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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということ vol.2 

教師試験の不条理さ!?

~ダンスのプロって何なんだ?③~



さてさてジュンコサン、
前代未聞・絶体絶命の大ピンチ!
プロ教師1次試験まで、

なんと、一晩しかない!

半べそをかきながら、
詰め込み、丸暗記、
これがホントの一夜漬け・・・だわね。
さすがに“こりゃ大変”と思ったのか
師匠ご夫妻も一緒に夜中までお付き合いくださって、
なんとか、48個のアマルガメーション
すべてを解読できたときには、
アララ、外が白々と明け始めているでは、
あーりませんか!?
とうとう徹夜・・・。


フラフラしながら、昨日と同じ講習会場へ、
頭がボーっとしたままだったのが逆に幸いしたのか、
大した緊張もせずに、試験に突入。
ちょうど、明け方近くに苦労して覚えた、
クイックのアマルガメーションが出題され、
何とかクリア。



ふぅ~。



が、しかし、
講習直後の1次試験というわけか、
合格基準がかなり低く設定されていた模様で、

不合格者はほとんどナシ

だったそうな、
ってことを聞かされたとき、
え?あ?そんなもんなん?って、
正直、思いましたわね。
(1次試験はみんなの前で踊るため、
全員の踊りを見ることができたんだ)
まぁ、私が言うのもナンなんですが、
かなりすごい(悪い意味で)
踊りをしていた人もいたのも事実でして、
そのまんま見れば、

「あぁ、半数くらいは、
落ちちゃうのかなぁ」


なんて漠然と思っていたんですよ。
(また、そのくらい高いレベルの試験だと
勝手に思っていたんだな)
だって一応、“プロの踊り”の試験ジャン、
だのにねぇ・・・
そりゃぁ、足の順番は間違っていないし、
フットワークとかカタチはそれなりにあるんだけど、
ナァンカナァ、

ロボットみたいな感じで、

踊ってるってイメージじゃぁ全然ない人が、
意外や多いんだもの。
音楽がかかっての試験でないから、
余計かもしれないけれどね。
でもまぁ、1ヵ月後の本試験は、
コンナ甘くはないだろう、きっと・・・
って言うより、
もっと厳しいものであったほうが
良いんでないの?って思ったわね。
自分が受験するという観点に立てば、合格しやすい、
簡単なモンであって欲しい気はするけれど。
プロ教師になるための試験であるってことを考えれば、
ヤッパ、それなりの“格”ってモンが
要るんじゃないのかナァ
なんてぼんやりした頭で思っていましたよ。


で、自分はどうかといえば、
もう、今回のような
ギリギリでのアセリまくりぃーは絶対イヤだ。
ヨーシ、しっかり勉強しよ!
と奮い立っては見たものの、
正直、何をしていいのやらサッパリなんだよなぁ。

「エート“ワルツ2番の男子”はLODに面して、
“ナチュラルターン、アウト・サイドチェンジ、
ナチュラルスピンターン・・”」


なんて、ただただの丸暗記状態。
その頃は、
“ティチャーズ・シューズ”なんてものはなく、
ハイヒールを履いての試験だから、
バランスを取るのも一苦労。 

「えーっと、ココは、
T(=トウ つま先)バランスね」


なんて、モウ必死。
ちゃんとしようとすると、
足に力が入ってガチガチになっちゃう。


コンナ様子を現ジュンコ先生が見たら

「アラ、アラ
ジュンコさんよ、あなただって、
ロボットダンスじゃない!?
他の人のことを偉そうに言ってる場合じゃないわね」

ってたしなめられたでしょうね。


でもねぇ、仕方ないんスヨ。
教科書見ても、ちっとも意味がわかんないし、
ソレにね、1ヶ月なんてあっという間だもん。
48個のアマルガメーション、覚えるだけでも大変だよ。



で、



いよいよ試験当日。



まぁ、何とか大きな失敗もなく終了。



しばらくして、合格通知が・・・。




現ジュンコ先生
「ジュンコさん、おめでとう。
どう?プロの教師になった感想は?」



ジュンコ
「え?どうって、別に…
プロの教師になったぁ!
って実感なんてないもん」




「アラ、
エラクふてくされているじゃない!?(笑)」



「だってネェ、なんか、
こんなんで合格しちゃって
いいんかナァって感じなんだモノ。
確かに、プロの免許は手に入ったかもしれないけど、
自分にその実力があるってわけじゃないし・・・」




「でも、落っこちなくて良かったでしょ?」



「ウーン、そりゃぁ、ソウ。
すごくホッとはしているよ。
でも、満足感もなければ、うれしくもない」




「アラアラ、ハッキリ言うのね」



「だってね、合格したって言っても、
ソロ試験なんて、
丸暗記して、カタチ通りこなしただけ、
踊りの試験って言うより、
記憶力の試験って感じで終わっちゃったし、
カップル試験も師匠に踊ってもらったから、
(合格して)当然で、私の実力じゃない。
それにね、

試験が終わった途端に

ぜーんぶ忘れちゃった!


特に男性ステップなんか、
実際に女性と組んでやったこともないから、
もう、今の時点ですでに思い出せないし、
怖いことに、きっと、女性とちゃんと踊れない…
だから、人に教えることなんて絶対無理!
って自分で分かってるんだもん」




「そう、ソレを聞いてホッとしたわ」



「え?」



「ソウいう自覚がある限り、大丈夫」



「そういう自覚ってどんな・・・?」



「自分はただ単に

プロの教師免許を持っている人であって、

まだ、

自分の目指すプロの教師ではない・・・」



「・・・」



「イイ?良く聞いてね、
今、ジュンコサンはプロの教師になる
大いなるきっかけを手に入れただけで、
これから、

自分が理想とする教師に

自覚を持ってなっていく
のよ」



「え?
自分が理想とする教師になっていく…?」




「そう、最終的には、
自分で自分に“免許”を与えるものだからね。
社会の機関や、他人が
『ハイ、今日からあなたはプロの教師ですよ』
って決めるものではない。
目安やきっかけにはなるけれどね」



「今だと、
その言葉の意味がよーく分かるナァ。
でも、そういうふうに考えてみると、
今回の受験だって取り組み方を変えれば、
モウチッと有意義なものになったかも知れないナァ。
“ハイ、終わりーで後は何も残らない”
ってモンじゃなく・・・」




「オッいいところに気がついたわね(笑)
ジュンコさんは今回、

“とにかく合格すること”が

目的になっちゃった
から、

合格した時点で、文字通り、終わっちゃったのね。
ソウではなく(合格することを目的とするのではなく)
違う目的を設定し、受験も、合格することも、
そのプロセス、手段に過ぎないって
最初からヤッテレバ、事態は変わったでしょうね」



「ヘェ~、そういうことかぁ。
その辺のところ、
ちょっと見直してみようかな」




      続く 第288話へ



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