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(クローズ・ホールドで終わる)


ジュンコ先生が白板にサラサラと書いたのは、
ルンバの代表的なフィガー。


「おなじみのこのフィガーの中で、
呼吸を使ってのリード&フォローを見ていくわよ。
ステップを確かめるために、
カップルになって、いつものように踊ってみてね」


ジュンコ先生、あえて音楽はかけずにいる。

「今の感覚からどう変化していくのか、さっそく見ていくわね」



「さぁ、最初の質問!
クローズ・ホールドに組んだ瞬間

どんな呼吸をしたらいいかしら?」



みんな「???」



「あの、まだ動いていないんですよね」
トシ子さんが不思議そうに言った。



「そう、動き出す前に必要なことよ。
ここから
リード&フォローはもうすでに始まっているの」



「???」



組んだ瞬間ってとっても大切

「お互いのことを知り始める作業に入るわけだから」

ジュンコ先生は真剣なまなざしで話を続けている。

「みんなは人と組み慣れてしまっているから、
もう無意識になっているかも知れないけれど、
組んだ瞬間って、カラダは小さなパニック状態を起こしているのよ。
相手と触れ合うことによってさまざまな“刺激”がカラダに加わり、
全て“情報”となる。
それらをできるだけ速やかに正確に整理しなきゃって、
カラダが超敏感に反応している時なのよ。
だからそれが落ち着くまで待ってあげる、
または落ち着かせる作業が必要・・・

それには呼吸がとっても有効な手段ってわけ」



へぇ~



「まずは落ち着いて自分の呼吸を感じてみて。
そうすれば、相手の呼吸も感じられるようになってくるわ。(第80話)
上級者になれば、この呼吸を感じる作業を通して、

相手がどんな踊りをする人なのか

知る手がかりをつかむことさえできる
のよ。

なぜって、相手の呼吸を知ることは、
相手の間合いをつかむこと、
つまり、相手の相対時間感覚(第81話)を知ることになるからね。
これがリード&フォローの序章になるの」



平田さんは感心したように話し始めた。
「今までは、エライあせって動こうとしている女性に、
ツイつられて気持ちの悪いスタートを切ってしまうこともあったんですが、
きっとそれは、
組んだ時点で相手のペースに乗っ取られてたんでしょうな(笑)
そういう時は、

今のお話だとユッタリ呼吸してまず自分が落ち着いて

そうすることで相手も落ち着かしてあげたらよろしいんですな」




「その通りなの!これは、もちろん女性にも必要よ。
男性のホールドの中で楽に息をして、
安らぎの空間を作り出してあげて欲しいの。
踊らなきゃって
いきり立っている男性も落ち着かせることができるわよ(笑)」


そう言いながら、先生は白板にこう書いた。


ルンバのスタート
ゆったり呼吸でまず落ち着こう


「そうすれば、いろいろ感じられてくるわ。
では、実際に組んでやってみましょうか」
みんなクローズ・ホールドになり、静かに呼吸を感じ始めた。



・・・



カップルそれぞれ特有の時間を過ごしているようだ。
レッスン場が精妙で柔らかな雰囲気につつまれている。



「特に、吐くときを大切にしてね。
あばらの骨をゆったりとユルメていくようにね。
フゥ~って。
自分のカラダが溶けていくような感じよ。
ハーイ、リラックス
ジュンコ先生が静かに声をかけた。



「先生、面白いです!」
カナちゃんだ。

「坂田さん、ちょっと緊張してらしたんで、
深ーく呼吸をしてみたんです。
そしたら、落ち着いてきてくれたんです!
その変化が手に取るようにわかって・・・」
自分によって相手が影響を受け変化してくれたのがうれしいらしい。



「よくできたわ!いいパートナーよ」



カナちゃん、褒められて満足気。
それを坂田さん、微笑みながら見ている。



「すごく安心な気持ちです。

ホッとしますわ。
いつも、スタートする時って
ものすごく緊張していたのかもしれません」
トシ子さんだ。



「クローズ・ホールドで始めたほうが、良さそうですな。
私はいつもオープン・ポジションから始めていたんですけど。
この方が自分の呼吸も相手の呼吸もよくわかる」
平田さんが言いだした。



「実はそうなのね。
ルンバのリード&フォローを勉強しなおそうかな?
という気持ちになったときは、
お互いの影響力が大きい
クローズ・ホールドでのスタートをおすすめするわ」

それにね…と、ジュンコ先生は話を続けた。

「ダンスは表現の変化をお互いが伝えあって楽しむもの。
それを目一杯楽しむためには、

スタート時点での安心感はものすごく大切よ。
それに、あれしなきゃ、これしなきゃってはやる気持ちを静めたり、
最初から相手に変な威圧感を与えないためにも、
この呼吸のテクニックはぜひ実践してほしいわ」



      続く 第86話へ



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