2007.05.16 (第113話) 呼吸を使った究極のリード&フォローXXXⅤ 男性のリードの難しさ
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「なぜいつも、
アレマーナのリードがうまくいかないかが
なんとなくわかってきました」
そう言い出したのは、坂田さんだった。
「今回初めてファン・ポジションから、
女性ステップをやってみたんですが、
目に飛び込んでくる景色が全然違うんです」
け・し・き?
みんなクビをひねっているが。
ジュンコ先生は意味がわかるらしく、
面白そうに笑っている。
「男性はずっと同じ方を向いて立っていて、
ほとんど動かないじゃないですか。
女性一人が忙しそう・・・って感じはあったんですが、
こんなに、女性と男性の
踊っている感覚が違うとは思っていませんでした」
「坂田さん、いいところに気がついたわね」
ジュンコ先生はそういって、
坂田さんに話を続けさせた。
「女性からリードが遅いとか、早いとか、
わからないとか、
いろいろ言われていたんですけれども、
正直、
どれくらい遅いのか、どれくらい早いのか、
どうやったら伝わるのか、
ひどい話、
一体ナニを伝えたらいいのかさえ、
まるきり見当がつかなかったんです。
それが、女性役を体験してみて、
自分の何が悪かったのかが明確になってきたんです」
「あら、すごいことね。
それはどんな?」
先生にそう聞かれ、
阪田さんは大切そうに一言ひとことを連ねていく。
「僕に絶対的に足りなかったのが、運動量、
というかエネルギー量かな。
女性をやってみて、大変だなと思いました。
ファンから歩いてきて、前進して回転を3回も。
これだけで運動エネルギーは相当なものでしょう(笑)
それに比べると僕は、その場でじっとして、
ステップを踏んで、
手で回していただけのように思うんです。
下降エネルギーと上昇エネルギーのことをせっかく習っても、
そのエネルギーの使い道が良くわからなかったというか・・・。
女性との
消費エネルギー量が合わない
から、問題が多かったんじゃないかな?
そう思ったわけです」
みんな、とても納得した顔をして聞いている。
すると、和夫が手を上げた。
「僕も女性をやってみてやはり、
すごく男性との違いを感じたのです。
その違いを埋めていくと
良いリードにつながるのではないかと・・・」
「坂田さんは、使っているエネルギー量と言われたわね。
和夫さんは何かしら?」
「ハイ、時間と空間感覚の違いです」
真理はそれを聞いて
「カズ、ジュンコ先生の言うことに似てきたみたいね」
いったいナニを言い出すのか興味深く見守っている。
「まず、時間については、
女性は前進したり回転したりと状況の変化が多いから、
アインシュタイン時間(第81話)では
長い持間を過ごした感じがあり、
男性はステップが単純で、変化が少ないので、
短い時間を過ごした感じがある。
言い換えれば、
アレマーナの6歩、2小節の間という時間の中で、
女性は変化がいっぱいあって、男性は少ない。
空間についても、同じなんですけれども、大雑把に言えば、
女性は立体的で、男性はじっとした平面的。
空間を移動した体感がまるで違う。
男性がまず、
この女性の状況変化の時間を自分のものとしても味わい、
女性が作っている空間を自らも一緒に体験しない限り、
いいリードはありえない・・・」
教室はシーンとなった。
みんな和夫の言っていることに
一生懸命付いて行こうとしているようだ。
「いい見解ね。
それで和夫さんはその時間と空間のズレを
どう埋めようと努めていくのかしら?」
「それは・・・わかりません。
ただ、女性が感じている時間感覚、空間を移動していく感覚が、
女性のステップをやってみて少しわかりました」
ジュンコ先生は納得したような顔をして
「坂田さん、和夫さんともにとてもいい意見よ!
いい? これは何もアレマーナに限ったことではなく、
ルンバのステップ全部、
いえ、ラテン・スタンダードを問わず、
実はダンスのあらゆるステップにおける
リード&フォローに関係してくることなのよ」
ジュンコ先生はそういいながら、白板にこう書いた。
男性側から見たステップ・女性側から見たステップ
2つの違い
1.消費する、エネルギー量の違い
2.時間、空間感覚の違い
さぁこれを、どう埋めあっていくか・・・
これを、アレマーナを題材にもう一度見てみましょうか」
続く 第114話へ
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「なぜいつも、
アレマーナのリードがうまくいかないかが
なんとなくわかってきました」
そう言い出したのは、坂田さんだった。
「今回初めてファン・ポジションから、
女性ステップをやってみたんですが、
目に飛び込んでくる景色が全然違うんです」
け・し・き?
みんなクビをひねっているが。
ジュンコ先生は意味がわかるらしく、
面白そうに笑っている。
「男性はずっと同じ方を向いて立っていて、
ほとんど動かないじゃないですか。
女性一人が忙しそう・・・って感じはあったんですが、
こんなに、女性と男性の
踊っている感覚が違うとは思っていませんでした」
「坂田さん、いいところに気がついたわね」
ジュンコ先生はそういって、
坂田さんに話を続けさせた。
「女性からリードが遅いとか、早いとか、
わからないとか、
いろいろ言われていたんですけれども、
正直、
どれくらい遅いのか、どれくらい早いのか、
どうやったら伝わるのか、
ひどい話、
一体ナニを伝えたらいいのかさえ、
まるきり見当がつかなかったんです。
それが、女性役を体験してみて、
自分の何が悪かったのかが明確になってきたんです」
「あら、すごいことね。
それはどんな?」
先生にそう聞かれ、
阪田さんは大切そうに一言ひとことを連ねていく。
「僕に絶対的に足りなかったのが、運動量、
というかエネルギー量かな。
女性をやってみて、大変だなと思いました。
ファンから歩いてきて、前進して回転を3回も。
これだけで運動エネルギーは相当なものでしょう(笑)
それに比べると僕は、その場でじっとして、
ステップを踏んで、
手で回していただけのように思うんです。
下降エネルギーと上昇エネルギーのことをせっかく習っても、
そのエネルギーの使い道が良くわからなかったというか・・・。
女性との
消費エネルギー量が合わない
から、問題が多かったんじゃないかな?
そう思ったわけです」
みんな、とても納得した顔をして聞いている。
すると、和夫が手を上げた。
「僕も女性をやってみてやはり、
すごく男性との違いを感じたのです。
その違いを埋めていくと
良いリードにつながるのではないかと・・・」
「坂田さんは、使っているエネルギー量と言われたわね。
和夫さんは何かしら?」
「ハイ、時間と空間感覚の違いです」
真理はそれを聞いて
「カズ、ジュンコ先生の言うことに似てきたみたいね」
いったいナニを言い出すのか興味深く見守っている。
「まず、時間については、
女性は前進したり回転したりと状況の変化が多いから、
アインシュタイン時間(第81話)では
長い持間を過ごした感じがあり、
男性はステップが単純で、変化が少ないので、
短い時間を過ごした感じがある。
言い換えれば、
アレマーナの6歩、2小節の間という時間の中で、
女性は変化がいっぱいあって、男性は少ない。
空間についても、同じなんですけれども、大雑把に言えば、
女性は立体的で、男性はじっとした平面的。
空間を移動した体感がまるで違う。
男性がまず、
この女性の状況変化の時間を自分のものとしても味わい、
女性が作っている空間を自らも一緒に体験しない限り、
いいリードはありえない・・・」
教室はシーンとなった。
みんな和夫の言っていることに
一生懸命付いて行こうとしているようだ。
「いい見解ね。
それで和夫さんはその時間と空間のズレを
どう埋めようと努めていくのかしら?」
「それは・・・わかりません。
ただ、女性が感じている時間感覚、空間を移動していく感覚が、
女性のステップをやってみて少しわかりました」
ジュンコ先生は納得したような顔をして
「坂田さん、和夫さんともにとてもいい意見よ!
いい? これは何もアレマーナに限ったことではなく、
ルンバのステップ全部、
いえ、ラテン・スタンダードを問わず、
実はダンスのあらゆるステップにおける
リード&フォローに関係してくることなのよ」
ジュンコ先生はそういいながら、白板にこう書いた。
男性側から見たステップ・女性側から見たステップ
2つの違い
1.消費する、エネルギー量の違い
2.時間、空間感覚の違い
さぁこれを、どう埋めあっていくか・・・
これを、アレマーナを題材にもう一度見てみましょうか」
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