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「ハイ!」
真っ先に手を上げたのは、和夫。
余りの勢いの良さに周りはちょっと引き気味だ。

レッスンのしょっぱなにジュンコ先生が、
「前回渡したホールドの作り方のプリント(第68話)の内容について、
何か質問あるかしら?」

と聞いた途端の反応だった。

「パートナーを持って、ヤル気出てきたなぁ」
入会した頃の、
どこにいるかわからないほどに物静かで、
隠れるように踊っていた照れ屋の和夫を覚えている人たちは、
最近の彼の変貌ぶりに驚いている様子だ。


「練習をしてみたのですが、
②の『床からの反作用を受け、お腹にパワーが上がってくる』
という部分の感覚が、よくわかりません。
ここの感じがつかめないと、それから先に進めない気がしたのですが・・」


「和夫さん、良く練習したようね。
いいところに気がついたわ。
そうなの、実はこの②がホールドの作り方は、
全行程の中の隠れキーマン的な存在にあたるのよ。
どういうことかを説明するわね」


和夫は褒められて、ちょっと照れ笑い。
他の者は次の先生の言葉を興味深く待っている。


「人間のカラダは、
当然重力によって、床の方向に引っ張られているわよね。
これは言い変えると床を押す力でもあるわけ。

それが作用よ」


ジュンコ先生は白板に下向きの矢印を書き、
その横に“作用”と書き添えた。


「これに対して反作用は、床が下から押し返す力
床が下から人間の重さを支える力ともいえるの」


矢印と同じ長さの上向きの矢印を書いた。


「地球上から重力がなくならない限り、
私たちは自分の重みでもって床に“作用”をしちゃっているの。
で、床から“反作用”をもらってきて、立ったり歩いたり、
日常の動きをしているわけなのね。
もちろん、これはダンスを踊る時も一緒・・・」


真理は、コノ手の物理やら数学やらって話が大の苦手。
「うーん難しいな。後でもう一度、カズに教えてもらおう」


「いい?ホールドに限らず、ダンスのすべてのテクニックは、
自分の重みによる“作用”とそこから生まれる“反作用”

・・・これが大前提!
だから、日頃は無意識なその感覚を、
実感として捉えなおす作業が必要なわけね」


それからジュンコ先生は、
みんなを壁の前に立つように指示した。


「左右どちらでもいいから、片方の手のひらを壁に当てます。
ひじは力を入れずに伸ばしてね。
では、そのままのかっこうで手で壁を押してみて。

手の力だけで、押すのよ」


みんなそれぞれ壁に向かって、押し始めた。


「次は、手がカラダとつながっているのを意識して、

カラダの中から、押してみて。

どんな感じがするかしら・・・和夫さん」


「ハイ、お腹の中にグーッと力がきました」


「そうね。じゃあ、もっと強く押してみて。どう?」


「もっと、ギュ―ッって力がきました」


「これが『作用と反作用』の“実感”なの。
今は、手のひらが足の裏
壁が床代わりになっているのよ」


ホゥーと、みんなの納得した空気が漂った。
真理もこれは理解できたようだ。


「壁を、つまり床を押せば押すほど、押し返してもくれたわね。
それに比例してお腹の中もシッカリギュ―ってしまってきたと思うのよ。

これが、ダンスのパワー・エネルギーの正体なの。

自分の重みを利用して床からパワーを頂く、
そしてそれを、
ホールドなり、動きなりのエネルギーに転換して使っていく
わけ・・・

言っていることわかるかな?」


「アー、先生、
つまりそれは、
『地球のパワー・エネルギーを足の裏からもらい続けながら、
それを動力として、いろんなダンスの表現をする』チュウことですよね!?」

大きな声で発言したのは、ダンス歴40年のベテラン、平田さんだ。


フイに拍手が湧き起った。
みんなの中に、
「ア、それそれわかる!」みたいなピタッとくるものがあったんだろう。
実年齢68歳、平田さんが青年のように顔をらめている。


「そうよ!よくできました。
で、たくさんのエネルギーを地球から欲しい人は、
たくさん床を押せばイイってことなのね。
つまりいっぱい踊りたい人は、いっぱい床からパワー・エネルギーをもらってね・・・
でも、ここで一点。
この実験から作用と反作用の関係を上手に利用するために、
気をつけなきゃいけない点があるって気付いた人いるかしら?」


ザワザワ・・・


「あの、壁を手の力だけで押したときは、
お腹にパワーが来なかったんですけど、それのこと・・・かな?」

と、ダンス歴10年のケイコ(40歳)さん。


「そのとおり!今日はみんな調子いいわね(笑)
全員もう一度、壁に手を当てて比べてみましょうか。
手だけで押すと・・・手に力がきて来て、お腹には来ない。
つぎに、カラダの中から押すと、お腹にパワーが来る。
手は触ってみると・・・それなりに力が入っているけれど、
力んだ感覚はない・・・そうね?」


みんな各自試しながら、うなずいている。


「ってことは、手、つまり足に力を入れたら、
ダメってことなの。


足はただ単に、

床からの反作用をカラダの中に伝える

“導線”に過ぎない



さっきの、平田さんの言葉を借りると、
『地球のエネルギーをもらい続ける』には、
そのエネルギーの通り道に、
リキミや引っかかりがあってはダメってことなのよ」


「じゃぁね最後に、
壁を押さないうちから手に力を入れてみて。
それで壁を押したら?

ね、大変でしょ?
これは作用と反作用の正しい“実感”が得られない。
だから、足に力を入れること・・・これもNGね」
みんな真剣な表情で聞いている。


「和夫さん、これで納得できたかしら?」
 

「ハイ、よくわかりました」


実はこのとき和夫サン、先生の話を膨らませて、
もっとすごい“発見”を自分なりに導き出していたんだ。


「・・・今回の足の話はそのまま、
ホールドのときの“手・腕”の話にも使えるはずだ。
よ~し明日の真理ちゃんとの練習で試してみるぞ!」



      続く 第70話へ



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