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「ねぇカズ、昨日の“気持ちのテクニック”
アレ、試してみよう!」

真理はなんだかご機嫌だ。



「楽しそうだけど、何かわかったことでもあるの?」
和夫が尋ねると



「わかったというか、興味があるのよ。

感情をリード&フォローできる

なんて、すごいじゃない!
うまくなったらパーティでモテるだろうなぁ~ナンテネ」
真理はエラク気に入った様子だ。



「カラダのテクニックって、
どんなものでも習得するのにヤッパ時間かかると思うのよね。
でも、その分を気持ちのテクニックで補えるならいいだろうなぁって思ったの。
私みたいな初心者で、
カラダのテクニックは『すいません、まだまだです』って人ほど、
身に付けておかなきゃいけないんじゃないかなってね」



ホー、そういう考え方もあるんだ・・・
和夫はちょっと感心した。



「でもねぇ、気持ちのテクニックっていっても、

カラダのテクニックと表裏一体なんだろうから、

今の私のレベルでどれくらい相手に伝えることができるんだろう?
という思いもあるわ。
だって、このテクニック、本当に相手に伝わらないと意味ないでしょ?
カズはどう思う?」



「それはソウ思うよ。
オレはまだ実はピンと来ていないんだ。
気持ちのテクニックなんて意識的にやったことないからね。
まぁ、人間同士がダンスするわけだから、
それに似たようなことは、自然にやっているとは思うんだけど。
具体的に言葉にできるほど、
自分の気持ちを踊っているときに確かめたことなんてない



「ソコソコ、ソコが大切だと思うのよ」
真理は目を輝かせながら、和夫の腕をピシピシと叩いた。



「な、何いきなり」



具体的に言葉にする

ってところがミソなのよ」



「???」



「私、これでもコピーライターのハシクレでしょ?
言葉の威力は知っているからね。
このテクニックってモノにしたら結構イケルって何となくわかるのよ。
ねぇ、試してみない?」



和夫も同意した。



「じゃぁ僕から、いろんな気持ちを乗せて
“ベーシック・ムーブメントからファンに開く”をやってみるから、
真理ちゃんは何も知らないふりして、いつもどおりに踊ってほしいんだ。
で、どう感じるか教えてね」



「OK」



まず、1回目。

二人は踊ってみる・・・



「どうだった?」



「うーん、何も特に感じないわ。
ファンに開くときに前ほどぶつからなくはなったし、
ファンポジションの位置も良くはなったみたいだけど」



和夫は真剣な顔で聞いている。



「じゃ、次、2回目」



・・・・



「あぁ、すごく今度は丁寧だわ。

優しい感じ。

さっきよりユッタリ踊れて
なんか自分が上手くなったみたいよ」



「へぇ、そうなんだ・・・OK。
では、3回目」



・・・・



「アレっ、すごくキツク感じる。
踊りにくいってわけではないんだけど
・・・息が詰まってくるわ」



ウーンと和夫は考え込んでいる。



「思った以上に伝わるもんだな」
と、言ってから
「1回目は、気持ちのテクニックは全く使わないで、
カラダのテクニックだけで踊ってみたんだ。

2回目は、呼吸を意識的にしながら、
真理ちゃんのカラダに語りかけるように踊ったんだ。
『後ろに下がってね』
『前に出てきてね』
『ファンに開きますよ。さぁ、どうぞ』
って感じでね。

3回目は、語りかける言葉を変えてみたんだ。
『下がれ』
『来い』
『あっちへ行け』
みたいに(笑)
呼吸は意識的に浅くした・・・」



「おもしろーい!
全部、伝わってるんだ」




「うん、オレもやってみて、
アぁ、これなら伝わるだろうなって感じたよ」
仕掛けた側の、和夫もかなりの手ごたえがあった様子・・・。



「だって、オレ自分でもよくわかったんだ。

丁寧な言葉を使うと、
カラダがそのとおりに丁寧に細やかに動いてくれて、
乱暴な言葉を使うと、
カラダもソウなっちゃう。


真理ちゃんの言うとおり言葉ってすごいかも。
カラダと反応し合っているみたいなんだよね」
和夫は納得した様子だ。



「それに・・・」
和夫はくすくす笑いだした。



「え、なにぃ?」



「真理ちゃんの気持ちもよーく伝わってくるんだもの。
1回目は、サッサとコトを終わらせよう 
2回目は、すごくうれしい!ありがとう 
3回目は、イヤだ!
って感じかな・・・」



「ホント?(笑)
ねぇ、反対やってみて。
私だけ気持のテクニック使って踊ってみるから。
3回、気持ちを変えて、
踊ってみるわよ、受けてみてね」



・・・・



終わってから、二人は顔を見合せて笑い始めた。



「同じ人が踊っているのに、
こんなにも受ける印象って変わるんだ。
1回目の真理ちゃんは、エラク気取った感じで
2回目は、思いやりのある優しい人
3回目は、性格メチャ悪!」



「私もカズが嫌がっているか喜んでいるかがよくわかったわ。
これって単なるボディーランゲージ
(音声によらず、身振りや手まね、顔の表情などで相手に意思を伝えること)
を超えているわ・・・触れているからね、きっと」



「ウン、先生が言ったように、

カラダのテクニックとともに

気持のテクニックも

自然とできるようになっておかないと、

ダンスはうまいけど嫌われる


・・・なんてこともありうるなぁ」



「えらいこっちゃ!! 
ねぇ、アレマーナやほかのステップでも試してみようよ」



      続く 第107話へ



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