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特別シリーズ 
社交ダンスを教えるということ vol.1 

生まれて初めてのレッスン体験

~初心者教師 初心者を教える①~



その日私は、朝から緊張していた。
何度も、真新しいレッスン予約帳の
ソノ部分を確認する。
夕方7時の欄にある“ミナミ様”の文字。

ソーナンスヨ。
実は、今日“先生デビュー”なんすよ。
他にはナァンにも書いていない、
真っ白なページにポツッと書かれた

“ミナミ様”ってのが、

記念すべき、
私、ジュンコの初めての生徒さんなんだ。

“ミナミ様”は、
最初からジュンコ先生の
レッスン希望であったわけではい。
そりゃソウよね。
ココは一応ブランドしょってる、
大阪の某有名スタジオ。
そこに大学出タテの

ホヤホヤ新人教師がいるなぁんて、

ダァレも、ましてや、
その“ミナミ様”が知っているはずもない・・・


3日くらい前だったかな
突然、スタジオに電話がかかってきて

「ミナミと申します。
全くの初心者なんですが、
夫婦でレッスンを受けたいんです」


とおっしゃったときは
同じ習うんなら、
名前の通ったスタジオの方がイインでないの?
ぐらいのノリだったと思うんだ。
ウチのスタジオでは
(他はドウだか知らないんだけど)
この(電話予約の)段階で
「ご希望の担当教師は?」なんて聞かない。
まぁ、教室名になっているような
“有名・看板教師”に習いたい場合は、
ムコウ(生徒となる側)のほうから
絶対に言ってくるしね。
で、今回のような“一見さん(いちげん)”の担当が
ダレに決まるかは、正に、時の運なんだ。
(ちなみに個人レッスンの“体験レッスン”もナシ。
初回担当の教師がズっーとその後も教えることなる。
基本的に変更は不可)
で、その“ミナミ様”、運の悪いことに




「ジュンコさん、やってみるか?」
という我が師匠の一声で、
私の担当になっちゃったんですねぇ。




えぇッ? マジですかぁ?




まだ、ココに来て
数日しか経っていないんですけど・・・。
少々うろたえながらたずねる、私。




「あの、まったくの初心者って、
一体何を教えたら良いんですか?」





「お前さん、
大学で後輩、教えてたんヤロ?」





「ハァ、でも・・・」




「ホンなら、イケル。
大丈夫や」





そ そんな簡単なモンなん?




これって、ムッチャ放任主義ちゃいますノン?
後輩、教えるんとは全然違うと思うんやけど。
私はスンゴイ不安になってきて




「あの、ミナミさんって、
おいくつぐらいの方なんですか?」





「ソンナン分かるはずないヤロ。
来はったらわかるわ」





まぁ、そうやろうけど・・・。






さてさて、ソノ日のPM7時ちょっと前、
待ちに待った“ミナミ様”御到着。


お、ウチの両親くらいの年齢?


いや、もっと若い?


わっかんないや。


お二人ともニコニコして良い感じだ。
瞬間、ホッとする私。
でも、ダガ、しかし・・・である。
次の瞬間には、
私、ふーっと不安になっちゃったんだな。



なんでって?



“ミナミ様”を包みこむ、

いよいよ憧れの社交ダンスを

夫婦で習えるんだ!!


的ムードに圧倒されそうになったからなんですよ。
この時が来るのを
きっと楽しみにしていたんだろうなぁ。
期待感でドキドキし、でも不安もアリーの・・
色んな気持ちも一緒に
スタジオ入りぃ~って感じだったんだもの。



結果から言おう。
ソノ“ミナミ様”
たった1回レッスンを受けただけで、
来なくなっちゃったんだ。


「もうコレキリ、
来はれへんノンと違うかな」

という思いは、レッスン終了直後からあった。



なんでって?



そりゃぁ、(レッスンが)
上手くいかなかったからよね・・・全然。



教えたのは“ジルバ”だった。
「大学の頃、後輩に教えたように」 
ナァンテ無理なことは、
教え始めてすぐに分かったんだ。
大学でやっていた“関大ジルバ”の
アマルガメーションをサラッと一通りやる“
ってのが、私の予定だったけど、


ソンナン、トンでもない!


今現在のジュンコ先生だったら、
「そらあったり前でしょ!
まったくの素人さんよ、
1時間でできるわけないジャなーい」
って、笑っちゃうだろうけど、
ソノ頃の新人ジュンコ先生は本気だった。

なぜって、自分が初めて
関大の舞研ボックスに連れて行かれたとき、
ものの30分もかからないで、
“関大ジルバ”の一通りを
踊れるようになったからなんだ。
しかも音楽に合わせて、
クルッと回ったり・・・(第7話参照)
スゲェ~こんなことできるんだ!
っていう感動をさせてあげたい、
憧れのダンスって、
こんなに楽しいものだったんだよって
体験させてあげたい



そう思って、
一生懸命だったのに・・・。



“ミナミ様”しょっぱなの、
「スロー・スロー・クイック・クイック」の
“足の踏み換え”から
みごとつまづいてしまいましたよ。
失礼ながら、
「え?こんなのも(簡単ソーなことも)
できないわけ?」

ってことですわ、コッチからしたら。
特にてこずったのがご主人。
ステップもそこそこに、いきなり、
奥様と組ませて(しかもホールドをキチッとさせて)
「ハイ、そこでリードするんですよ」
ナァンテ、やらせたもんだから、
もう汗ビッショリ、
がちがちカクカクの
“ピノキオ・ダンス”になっちゃって、
パニくる、パニくる


「えーと? 左足って、ドッチだっけ?」


「あ、手、上げるの忘れた」


「後ろのが難しいナァ」

(トントンクイック・クイックのロック)


挙句の果てには、奥様から、
「あなたにはちょっと無理なんじゃない?」
なんて感じで苦笑される始末・・・。


わたしもアセリましたよ。
「なんで、コノくらいのことできないんだろう?」
それは、自分以外の人のダンスに
初めて感じた苛立ちだった。



で、
レッスン終了後の、
お二人の感想


「ハァ~なかなか難しいモンですナァ」


この言葉を、
私はもっと大切に
汲み取ってあげるべきだったんだ
・・・今ならそう思う。


「でも、久しぶりに
カラダを動かして楽しかったですわ」

という、奥様の言葉だけが、
ちょっぴり救いだった。


「次の予約は・・・ちょっと、
今予定が立たないのでこちらから電話します」




これが最後の言葉だった。



“ミナミ様”からのコールは、
待てど暮らせどこなかったんだ。


でも、この頃を境に、
世の“バブル全盛時代”と呼応し
ジャンジャン入会希望者が相次ぐようになり、
ジュンコはめげてばかりはいられなかった・・・

新人ダンス教師ジュンコの奮闘記の続きは、次号へ



      続く 第273話へ



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