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ジュンコ先生とQさんの対談は佳境へ。
カラダの中に描く、
コネクション用の地図についてと話は移り、
要は体幹部のインナーマッスルがポイントのようなのだが・・・
Q「大腰筋は、最近テレビや雑誌でも
よく取り上げられるようになりましたね。
大手のメーカーが、
『はくだけで大腰筋が鍛えられる“大腰筋強化スパッツ”』
を販売して話題を呼んでいますし、
私の姉なんて、全くスポーツには無縁ですが
『大腰筋ダイエットっていいわ。
ポッコリおなかに効くわよ。骨盤矯正にもなるって』
なんて、やたら詳しいんです(笑)」
先「そう言えばね、
古代中国の英知といわれる“易経”(えききょう)では、
3千年以上も前から
大腰筋の重要性は説かれているそうなのよ。
でも日本ではまだワリと最近よね、
その名前が知られるようになったのも。
なんでも、
ある大学の人間総合科学科の助教授が
トップアスリートのカラダを研究していて
出会った筋肉らしいのね。
世界トップクラスのアスリートと
他の選手の“太もも”に着目したんだけれど、
特に差が見られない。
で、MRIを駆使し発見されたのが大腰筋だったって話よ。
トップアスリートは、
太ももはそれほど太くないのに
大腰筋の太さはズバ抜けていた・・・。
“これはすごい筋肉があるぞ”って、
一気に注目を浴びたらしいのよ」
Q「へぇ~。
太もものほうが大きな筋肉で、
なんだかパワーがありそうなのに・・・」
先「以前話したように、
筋肉自体からパワーを生むのではないからね。(第121話)
筋肉の本来の役割である“エネルギーの伝達”という点では、
骨にくっついている深部筋(インナーマッスル)のほうが
伝達にロスがなく、都合が良いわけ。
太ももの筋肉(大腿直筋)は、
カラダの表面に近いところにあるからね」
Q「カラダの表面に近いところ?」
先「そうよ。ちょっと太ももを触ってみて。
今触れているのが、大腿直筋よ。
カラダの奥にある大腰筋はそうはいかないわ。
触れることはできない、感じることはできるけど」
Q「だから、難しいんですよね。
大腰筋を使って踊れと言われても、
感じる練習からはじめないと
使いこなせない・・・」
先「そうね。
でも、わかりにくい筋肉だから良いところもあるのよ。
例えば、大腰筋の主な役割のひとつに
『大腿骨を引き上げる=太ももを上げる』というのがあるのね。
これは歩いたり走ったりするときに
不可欠なアクションなんだけど・・・」
Q「それって、ダンスでも不可欠ですよね」
先「そうなの、で、実はこの動き、大腰筋ではなく、
腹直筋(いわゆる腹筋)と大腿直筋(太もも)を使っても
同じようにできるモノなのよ。
カラダの前面、表面にあるコッチのほうがわかりやすいから、
フツーの人たちはこの“両直筋”の連動で
“太ももを上げる”動作をしてしまいがちなの」
Q「腹直筋も触れることができますものね。
発達すると割れてくるから見た目もわかりよい(笑)」
先「そうね。でも、それでは、
例えば武術・格闘技の世界では絶対ダメなわけ。
動きが簡単に表面に出てしまうから
力の変化を相手に読まれてしまう、
で、返し技でアッサリ・・・」
Q「はぁ、なるほど」
先「でもね、
カラダの奥深いところからやってくる動きは、
時間を経て相手に伝わるため、
簡単に見抜かれることもないわ」
Q「宮本武蔵の世界ですね(笑)」
先「そうね。
そういった達人たちの表面的な動きだけを
マネしようという人がいるんだけれど、ある意味、絶対無理。
本物にはなれない
見た目ならすぐにマネできるかもしれないけれど、
その本質はいわゆる
奥義を極めた達人とは
似て非なるもの・・・
Q「ワァ、ソレってダンスもいっしょですね。
上級者のダンスほど、
『外から見ているだけだと何がナンやらわからない』
ってところがありながら、
反対に、『簡単そうで真似できそう』
と思わせるところもあったりして
『私にだってできるもん』と、
見ている側は、
大いなる錯覚を起こしてしまいがちなんですよね」
先「そうね。
さっきの“太ももを上げる”というアクションにしても、
腹直筋と大腿直筋でヤレば、手っ取り早いしわかりやすい、
でもダメなのよね。
理由は・・・もうわかるわね?」
Q「ええ、ダンスは格闘と違って、表現する世界ですけれど、
表面的な筋肉を使ってのアクションは、
ナンカ安っぽいというか、重みがないというか、
芸術性がないというか、
それに、相手とのコミュニケーションという意味においても、
動きが雑なため、良い伝わり方はしないだろうし・・・」
先「そのとおりね」
Q「同じ動きをしているのに
全然違って感じるって、そういうことだったんですね。
そういえば、世界のトップクラスの方たちって、
立っているだけ、
歩いているだけでも芸術性
を感じてしまいますものね」
先「良い動きはカラダの深―いところからやってくるから、
必要な経路、時間を経ていて
熟成したものが表面化しているものなのよね。
だから、
表面だけで何とか取り繕ろうとしても無理なのよ、
できないのよ、
そう、コネクションにしても・・・」
Q「あ~そう、コネクションの話でしたね(笑)
カラダの中に描く“コネクション用の地図”。
でも、今の話を伺って、
自分がどうして上級者のコネクションにナカナカなれないのか、
少し理解できたような気がします。
『そうか、コネクションは手先ではなく、
インナーマッスルを使うんだ』
って頭では理解しているつもりでも、
実践ではどうしても
手っ取り早くやりたくなっちゃって“元のモクアミ”。
なんだかあせっちゃうんですよね、相手と組むと」
先「この際、正しい地図を手に入れて、
ソレを頼りに練習に励むことね。
そうしてある程度の“道順”をカラダが覚えれば、
どんなにアセっても、その道しか通れなくなってくるからね」
Q「どのくらいその“道順”をたどれば
カラダは覚えてくれるんでしょう?」
先「一般的には、新しい動きをカラダが覚えるのに、
2000~3000回はやったほうがいいとは言われているわ。
Q「2000~3000回!?
多いのか少ないのか良くわかりませんね」
先「もっとできるだけ早く、を望む方は、
しっかりイメージすることを勧めるわ。
そのためにも、
“コネクション用の地図”の要所要所のイメージが
もう少しあったほうが良さそうね。
あ、ソウ!
イメージ作りにすごく有効なエクササイズがあるから教えるわね」
続く 第142話へ
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ジュンコ先生とQさんの対談は佳境へ。
カラダの中に描く、
コネクション用の地図についてと話は移り、
要は体幹部のインナーマッスルがポイントのようなのだが・・・
Q「大腰筋は、最近テレビや雑誌でも
よく取り上げられるようになりましたね。
大手のメーカーが、
『はくだけで大腰筋が鍛えられる“大腰筋強化スパッツ”』
を販売して話題を呼んでいますし、
私の姉なんて、全くスポーツには無縁ですが
『大腰筋ダイエットっていいわ。
ポッコリおなかに効くわよ。骨盤矯正にもなるって』
なんて、やたら詳しいんです(笑)」
先「そう言えばね、
古代中国の英知といわれる“易経”(えききょう)では、
3千年以上も前から
大腰筋の重要性は説かれているそうなのよ。
でも日本ではまだワリと最近よね、
その名前が知られるようになったのも。
なんでも、
ある大学の人間総合科学科の助教授が
トップアスリートのカラダを研究していて
出会った筋肉らしいのね。
世界トップクラスのアスリートと
他の選手の“太もも”に着目したんだけれど、
特に差が見られない。
で、MRIを駆使し発見されたのが大腰筋だったって話よ。
トップアスリートは、
太ももはそれほど太くないのに
大腰筋の太さはズバ抜けていた・・・。
“これはすごい筋肉があるぞ”って、
一気に注目を浴びたらしいのよ」
Q「へぇ~。
太もものほうが大きな筋肉で、
なんだかパワーがありそうなのに・・・」
先「以前話したように、
筋肉自体からパワーを生むのではないからね。(第121話)
筋肉の本来の役割である“エネルギーの伝達”という点では、
骨にくっついている深部筋(インナーマッスル)のほうが
伝達にロスがなく、都合が良いわけ。
太ももの筋肉(大腿直筋)は、
カラダの表面に近いところにあるからね」
Q「カラダの表面に近いところ?」
先「そうよ。ちょっと太ももを触ってみて。
今触れているのが、大腿直筋よ。
カラダの奥にある大腰筋はそうはいかないわ。
触れることはできない、感じることはできるけど」
Q「だから、難しいんですよね。
大腰筋を使って踊れと言われても、
感じる練習からはじめないと
使いこなせない・・・」
先「そうね。
でも、わかりにくい筋肉だから良いところもあるのよ。
例えば、大腰筋の主な役割のひとつに
『大腿骨を引き上げる=太ももを上げる』というのがあるのね。
これは歩いたり走ったりするときに
不可欠なアクションなんだけど・・・」
Q「それって、ダンスでも不可欠ですよね」
先「そうなの、で、実はこの動き、大腰筋ではなく、
腹直筋(いわゆる腹筋)と大腿直筋(太もも)を使っても
同じようにできるモノなのよ。
カラダの前面、表面にあるコッチのほうがわかりやすいから、
フツーの人たちはこの“両直筋”の連動で
“太ももを上げる”動作をしてしまいがちなの」
Q「腹直筋も触れることができますものね。
発達すると割れてくるから見た目もわかりよい(笑)」
先「そうね。でも、それでは、
例えば武術・格闘技の世界では絶対ダメなわけ。
動きが簡単に表面に出てしまうから
力の変化を相手に読まれてしまう、
で、返し技でアッサリ・・・」
Q「はぁ、なるほど」
先「でもね、
カラダの奥深いところからやってくる動きは、
時間を経て相手に伝わるため、
簡単に見抜かれることもないわ」
Q「宮本武蔵の世界ですね(笑)」
先「そうね。
そういった達人たちの表面的な動きだけを
マネしようという人がいるんだけれど、ある意味、絶対無理。
本物にはなれない
見た目ならすぐにマネできるかもしれないけれど、
その本質はいわゆる
奥義を極めた達人とは
似て非なるもの・・・
Q「ワァ、ソレってダンスもいっしょですね。
上級者のダンスほど、
『外から見ているだけだと何がナンやらわからない』
ってところがありながら、
反対に、『簡単そうで真似できそう』
と思わせるところもあったりして
『私にだってできるもん』と、
見ている側は、
大いなる錯覚を起こしてしまいがちなんですよね」
先「そうね。
さっきの“太ももを上げる”というアクションにしても、
腹直筋と大腿直筋でヤレば、手っ取り早いしわかりやすい、
でもダメなのよね。
理由は・・・もうわかるわね?」
Q「ええ、ダンスは格闘と違って、表現する世界ですけれど、
表面的な筋肉を使ってのアクションは、
ナンカ安っぽいというか、重みがないというか、
芸術性がないというか、
それに、相手とのコミュニケーションという意味においても、
動きが雑なため、良い伝わり方はしないだろうし・・・」
先「そのとおりね」
Q「同じ動きをしているのに
全然違って感じるって、そういうことだったんですね。
そういえば、世界のトップクラスの方たちって、
立っているだけ、
歩いているだけでも芸術性
を感じてしまいますものね」
先「良い動きはカラダの深―いところからやってくるから、
必要な経路、時間を経ていて
熟成したものが表面化しているものなのよね。
だから、
表面だけで何とか取り繕ろうとしても無理なのよ、
できないのよ、
そう、コネクションにしても・・・」
Q「あ~そう、コネクションの話でしたね(笑)
カラダの中に描く“コネクション用の地図”。
でも、今の話を伺って、
自分がどうして上級者のコネクションにナカナカなれないのか、
少し理解できたような気がします。
『そうか、コネクションは手先ではなく、
インナーマッスルを使うんだ』
って頭では理解しているつもりでも、
実践ではどうしても
手っ取り早くやりたくなっちゃって“元のモクアミ”。
なんだかあせっちゃうんですよね、相手と組むと」
先「この際、正しい地図を手に入れて、
ソレを頼りに練習に励むことね。
そうしてある程度の“道順”をカラダが覚えれば、
どんなにアセっても、その道しか通れなくなってくるからね」
Q「どのくらいその“道順”をたどれば
カラダは覚えてくれるんでしょう?」
先「一般的には、新しい動きをカラダが覚えるのに、
2000~3000回はやったほうがいいとは言われているわ。
Q「2000~3000回!?
多いのか少ないのか良くわかりませんね」
先「もっとできるだけ早く、を望む方は、
しっかりイメージすることを勧めるわ。
そのためにも、
“コネクション用の地図”の要所要所のイメージが
もう少しあったほうが良さそうね。
あ、ソウ!
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