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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということ vol.1 

できないという貴重な体験

~初心者教師 初心者を教える③~



以下、現在のジュンコ先生と、
新人教師ジュンコとの会話である。


現ジュンコ先生
「ダンスをやったコトがない、
初心者のカラダってものを、知らなさ過ぎるのよね」




新人教師ジュンコ 
「そんなこと言ったって、
私自身今はもう初心者じゃないモン。
わかんないよ」





「でもあなたにも
“初めて”って時があったでしょ?」




「まぁ、ソリャァそうだけど・・・。
大学のときだからナァ」





「初心者に戻ることはできなくても、

“初心に戻る”コトはできるでしょ?」




「その初心に戻るって意味が、
イマイチわかんないんだなぁ。
だってね、私、結構ドンくさかったけど、
ジルバではそれほど困ったって経験がないし、
マンボだってササッと踊れたからねぇ。
正直、ビックリしてるんだ、
みんな

あんなにできないなんて・・・」





「そんなこと言ってるようじゃぁ、
いい先生になれないわね」




「へ? 」




「自分が

踊れるからといって

教えられるとは限らない
のよ。

ジュンコさんは学連で
競技ダンスをズーっとやっていた。
だから、踊るスキル(テクニック・ノウハウ)は
それなりにあるでしょう。
でも、だからといってそれがそのまま、

教えるスキルにはならないのよ」




「はぁ…」




「優れたダンサーほど、
かえって良い先生にならない場合が多いの。
できない人の“カラダ”や“気持ち”が
理解しにくいからね」




「あぁ、それなら大丈夫です(笑)
私、優れたダンサーでは全然ありませんから」





「確かにね(笑)
でも、ジルバやマンボに関しては、
できないで悩むという体験は、
ナシなンでしょう?優秀じゃない!?」




「いやぁ、アレはまだ簡単だもん・・・
ってなるから、ダメなのか。
でもなぁ、ジルバやマンボが
ササッとできない人のカラダや気持ちを
分かってあげましょうって言われたって、
ホントのところ、
本人でないとわかんないでしょ?」





「そこのところを
『わかんない』で済ましてしまわずに、
勉強していくのがプロの先生ってものよ。
自分の体験がないところは、

生徒さんを通して

できないという擬似体験が可能


でしょ!?」




「できないという擬似体験?」




「良い指導者になるためには
できるだけ多くのパターンの

“できない”

“わからない”


“失敗”を体験しておくほうがいい

からね。
体験がないと、認識がない。
認識がないと、的外れな指導をしたり、
知らず知らず、
かなり高度な要求をしてしまっていても
気がつかない・・・」




「あぁ、なんかその感じ、よく分かります。
最初のジルバのレッスンなんて、
ムッチャ、ズレてたと思います。
しょっぱなの
スロー・スロー・クイック・クイックから
アンナに手間取るとは・・・ 
自分の体験外だったから予想できなかったもんなぁ」





「そうね。
だからイイ?ジュンコさん、
これからは、
『どうしてこの人、コレができないんだろう?』
とか
『何でそんな変な動きをするんだ?』
って場面に出くわした場合、
先生の立場として

『新たな体験のチャンス到来』

だと思えればOK。
『こんな簡単なことが何でできないんだ!?』
なんて叱ったり、
イライラしたりしている場合ではないし、
ササッと見栄えだけを良くするように教えて、
その場を切りぬけちゃうなんてコトをしては、
もったいないわ。
モチロン、教えるほうが
『こんなに難しくないハズなのにぃ~』
ってうろたえたら、
何にも見えなくなっちゃうしね」




「耳の痛い話だナァ。
でも、
『新たな体験のチャンス到来』って意味では、

初心者ってすごく貴重で

ありがたい存在
ですよね。

だって、
“できない・わからない・失敗”の宝庫なんだもん。
なぜって、本当にまったく“知らない”わけで、

カラダが純粋な反応をする・・・」





「その通り!
その人たち(初心者たち)と一緒に
“できない擬似体験”をすることは、
教育者にとって貴重な財産よ」




「じゃ、私、今とっても
“お得な立場”にいるんですね(笑)
スタジオに来る初心者はほとんど、
下っ端の私に回ってくるんだもん」





「社交ダンス先進国では、
逆さまナンだけれどもね」




「え??」




「初心者にはもっともベテランの教師がつくのよ。
それくらい

初心者を導くことは難しく

教師本人の勉強にもなる
・・・」(第34話参照)




「アハッ!(笑)
ウチの師匠が、初心者の方相手に、
マンボやジルバを踊る姿を想像したら、
なんだか笑っちゃうナァ」





「日本はパーティダンスという名目であっても、
実は競技ダンススタイルがほとんどだからね。
マンボやジルバでも、
もう難しすぎるのよ、初心者には。
まぁ、この件に関しては
またオイオイ説明するとして・・・。
とにかく、
生徒さんと一緒に“できない体験”をすることで、
その人が何につまずいているのかがダンダンと見えてくる。
そして解決の糸口を探し出していくのよ。
そうやってあるひとつの解決のパターンができると、
今度また、似たような感じの
“できない”生徒さんにめぐりあった場合、
前例があるので、解決しやすくなっているはず。
実際、

一人の“できない”は

多くの人の“できない”に

つながっている可能性が高い
わ。

つまり、同じようなパターンで
悩んでいる人がとても多いってこと」




「なるほどね・・・。
じゃぁ、今回の
“ミナミ様のジルバ”
(第272話参照)
“Mさんのマンボ”(第273話参照)
も、同じことなんですよね?
ジルバやマンボを教えたときに、
あの方たちのようになっちゃう人は、
他にもたくさんいるだろうってコト・・・」





「そうなのよ。
第2のミナミ様、Mさんに出会ったときに、
もっと良いアドバイスやレッスンをすることができて
『イヤイヤ、ダンスって難しいモンですナァ』
ではなく
『こんなこと、
自分にできると思っていなかった・・・楽しい』

って言ってもらえるようならないとね。

踊るって行為は本来

難しいものではなく楽しいこと


なんだから」




「あのぉ、ちょっと気になったんですけど
さっき
『初心者を導くことは、教師本人の勉強にもなる』
って言われましたでしょ?
それに
『今現在のあなたのテクニックを見直すこともできる』
とも。
それって、ジルバやマンボみたいな
超初心者ダンスを教えている場合でもソウなのかな?」





「モチロン!
そうじゃないと、社交ダンス先進国で
わざわざベテラン教師が初心者につかないでしょ!?」




「え?ベテラン教師が初心者につくのは、
知識と経験が豊富だからではないの?」





「そういう意味でもあるけれどね。
モウひとつの大切な意味は、

優れたベテラン教師ほど

自分のダンス力を上げるために

わざと初心者のレッスンをかってでる
のよ」




「ダンス力・・・って?」




「ウーンそうね、
本当に

“社交ダンスが上手くなる力”かな?

たくさんのテクニックで
見えなくなってしまっている大切なモノを、
取り戻すために。
また、踊るということの本質を感じなおすために・・・
初心者の純粋なハート&ボディを通し
先生のほうも学んでいく
わけよ」




「ふーん・・・
それって具体的にはどういうことなの?」





「ジュンコさんが、
初心者のレッスンの体験を一つひとつ大切に
積み重ねることによって、
自然に感じ取ってゆくものでしょうね」




「なんだか、すごいことみたいだけど、
まだまだ未知の感覚だなぁ。
でも、ちょっと見直してみるわ。
“ジルバ&マンボ”のレッスン体験、
そこから何を学んだのか・・・」




      続く 第275話へ



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