2007.11.04 (第285話)社交ダンスを教えるということ vol.2 レッスン・プロ?受験の宣告
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特別シリーズ
社交ダンスを教えるということ vol.2
レッスン・プロ?受験の宣告
~ダンスのプロって何なんだ?①~
「あ、モウそろそろ、
来ハル(いらっしゃる)時間ヤワ」
毎週木曜2時、スタジオに現れるその女性に、
新人教師ジュンコは興味シンシンだった。
どうも、師匠の大切な生徒さんのようなんだけどね、
なんだか様子がフツーじゃないんスよ。
年齢不詳。
いや、たぶん70前後か?
つまりは、一般的に言えば
“おばあちゃん”って風なのに、
化粧がですネェ、濃いんですよ。
でね、
眉毛やアイラインがくっきり過ぎるのも、
ショッキング・ピンクの口紅も
それだけ見れば、
おぉ、すげぇ!って感じなんだけど
チョイ派手目のダンスウエアに
妙にマッチしているモンだから、
違和感なはずが、
不思議な調和の空気をかもし出している・・・
ソンでもってさらに「??」だったのは、
ダンスが意外と上手い(失礼!)ってことなんだ。
師匠
「今日は何(レッスンを)する?」
女性
「ルンバ、お願いします」
で、
オープンヒップツイスト
アレマーナ
・・んん?
わぁ、
私の知らんベーシックまでこなしてハルヤン。
動きも、年齢からしたら、
シャキシャキしてるし。
しばらくすると・・・
「次、ワルツ、お願いします。
実はチョッと分からないところがありまして…」
と、やたら熱心でもアル。
ナーンか不思議。
でもね、毎週となれば
結構レッスン費用もかかるわけで、
おばあちゃん、大丈夫なんかナァ、
とジュンコは少々気がかりでもあったんだな。
その日、彼女が晴れやかな顔で
帰られるのを見送ってから
私は師匠に思い切って尋ねてみたんだ。
「熱心ですよね・・・。
チョッと不思議なムードの方ですが、
何かしていらっしゃるんですか?」
「あぁ、アレはプロや」
「え?プロって何の?」
「『何の?』やあらへんがな。
ダンスに決まってるヤロ」
「へぇっ!?ダンスのプロって、
あのお歳で競技会に出てハルんですか?」
「競技は関係ない。
レッスン・プロや」
へ? レッスン・プロ?
ソレって一体なんだ?
私は、頭が混乱していた。
文字通り、ダンスのレッスンをする
プロって言う意味なのだろうが、
競技会にも出ないで、
レッスンだけをやっている
プロの人が存在するなんて、
私、恥ずかしいかな、
まったく認識がなかったんだよね。
「じゃぁ、
生徒さんを教えているってことですよね、
・・・あの方」
「ソウや。
たくさんの生徒、いてるんやで」
はぁ、なるほど、
それで・・・
自分の技術を磨くために
ココに習いに来ているのか、
とか、
ステップをたくさん知ってはるンヤ、
とか、
という、納得と共に、
ハッキリ言って、
オドロキィ~でもありましたよね。
たくさんの生徒を教えてるって!?!?
正直に言おう。
あのおばあちゃんから
生徒さんたちは
一体何を習うんだろう?
が、一番の疑問だったんだ。
なぜって、確かに元気に動いてハルけど
すごく上手い!とは言いがたい。
私にとってダンスのプロって、
とってもスペシャル・テクニックの持ち主で、
バンバン競技会に出て自分を磨き、
ってな、イメージだったもんで・・・。
と、ここで、
私は、フト気になり、師匠に聞いてみた。
「ところで“私”は、
プロ・・・なんですか?
ココ(スタジオ)に来た時から。
もう、レッスン料、いただいてるし・・・」
「ん?いや、厳密にはまだや」
「まだって、
プロの競技会に出ていないからですか?」
「いいや、自分、
資格まだ持ってヘンやろ?」
「資格って?
プロの資格ってあるんですか!?」
「そらアルよ!お前さん、
ホンマに何にも知らんのやな」
と、師匠は苦笑いしてから、
「“プロ教師の資格”や。
ちゃんと試験もあるんやで」
「プロの競技会に出てる人は、
みんなプロの教師資格って持ってるんですか?」
「モチロン、ソウでないとあかん・・・」
と、突然、
「そや、思い出した!
もうすぐ(教師試験が?)アルんやった。
受けささなあかんわ」
とか何とか、ひとり言を言い出し、
その手配をするためか誰かに電話をかけ始めたんだ。
オイオイ、
“プロ教師資格試験”って、
そんなモンがあるんかいな。
いつかは、私もソレを受けんとアカンのやろう。
どうも、さっきの師匠の話だと、
その試験に合格して初めて
正真正銘の
“プロ”というモノにやっとなれるんだろうし。
なんて思ううちに、私は、
気持ちが暗ーくなってきたんだよね。
試験勉強なんて、
あの、大学受験のイヤァな日々を
また体験するのかと思ったら、
ウンザリじゃない。
と、思っているところに、
師匠から声がかかり、
スタッフルームに呼ばれたんだ。
で、おもむろに
「お前さん、受験せなアカンワ」
へ?ってあの、
さっき話題に上った“プロ教師資格試験”のこと?
って、まだまだ先の話でしょ?
「試験は、来月や」
は、はぁ?
「受験者対象の講習は、
試験の1ヶ月前にあるんやけど、
今、問い合わせたら、
もうおとといから始まってたわ・・・」
ええ~ッ!!
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レッスン・プロ?受験の宣告
~ダンスのプロって何なんだ?①~
「あ、モウそろそろ、
来ハル(いらっしゃる)時間ヤワ」
毎週木曜2時、スタジオに現れるその女性に、
新人教師ジュンコは興味シンシンだった。
どうも、師匠の大切な生徒さんのようなんだけどね、
なんだか様子がフツーじゃないんスよ。
年齢不詳。
いや、たぶん70前後か?
つまりは、一般的に言えば
“おばあちゃん”って風なのに、
化粧がですネェ、濃いんですよ。
でね、
眉毛やアイラインがくっきり過ぎるのも、
ショッキング・ピンクの口紅も
それだけ見れば、
おぉ、すげぇ!って感じなんだけど
チョイ派手目のダンスウエアに
妙にマッチしているモンだから、
違和感なはずが、
不思議な調和の空気をかもし出している・・・
ソンでもってさらに「??」だったのは、
ダンスが意外と上手い(失礼!)ってことなんだ。
師匠
「今日は何(レッスンを)する?」
女性
「ルンバ、お願いします」
で、
オープンヒップツイスト
アレマーナ
・・んん?
わぁ、
私の知らんベーシックまでこなしてハルヤン。
動きも、年齢からしたら、
シャキシャキしてるし。
しばらくすると・・・
「次、ワルツ、お願いします。
実はチョッと分からないところがありまして…」
と、やたら熱心でもアル。
ナーンか不思議。
でもね、毎週となれば
結構レッスン費用もかかるわけで、
おばあちゃん、大丈夫なんかナァ、
とジュンコは少々気がかりでもあったんだな。
その日、彼女が晴れやかな顔で
帰られるのを見送ってから
私は師匠に思い切って尋ねてみたんだ。
「熱心ですよね・・・。
チョッと不思議なムードの方ですが、
何かしていらっしゃるんですか?」
「あぁ、アレはプロや」
「え?プロって何の?」
「『何の?』やあらへんがな。
ダンスに決まってるヤロ」
「へぇっ!?ダンスのプロって、
あのお歳で競技会に出てハルんですか?」
「競技は関係ない。
レッスン・プロや」
へ? レッスン・プロ?
ソレって一体なんだ?
私は、頭が混乱していた。
文字通り、ダンスのレッスンをする
プロって言う意味なのだろうが、
競技会にも出ないで、
レッスンだけをやっている
プロの人が存在するなんて、
私、恥ずかしいかな、
まったく認識がなかったんだよね。
「じゃぁ、
生徒さんを教えているってことですよね、
・・・あの方」
「ソウや。
たくさんの生徒、いてるんやで」
はぁ、なるほど、
それで・・・
自分の技術を磨くために
ココに習いに来ているのか、
とか、
ステップをたくさん知ってはるンヤ、
とか、
という、納得と共に、
ハッキリ言って、
オドロキィ~でもありましたよね。
たくさんの生徒を教えてるって!?!?
正直に言おう。
あのおばあちゃんから
生徒さんたちは
一体何を習うんだろう?
が、一番の疑問だったんだ。
なぜって、確かに元気に動いてハルけど
すごく上手い!とは言いがたい。
私にとってダンスのプロって、
とってもスペシャル・テクニックの持ち主で、
バンバン競技会に出て自分を磨き、
ってな、イメージだったもんで・・・。
と、ここで、
私は、フト気になり、師匠に聞いてみた。
「ところで“私”は、
プロ・・・なんですか?
ココ(スタジオ)に来た時から。
もう、レッスン料、いただいてるし・・・」
「ん?いや、厳密にはまだや」
「まだって、
プロの競技会に出ていないからですか?」
「いいや、自分、
資格まだ持ってヘンやろ?」
「資格って?
プロの資格ってあるんですか!?」
「そらアルよ!お前さん、
ホンマに何にも知らんのやな」
と、師匠は苦笑いしてから、
「“プロ教師の資格”や。
ちゃんと試験もあるんやで」
「プロの競技会に出てる人は、
みんなプロの教師資格って持ってるんですか?」
「モチロン、ソウでないとあかん・・・」
と、突然、
「そや、思い出した!
もうすぐ(教師試験が?)アルんやった。
受けささなあかんわ」
とか何とか、ひとり言を言い出し、
その手配をするためか誰かに電話をかけ始めたんだ。
オイオイ、
“プロ教師資格試験”って、
そんなモンがあるんかいな。
いつかは、私もソレを受けんとアカンのやろう。
どうも、さっきの師匠の話だと、
その試験に合格して初めて
正真正銘の
“プロ”というモノにやっとなれるんだろうし。
なんて思ううちに、私は、
気持ちが暗ーくなってきたんだよね。
試験勉強なんて、
あの、大学受験のイヤァな日々を
また体験するのかと思ったら、
ウンザリじゃない。
と、思っているところに、
師匠から声がかかり、
スタッフルームに呼ばれたんだ。
で、おもむろに
「お前さん、受験せなアカンワ」
へ?ってあの、
さっき話題に上った“プロ教師資格試験”のこと?
って、まだまだ先の話でしょ?
「試験は、来月や」
は、はぁ?
「受験者対象の講習は、
試験の1ヶ月前にあるんやけど、
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