ君だったけど、
これほどダンスに打ち込むようになるとはネェ~。
で、あの時とは全く違う、
気合の入ったダンスを撮影したわけですよ。
ヨーシ踊りきった!
ドレドレどんなふうに映ってるのか、
観てみようぞ!
と、ヒデ君、
デンとテレビの前に座り込むや、
今さっき撮ったばかりの映像に見入ること数分・・・
私は、画面はあんまり見ずに
(ダンスはいつも見てるんで)、
ヒデ君の表情を観察だ。
そりやぁ、
スゴイ鬼のような目つきでしたわね。
で、驚いたような、ガッカリしたような、
やっぱりといったような
なんともいえない顔をし、
「どうだった?」
と私が声を発するまで、
(映像が終わっても)ナーンにも言わないんだ。
で、ポツリ。
「これでは、アカンワ・・・」
「去年より上手くなっていたでしょ?」
という、
私のイジワルな質問に答える気力もないのだろう、
それには触れず
マジ顔でトンデモないことを言い出だすわけよ。
「マリトースキーみたいに
踊れてる気分やったのに」
思わず、
吹き出しそうになった私にかまわず、
「もう、ルンバはマリトースキー、
チャチャチャはセルゲイみたいに
踊れてるかなって思っていたのに・・・全然違う。
ムッチャ、ショック!」
ジョーダン?
イヤイヤこれ本気。
ヒデ君、マジで落ち込んでいるんだもん。
まぁ、こう言いたくなる気持ちは、
実はよーくわかるのよね。
脳の中では、
自分とマリトースキー、セルゲイが一体化。
見分けが付かなくなっちゃうモンなんだ。
それにしても、
イメトレ(イメージトレーニング)効きすぎ違うん?
って感じではあるけれどもね。
少し冷静になったヒデ君、
「キッツいナァ、
自分の姿、見るのって・・・」
と言いながらも、
ポソポソと自分のダンスの分析を始めたんだ。
「グニャグニャの“タコ踊り”。
カラダに芯がない」
「無駄な動きが多すぎる。
みんなが『良く動くねぇ』って言うハズや」
「右手(フリーアーム)が気に入らん。
気色の悪い動きをしてる」
それからハタと
何かを思い出したような目つきをするや
グループレッスンで
一緒になるアル男性の話をするわけよね。
「その人だけ、
ナンカ知らんけど俺のこと褒めてくれるネン。
というても、やっぱり『良くカラダが動いている』
ってコトやねんけど(笑)
でもその人が俺の傍に来てこう言うたんや。
『後、(ヒデ君に)足りんのは(足りないのは)
男らしさだけやな』
そうや、
ソレが一番欲してるものや・・・って思ったわ」
そして、ヒデ君、
ジュンコ先生はどう思う?
となったわけでスねぇ。
私は言った。
「今のままで全然良いよ。
良く踊れるようになったヤン」
ただの慰めを言っているようでもないし、
お世辞を言って励ますなんてありえないことだし、
それに、えらくハッキリと言い切るもんだから、
ヒデ君「???」
「固まっていたカラダがほぐれ、
良い意味でバラバラになってきて、
踊りたい 踊りたいって
カラダが欲する時やから、
踊らしてあげれば良い。
いっぱい動くのはイイコトやネンから」
といっても
ヒデ君ソレでも納得がいかない様子。
「でも、やりすぎてない?」
「自分ではどう感じる?
ビデオを見てではなく、
踊っているときのフィーリングとして」
「自分でもよくココまで
動けるようになったナァってうれしいし、
気持ち良いよ。
インナー・マッスルとかって
ジュンコ先生のブログにいっぱい出てくるけど、
自分がこんな風に動けるようになるとは
思わんかったから」
ヒデ君に自然な笑顔が戻ってきた。
「そうでしょ?
じゃ、それでいいのよ。
でも、もっと動けるようになりたいでしょ?
自分のカラダをたくさん味わいたいでしょ?
まさか、今のままでベストではないでしょ?」
「そらそうやん」
「じゃ、この先もまだまだあるってこと、
ソレさえ分かっていれば大丈夫よ。
今の時点で、見た目が悪いからという判断で、
その心地よさを犠牲にして、踊らないでおこう、
あまり動かないでおこうなんて
安易な考えではダメよ。
自分のカラダを信じて、
ドンドン思い切り踊って、
で、感じてみるのよ。
実際、
“過ぎる”って体験をしてみないと
“ちょうど良い”ってことも分からない
ことが多いわ」
この考えは、
私の現役時代の苦い体験から来ているんだ。
学連の頃は怖いもの知らずのイケイケだったけれど、
プロになって、身の程を痛いくらい知ってしまった私。
競技会の前日に、時の師匠から
「コラ、女子動きすぎや」
とか
「ソレは踊りすぎや」
と言われ、
その深い意味も解せないままに、
ホンマに当日踊ることをせず・・・
って時は、必ずダメ。
予選で落ちるなどのフガイない結果に。
自分を信じて好きに踊ってみれば良かった・・・
と思っても、後の祭りよね。
もう、すんごく後悔したものだ。
「踊って負けたほうがずっと潔くて良いし、
絶対、次につながる・・・」
でも反対に
タマタマ、(自分では踊った気がしないのに)
成績が良かったときなんて
余計にわからなくなっちゃったものだ。
で、出した結論が
自分も楽しく踊ったぁという実感があって
そんで持って、相手も楽しいって言ってくれて
ビジュアル、成績なりが後から付いてくるっていう
“三方良し”でなければ、
どこかおかしい・・・ってこと
「三方良しに行き着くための“目安”は、
自分の楽しさ・心地よさ。
だからこのまま、自分の本当の楽しさ、
心地よさを追及していって欲しいんだ。
ホンマにおかしくなったときにはちゃんと伝えるから。
軌道修正のために、
私、先生って言う存在はあるんやからね」
の言葉にうなずいたヒデ君。
さぁ、クリパ★本番はもうすぐだけど、
ソレが終わっても学びはズーッと続いている。
ヒデ君、がんばれ!のエールは永遠ね・・・
で、
ようやく最近になって、
「最終的には、
パートナーを引き立てる踊りが
できるようになりたい」
お、すごいこと言い出しましたな。
「一人っきりで踊るより、二人で踊るほうが楽しい」
ということに目覚め
「やつら、
どんなときもしっかり“床に立って” るもんな。
ソラ、女性を導けるわけや。
俺、なんもしてへんわ・・・まだ」
DVDのお師匠さんのカッコイイ動きの本質を、
そんな風に見抜き始めたヒデ君。
親はなくとも子は育つの心境!?
ヒデ君の成長を遠くで見守りながら、
クリパ★での発表を心待ちにしている
私なのである・・・(完)
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踊り過ぎを恐れるな
~カラダが変化する喜び ④~
「ビデオ撮ってみていい?」
と、言い出したのはヒデ君だった。
「ちょっと見るの怖いけど、
以前よりかは絶対に良くなってると思うし」
この“以前”と言うのは、そう去年の暮れあたり。
まだ、(ダンスに)全然ホンキになっていない頃に、
「最初の時期のビデオって撮っておくと、面白いよ。
これからドンドン上手くはなっていくけど、
時には行き詰ることもアル。
そういうときに見ると、
『あ~こんな時もあったんや。
これに比べたら良く踊れるようになったな』
って励みになるからね」
ってな、軽い気持ちで撮ったもの。
そん時は、
フンってな感じで笑っていたヒデ君だったけど、
これほどダンスに打ち込むようになるとはネェ~。
で、あの時とは全く違う、
気合の入ったダンスを撮影したわけですよ。
ヨーシ踊りきった!
ドレドレどんなふうに映ってるのか、
観てみようぞ!
と、ヒデ君、
デンとテレビの前に座り込むや、
今さっき撮ったばかりの映像に見入ること数分・・・
私は、画面はあんまり見ずに
(ダンスはいつも見てるんで)、
ヒデ君の表情を観察だ。
そりやぁ、
スゴイ鬼のような目つきでしたわね。
で、驚いたような、ガッカリしたような、
やっぱりといったような
なんともいえない顔をし、
「どうだった?」
と私が声を発するまで、
(映像が終わっても)ナーンにも言わないんだ。
で、ポツリ。
「これでは、アカンワ・・・」
「去年より上手くなっていたでしょ?」
という、
私のイジワルな質問に答える気力もないのだろう、
それには触れず
マジ顔でトンデモないことを言い出だすわけよ。
「マリトースキーみたいに
踊れてる気分やったのに」
思わず、
吹き出しそうになった私にかまわず、
「もう、ルンバはマリトースキー、
チャチャチャはセルゲイみたいに
踊れてるかなって思っていたのに・・・全然違う。
ムッチャ、ショック!」
ジョーダン?
イヤイヤこれ本気。
ヒデ君、マジで落ち込んでいるんだもん。
まぁ、こう言いたくなる気持ちは、
実はよーくわかるのよね。
脳の中では、
自分とマリトースキー、セルゲイが一体化。
見分けが付かなくなっちゃうモンなんだ。
それにしても、
イメトレ(イメージトレーニング)効きすぎ違うん?
って感じではあるけれどもね。
少し冷静になったヒデ君、
「キッツいナァ、
自分の姿、見るのって・・・」
と言いながらも、
ポソポソと自分のダンスの分析を始めたんだ。
「グニャグニャの“タコ踊り”。
カラダに芯がない」
「無駄な動きが多すぎる。
みんなが『良く動くねぇ』って言うハズや」
「右手(フリーアーム)が気に入らん。
気色の悪い動きをしてる」
それからハタと
何かを思い出したような目つきをするや
グループレッスンで
一緒になるアル男性の話をするわけよね。
「その人だけ、
ナンカ知らんけど俺のこと褒めてくれるネン。
というても、やっぱり『良くカラダが動いている』
ってコトやねんけど(笑)
でもその人が俺の傍に来てこう言うたんや。
『後、(ヒデ君に)足りんのは(足りないのは)
男らしさだけやな』
そうや、
ソレが一番欲してるものや・・・って思ったわ」
そして、ヒデ君、
ジュンコ先生はどう思う?
となったわけでスねぇ。
私は言った。
「今のままで全然良いよ。
良く踊れるようになったヤン」
ただの慰めを言っているようでもないし、
お世辞を言って励ますなんてありえないことだし、
それに、えらくハッキリと言い切るもんだから、
ヒデ君「???」
「固まっていたカラダがほぐれ、
良い意味でバラバラになってきて、
踊りたい 踊りたいって
カラダが欲する時やから、
踊らしてあげれば良い。
いっぱい動くのはイイコトやネンから」
といっても
ヒデ君ソレでも納得がいかない様子。
「でも、やりすぎてない?」
「自分ではどう感じる?
ビデオを見てではなく、
踊っているときのフィーリングとして」
「自分でもよくココまで
動けるようになったナァってうれしいし、
気持ち良いよ。
インナー・マッスルとかって
ジュンコ先生のブログにいっぱい出てくるけど、
自分がこんな風に動けるようになるとは
思わんかったから」
ヒデ君に自然な笑顔が戻ってきた。
「そうでしょ?
じゃ、それでいいのよ。
でも、もっと動けるようになりたいでしょ?
自分のカラダをたくさん味わいたいでしょ?
まさか、今のままでベストではないでしょ?」
「そらそうやん」
「じゃ、この先もまだまだあるってこと、
ソレさえ分かっていれば大丈夫よ。
今の時点で、見た目が悪いからという判断で、
その心地よさを犠牲にして、踊らないでおこう、
あまり動かないでおこうなんて
安易な考えではダメよ。
自分のカラダを信じて、
ドンドン思い切り踊って、
で、感じてみるのよ。
実際、
“過ぎる”って体験をしてみないと
“ちょうど良い”ってことも分からない
ことが多いわ」
この考えは、
私の現役時代の苦い体験から来ているんだ。
学連の頃は怖いもの知らずのイケイケだったけれど、
プロになって、身の程を痛いくらい知ってしまった私。
競技会の前日に、時の師匠から
「コラ、女子動きすぎや」
とか
「ソレは踊りすぎや」
と言われ、
その深い意味も解せないままに、
ホンマに当日踊ることをせず・・・
って時は、必ずダメ。
予選で落ちるなどのフガイない結果に。
自分を信じて好きに踊ってみれば良かった・・・
と思っても、後の祭りよね。
もう、すんごく後悔したものだ。
「踊って負けたほうがずっと潔くて良いし、
絶対、次につながる・・・」
でも反対に
タマタマ、(自分では踊った気がしないのに)
成績が良かったときなんて
余計にわからなくなっちゃったものだ。
で、出した結論が
自分も楽しく踊ったぁという実感があって
そんで持って、相手も楽しいって言ってくれて
ビジュアル、成績なりが後から付いてくるっていう
“三方良し”でなければ、
どこかおかしい・・・ってこと
「三方良しに行き着くための“目安”は、
自分の楽しさ・心地よさ。
だからこのまま、自分の本当の楽しさ、
心地よさを追及していって欲しいんだ。
ホンマにおかしくなったときにはちゃんと伝えるから。
軌道修正のために、
私、先生って言う存在はあるんやからね」
の言葉にうなずいたヒデ君。
さぁ、クリパ★本番はもうすぐだけど、
ソレが終わっても学びはズーッと続いている。
ヒデ君、がんばれ!のエールは永遠ね・・・
で、
ようやく最近になって、
「最終的には、
パートナーを引き立てる踊りが
できるようになりたい」
お、すごいこと言い出しましたな。
「一人っきりで踊るより、二人で踊るほうが楽しい」
ということに目覚め
「やつら、
どんなときもしっかり“床に立って” るもんな。
ソラ、女性を導けるわけや。
俺、なんもしてへんわ・・・まだ」
DVDのお師匠さんのカッコイイ動きの本質を、
そんな風に見抜き始めたヒデ君。
親はなくとも子は育つの心境!?
ヒデ君の成長を遠くで見守りながら、
クリパ★での発表を心待ちにしている
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