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さて、ジュンコ先生の

タンゴのレクチャー スタートだ。



まずはみんなに向けて、コンナ質問から。
「タンゴにおいてこんなこと習いたい!
というのがある人はいるかな?」



坂田さんから手が上がった。

「ハイ!タンゴらしく踊りたいです。
どうやったらそうなるかをゼヒ知りたいです。」




「坂田さんのイメージする“タンゴらしい”って
どんなものなのかしら?」
ジュンコ先生が問うと



「そうですね・・・。
シャープでスタッカートな表現かな?」




カナちゃんがソレを聞いて声を上げた。

「スタッカートってよく聞くんだけど、
音楽用語で言う“スタッカート”ですよね?

音と音との間を切って

歯切れよく演奏する
っていう・・・」




「そうです。
その歯切れのよさというか、
メリハリの利いた力強いタンゴが
踊れるようになりたいんです」

坂田さんが少々熱くなって言う。



「シャープ・スタッカート
歯切れのよい、メリハリが利いた、力強い・・・

『タンゴらしく踊りたい』という多くの方から、

こういう声があがるんだけれど、
なぜ、そんな風に踊りたいと思うのかしら?」
ジュンコ先生が問うと



「音楽の表現として、ではないでしょうか?」
トシ子さんだ。



「では、タンゴの音楽が、
シャープ・スタッカート
歯切れのよい、メリハリが利いた、力強い・・・
モノなのかしら?」

ジュンコ先生は、意味ありげに言う。

「確かにそういう演奏のものもアルし、
ソウでないものもある。

演奏形態によって違うし、

また

音楽的表現としては

強いモノばかりでもない
わ」

ジュンコ先生はそういって、
ある音楽をかけた。



♪ ♪ ♪ ♪~



「この曲は知ってるかな?」



“ラ・クンパルシータ”ですね。

タンゴ音楽の代名詞的なものです」

紀子さんが答える。



ジュンコ先生はうなずきながら

「世界一有名な音楽といわれながら、
色々謎に包まれた曲ね。
作曲者は“ロドリゲス”という
当時ウルグアイの工科大学の学生さん、らしいわね。
タイトルの
“クンパルシータ”(Cumparsita)という語は、
イタリア語の“コパルサ”(Comparsa)が
なまったものらしく、
意味は、“仮装行列”とか“カーニバル”。
この曲はもともと
カーニバルに参加する仲間のために
ロドリゲスが作ったものといわれているのよ」


「そしてこの曲には実は
歌詞がついているんだけど、
ロドリゲスの作った原詩は、
暗く、悲しいものなのよ、
曲からはとても想像できないような・・・



テーマは、

『見捨てられた男』

絶え間なく続く/
みすぼらしい仮面行列が/
悲しみでまもなく死ぬであろう/
やむものの回りを/練り歩く/
そのために/苦しみに充ちた/
過ぎ去った日を思い出しながら/
彼はベッドの中で/悲しげに泣いている/



みんなビックリした様子だ。



「へぇ~、なんか、寂しい~。
元気に力強く歯切れよく
踊るってイメージが沸かないですね、
コンナ歌詞を知ったら」

と、カナちゃん。



「それにね、演奏形態によっても、
コレだけ違ったものになるのよ」
ジュンコ先生はそう言って、
いろいろな演奏の“ラ・クンパルシータ”をかけてみる。


バンドネオンの音が強く出ているものや、
弦楽器の音が強く出ているもの・・



「何をここで伝えたかったかというと、
タンゴだからって、
シャープスタッカート力強い・・
という表現テクニックしか
持ち合わせていなかったら、
困るわねってことなの。
優しい・柔らかい・哀愁のある・センメンタルな・・
そんな表現テクニックも必要だってこと。

それに、
『よし、歯切れよく踊ろう!』って人ほど

力んでしまう、ブツ切れな動き

となってしまいがちね。
だから、正しい意味での
シャープ・スタッカート・力強いを目指すなら、
まずはその反対である、

ソフト

(切れていないで)

ズーっとつながっている 

表現を大切にする、コトをおススメするわ」



      続く 第292話へ



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