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「踊っているとき、

自分の“手に問題”を感じたことがある人はいるかな?」


ジュンコ先生がそう言うと、



「ハイ!」
真っ先に手を上げたのは、ハナコさん。

「リーダーにいつも手が

硬いとか、キツイとか、なじまないとか

サンザン言われるんです」




激しい口調で言い出したので、
チョットみんなは引いている。



どうも手のことで、
いつもイヤな思いをしているらしい。



「ハナコさんに自覚はあるのかしら?」
ジュンコ先生は優しくたずねた。



「いいえ。
ないから困っているのです。
リーダーは私と組むまでに
個人レッスンをずっと受けていたんですけれども、
どうも、
そのときの女の先生の手から受けた感触を基準に
考えているらしくって。
私としては、
そんなこと言われても・・・って感じなのですが」



「OK、ひょっとしたら、
コレはハナコさんだけの問題ではないかもしれないわね。
手は相手と最初に触れる部分でしょ?
そこでの印象は、ものすごく大事。
でもソレにしては、

手に関して

驚くほど自覚のない人が多いわ」

ジュンコ先生は苦笑気味。



「手は相手と直接的につながるところだから、
実はものすごく意識的なテクニックが必要なのね。
ソレがひいては、
相手への配慮心遣いになったりもするから、
エチケットという意味でも重要かな」


先生はそう言って、
みんなに二人組みになって向かい合うように指示を出した。


「足を肩幅に開き、
男性は左足、女性は右足に体重を乗せて楽に立ってね。
そして
男性は、左手のひらを出して、女性がソノ上に右手を乗せましょう。
これから、ルンバを踊る・・・そんな感じでOKよ。できたかな?」


「男性の方、女性の手の感じを観察してね。
どう?シックリくるかしら?」



シックリって、
コレがシックリという感覚なんだろうか?
そんな雰囲気が教室に漂い・・・



「目指して欲しいのはこんな感触よ」
とジュンコ先生は言いながら、
男性一人ひとりの手の上に自分の手を乗せていった。
次には、女性の手の上にも・・・



「あれっ?全然違う。

すごくシックリ来る」


和夫は思った。

「いかにも、踊れそうって感じだ。
でも、真理ちゃんの手と、どこが違うんだろう?」




他の男性も同じコトを考えていたが・・・。



「相手の手に自分の手をフィットさせるために、
さぁ、私はどうしていたのでしょうか。
想像のつく人いるかしら?」

と、ジュンコ先生から促されて、
坂田さんが答えた。



「うまく言えないんですが。

あ、ソウ、重みがあるような気がしたんですが。

手を僕に預けてくれたような・・・。」




「ピンポーン、正解!」



え?重み?

みんなは解せない様子だ。



「もっと正解を言えばね、
私は、男性の手の上に自分の手を置くとき、

全く手の力を抜いていたのよ。

その結果、坂田さんならびに男性の方たちは、

私の手の重みを感じた

ってワケ。
そしてシックリフィット感を味わえたのよ」


ジュンコ先生はニコニコしているが、
みんなはまだ良くわからないようだ。


「では、私がどのくらい力を抜いたのか、
みんなも試してみましょうか?」


先生はもう一度、男性の左手のひらの上に、
女性の右手を乗せるように指示をした。
「そのままで、男性だけが手をどけてみて。
上に乗っていた女性の手が、
それでも
宙に残っているようだとNG。

パラリと下に落ちたならOK。

重力方向に落っこちちゃうってわけ
よ」



え~そんなに抜いちゃうの? 
とみんな驚いている様子。
で、試してみているが、



「結構難しいわ。
下に落ちないで私の手だけ残っちゃうわ(笑)
わざとじゃないと下にパラりなんてならない。
コレって、力が入っているということですよね」

ケイコさんが笑っている。



みんなも同じ意見のようだ。



「先生、質問なんですが、
こんなに重みをかけて
男性はいやじゃないのかしらって思うんですが」

トシ子さんが言うと



「イヤなどころか、

この重みがあるから、リードしやすいんですわ」


と、一緒に組んでいた平田さんが変わりに答えてくれた。



ジュンコ先生は笑いながら、
「平田さんのおっしゃるとおりよ。
でも女性としては『手が重い』って言われるんじゃないかって心配よね。
でも、これは反対の立場になってみればすぐにわかることよ」
と、言われてトシ子さんが受ける手、
平田さんが乗せる手をやってみた・・・結果



「あら、ホント。手が浮いていると変な感じだわ。
つかみたくなって自分の手も上に上がって行っちゃうし。
重みがあるほうが安心
です」



「ソノとおりなのよ。
女性の手に力が入って、フィットしてくれなかったら、
男性の手は不安になって、女性の手をつかみに行く、
するともちろん男性の手にも力が入る・・・悪循環ね」
ジュンコ先生はそう言って、



「手に関するさまざまな問題の元凶は、


“力み”


しかも本人の自覚のない力みがほとんどなの。
無駄な力が一切入っていない手を目指すには、
手とつながっている、腕、肩、肩甲骨周り、
果てには、胸、背中・・に至るまでのリラックスが必要になってくるので、
一朝一夕には行かないけれど、コレだけはまず覚えておいてね。


ハンド・パワーは、

力みのない手からしか生まれない!



目指す手の力が抜けた感触は、
第61話のプラクティスを参照にして、練習してみてね」



      続く 第118話へ



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