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ダンスで使う筋肉についての、
ジュンコ先生とQさんの対談は続いている。


「筋肉の役割は、
床からもらった反作用のエネルギーを用いて、

その1 安定バランスを崩して、運動のきっかけを作り出す
その2 自らがエネルギーを運ぶ導管・導線となる
その3 骨格を利用しながら、
床からもらった反作用エネルギーの方向を変えたり、
速さを変えたり、増幅したり、といった調整をする

のであり、
筋肉が自ら力(エネルギー・パワー)を生むのではない」
・・・というお話だった。


次の焦点は、ダンスを踊る上においての
優れた筋肉とはどういうものなのか?
優れた筋肉になるためにはどうしたらいいのか?



「まずね、①について興味深いエピソードがあるのよ。
初めてのロンドン留学で出会ったとある有名な男性コーチャー、
彼はものすごくナチュラル&リラックスを提唱している方で
私にカルチャー・ショックを与えた
張本人ともいえる人物だったんだけど、
レッスン中、その彼が踊っているときに
“ふくらはぎ”を触れさせてもらったことがあったのよ。
そしたらね・・・」



「どんな感じだったんですか?」



「もう、パンパン!スンゴイ硬くなっているのよ。
オイオイ、リラックスって言いながらソレはないでしょ(笑)
いつも、私たちには力を抜けって言いながら、
実際は筋肉に力を加えて踊っているじゃない!?
ソウ思ったわけ。
そうしたらね、そのコーチャー、
意味ありげにニタニタ笑いながら
『ワタシ、チカラ、イレテマセン。コレ、正解ネ』
という訳よ。
で、次に踊っていないときに触れさせるの、
そうしたらね、今度はフニャフニャ・・・」



「え、どういうことですか?」



「実はね、これが優れた筋肉の特徴なのよ。
はじめのパンパンは、彼の言ったとおり、
力を入れていたのではなくて、
筋肉がエネルギーの伝達器官として働いる時の状態だったのね。
しかもエネルギーが増幅したから、グゥォーンと硬くなった
で、働いていないときは、柔らかくほどけていたってことなの
・・・つまり優れた筋肉とは、

このように

その1 変化の幅を持っている筋肉なの」



「へぇ~なるほどね」



「では、

それら優れもの筋肉の働きブリ

ちょっとした例え話でシミュレーションして見るわよ」 


これから、50人分の、お弁当作りをします。
おかず、ご飯などはもうそろっていて、後は詰め込む作業のみ。
まず、ご飯を入れた横に、
10種類のおかずを所定の場所に入れて、完成。
作業にあたるお手伝いの人は何人使っても良い。



「では、質問。
どうやったら一番効率良く、しかもキレイに、
50人分完了するかしら?」



「こういうことは任してください!
ズラリ横1列に全員が並びます。
で、ご飯を入れる人を先頭に、
一人1種類ずつのみを担当してできたら横に送っていくんです。
いわゆるベルト・コンベアー方式ですね。
ええと、お手伝いさんは、ご飯を入れる人が1人と、
後、おかずを一種類ずつ入れるから
・・・全員で11人がベストかナァ。」



「そうね。やり方はそれでOKね。
さらに合理的に、
しかもいい仕事にするために気をつけることは?」



「そりゃぁ、お手伝いさんの質が良くないと(笑)
・・・ということで、一人ひとりのおかずを詰める能力を上げる!
間違いなく、的確に、手際よく。
それから、おかずを詰める順番も大切ですね。
おかずの内容、お弁当箱の仕切りの様子で判断して、
詰めよい順番を決める。
決まったら、その順番どおりに入れていく。
並ぶ人の間隔も大切だわ。
狭すぎたら、手が当たって作業の邪魔になる。
広すぎると横に渡しにくい。
作業がしやすいちょうどいい間隔になってもらうことですね」



「すごい、完璧じゃない!
ということは、
ひとつの仕事をするのに(この場合はお弁当つくり)
参加人数が最適で、その一人ひとりのレベルが高く、
仕事は一人につき1つだけに集中し、
最適な順番どおりに、言い間合いをもって
・・・

実はコレがこのまま、

ダンスを踊るときの

優れた筋肉の働きに当てはめられるのよ」



「へぇ~、おもしろい!
お手伝いさんの働きが、筋肉の一つひとつの働きってコトですか!?」



「そうなの。
では、ダンスを踊るときの

“エネルギー伝達”の仕事ブリ

ある“動き”をするとき
最適量の筋肉が動員 
高度に仕事を処理できる、
そのパーツパーツは、
ズラッとつながって並んでいる
効果的に働けるように
絶妙な時間差(間合い)を持ち
それぞれが1つだけの仕事に集中
間違いなく的確に、手際よく仕事をこなしつつ
最適な順番どおりに伝達していく 

・・・こんな感じかな?」



「だから、上手な人の動きって、
切れ目がなく、流れるようなのですね。
くるっと回ってパッと止まるみたいな高度なアクションも、
何の苦もなくやってしまえるのは、
短時間にたくさんの良質な筋肉のパーツが
タタターッと驚くべきスピードで、
エネルギーを伝達しているってからか
・・・すごいナァ。

あっという間に、
50人分のお弁当が出来上がっている
・・・って感じかな?

もっと良い筋肉になってくると、
同じ時間で100人分ぐらい、
完璧なお弁当が作れるようになるってわけですね(笑)」



「そのとおりよ!
筋肉の数については、ダンスは仕事量が多いから、
(お弁当で言うなら、おかずの種類が多く、作るお弁当の数も多い)
できるだけひとつの筋肉の仕事負担が少なくてすむように
たくさんの筋肉の参加がありがたいわね。
そして、
特に、背骨・アバラ・骨盤にくっついた
インナー・マッスルは、活性化される必要があるわ。
カラダの奥深くにあるから
意識的に使わないとなかなか動かしにくい筋肉だけど、

まだまだ秘められた潜在能力のある筋肉でもあるからね。
目覚めて仕事に参加してもらえるようになったら、千人力!
その分、表層部の筋肉のがんばりを激減することができるわよ。


さて、話を元に戻して、
こういう優れた働きができる筋肉は、
どんな筋肉かってコトを話さなきゃね。
それは、

その2 重力に対して、

できるだけ逆らわない、

エネルギーを伝達しやすいほぐれた筋肉


その3 クセや引っ掛かりがなく、

エネルギーがスムーズに流れる筋肉




「筋肉にクセがあるってわかるような気がします。
筋肉の持っている悪い習慣性みたいなものですね。
姿勢で言ったら、猫背になったり、
反対にそり腰になったりするのも、
筋肉のクセみたいなものなんでしょうね」



『ソウよ。そのほとんどは、
筋肉の力みから来るものなんだけどね。
だから、ほぐせば直ってくる

・・・ということで次は、
優れた筋肉になるための方法論に移るわね」



      続く 第123話へ



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