2007.04.19 (第86話) 呼吸を使った究極のリード&フォローⅧ 感じあって踊る ベーシックルンバ
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それは今から約19年前のお話・・・
イギリスはブラックプール
全英選手権のラテン5種目決勝戦にて
不敗を誇る 時のチャンピオン ドニー・バーンズは、
チャチャチャ サンバ パソドブレ ジャイブ に1位
しかし、ルンバのみ、2位。
えっ? あのドニーが得意なルンバで負けたって?
誰に?
ナゼ?
勝者 サミー・ストップフォード
勝因 「ベーシック・ルンバ」を踊ったこと
ベーシック・ルンバとは、
クローズ・ホールド ファン アレマーナ ホッキー・スティック・・
誰もが知っている約24のフィガーの総称だ。
サミー・ストップフォードの師であったニーナ・ハント女史は、
“ベーシックルンバ”をことのほか大切にしたという。
その中にルンバの魂が凝縮されている
たった1歩のステップにも決して妥協を許さない厳しい師であった。
1時間ずーっと、
3歩からなる同じフィガー練習をさせた挙げ句の果てに出した答えは、
「NO・・・」
いったい何が「YES」で、何が「NO」なのか?
女史の中にははっきりとした境界線があったようだ。
「足型よりも大切なのは、相手との関わり。
そこから1歩を紐解いていく」
ルンバのテーマは「男女の愛」
それがカタチとなって表現されたものがベーシック・ルンバとするならば、
男女の愛という永遠の謎が解き明かされていくチャンスが、
そこにあるのかもしれない。
(第85話)の続き
「まずはベーシック・ムーブメントから。
おなじみのフィガーだけれど、呼吸を使ってお互い感じあって踊ったら、
さぁ、どうなるかしら?
まずは何も言わないので好きなように、どうぞ」
みんな、
クローズ・ホールドでベーシック・ムーブメントをスタート。
ジュンコ先生、あえて音楽はかけずに様子を見ている。
「どうかしら?
呼吸を使ってリード&フォローできた感じはあるかしら?」
全員が首をかしげている。
「あのぉ、やったつもりなんですが・・・
できているかどうかわからないんですけど」
声を発したのは、佐藤さん。
最近サークルに入ったばかりの51歳の男性。ダンス歴25年。
いろいろとダンス経験をつんでいるらしいのだが、詳しくは不明。
「やったつもりだが、できているのかどうかわからないってときは、
はっきり“できていない”って思っておくほうがいいわね。
本当にできた時は、迷いなく“できた!”ってわかるから」
ジュンコ先生は、ピシャリそう言い、
(佐藤さんはちょっと要注意人物・・・)
踊りの様子を見ながら感じていた。
(足にウンと力を入れて、しっかり床にプレスして、ニーバックして
・・って練習してきたようね。
呼吸なんていう繊細な感覚を味わったことなどないみたいだわ)
一緒に組んでいるケイコさんも、
踊りにくいとは気が付いているが、
それがなぜなのかはわからないようだ。
「では、一度離れて・・・」
先生は組み方を変えるように指示を出した。
男女向かい合って、両手を握り、
男性は左足、女性は右足に体重を乗せる、
これがスタートの格好。
で、男性は右足に、
女性は左足に体重を乗せ換える・・
またその反対といったように、
右~左~右・・を行ったり来たりする。
そして、呼吸の指示が出た。
横に動くときにスゥ~っと吸って、
到着したら、フゥ~っと吐いて
・・を繰り返すのよ」
「スゥ~っ フゥ~っ・・」
みんな真剣だ。
「呼吸とボディの動きの関連を感じてね。
その結果、体重が踏み替わるように注意して」
先生の声が飛んだ。
「動きの優先順位を間違えないようにね。
①呼吸
②それに従ってボディが動く
③足の踏み替え
足からでも、ボディからでもないからね」
「先生、要領がわかってきました。
横に行くとき吸ったら、それにつられてカラダが
少し持ち上がったり、膨らんだりするような気がして、
体重が次の足に到着するのと、吐きたくなるのがほぼ同時。
到着した足の上でフゥ~っと吐いたら、
持ち上がっていた
カラダが下りてきて、
プシューって小さくなっていくように感じます」
紀子さんだった。
「ソウソウ良くできているわ。その感じを相手と伝えあうの。
自分の呼吸とカラダの動きが調和するにつれて、
相手の様子ももっと感じられるようになってくるわ。
今、横へ移動中なのか、どちらかの足の上に到着したのか、
目をふさいでいても、鮮明にわかってくるはずよ」
目をふさいで平田さんの動きを感じていた、トシ子さんが声をあげた。
「本当!よくわかるわ」
やはり佐藤さんには、難しそうだ。
呼吸とカラダと足がバラバラになっている。
本人も混乱している様子。
ジュンコ先生はそれにあえてコメントせず、
「今、吸ったり吐いたりしているとき、よく観察したら、
自分のカラダの中が動いているのが良く感じられるでしょ?
呼吸筋・インナーマッスル・・総動員なのよ。
だからできるようになったら、
実際に酸素の出し入れをしなくとも同じ筋肉が動くようになってくるわ」
佐藤さん以外の人は、感覚がわかってきたようだ。
「この呼吸を使った横への動きは、とっても大切なのよ。
ルンバでお互いを感じあって踊る感覚の原点ね」
へぇ~そうなんだという空気が流れ、
「縦、つまり前進と後退の運動も、
この横の動きから生まれるのよ。
もちろん、ベーシック・ムーブメントも・・・
ということで、もう少し詳しく見ていくわね」
続く 第87話へ
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それは今から約19年前のお話・・・
イギリスはブラックプール
全英選手権のラテン5種目決勝戦にて
不敗を誇る 時のチャンピオン ドニー・バーンズは、
チャチャチャ サンバ パソドブレ ジャイブ に1位
しかし、ルンバのみ、2位。
えっ? あのドニーが得意なルンバで負けたって?
誰に?
ナゼ?
勝者 サミー・ストップフォード
勝因 「ベーシック・ルンバ」を踊ったこと
ベーシック・ルンバとは、
クローズ・ホールド ファン アレマーナ ホッキー・スティック・・
誰もが知っている約24のフィガーの総称だ。
サミー・ストップフォードの師であったニーナ・ハント女史は、
“ベーシックルンバ”をことのほか大切にしたという。
その中にルンバの魂が凝縮されている
たった1歩のステップにも決して妥協を許さない厳しい師であった。
1時間ずーっと、
3歩からなる同じフィガー練習をさせた挙げ句の果てに出した答えは、
「NO・・・」
いったい何が「YES」で、何が「NO」なのか?
女史の中にははっきりとした境界線があったようだ。
「足型よりも大切なのは、相手との関わり。
そこから1歩を紐解いていく」
ルンバのテーマは「男女の愛」
それがカタチとなって表現されたものがベーシック・ルンバとするならば、
男女の愛という永遠の謎が解き明かされていくチャンスが、
そこにあるのかもしれない。
(第85話)の続き
「まずはベーシック・ムーブメントから。
おなじみのフィガーだけれど、呼吸を使ってお互い感じあって踊ったら、
さぁ、どうなるかしら?
まずは何も言わないので好きなように、どうぞ」
みんな、
クローズ・ホールドでベーシック・ムーブメントをスタート。
ジュンコ先生、あえて音楽はかけずに様子を見ている。
「どうかしら?
呼吸を使ってリード&フォローできた感じはあるかしら?」
全員が首をかしげている。
「あのぉ、やったつもりなんですが・・・
できているかどうかわからないんですけど」
声を発したのは、佐藤さん。
最近サークルに入ったばかりの51歳の男性。ダンス歴25年。
いろいろとダンス経験をつんでいるらしいのだが、詳しくは不明。
「やったつもりだが、できているのかどうかわからないってときは、
はっきり“できていない”って思っておくほうがいいわね。
本当にできた時は、迷いなく“できた!”ってわかるから」
ジュンコ先生は、ピシャリそう言い、
(佐藤さんはちょっと要注意人物・・・)
踊りの様子を見ながら感じていた。
(足にウンと力を入れて、しっかり床にプレスして、ニーバックして
・・って練習してきたようね。
呼吸なんていう繊細な感覚を味わったことなどないみたいだわ)
一緒に組んでいるケイコさんも、
踊りにくいとは気が付いているが、
それがなぜなのかはわからないようだ。
「では、一度離れて・・・」
先生は組み方を変えるように指示を出した。
男女向かい合って、両手を握り、
男性は左足、女性は右足に体重を乗せる、
これがスタートの格好。
で、男性は右足に、
女性は左足に体重を乗せ換える・・
またその反対といったように、
右~左~右・・を行ったり来たりする。
そして、呼吸の指示が出た。
横に動くときにスゥ~っと吸って、
到着したら、フゥ~っと吐いて
・・を繰り返すのよ」
「スゥ~っ フゥ~っ・・」
みんな真剣だ。
「呼吸とボディの動きの関連を感じてね。
その結果、体重が踏み替わるように注意して」
先生の声が飛んだ。
「動きの優先順位を間違えないようにね。
①呼吸
②それに従ってボディが動く
③足の踏み替え
足からでも、ボディからでもないからね」
「先生、要領がわかってきました。
横に行くとき吸ったら、それにつられてカラダが
少し持ち上がったり、膨らんだりするような気がして、
体重が次の足に到着するのと、吐きたくなるのがほぼ同時。
到着した足の上でフゥ~っと吐いたら、
持ち上がっていた
カラダが下りてきて、
プシューって小さくなっていくように感じます」
紀子さんだった。
「ソウソウ良くできているわ。その感じを相手と伝えあうの。
自分の呼吸とカラダの動きが調和するにつれて、
相手の様子ももっと感じられるようになってくるわ。
今、横へ移動中なのか、どちらかの足の上に到着したのか、
目をふさいでいても、鮮明にわかってくるはずよ」
目をふさいで平田さんの動きを感じていた、トシ子さんが声をあげた。
「本当!よくわかるわ」
やはり佐藤さんには、難しそうだ。
呼吸とカラダと足がバラバラになっている。
本人も混乱している様子。
ジュンコ先生はそれにあえてコメントせず、
「今、吸ったり吐いたりしているとき、よく観察したら、
自分のカラダの中が動いているのが良く感じられるでしょ?
呼吸筋・インナーマッスル・・総動員なのよ。
だからできるようになったら、
実際に酸素の出し入れをしなくとも同じ筋肉が動くようになってくるわ」
佐藤さん以外の人は、感覚がわかってきたようだ。
「この呼吸を使った横への動きは、とっても大切なのよ。
ルンバでお互いを感じあって踊る感覚の原点ね」
へぇ~そうなんだという空気が流れ、
「縦、つまり前進と後退の運動も、
この横の動きから生まれるのよ。
もちろん、ベーシック・ムーブメントも・・・
ということで、もう少し詳しく見ていくわね」
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