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エクササイズ&プラクティス集へ
チョット中休み エッセイvol.4
あなたなりのLODを歩んで欲しい
~ある生徒さんのワルツ成長記録 後編~
「ダンス初心者、指導要綱」に基づいて
レッスンを受けてきたミキヒコさん、
(第193話 前編参照)
ワルツを踊る彼のボディに、
ハッキリとした変化が現れてきたのは、
約半年後のことだった。
最初はボチボチ歩きだったのに、
やがてスイングの波が少しずつ大きくなり、
歩幅が出始め・・・そんなある時、
ふとシャドウをしている姿を見て、
アレレ?
ホールドのヒジがキレイに張れているけれど、
私、何か教えたかな?
イヤ、教えたことはないと思うんだけど・・・
不思議に思って声をかけたんだ。
「ミキヒコさん、ホールド、何か変えました?」
すると、
「は?」って感じで、
自分では何も気が付いていないようなんだな。
「ホールドのヒジが落ちなくなったわね。
何か意識的にしているのかな?」
と、言うと、
「特になにも・・・。
あのぉ、ソレって良いことなんですか?」
って聞いてくるんだもん。
あ、そうよね。
「ヒジを張りなさい」とか、ホールドに関して、
彼にはほとんど
何も言っていなかったなって思い出して・・・
「良いことなのよ、
自然にできるようになれば、なおさらね」
と伝えると、
「へぇ?そうなんですか?
全く自覚がないんです」
と、本人は驚いているんだが、
もっと驚いたのは、ソウ、
おそらく先生である私のほうだったっと思うんだな。
なぜって、
ホールドに入って一緒にワルツを踊ってみたんだけど、
至極ソフトで心地よいのだ。
しかも、ワイド感もある。
なんて、ナチュラルなホールドなんだろう!?
とってつけたような違和感がない。
へぇ~、ホントにこんな風になっちゃうんだ。
ちょっと感激だなぁ。
ある意味、予想通り、期待通りなコトであり、
また、“指導要綱”的観点から言えば、
こうなってもらわないと、失敗ってコトだから、
まぁ良かった良かった、なんだけど・・・ねぇ。
言うまでもなく
この
ホールドの形は、動きから
つまり、
スイング運動から作られた
ものなんだ。
カラダを固めることなく
音楽に乗って踊っている間に
自然にかかり始めたボディ(体幹部)スイングが、
生みの親であり育ての親だ。
ボディスイングエネルギーは当然、
腕にも流れていく。
で、
ボディスイングエネルギーが増してくるに連れて、
腕のエネルギーも増し、
ダラリンと下に垂れ下がり、
かろうじて女性の背中に触れているだけだった腕が、
自然と上がり始めたってワケ。
「最初の頃だけ右腕がダルかったかなぁ。
でも先生に、
『どこも固定しなくていいのよ。
ダラーンとしていて大丈夫だから』
と言われてからはどこも苦しくなくなった」
ソウなんよねぇ、
ミキヒコさんはホールドを作る痛さ、
苦しさってモノをほとんど知ることなく、
育ってこれたんよねぇ。
無理やり頑張って作ってきたモノでないから、
その中に入ってくる女性のカラダにも優しく、
無理を強いることはないし、
音楽と言う“栄養”を
いっぱいもらって育っているホールドだから、
心地よく、躍動感もある。
地上で歩いているだけのときは、
必要がなく、閉じられていた羽が
飛び立つために羽ばたき始め、
やがて、ホールドとしての形を成した、
そんな感じ・・・
わあぉ、彼、ホンマに白鳥になっちゃった!?
それからしばらくしてのこと、
彼がワルツを踊る姿に更なる成長を発見したんだ。
成長部位・・・
フットワーク & 脚部のテクニック
コレが、ナント正確になってきているんですねぇ。
ぜーんぶ、ベタ足だったのが、
ちゃんとトウ・バランスができるようになっている!
んで、バックするところはカカトで送ってるし・・・
膝元もライズ&ロウァをやっている、
しかも、必要なときに、必要なだけ・・・
何しろ彼に関しては、
「前進するときは、カカトから」
なんて超ベーシックな話もナシでやってきたんだもんね。
なぜって、足元のことって、
意識的になればなるほど緊張しちゃうからなんだ。
緊張してバランスが悪くなり、
さらに緊張して・・という悪循環、
こうなったら大変だから、
最初はもうペッタンペッタン、ベタ足でOK。
そのうち
スイング動作が活発化するとボディライズが起こり、
それでは飽き足らなくなって、
スイングの波状運動が、
股関節・ヒザ・足首のまで及んだ頃には、
イヤでも、フットワークという世界観が現れてくる。
つまり、ホールド形成のプロセスと同様、
ボディスイングエネルギーが増してくるに連れて、
足のエネルギーも増し、
フットワークの必要性が生まれてくる・・・
という気の長い指導法だったんだが、
案外早く結果が出たようだ。
さて、こうして無事に
初心者時代をクリアできたミキヒコさん、
次なるステージに上がっていただこう・・・ってわけで、
今まで自由奔放に踊ってきた彼に、
ようやく、イングリッシュ・スタイルの真髄である、
人間工学的な秩序ある美しさ
(足の裏、指先にいたるまでの)
正確で細やかな
リード&フォローテクニックからくる
ワンピース感
にいたる様々なテクニックを
教えるときがやってきたんだな。
でもね、ここからが重要!
実はその段階に臨む前に、
絶対やっておいたほうが良いプロセスがあるんだ。
ソレは
カラダのリキミを取ること
特に、ホールドなど、
手・腕に関しての
無駄な力を一切抜くように徹底させる。
(第169~171話参照)
これは、
ほぐれた筋肉であればあるほど、
新しい情報が正しく入りやすい
(第121~123話参照)と言う意味でもある。
だから、レベルアップしたり
何かテクニックを加えたりする前に、
ソレがスーッと受け入れやすいカラダにするためにも
欠かしてはいけないプロセスなんだ。
で、モウひとつの意味は、
新たに発展した形を生むべく、
内容をバージョンアップさせていくわけなんだから
今までの低いレベルで作ってしまった形を
いったんは崩す・・・と言うことだ。
うーん、これがなかなか難しいんだなぁ。
たいていの人は、嫌がったり、
不安になったりするモンね。
例えば、ホールド。
せっかくここまで
キレイに張れタンだからって崩すのを嫌がる。
イヤ、
もっと素晴らしいホールドが手に入るからっていっても、
なかなか聞いてはもらえないんだな。
さぁて、どうなりますやら、ミキヒコさん。
次なる目標と、
そのアプローチのために、私は彼に言ったんだ。
「随分シッカリとしたダンスになってきたんだけれど、
ここら辺で、
もっともっと外側の力を抜いてみましょうか。
で、カラダの中に力が来るように。
ホールドで言うなら、こんなくらいに・・・」
私が男性役になって、
ミキヒコさんをホールドし、
その目指すべき力加減を伝えたんだ。
「え?こんなにソフトというか、
楽な感じで良いんですか?」
彼はビックリしてこう続けた。
「僕は今、どんな感じですか?」
私が真似をして組んでみると、
「あ、これだと女性がイヤでしょうね」
で、意外なほどアッサリと
彼はこの提案を受け入れたんだな。
さらに洗練された“白鳥”となるべく、
彼の新たな挑戦は始まったばかり・・・
この結果報告は、また、オイオイお伝えいたしますね。
ミキヒコさんのダンス上達は、
「ダンス初心者、指導要綱」に則って学び行く
“後輩”にとっても大いに興味のあるところ。
で、最後に
そんな後輩の一人である、
ダンナ様ヒデ君情報も少しだけ・・・
サークルの下半期のテーマは、
チャチャチャ
実は彼、この種目、
ダンスを習い始めたころからの大の苦手だったんだ。
ソレが
「ワルツもチャチャチャも一緒や!
すごく共通点がある。
だから、チャチャチャを勉強して、
ワルツ、上手くなってやるンや!」と、豪語。
チャチャチャを練習する過程で、
自分なりに何かをつかんだんだな。
早くも苦手意識は返上できたよう、良かった・・・。
でも、一体ナニに気が付いたのかしらね。
も、また次の機会といたしまして。
これにて、完。
続く 第195話へ
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~ある生徒さんのワルツ成長記録 後編~
「ダンス初心者、指導要綱」に基づいて
レッスンを受けてきたミキヒコさん、
(第193話 前編参照)
ワルツを踊る彼のボディに、
ハッキリとした変化が現れてきたのは、
約半年後のことだった。
最初はボチボチ歩きだったのに、
やがてスイングの波が少しずつ大きくなり、
歩幅が出始め・・・そんなある時、
ふとシャドウをしている姿を見て、
アレレ?
ホールドのヒジがキレイに張れているけれど、
私、何か教えたかな?
イヤ、教えたことはないと思うんだけど・・・
不思議に思って声をかけたんだ。
「ミキヒコさん、ホールド、何か変えました?」
すると、
「は?」って感じで、
自分では何も気が付いていないようなんだな。
「ホールドのヒジが落ちなくなったわね。
何か意識的にしているのかな?」
と、言うと、
「特になにも・・・。
あのぉ、ソレって良いことなんですか?」
って聞いてくるんだもん。
あ、そうよね。
「ヒジを張りなさい」とか、ホールドに関して、
彼にはほとんど
何も言っていなかったなって思い出して・・・
「良いことなのよ、
自然にできるようになれば、なおさらね」
と伝えると、
「へぇ?そうなんですか?
全く自覚がないんです」
と、本人は驚いているんだが、
もっと驚いたのは、ソウ、
おそらく先生である私のほうだったっと思うんだな。
なぜって、
ホールドに入って一緒にワルツを踊ってみたんだけど、
至極ソフトで心地よいのだ。
しかも、ワイド感もある。
なんて、ナチュラルなホールドなんだろう!?
とってつけたような違和感がない。
へぇ~、ホントにこんな風になっちゃうんだ。
ちょっと感激だなぁ。
ある意味、予想通り、期待通りなコトであり、
また、“指導要綱”的観点から言えば、
こうなってもらわないと、失敗ってコトだから、
まぁ良かった良かった、なんだけど・・・ねぇ。
言うまでもなく
この
ホールドの形は、動きから
つまり、
スイング運動から作られた
ものなんだ。
カラダを固めることなく
音楽に乗って踊っている間に
自然にかかり始めたボディ(体幹部)スイングが、
生みの親であり育ての親だ。
ボディスイングエネルギーは当然、
腕にも流れていく。
で、
ボディスイングエネルギーが増してくるに連れて、
腕のエネルギーも増し、
ダラリンと下に垂れ下がり、
かろうじて女性の背中に触れているだけだった腕が、
自然と上がり始めたってワケ。
「最初の頃だけ右腕がダルかったかなぁ。
でも先生に、
『どこも固定しなくていいのよ。
ダラーンとしていて大丈夫だから』
と言われてからはどこも苦しくなくなった」
ソウなんよねぇ、
ミキヒコさんはホールドを作る痛さ、
苦しさってモノをほとんど知ることなく、
育ってこれたんよねぇ。
無理やり頑張って作ってきたモノでないから、
その中に入ってくる女性のカラダにも優しく、
無理を強いることはないし、
音楽と言う“栄養”を
いっぱいもらって育っているホールドだから、
心地よく、躍動感もある。
地上で歩いているだけのときは、
必要がなく、閉じられていた羽が
飛び立つために羽ばたき始め、
やがて、ホールドとしての形を成した、
そんな感じ・・・
わあぉ、彼、ホンマに白鳥になっちゃった!?
それからしばらくしてのこと、
彼がワルツを踊る姿に更なる成長を発見したんだ。
成長部位・・・
フットワーク & 脚部のテクニック
コレが、ナント正確になってきているんですねぇ。
ぜーんぶ、ベタ足だったのが、
ちゃんとトウ・バランスができるようになっている!
んで、バックするところはカカトで送ってるし・・・
膝元もライズ&ロウァをやっている、
しかも、必要なときに、必要なだけ・・・
何しろ彼に関しては、
「前進するときは、カカトから」
なんて超ベーシックな話もナシでやってきたんだもんね。
なぜって、足元のことって、
意識的になればなるほど緊張しちゃうからなんだ。
緊張してバランスが悪くなり、
さらに緊張して・・という悪循環、
こうなったら大変だから、
最初はもうペッタンペッタン、ベタ足でOK。
そのうち
スイング動作が活発化するとボディライズが起こり、
それでは飽き足らなくなって、
スイングの波状運動が、
股関節・ヒザ・足首のまで及んだ頃には、
イヤでも、フットワークという世界観が現れてくる。
つまり、ホールド形成のプロセスと同様、
ボディスイングエネルギーが増してくるに連れて、
足のエネルギーも増し、
フットワークの必要性が生まれてくる・・・
という気の長い指導法だったんだが、
案外早く結果が出たようだ。
さて、こうして無事に
初心者時代をクリアできたミキヒコさん、
次なるステージに上がっていただこう・・・ってわけで、
今まで自由奔放に踊ってきた彼に、
ようやく、イングリッシュ・スタイルの真髄である、
人間工学的な秩序ある美しさ
(足の裏、指先にいたるまでの)
正確で細やかな
リード&フォローテクニックからくる
ワンピース感
にいたる様々なテクニックを
教えるときがやってきたんだな。
でもね、ここからが重要!
実はその段階に臨む前に、
絶対やっておいたほうが良いプロセスがあるんだ。
ソレは
カラダのリキミを取ること
特に、ホールドなど、
手・腕に関しての
無駄な力を一切抜くように徹底させる。
(第169~171話参照)
これは、
ほぐれた筋肉であればあるほど、
新しい情報が正しく入りやすい
(第121~123話参照)と言う意味でもある。
だから、レベルアップしたり
何かテクニックを加えたりする前に、
ソレがスーッと受け入れやすいカラダにするためにも
欠かしてはいけないプロセスなんだ。
で、モウひとつの意味は、
新たに発展した形を生むべく、
内容をバージョンアップさせていくわけなんだから
今までの低いレベルで作ってしまった形を
いったんは崩す・・・と言うことだ。
うーん、これがなかなか難しいんだなぁ。
たいていの人は、嫌がったり、
不安になったりするモンね。
例えば、ホールド。
せっかくここまで
キレイに張れタンだからって崩すのを嫌がる。
イヤ、
もっと素晴らしいホールドが手に入るからっていっても、
なかなか聞いてはもらえないんだな。
さぁて、どうなりますやら、ミキヒコさん。
次なる目標と、
そのアプローチのために、私は彼に言ったんだ。
「随分シッカリとしたダンスになってきたんだけれど、
ここら辺で、
もっともっと外側の力を抜いてみましょうか。
で、カラダの中に力が来るように。
ホールドで言うなら、こんなくらいに・・・」
私が男性役になって、
ミキヒコさんをホールドし、
その目指すべき力加減を伝えたんだ。
「え?こんなにソフトというか、
楽な感じで良いんですか?」
彼はビックリしてこう続けた。
「僕は今、どんな感じですか?」
私が真似をして組んでみると、
「あ、これだと女性がイヤでしょうね」
で、意外なほどアッサリと
彼はこの提案を受け入れたんだな。
さらに洗練された“白鳥”となるべく、
彼の新たな挑戦は始まったばかり・・・
この結果報告は、また、オイオイお伝えいたしますね。
ミキヒコさんのダンス上達は、
「ダンス初心者、指導要綱」に則って学び行く
“後輩”にとっても大いに興味のあるところ。
で、最後に
そんな後輩の一人である、
ダンナ様ヒデ君情報も少しだけ・・・
サークルの下半期のテーマは、
チャチャチャ
実は彼、この種目、
ダンスを習い始めたころからの大の苦手だったんだ。
ソレが
「ワルツもチャチャチャも一緒や!
すごく共通点がある。
だから、チャチャチャを勉強して、
ワルツ、上手くなってやるンや!」と、豪語。
チャチャチャを練習する過程で、
自分なりに何かをつかんだんだな。
早くも苦手意識は返上できたよう、良かった・・・。
でも、一体ナニに気が付いたのかしらね。
も、また次の機会といたしまして。
これにて、完。
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