2007.08.25 (第214話)“チョット中休み エッセイ vol.5” ~使える足を創る!? ⑤~
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チョット中休み エッセイvol.5
トウバランスの難しさ
~“足を使って踊る”ために“使える足を創る” ⑤~
その日の朝、洗面所にいたはずのヒデ君、
バタバタとリビングに駆け込んできたかと思うや
「なぁ、見て、見て!」
って子供のようにはしゃいでいる。
見るとまだパジャマ姿、
下は半ズボンのまんまで私の目の前に突っ立って…
一体ナニごと?
引っついてん!ヒザが・・
エ? あぁ、ホンマやねぇ!
「あんなにO脚やったのに。
力入れて頑張っても、全然ガバガバやったのに!
もう、ビックリやわ」
ヒデ君、興奮気味。
そうねぇ~!良かったねぇ。
ワタシもビックリよぉ~って、
実は、この私、彼のO脚が治ってきたという事実に
ビックリなのではなく
(だって、遅かれ早かれ
ソウナルようにエクササイズを組み立てたんだもの)
彼のあまりの喜びように、
「へぇ~男性でも、そんなにうれしいモンなんだ」
って驚いたわけでして・・・
だって、男性の脚って
女性のように露出しないじゃない?
彼がそんな足つきで、
しかも結構コンプレックスに思っていたなんて、
きっと誰も知らないと思うんだけどねぇ。
ソレなのにヒデ君たら、
その日、仕事やナンカで出会う人ごとに
「僕、ダンスやってましてね、
実はO脚、治ってきましテン」
と話し出しそうな勢いなんだもの。
まぁ、よほどうれしかったんだろうね。
で、こんなことを言い出したんだ。
「ジュンコ先生に
『絶対治るよ、ワタシもソウやったから』
って言われても、
あんまりホンキにしてなかったんや。
“先生”やからできたことで、
自分は無理ヤロってどこかで思っていたから」
みんなソウなのよねぇ。
だから、こうやって
身近な生徒さんから成功体験者が出て初めて
『ワタシにもできるかも・・・ヨーシ後に続け』
って、ナル。
だから、ヒデ君、あなたのこれからの成長は、
みんなの夢の方向でもあるんやからしっかりせんとね
・・・と釘をさすと、
「まかしとけって!
ヤッパ、結果が出るとやる気が出るわな。
ダンス、がんばろ。
あ、その前にちゃんと、
ウォーク(歩くこと)しよ」(第211話)
こんな風に気持ちが乗ってきているときには、
ちょっと位難しいテクニックを教えても、
“スポンジが水を吸うごとく”
ドンドン吸収できるかもね。
しかも、O脚が治ってきてるってことで、
足首のレールも少し正常に働き始めたはずだから、
と思った私、
「ダンスで使える足になる大改造計画」
をもう少し先に進めようと
「今夜、
フットワーク練習をやってみようか」
フットワークって
「フロアにコンタクトする(触れる)
足の裏の各部分の使い方」を意味するのよね。
自分の足裏には、
トウ(T=つま先)やらヒール(H=かかと)やらの
固有の“場所”があって
ダンスでは動きに合わせてソレを使い分けていく。
いわばフットワークとは、
その自分の足裏にある場所の“進み方”“道順”だ。
例えば前進するときは
「ヒール(H=かかと)からフラット
(F=足の裏全体をフロアーに付けている状態)
そしてトウ(T=つま先)に抜けていく」みたいな。
カラダの動きに合わせて
自然発生的にできていくとはいうものの、
日頃、足裏など全く気にせず、
ペタンペタン歩いていたものにとっては、
コンナ使い分けはかなり難しいものではアル。
まぁ、ヒールやフラットという場所は
安定感が持てるから初心者に対しても
安全な“場所”なのだが、
難しいのは、
ボール(B=親指の付け根のふくらみ部分)
トウ(T=つま先)感覚よね。
カカトを浮かした、
ボールバランスやら、トウバランスって、
ダンスではしょっちゅうお出ましするけれど、
日頃、親指よりの※脛骨(けいこつ)ではなく
小指よりの腓骨(ひこつ)で立っちゃっている人が、
いきなり“トウバランス”なんてやった日にゃ、
「オット、危ない!」になって当然なんだな。
※脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)に関しては
(第211話)をご参照アレ
脛骨(けいこつ)の上はヒザ、
そして太ももの骨である
大たい骨とつながっていて、
その上には骨盤があって、
つまりは内モモの筋肉、
腹部の筋肉・大腰筋など
インナーマッスル・・総動員で、
トウバランスができるんだ。
でも、もともと体重を支える骨でない
腓骨(ひこつ)側に立っちゃったら、
上に支える骨がないし、筋肉もない。
だから、直接フロアーに接している
ホンのちょっぴりの面積のところでしか、
支えていない状態になってしまい、
ふくらはぎなどをムッチャ力ませて、
必死で立つことになるんだな。
さてさて、O脚が直りつつあるヒデ君ではあったが、
フットワーク練習は、
こんな“不意打ちテスト”から始まったんだ。
「ねぇ、両足をそろえて
カカトをあげて立ってみて」
うーん、やっぱりまだ、
小指のほうに流れるな。
カカトをついて立っているときは随分、
脛骨(けいこつ)側で立てるようになったのだが、
“カカトをあげて”とカラダに指示を出したとたん、
重心をつま先のほうへいきなり移動させ、
結果、
脛骨(けいこつ)とのつながりを
切ってしまった模様。
で、その無理なバランスは瞬く間に崩れ、
ヒデ君、しばらくは力んで頑張っていたが
「わわわ!グラグラする。
手、使わんと立ってられへん」
なんて言いながら、
腕でバランスを取りもがき始め、
アニメのような動きをしはじめる始末・・・
つまり、フラット状態から、
ボールバランス、
トウバランスにまでもって行くときの
“進み方”が正しい軌道を通っていないんだな。
言い換えれば、
まっすぐ立ったときの
正しい足裏の“場所”から
キチンと足首レールに導かれ
ボールおよびトウの“場所”に
カラダの重みを移動させていない
ってこと。
オット、その前に
彼の
足裏にまだトウ(T=つま先)という
“場所”の感覚が刻まれていないのも大問題だ。
せっかく足首レールが引かれても、
目的地がアヤフヤだと、
これまたグラグラの原因になる。
OK!フットワーク練習の指導プロセスは決まったぞ。
「じゃあね。
まずフロアーの上にまっすぐ立つ練習、
それからスタートして“ボールバランス”
そして“トウバランス”になる練習をやってみましょう」
ってことになったわけ。
「ふーん、まっすぐに立つ練習か。
なんか、ダンスのレッスンって感じやナ」
「その前に、また例の、
セルフ・足底ケア(第213話)から始めようね」
床にどさっと座り込み、自分の足裏をもみ始めた彼に、
「今日はね、
“ダンスウォーク・ライン”を
足底につけるようにモム(第213話)以外に
2本の横の線を付けるようにモンで欲しいの」
「ん?」
「1本目は、
親指の付け根から、小指の付け根にかけて。
5本指の付け根全部を丹念にモミホグしてね。
この指の部分をトウ(T=つま先)といって、
ココで立つことを、
トウバランスで立つって言うのよ」
「なんか、
ワルツのときに言うていたのを聞いたことがあるけど。
ヘェ、コンナ狭い部分で立ってるんやな」
「だから指、1本1本ぜーんぶが機能しないとね、
危ないわけよ」
「外反母趾とかになりそうや・・・」
「2本目は、モウちょっと下、
親指の付け根の膨らんだ部分、
専門的には
拇指球(ぼしきゅう)って言うんだけど、
その下から、小指のほうにかけての線。
この拇指球(ぼしきゅう)辺りを
ボール=Bと呼んでいるの。
ダンスでものすごく使う場所よ。
ココで立つことをボールバランスで立つっていうの」
「また、えらい狭い範囲やなぁ」
「ウン、だから正しく足首レールが使えないと、
グラグラして力任せに立つことにもなるのよね」
二人して、自分の足裏探検をした後、
「さぁ、いよいよ、まっすぐ立つことの実践練習よ」
続く 第215話へ
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チョット中休み エッセイvol.5
トウバランスの難しさ
~“足を使って踊る”ために“使える足を創る” ⑤~
その日の朝、洗面所にいたはずのヒデ君、
バタバタとリビングに駆け込んできたかと思うや
「なぁ、見て、見て!」
って子供のようにはしゃいでいる。
見るとまだパジャマ姿、
下は半ズボンのまんまで私の目の前に突っ立って…
一体ナニごと?
引っついてん!ヒザが・・
エ? あぁ、ホンマやねぇ!
「あんなにO脚やったのに。
力入れて頑張っても、全然ガバガバやったのに!
もう、ビックリやわ」
ヒデ君、興奮気味。
そうねぇ~!良かったねぇ。
ワタシもビックリよぉ~って、
実は、この私、彼のO脚が治ってきたという事実に
ビックリなのではなく
(だって、遅かれ早かれ
ソウナルようにエクササイズを組み立てたんだもの)
彼のあまりの喜びように、
「へぇ~男性でも、そんなにうれしいモンなんだ」
って驚いたわけでして・・・
だって、男性の脚って
女性のように露出しないじゃない?
彼がそんな足つきで、
しかも結構コンプレックスに思っていたなんて、
きっと誰も知らないと思うんだけどねぇ。
ソレなのにヒデ君たら、
その日、仕事やナンカで出会う人ごとに
「僕、ダンスやってましてね、
実はO脚、治ってきましテン」
と話し出しそうな勢いなんだもの。
まぁ、よほどうれしかったんだろうね。
で、こんなことを言い出したんだ。
「ジュンコ先生に
『絶対治るよ、ワタシもソウやったから』
って言われても、
あんまりホンキにしてなかったんや。
“先生”やからできたことで、
自分は無理ヤロってどこかで思っていたから」
みんなソウなのよねぇ。
だから、こうやって
身近な生徒さんから成功体験者が出て初めて
『ワタシにもできるかも・・・ヨーシ後に続け』
って、ナル。
だから、ヒデ君、あなたのこれからの成長は、
みんなの夢の方向でもあるんやからしっかりせんとね
・・・と釘をさすと、
「まかしとけって!
ヤッパ、結果が出るとやる気が出るわな。
ダンス、がんばろ。
あ、その前にちゃんと、
ウォーク(歩くこと)しよ」(第211話)
こんな風に気持ちが乗ってきているときには、
ちょっと位難しいテクニックを教えても、
“スポンジが水を吸うごとく”
ドンドン吸収できるかもね。
しかも、O脚が治ってきてるってことで、
足首のレールも少し正常に働き始めたはずだから、
と思った私、
「ダンスで使える足になる大改造計画」
をもう少し先に進めようと
「今夜、
フットワーク練習をやってみようか」
フットワークって
「フロアにコンタクトする(触れる)
足の裏の各部分の使い方」を意味するのよね。
自分の足裏には、
トウ(T=つま先)やらヒール(H=かかと)やらの
固有の“場所”があって
ダンスでは動きに合わせてソレを使い分けていく。
いわばフットワークとは、
その自分の足裏にある場所の“進み方”“道順”だ。
例えば前進するときは
「ヒール(H=かかと)からフラット
(F=足の裏全体をフロアーに付けている状態)
そしてトウ(T=つま先)に抜けていく」みたいな。
カラダの動きに合わせて
自然発生的にできていくとはいうものの、
日頃、足裏など全く気にせず、
ペタンペタン歩いていたものにとっては、
コンナ使い分けはかなり難しいものではアル。
まぁ、ヒールやフラットという場所は
安定感が持てるから初心者に対しても
安全な“場所”なのだが、
難しいのは、
ボール(B=親指の付け根のふくらみ部分)
トウ(T=つま先)感覚よね。
カカトを浮かした、
ボールバランスやら、トウバランスって、
ダンスではしょっちゅうお出ましするけれど、
日頃、親指よりの※脛骨(けいこつ)ではなく
小指よりの腓骨(ひこつ)で立っちゃっている人が、
いきなり“トウバランス”なんてやった日にゃ、
「オット、危ない!」になって当然なんだな。
※脛骨(けいこつ)腓骨(ひこつ)に関しては
(第211話)をご参照アレ
脛骨(けいこつ)の上はヒザ、
そして太ももの骨である
大たい骨とつながっていて、
その上には骨盤があって、
つまりは内モモの筋肉、
腹部の筋肉・大腰筋など
インナーマッスル・・総動員で、
トウバランスができるんだ。
でも、もともと体重を支える骨でない
腓骨(ひこつ)側に立っちゃったら、
上に支える骨がないし、筋肉もない。
だから、直接フロアーに接している
ホンのちょっぴりの面積のところでしか、
支えていない状態になってしまい、
ふくらはぎなどをムッチャ力ませて、
必死で立つことになるんだな。
さてさて、O脚が直りつつあるヒデ君ではあったが、
フットワーク練習は、
こんな“不意打ちテスト”から始まったんだ。
「ねぇ、両足をそろえて
カカトをあげて立ってみて」
うーん、やっぱりまだ、
小指のほうに流れるな。
カカトをついて立っているときは随分、
脛骨(けいこつ)側で立てるようになったのだが、
“カカトをあげて”とカラダに指示を出したとたん、
重心をつま先のほうへいきなり移動させ、
結果、
脛骨(けいこつ)とのつながりを
切ってしまった模様。
で、その無理なバランスは瞬く間に崩れ、
ヒデ君、しばらくは力んで頑張っていたが
「わわわ!グラグラする。
手、使わんと立ってられへん」
なんて言いながら、
腕でバランスを取りもがき始め、
アニメのような動きをしはじめる始末・・・
つまり、フラット状態から、
ボールバランス、
トウバランスにまでもって行くときの
“進み方”が正しい軌道を通っていないんだな。
言い換えれば、
まっすぐ立ったときの
正しい足裏の“場所”から
キチンと足首レールに導かれ
ボールおよびトウの“場所”に
カラダの重みを移動させていない
ってこと。
オット、その前に
彼の
足裏にまだトウ(T=つま先)という
“場所”の感覚が刻まれていないのも大問題だ。
せっかく足首レールが引かれても、
目的地がアヤフヤだと、
これまたグラグラの原因になる。
OK!フットワーク練習の指導プロセスは決まったぞ。
「じゃあね。
まずフロアーの上にまっすぐ立つ練習、
それからスタートして“ボールバランス”
そして“トウバランス”になる練習をやってみましょう」
ってことになったわけ。
「ふーん、まっすぐに立つ練習か。
なんか、ダンスのレッスンって感じやナ」
「その前に、また例の、
セルフ・足底ケア(第213話)から始めようね」
床にどさっと座り込み、自分の足裏をもみ始めた彼に、
「今日はね、
“ダンスウォーク・ライン”を
足底につけるようにモム(第213話)以外に
2本の横の線を付けるようにモンで欲しいの」
「ん?」
「1本目は、
親指の付け根から、小指の付け根にかけて。
5本指の付け根全部を丹念にモミホグしてね。
この指の部分をトウ(T=つま先)といって、
ココで立つことを、
トウバランスで立つって言うのよ」
「なんか、
ワルツのときに言うていたのを聞いたことがあるけど。
ヘェ、コンナ狭い部分で立ってるんやな」
「だから指、1本1本ぜーんぶが機能しないとね、
危ないわけよ」
「外反母趾とかになりそうや・・・」
「2本目は、モウちょっと下、
親指の付け根の膨らんだ部分、
専門的には
拇指球(ぼしきゅう)って言うんだけど、
その下から、小指のほうにかけての線。
この拇指球(ぼしきゅう)辺りを
ボール=Bと呼んでいるの。
ダンスでものすごく使う場所よ。
ココで立つことをボールバランスで立つっていうの」
「また、えらい狭い範囲やなぁ」
「ウン、だから正しく足首レールが使えないと、
グラグラして力任せに立つことにもなるのよね」
二人して、自分の足裏探検をした後、
「さぁ、いよいよ、まっすぐ立つことの実践練習よ」
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