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以下は、
ジュンコ先生と生徒であるさんとの対談。
さんは2年前にプロ免許を取得。
教える側の立場として
ジュンコ先生のダンス理論に興味を示しているが・・・。


「このままダンスを続けていても、
今以上、絶対にうまくならないだろう、
ソウ思って現役の競技選手を辞めたのよ。
きっかけは、
初めてのロンドン留学で一流のダンスに触れたこと。
自分の力のなさをアリアリと見せ付けられ
“これは全然太刀打ちできないな”って(笑)。
単なる努力だけでは絶対埋められないほどの、
とてつもない差を感じたわ」



「どこがそんなに違うと思ったんですか?」



「まるっきり根本から違うって感じたわ。
ソウ、根っこがあるのよ、向こうのダンスには。
それに比べれば自分のダンスなんて、枝・葉だけ。
でも、その根っことは何ゾヤを垣間見る、

いくつかのキーワードをコーチャーたちから戴くことができたわ。

それらの“キーワードを紐解いていくこと”が、

今もなお続いている私のダンスにおけるテーマなの」



「そのキーワードって?」



ナチュラル(自然)・リラックス(楽にする)・コネクション(つながり)
といった、至極当然な大きなくくりのモノ。
そして、そこに行き着くための要素のようなモノ、
ミュージック(音楽)・グラバティ(重力)・ボーン(骨)・
エモーション(感情)・ブレス(呼吸)・・」



「どれも紐解くには、
時間がかかりそうなものばかりですね」



「ええ。普遍的で本質的・・・
だからこそ
本当にダンスに行き詰ったとき、
ここへやってくれば絶対的な導きがある。
真の救いが見出せる
ワケ。
“時間がかかっても紐解いていく価値は大いにある”
ダンスに本気で取り組めば取り組むほどに、
ソウ思えるようになってくるでしょうね」 



「今回の筋肉の働きも、

このキーワードから導き出せたということですが・・・」



「ええ、もちろんまだ発展途上だけれどね。
世界一流と呼ばれるダンサーの筋肉の使い方は、
私のソレとまるで違う、
いったいどうなっているんだろう? 
そんな思いが発端だった。
いろいろ勉強もしたわ。
で、行き着いたのがコーチャーからもらったキーワード、
グラバティ(重力)・ボーン(骨)。
コーチャーからのアドバイスの中にこういうものがあったのよ」

筋力ではなく、

重力を味方に付けて踊れ。

筋肉ではなく骨で踊れ。




「わぁ、意味不明です」



「当時の私もそうだったわ。
今から思えば、筋肉の働きに対する認識、
発想から全然違っていたのね。
私は、
“筋肉から力(パワー・エネルギー)を出して踊る”
ずっとソウ思ってきた

筋肉を鍛え、そこから力を出す。
ミクロ的な言い方をすれば、
筋繊維を収縮させることで力を生み、
ソレを運動エネルギーの主動力として踊る・・・」



「え?ソウではないんですか?
ダンスって筋肉を使って踊るものでしょ?」 



「筋肉は使うけれども、
筋肉から力(パワー・エネルギー)を出すのではない



「エ、ますますわからなくなりました。
パワー・エネルギーの源は筋肉ではないんですか?」



「ええ、筋肉がエネルギーを生むのではなく、
エネルギーはすでに“アル”のよ。
ソレを受け取り、上手く利用することで踊っているわ。
重力の垂直落下エネルギー、
自分が床に加えた重みに対して、
地球からもらう反作用
(第69話)エネルギー、
音楽エネルギー、
人体の持つ生命エネルギー・・
それらの合算でダンスは踊られている」



「ちょっとわからなくなってきました。
では、筋肉は何をしているんですか?
自らがエネルギーを生まないのなら・・・」



「OK!では、筋肉の主な役割を言うわね。

例えば、重力エネルギーは、垂直方向のエネルギーでしょ。
だからそのままでは、いわば、ただまっすぐ立っている安定状態。
だから前とか、後ろとかに
そのエネルギーの方向を転換させないと、
運動が始まらないの。(第49話)
つまり、
安定バランスを壊し、
運動するキッカケを作り出すのが筋肉の役目、その1
よ。

その2は、そうやって生み出された運動エネルギーを、
全身にくまなく伝えるために、
自らがエネルギーを運ぶ導管・導線となる
で、主として、
骨格のアライメント(整列具合)や配列の形を変化させながら、
エネルギーを伝達
させていくのよ」



「骨に変化を与えてエネルギーを伝達?」



「そうよ。
インナーマッスルは深層部、骨の近くにある筋肉ね。
それらは踊っている間だけではなく、
始終、重力エネルギーを伝達・調整しながら、
骨同士をくっつき合わせカタチつくったりして、
重力が働く中で安全に姿勢を保持するために働いている
わ。
また『骨で踊る』という意味においても、
エネルギーの質を高め、増幅しやすい環境にあるともいえる・・・
とにかく、インナーマッスルは重要よ」



「ワァ、頭が混乱してきました」



「もう少し混乱していただこうかしら(笑)

その3、筋肉はそうやって、
骨格を利用しながら、
床からもらった反作用エネルギーの方向や速さを変えたり、
増幅したり、といった微調整
もしてくれるの。
しかも、鍛えられた優れた筋肉になればなるほど、
エネルギー伝達能力に長けていて、
できるだけスムーズに、しかも最高の状態で、
エネルギーを直接仕事する先端部にまで届けてくれる」



「最高の状態?」



「ええ、エネルギーを伝達しながら適当に取捨選択しちゃって、
エネルギーを“精製・純化”していくの。
そして、
“今の動きに最適なエネルギー”として作り変えることが可能なのよ。
ここまでの優れもの筋肉になれば、
もうビックパフォーマンスのできる名人級ね」



「すごいナァ。
筋肉って“エネルギー発生器官”ではなく

“エネルギー伝達器官”なんですね。

でも“エネルギー伝達器官”であるならば、
よりたくさんの筋肉が目覚めていて
働ける状態のほうがいいですよね。
そのほうが効率よくエネルギーが伝達できそうですから」



「全身の筋肉が目覚めると
もちろん素晴らしいことになるでしょうね。
でも、
ひとつの動きをするときに、
その全部の筋肉が参加するわけではない
から、
誤解のないように」



「え!?より多くの筋肉が参加したほうが、
イイ運動になるんではないのですか?」



「もちろんソウだけれど、同時ではない。
すべてにタイムラグ=時間差があるほうが上質よ。
一発ドンで終わりではなく、
ズーッとつながって使い続けるの。
しかも順番まで決まっている」



「だから、いいダンスほど、
切れ目がないのはそのセイなんですね。
あのぉ、大腰筋などのインナーマッスルも同じ役割なんですか?
自らはエネルギーを生まないで、
エネルギーを伝達・調整している・・・?」



「そうよ。
インナーマッスルが存在しているあたりは、骨が多いの。
特に大切なインナーマッスルは骨にものすごく係わり合いがあるわ。
大腰筋の“背骨と大腿骨”みたいにね。
『骨で踊る』という意味においては、
エネルギーの質を高め、増幅しやすい環境にあるともいえるから、
インナーマッスルは大切なのね」



「筋肉の役割についてのお話を伺っていたら、
優れた筋肉の定義と、
そのような優れた筋肉になるためにはどうしたらいいかという
方法論が、
今まで考えていたものとは違うように思えてきたのですが
・・・もう少し説明していただけますか?」

次回へ



      続く 第122話へ



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