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ジュンコ先生とQさんの対談 
第2弾(第1弾は、第121122123話)


今回のテーマは、「手・腕」


「ジュンコ先生は、
ホールドを含めた手・腕に関して、
すごく細やかなレッスンをされますでしょ?
何か理由があるのですか?」



「そうね。これもやはり、
ロンドン留学のカルチャー・ショックがきっかけね。
ムコウの方々は“手が違う”のよ。
それがナニであるのか紐解きたくってね、
いろいろ勉強したの」



「手が違うって
・・・すごく柔らかいんですか?」



「ええ、柔らかいことはとても柔らかい
そして心地よい
ホールドにしてもファ~ッと包まれるような感じだし、
ラテンのコンタクト・アームも
吸い付いてくるようなシットリ感があったわ。
とにかく、手・腕に触れただけで
“この人、タダモノじゃないな”って」



「へぇ~ 触れてみたい!(笑)」



「でもね、柔らかいだけじゃないのよ。
踊りがいったん始まると、
ある意味、

ものすごくストロングでパワフルなの。

例えば、ルンバのクローズ・ヒップ・ツイストのリードなんて、
ガシッと回され、ビューンと飛ばされ、
気がついたらファン・ポジション(笑)
もう“ソウにしかならない”ように動かされてしまう。
男性だけじゃなく女性の手や腕もパワーがあるわ。
私のリーダーなんて、アレマーナのリードをしようとしたら、
ゲイナー(ドニー・バーンズの元パートナー)に、
『ライク・スパゲティ』って笑われたわ、
意味、わかる?」



「スパゲティが好き
・・・じゃなくて、
スパゲティみたいに、
手がフニャフニャってことですか?」 



「そう!
で、思いっきりテンション入れてやったら
『グッド・ボーイ』って褒められてた」



「エ~そうなんですか?」



「パソドブレのラインにしても、
私がコーチャーのマネをしようと思ったら、
すごくハイテンションで
ガンガンにリキまないとダメなのよ。
指先にまでカーッと力を入れて。
ワクをしっかり作って・・・やっとOKが出る。
だから、誤解したわけ、
そうやって踊るのが正しいのだと。
ムコウの人はすごく筋力があるんだとも思ったわ。
これは、エライコトや、
筋トレしなきゃって感じよね」



「でも、誤解ってことは、ソレが正しいのではない?」



「ええ、大きな違いは、

心地良いのと心地悪い



「?」



「ムコウのコーチャーに、
いくらガシッと捕まえられて振り回されても、
心地良いのよ、楽しいのよ
だからもっとやって・・・みたいな気分になる(笑)
でも、私たちがそのマネをすると、
心地悪いの。まるで戦っているみたいでね(笑)」



「エ~どうしてそんなに違うんでしょ?」



「簡単に言えば、私たちのは
“腕力”なり、筋肉から力を出そうとして踊っていたわけ。
コーチャーのは、

“エネルギーの伝達力”(第121話)

言い換えれば、私たちのは部分部分の力。
コーチャーのは、

エネルギー全体の総和



「エネルギー全体の総和?」 



「そう! 
地の底からフツフツと上がってきた
エネルギーをカラダがキャッチ
優れた筋肉によって全身にスムーズに伝達され、
特に体幹部のインナーマッスルで増幅され
強大なパワーに変換されて、

ソレが腕~手へとスルーされ、ドーン!!
こんなイメージよ」



「ワァ、聞いているだけで
すごいエネルギーなんだろうなって・・・」



「そうなの。エネルギッシュよ。
だから、そういうコーチャーに習ったことによって、
まずは、
『アレだけしっかりと相手とかかわりあわないといけないんだ』
と解釈したし、
ラテンにおける手を通してのいわゆる
ハンド・コネクションついては大いに誤解していたように思うわ。

“腕力”と“エネルギーの伝達力”

この違いはものすごく大きい!


でもね、
現役で踊っていた頃は見抜けなかった」



「いつ頃から、
これはオカシイなと気がついてきたのですか?」



「おかしいナァ、何か違うんじゃないかナァ、
という思いは最初からあったわ。
例えば『ホールドをキレイにしなさい』と言われ、
筋肉に力を入れてキレイになったとするでしょ?
『ハイ、それで良し!』なんて、
そーんな短絡的なモンじゃないでしょ!?と思ったわけ。
コネクションでも、グッと手に力を入れて押したり引いたり
・・・それでOKと言われても、
こんなこと本当にやっているのかしら? と、疑問に思ったわ。
私たちがやってもこんなに難しく筋力がいることを、
ずっと年上で競技にも出ない一般の
“ダンス愛好家”の方々に教えるなんてどこか変だし、
これでニコニココミュニケーションがとれるなんて
うそぉ~って思ったんでしょうね」



「なるほど・・・」



「でも“エネルギーの伝達”だって分かったときからは、
お年を召されている人や、
初心者のレッスンにも迷いがなくなったわ。
なぜなら、まずは何はともあれ

“筋肉をほぐす”ってことが重要なわけだから、

カラダにもいいしね」



「競争ではなく協調、
世間では“癒しの時代”に入っているわけですものね」



「そうね、でも、カラダに優しく癒しのダンスって、
競技スタイルのダンスでも可能だと思うの。
社交のためのダンスよりも、
ある意味“勉強”は必要だと思うけれどね。
競技ダンスなのか、社交ダンスなのか、
ソレはダンスの表現の違いだけであって、
もっと根源にあるものって一緒
だと思うのね、
大本の“二人で踊る醍醐味”みたいなものは・・・」



「エ、根源にあるものって何ですか?」



「簡単に言えば

コミュニケーションかな」



「踊る相手との?」



「もちろんソレもあるけれど、
まずは自分自身との、
そしてその自分自身との関係を感じるために、
相手がいる、それに音楽も
・・・」 



「なんだか、難しくなってきました」



「そうね、これはまたオイオイお話していくとして、
何が言いたかったかといえば、
そう、コネクションやアームアクションにも

“選択の幅”

をもっと持つことをしないとダメなんだってことなの」



「それはコネクションが、
強いとか弱いとか、しっかりとか微弱とか
言う意味ですか?」



「そうよ。
ゲイナーに“スパゲティ”といわれたコネクションは、
相手が強大なエネルギーを放出しているゲイナーであり、
目指すものが競技ダンスの中での“アレマーナ”だから、
それにしたら弱すぎるじゃないの!?ということであって、
そのときのコネクションをそのまま、
パーティのときに使ったら女性が吹っ飛んじゃうでしょうね」



「なるほど、そりゃそうですよね。
相手により、状況により、変えなきゃってことですよね。
でも、

相手がどんなテンションで

関わりたいのかって

感じるのが難しい
ですよね。

踊りに行ったとき、先生から習ったように、
まずは力を抜いてってやったら
『もっとテンションをくれ、
こんなフニャフニャだとリードできん』
って怒られそうで(笑)」



「そうね、確かにお互いが
『自分は正しいハズだ』って主張を持っているからねぇ。
最初の手と手のふれあいの段階から、実は難しいものなのよね。
ダンスはコミュニケーションだって言うものの、
コミュニケーショという定義そのものが進化していかないと
かえって、傷つけあったりしてイヤなものになっちゃう・・・。
それへの対処はまたの機会にということで。
簡単に言えば、
“今”に最適なコミュニケーションのためのコネクション
じゃなきゃ意味がないし、問題が多すぎる! 
で、話を元に戻して

コネクションに“選択の幅”を持つ

勉強が必要になってくるのね」

次回へ続く・・・

※ここでのコネクションは、
手と手に関するもの=ハンドコネクションについてだとご理解ください。




      続く 第139話へ



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