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エクササイズ&プラクティス集へ
チョット中休み エッセイvol.2
ワルツのデモンストレーション奮戦記
~後編~
まずは、こんな逸話をどうぞ。
エジソンの二人の助手は大いに落胆して言った。
「私たちは今、700回目の実験を終わりましたが、
まだ答えが得られません。
私たちは失敗したのです。」
「いや、失敗したわけではない」
とエジソンは答えた。
「この件については、
私たちが世界中で一番
知っているということなのだ。
私たちは、答えを見つける最短距離にいるのだ。
なぜなら、やってはいけないことを700回、
700通りも知っているわけだからね。
それを失敗だと言ってはいけない。
勉強したのだと言いたまえ!」
そーなのよね。
ダンスにおける失敗ってまさしくソレなんよ。
モシ、失敗しちゃった場合、
この“失敗”から、
一体自分は
何を学んだら良いのだろう?
と、考えに考えて、
ソレを自分の中でしっかりと受け止めて、
次に生かすことが出来たとき、
“失敗”と言う名のキツイ学習こそが、
自分をさらに高めるための
ものすごい教材であったことに気づくんだよな。
そのうち、
「いやぁ、大成功でしたね~」
と、周りが評価してくれる事態がきても、
もっと自らの進化を望む人は
「ひとつの結果は出ましたが、
まだまだ学ぶべきものはいっぱいあります」
なぁんてサラリと言ってのけ
この世でおそらくは
自分にしか分からない
“反省点”を見つけ出し、
ソレに向かってまた努力をする
そうすれば、また更なる高い頂に向けての
挑戦権を手にすることが出来ると言う話・・・。
そういう学びとか進化の観点から見れば、
今回のヒデ君のワルツのデモンストレーション
「ナチュラル・ターン撃沈事件」(第177話)なんかも、
モウコレは起こるべくして起こったというか、
先生としては絶対に、
この初期段階で“大失敗”をやらかしておいたほうが
むしろ良かったと思うような“シロモノ”だったんだな。
ソレくらい、
ワルツのスタートはある意味難しい
ってことで、この超初心者の“失敗”を
「君、大変だったねぇ。まだまだ若いんだし大丈夫」
なぁんて他人事で片付けないで、
ベテランさんほど、
コレを機会に彼と一緒に学んでいただければ
・・・と思うわけ。
そして、
「自分も同じかもしれない。
大きな失敗になっていないだけで、
小さな失敗・妥協のスタートを繰り返しながらも
『まぁ、こんなもんヤロ』で終わってしまっていないか?」
って自分自身に問い直して欲しいんだな。
で、
「もっと良いスタート、
より完璧なナチュラルターンがまだあるはずだ」
と、
求めて欲しいと切に願うのであります。
ここで名言をひとつ。
完璧だと思っても
もう一押しすれば、おまけが手に入る
by エジソン
さてさて本題に移ろう。
自分のダンス姿がドドンと映し出された画面を
ジーッ食い入るように見つめていたヒデ君、
「あ」
といきなり声を上げ・・・
どうも面白い発見をした様子なんだ。
「なんや、本番だけ失敗したンヤと思うてたら、
リハーサルのときから“腰、引いてる” わ」
つまりは、
捨て足の左足から
右足の第一歩目への重心移動の失敗は、
もうすでにリハーサルのときからやっていたと言うわけだ。
「本番は緊張もしていたし、勢いをつけちゃったから、
大きな失敗となって表面化しただけか。
ってことは・・・きっと、
ズーっと腰抜けナチュラルターンやったんやろな、
見過ごしていただけで」
と、賢い見解。
実はその通りなんスよ。
自ら気がついてくれて良かったわ。
またさらに何かを発見して、画面をストップ。
「ワー。ナチュラルターンのときだけ違うわ。
女性と組むとこから“腰、引いてる” わ」
大当たり!
何かの拍子に
“腰砕け・へっぴり腰”になっちゃうクセは、
ヒデ君にダンスを教え始めてすぐに気がついた
彼の弱点であって、
これから時間をかけて是正していかなければいけない
カラダの特徴のひとつなのだが、
今回、ソレが、大きく出てしまったんだな。
どういうことかというと、
スタンディング・ポジションのとき、
彼は組みなれないパートナーに触れることを
ものすごく意識したんだ。
しかも彼女は自分にとっては小柄、
だから、腰を引いてソッと手を伸ばし
「女性を大切に扱おうとした・・・」
その心がけはヨーシ。
だからと言って、
自分の下にある
床を忘れちゃいけなかったんだ。
相手と組むことを主体として意識し、
自分が床と組むことを忘れた結果、
腰を引きながらフラーっと頭から突っ込んでしまうという
恐ろしいバランスに追い込んでしまったんだな。
結果、かえって女性に負担をかけ、
自らも
「なんかようわからん間にスタートをしてしまった」
当然、左足の“捨て足”に体重がのった頃には、
かかとが浮いたノーコン(コントロールが効かない)状態。
コレでは、女性のインサイド(両足の間に右足を入れる)へ
ナチュラルターンは成功できる確率は非常に低くなる。
「なぁ、
どうやったら女性の両足の間に
上手く右足を振り出せるの?
俺、女性に触れるのも気を遣うけど、
股間に足を入れるの、もっと気を遣ってしまうネン。
やっぱ、失礼やと思うから・・・」
エエこと言うね、ヒデ君よ、
ダンスに慣れっこになっちゃったベテランさんからは
なかなか聞き出すことの出来ない質問だ。
そういう、いわば人として当たり前の気持ち、
ズーッと持ち続けて欲しいと思うわよね。
で、ビデオを一時停止にしたまんま、
リビングでのミニレクチャーが始まったと言う次第。
「左足の“捨て足”に体重がある間に、
女性に心の中で“お願い”しているのよ」
「“お願い”って何を?」
「女性の足と足の間を狙いながら、
上手く足を開いて通してもらえるように
“入らせて頂戴ね” って。
で、ちゃんと女性が開けてくれたかどうかを感じ届けてから、
インサイドに入るようにしているわ。
コレだと失礼に当たらないわ」
「へぇ?そんなこと・・・」
「感じがわかんないよねぇ、組んでやってみようか」
で、
彼は言われたとおり、
“捨て足”の左足の上で“お願い”を。
すると、結果、
サポーティング・フットであり、軸足でもある、
左足の上でコントロールを効かせながら
女性のインサイドに無事侵入!!
ヒデ君自身も、良い手ごたえがあったようだ。
「こ、こんなに丁寧にしているの!?」
とちょっとカルチャーショック状態だ。
「もちろんよ。
どれだけ相手と
近づいて踊ってもそうしているよ。
ねぇ、どんな感じ?」
「そらゼンゼン違うよ。
こんな感じでヒザも使っていなかったし・・・。
ムッチャ勢い付けてナチュラルターンやってやろう!
としか考えてヘンかったわ」
「ソレだと、反射的に女性は腰をブロック状態にして、
かえって通さないようにしちゃう恐れがあるわ。
だって怖いんだモノ」
「ソラ、そうやろうけど・・・」
「もちろん、左足の上で女性に
“お願い”出来るくらいのコントロールが必要ってことは、
その前の足の右足、ひいては、
最初に立ってる左足での
心構え・コントロールから大切になってくるわね」
「わぁ、最初から問題やったんや・・・。
ソラアカンワ。
大失敗したはずや」
頭を抱え込んだヒデ君、
「俺、まだまだやぁ~。
知らんこといっぱいやぁ~」
「大丈夫よ。
あなたはダンスにとって最も重要となる
“心(シン)”を持っているから。
後はソレをどうやってカラダで示していくかね」
「重要な心?」
「女性を大切に扱いたいと思う気持ちよ。
股間に足を入れるのを躊躇するような
“普通の心”かなぁ」
と、ワルツのスタートのレクチャーから、
いろんな話になってきて、
夫婦の会話は夜遅くまでエンエン続いたのでありました・・・
チャンチャン
続く 第179話へ
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ワルツのデモンストレーション奮戦記
~後編~
まずは、こんな逸話をどうぞ。
エジソンの二人の助手は大いに落胆して言った。
「私たちは今、700回目の実験を終わりましたが、
まだ答えが得られません。
私たちは失敗したのです。」
「いや、失敗したわけではない」
とエジソンは答えた。
「この件については、
私たちが世界中で一番
知っているということなのだ。
私たちは、答えを見つける最短距離にいるのだ。
なぜなら、やってはいけないことを700回、
700通りも知っているわけだからね。
それを失敗だと言ってはいけない。
勉強したのだと言いたまえ!」
そーなのよね。
ダンスにおける失敗ってまさしくソレなんよ。
モシ、失敗しちゃった場合、
この“失敗”から、
一体自分は
何を学んだら良いのだろう?
と、考えに考えて、
ソレを自分の中でしっかりと受け止めて、
次に生かすことが出来たとき、
“失敗”と言う名のキツイ学習こそが、
自分をさらに高めるための
ものすごい教材であったことに気づくんだよな。
そのうち、
「いやぁ、大成功でしたね~」
と、周りが評価してくれる事態がきても、
もっと自らの進化を望む人は
「ひとつの結果は出ましたが、
まだまだ学ぶべきものはいっぱいあります」
なぁんてサラリと言ってのけ
この世でおそらくは
自分にしか分からない
“反省点”を見つけ出し、
ソレに向かってまた努力をする
そうすれば、また更なる高い頂に向けての
挑戦権を手にすることが出来ると言う話・・・。
そういう学びとか進化の観点から見れば、
今回のヒデ君のワルツのデモンストレーション
「ナチュラル・ターン撃沈事件」(第177話)なんかも、
モウコレは起こるべくして起こったというか、
先生としては絶対に、
この初期段階で“大失敗”をやらかしておいたほうが
むしろ良かったと思うような“シロモノ”だったんだな。
ソレくらい、
ワルツのスタートはある意味難しい
ってことで、この超初心者の“失敗”を
「君、大変だったねぇ。まだまだ若いんだし大丈夫」
なぁんて他人事で片付けないで、
ベテランさんほど、
コレを機会に彼と一緒に学んでいただければ
・・・と思うわけ。
そして、
「自分も同じかもしれない。
大きな失敗になっていないだけで、
小さな失敗・妥協のスタートを繰り返しながらも
『まぁ、こんなもんヤロ』で終わってしまっていないか?」
って自分自身に問い直して欲しいんだな。
で、
「もっと良いスタート、
より完璧なナチュラルターンがまだあるはずだ」
と、
求めて欲しいと切に願うのであります。
ここで名言をひとつ。
完璧だと思っても
もう一押しすれば、おまけが手に入る
by エジソン
さてさて本題に移ろう。
自分のダンス姿がドドンと映し出された画面を
ジーッ食い入るように見つめていたヒデ君、
「あ」
といきなり声を上げ・・・
どうも面白い発見をした様子なんだ。
「なんや、本番だけ失敗したンヤと思うてたら、
リハーサルのときから“腰、引いてる” わ」
つまりは、
捨て足の左足から
右足の第一歩目への重心移動の失敗は、
もうすでにリハーサルのときからやっていたと言うわけだ。
「本番は緊張もしていたし、勢いをつけちゃったから、
大きな失敗となって表面化しただけか。
ってことは・・・きっと、
ズーっと腰抜けナチュラルターンやったんやろな、
見過ごしていただけで」
と、賢い見解。
実はその通りなんスよ。
自ら気がついてくれて良かったわ。
またさらに何かを発見して、画面をストップ。
「ワー。ナチュラルターンのときだけ違うわ。
女性と組むとこから“腰、引いてる” わ」
大当たり!
何かの拍子に
“腰砕け・へっぴり腰”になっちゃうクセは、
ヒデ君にダンスを教え始めてすぐに気がついた
彼の弱点であって、
これから時間をかけて是正していかなければいけない
カラダの特徴のひとつなのだが、
今回、ソレが、大きく出てしまったんだな。
どういうことかというと、
スタンディング・ポジションのとき、
彼は組みなれないパートナーに触れることを
ものすごく意識したんだ。
しかも彼女は自分にとっては小柄、
だから、腰を引いてソッと手を伸ばし
「女性を大切に扱おうとした・・・」
その心がけはヨーシ。
だからと言って、
自分の下にある
床を忘れちゃいけなかったんだ。
相手と組むことを主体として意識し、
自分が床と組むことを忘れた結果、
腰を引きながらフラーっと頭から突っ込んでしまうという
恐ろしいバランスに追い込んでしまったんだな。
結果、かえって女性に負担をかけ、
自らも
「なんかようわからん間にスタートをしてしまった」
当然、左足の“捨て足”に体重がのった頃には、
かかとが浮いたノーコン(コントロールが効かない)状態。
コレでは、女性のインサイド(両足の間に右足を入れる)へ
ナチュラルターンは成功できる確率は非常に低くなる。
「なぁ、
どうやったら女性の両足の間に
上手く右足を振り出せるの?
俺、女性に触れるのも気を遣うけど、
股間に足を入れるの、もっと気を遣ってしまうネン。
やっぱ、失礼やと思うから・・・」
エエこと言うね、ヒデ君よ、
ダンスに慣れっこになっちゃったベテランさんからは
なかなか聞き出すことの出来ない質問だ。
そういう、いわば人として当たり前の気持ち、
ズーッと持ち続けて欲しいと思うわよね。
で、ビデオを一時停止にしたまんま、
リビングでのミニレクチャーが始まったと言う次第。
「左足の“捨て足”に体重がある間に、
女性に心の中で“お願い”しているのよ」
「“お願い”って何を?」
「女性の足と足の間を狙いながら、
上手く足を開いて通してもらえるように
“入らせて頂戴ね” って。
で、ちゃんと女性が開けてくれたかどうかを感じ届けてから、
インサイドに入るようにしているわ。
コレだと失礼に当たらないわ」
「へぇ?そんなこと・・・」
「感じがわかんないよねぇ、組んでやってみようか」
で、
彼は言われたとおり、
“捨て足”の左足の上で“お願い”を。
すると、結果、
サポーティング・フットであり、軸足でもある、
左足の上でコントロールを効かせながら
女性のインサイドに無事侵入!!
ヒデ君自身も、良い手ごたえがあったようだ。
「こ、こんなに丁寧にしているの!?」
とちょっとカルチャーショック状態だ。
「もちろんよ。
どれだけ相手と
近づいて踊ってもそうしているよ。
ねぇ、どんな感じ?」
「そらゼンゼン違うよ。
こんな感じでヒザも使っていなかったし・・・。
ムッチャ勢い付けてナチュラルターンやってやろう!
としか考えてヘンかったわ」
「ソレだと、反射的に女性は腰をブロック状態にして、
かえって通さないようにしちゃう恐れがあるわ。
だって怖いんだモノ」
「ソラ、そうやろうけど・・・」
「もちろん、左足の上で女性に
“お願い”出来るくらいのコントロールが必要ってことは、
その前の足の右足、ひいては、
最初に立ってる左足での
心構え・コントロールから大切になってくるわね」
「わぁ、最初から問題やったんや・・・。
ソラアカンワ。
大失敗したはずや」
頭を抱え込んだヒデ君、
「俺、まだまだやぁ~。
知らんこといっぱいやぁ~」
「大丈夫よ。
あなたはダンスにとって最も重要となる
“心(シン)”を持っているから。
後はソレをどうやってカラダで示していくかね」
「重要な心?」
「女性を大切に扱いたいと思う気持ちよ。
股間に足を入れるのを躊躇するような
“普通の心”かなぁ」
と、ワルツのスタートのレクチャーから、
いろんな話になってきて、
夫婦の会話は夜遅くまでエンエン続いたのでありました・・・
チャンチャン
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