2007.08.23 (第212話)“チョット中休み エッセイ vol.5” ~使える足を創る!? ③~
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チョット中休み エッセイvol.5
正しいダンスへのレール
~“足を使って踊る”ために“使える足を創る” ③~
「ねぇ、いつもどうやって歩いているの?」
「いつもの歩き方なんて、
ひどいモンやで、きっと・・・」
そう言いながらフローリングのリビングで
裸足(はだし)になって、歩いてみせるヒデ君。
おっしゃるとおり、すごい歩き方ね。
足の裏がひとかたまりになって、
上からペタンペタン、
置いていってる感じなんだ。
ダンス用語で言う、
ヒールもボールもトゥも区別ナシ。
で、体重はといえば、
ヤッパみごとに外側に流れて行っている様子。
それでもまぁ、日常生活にはそれほど支障もなく、
フツーに前に進んでいっているんだから、
不思議よねぇ・・・などと
思いながら色々観察していると
「ただ歩くだけやったら、どないでもなるわな」
と、ニタニタ。
「ダンスが上手くなるためには、
この歩き方をどう直したらエエのん?」
「じゃぁね、言うとおりにやってみて」
で、私が彼に与えた指示は、
足首に正しいレ-ルを引くこと、
つまり、
体重を支えてくれる脛骨(けいこつ)と
リンクできるように矯正
することだった。
二人とも、床にドカッと腰を下ろし、
まずは自分の足のチェックから。
「“くるぶし”って分かるかな?
親指側についている“内くるぶし”と
小指側についている“外くるぶし”があるけれど、
“内くるぶし”は
太い骨である脛骨(けいこつ)の末端、
“外くるぶし”は
細い骨である腓骨(ひこつ)の末端にあたるのね…」
「へぇ~そうなんや」
「いつもは“外くるぶし”の方に体重をかけていたから、
今度は“内くるぶし”の方にかけて欲しいの。
で、この
“内くるぶし”の辺りを
キュッと内側に締めて
足首の方向を常に一定に保つのよ。
じゃぁ立ってみて」
素直に立ち上がる、ヒデ君。
「脛骨をまっすぐ下ろした辺りの足の裏、
つまり、
土踏まずよりもかかと寄りの内側
ココに体重が来るように立つと
まっすぐ立てるようになるわ」
「エー、結構、
思ったよりも後ろやナァ。
ダンスって、もっとつま先の方ばっかり
使ってるんかと思ったのに、意外やな。
でも、ナンカすごく安定するわ。
へぇ~初めての感覚や」
ヒデ君、ヤヤ興奮気味。
「さぁ、足首の方向を一定にしながら、
歩いてみて」
ヒデ君、ゆっくりと歩き始め・・・。
見ると、アァ、キレイに指が使えている。
かかとから、土踏まず、親指のほうに一直線に
足裏をめくるように使っている!
「どう?歩きにくい?」
「ううん、なんか、一歩一歩アルって感じや。
しっかり踏んでるから安心。
ふーん、コンナ風にして歩いたことなんて、
この35年間なかったわ」
そう言いながら、
しずしずと歩いて色んな感覚を確かめている。
「そのままで、お腹にスッと力を入れてみて」
「あ、入りやすいわ。
今までは、お腹に力入れて歩こうとしても、
なぁんか上手いこといけへんかってん」
ソウよね。
だって足元の状態から言えば、
外へ外へと流れていたんだもの。
ソレを、カラダは内に締めて・・・
なんて、まぁ無理な話だったってワケだけどね。
「ナンカ、内モモも締めたくなってきたわ。
コラしばらく歩くだけで筋肉痛になりそうや」
なぁんて言いながらも
「どう?カッコ良く見える?」
って、まんざらでもない様子。
ヒデ君、足首のレール1本(両足で2本だけど)
を矯正するだけで、
随分カラダ感覚が変わってきたみたいなんだな。
つまりこのレールが正しくなるってことは、
あらゆるダンステクニックが
正しいレールに乗ることを意味するんだ。
なぜって、
イングリッシュスタイル・ダンスは
「まっすぐ立つ」そしてちゃんと「歩く」
ことが基本。
いくら「インナーマッスルを使う」etc.
ボディの中に正しい運動ができてきたところで、
この2つの基本に、決定的な弱点を持っていたら、
ダンスの向上は望みにくいんだな。
なぜって、
実際問題、床と直接に接している“足裏”、
そしてソレを正しく扱うための“足首”が
ゼーンゼンだったら、
“大本”が狂っている分、
その上に乗っかっている体幹のテクニックにも
狂いが生じてくるってこと。
ん~難しいなぁ。
でもね、コレってある意味致し方ないのよね。
だって、普通に生きていて
「あ、今“かかと”に乗って、
次に“土踏まず”、
それから“親指の付け根”と、
そのお隣の“人差し指の付け根辺り”を、
体重が通過・・・」なんて
“足裏分割”
を感じながら歩いている人なんて、いないモンねぇ。
赤ん坊の時のハイハイから始まって、
その後、本能も従い、良く言えば自然に、
悪く言えばテキト―に「歩く」という行為をやってきて、
特に矯正をされることもなく今まできたんだもん。
それに、フツーに立っているときだって、
「つま先のほうや、小指側で立ったら、
支える骨のないところで立つことになるから、
ヤメとこ」
と自らバランスをコントロール、
骨格図をイメージしながらまっすぐ立つ・・・
なんて、ナイナイ!
だから、ダンステクニックが
異常に難しいものとなっちゃうワケなんだな。
その難しいダンステクニックの中でも
「足の裏のウエイトバランス」はかなり???
なものなんだ。
「足の裏をしっかり使って、正しく通過する」
「もっと、床に吸い付くように」
「中間バランスを作って」
などと言われても、足裏分割の感覚など全然なく、
足首レールも持ち合わせていない人に取ったら、
カチンカチンにリキンでも
「うーん上手くいかない!」ってものだろう。
その結果、日常生活の中で、
コケルことなく立ったり歩いたりできていた人が、
ダンスの中で
「立てない」「歩けない」屈辱(?)を
経験することになってしまうんだ。
「普段歩くときから気をつけてね。
そうすれば歩くこと=矯正=ダンスの練習になるから。
ソレと・・・良いエクササイズを教えるから、
あわせてやってみて。
エスササイズやったほうが
ヤッパ早く矯正できるからね。
で、良い機会だから、足裏の感覚を鍛えて、
足首ももっと使えるようにしてみよう」
うまくいったら、
ワルツなんかのフットワークの説明もできそうね・・・
なんて思いながらそう言うと、
「エエで。
俺、ダンスが上手くなるんやったら、
なんでもヤルで!!」
エーライ素直なヒデ君であったが、
指定された矯正エクササイズは、
彼にとって
かなりかなりキビシーモノとあいなったわけで・・・
続く 第213話へ
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「ねぇ、いつもどうやって歩いているの?」
「いつもの歩き方なんて、
ひどいモンやで、きっと・・・」
そう言いながらフローリングのリビングで
裸足(はだし)になって、歩いてみせるヒデ君。
おっしゃるとおり、すごい歩き方ね。
足の裏がひとかたまりになって、
上からペタンペタン、
置いていってる感じなんだ。
ダンス用語で言う、
ヒールもボールもトゥも区別ナシ。
で、体重はといえば、
ヤッパみごとに外側に流れて行っている様子。
それでもまぁ、日常生活にはそれほど支障もなく、
フツーに前に進んでいっているんだから、
不思議よねぇ・・・などと
思いながら色々観察していると
「ただ歩くだけやったら、どないでもなるわな」
と、ニタニタ。
「ダンスが上手くなるためには、
この歩き方をどう直したらエエのん?」
「じゃぁね、言うとおりにやってみて」
で、私が彼に与えた指示は、
足首に正しいレ-ルを引くこと、
つまり、
体重を支えてくれる脛骨(けいこつ)と
リンクできるように矯正
することだった。
二人とも、床にドカッと腰を下ろし、
まずは自分の足のチェックから。
「“くるぶし”って分かるかな?
親指側についている“内くるぶし”と
小指側についている“外くるぶし”があるけれど、
“内くるぶし”は
太い骨である脛骨(けいこつ)の末端、
“外くるぶし”は
細い骨である腓骨(ひこつ)の末端にあたるのね…」
「へぇ~そうなんや」
「いつもは“外くるぶし”の方に体重をかけていたから、
今度は“内くるぶし”の方にかけて欲しいの。
で、この
“内くるぶし”の辺りを
キュッと内側に締めて
足首の方向を常に一定に保つのよ。
じゃぁ立ってみて」
素直に立ち上がる、ヒデ君。
「脛骨をまっすぐ下ろした辺りの足の裏、
つまり、
土踏まずよりもかかと寄りの内側
ココに体重が来るように立つと
まっすぐ立てるようになるわ」
「エー、結構、
思ったよりも後ろやナァ。
ダンスって、もっとつま先の方ばっかり
使ってるんかと思ったのに、意外やな。
でも、ナンカすごく安定するわ。
へぇ~初めての感覚や」
ヒデ君、ヤヤ興奮気味。
「さぁ、足首の方向を一定にしながら、
歩いてみて」
ヒデ君、ゆっくりと歩き始め・・・。
見ると、アァ、キレイに指が使えている。
かかとから、土踏まず、親指のほうに一直線に
足裏をめくるように使っている!
「どう?歩きにくい?」
「ううん、なんか、一歩一歩アルって感じや。
しっかり踏んでるから安心。
ふーん、コンナ風にして歩いたことなんて、
この35年間なかったわ」
そう言いながら、
しずしずと歩いて色んな感覚を確かめている。
「そのままで、お腹にスッと力を入れてみて」
「あ、入りやすいわ。
今までは、お腹に力入れて歩こうとしても、
なぁんか上手いこといけへんかってん」
ソウよね。
だって足元の状態から言えば、
外へ外へと流れていたんだもの。
ソレを、カラダは内に締めて・・・
なんて、まぁ無理な話だったってワケだけどね。
「ナンカ、内モモも締めたくなってきたわ。
コラしばらく歩くだけで筋肉痛になりそうや」
なぁんて言いながらも
「どう?カッコ良く見える?」
って、まんざらでもない様子。
ヒデ君、足首のレール1本(両足で2本だけど)
を矯正するだけで、
随分カラダ感覚が変わってきたみたいなんだな。
つまりこのレールが正しくなるってことは、
あらゆるダンステクニックが
正しいレールに乗ることを意味するんだ。
なぜって、
イングリッシュスタイル・ダンスは
「まっすぐ立つ」そしてちゃんと「歩く」
ことが基本。
いくら「インナーマッスルを使う」etc.
ボディの中に正しい運動ができてきたところで、
この2つの基本に、決定的な弱点を持っていたら、
ダンスの向上は望みにくいんだな。
なぜって、
実際問題、床と直接に接している“足裏”、
そしてソレを正しく扱うための“足首”が
ゼーンゼンだったら、
“大本”が狂っている分、
その上に乗っかっている体幹のテクニックにも
狂いが生じてくるってこと。
ん~難しいなぁ。
でもね、コレってある意味致し方ないのよね。
だって、普通に生きていて
「あ、今“かかと”に乗って、
次に“土踏まず”、
それから“親指の付け根”と、
そのお隣の“人差し指の付け根辺り”を、
体重が通過・・・」なんて
“足裏分割”
を感じながら歩いている人なんて、いないモンねぇ。
赤ん坊の時のハイハイから始まって、
その後、本能も従い、良く言えば自然に、
悪く言えばテキト―に「歩く」という行為をやってきて、
特に矯正をされることもなく今まできたんだもん。
それに、フツーに立っているときだって、
「つま先のほうや、小指側で立ったら、
支える骨のないところで立つことになるから、
ヤメとこ」
と自らバランスをコントロール、
骨格図をイメージしながらまっすぐ立つ・・・
なんて、ナイナイ!
だから、ダンステクニックが
異常に難しいものとなっちゃうワケなんだな。
その難しいダンステクニックの中でも
「足の裏のウエイトバランス」はかなり???
なものなんだ。
「足の裏をしっかり使って、正しく通過する」
「もっと、床に吸い付くように」
「中間バランスを作って」
などと言われても、足裏分割の感覚など全然なく、
足首レールも持ち合わせていない人に取ったら、
カチンカチンにリキンでも
「うーん上手くいかない!」ってものだろう。
その結果、日常生活の中で、
コケルことなく立ったり歩いたりできていた人が、
ダンスの中で
「立てない」「歩けない」屈辱(?)を
経験することになってしまうんだ。
「普段歩くときから気をつけてね。
そうすれば歩くこと=矯正=ダンスの練習になるから。
ソレと・・・良いエクササイズを教えるから、
あわせてやってみて。
エスササイズやったほうが
ヤッパ早く矯正できるからね。
で、良い機会だから、足裏の感覚を鍛えて、
足首ももっと使えるようにしてみよう」
うまくいったら、
ワルツなんかのフットワークの説明もできそうね・・・
なんて思いながらそう言うと、
「エエで。
俺、ダンスが上手くなるんやったら、
なんでもヤルで!!」
エーライ素直なヒデ君であったが、
指定された矯正エクササイズは、
彼にとって
かなりかなりキビシーモノとあいなったわけで・・・
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