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2007.02.19 (第27話) ダンスは一人で踊れない
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多くの偉大な3・4回生を差し置いて、
なぜ新人の私たちが決勝に残れたのか?
しかもギリギリで上がったのでなはく、かなりのチェック数があった、
というから、ちょっと不思議。

・・・今日は、プロではなくOB審査。
OB審査っていうのは、文字通り各大学の舞研のOBが審査するんだけど、
それって、自分の後輩の“温情&ひいき”になっちゃうんじゃ?
と思いきや、
意外と“愛のムチ”派が多いんだな。
これなんかも、
潔く、純粋な学生コンペならではの良い風習かもしれないが・・・。

さて、その日の審査員長は福岡大学OBのTさん。
彼は表彰式後の審査員講評でこう切り出した。
「実力では勝るはずの上回生を抑え、
決勝進出を果たされた関西大学の380番のカップル、本当におめでとう」


拍手が沸き起こった。


あ、なんか感動・・・。


「いやぁ、みごとでした。あそこまで思いっ切り良く踊られたら、
チェックを入れたくもなるものです」


会場からファ~ッと笑いが。


エ、ちょっとやり過ぎだった? 
汗がサぁーっ。


「ともすればテクニックに走り過ぎたり、勝ち負けにこだわりすぎたりして、
結果自分たちの踊りを小さくしてしまいがちな風潮の中、
心身共にハツラツとダンスを楽しむあなたたちを見て、
忘れかけていた大切なものを思い出したような、そんな思いになりました」



こ、これって、褒められているのよね。
良かったことなのよね・・・。


テクニックはさておき、
とにかく1次予選からものすごーく目立っていたらしい。
上回生たちが春のカップル新編成で練習が行き届かず、
慣れないルーティンでまごつく中、

ベーシック・オンリーで堂々勝負

かえってそれが審査員の目を引いたようだ。



決勝戦の前、会場は真っ暗になる。
入場口でスタンバイする決勝メンバー。
互いに健闘をたたえ合いながら、最後の一戦を前にし、
なんともいえない緊張感を募らせていく・・・。

「すごいねぇ、初めての団体戦で、決勝入りなんて」
「抜かされたら、どうしましょう」
一緒に決勝に残った他校の先輩メンバーが明るく声をかけてくる。
 
マーカス君、こういうときにはちゃんと下から出てのハニカミ笑い。
「邪魔せんように、踊らせてもらいます」


あぁ、エエ気分や。
上を食っていくって。


たぁのしいなぁ!!


これぞまさしく下剋上ってか?



「それでは、スローフォックストロットの決勝戦、
勝ち残りました6組をご紹介いたいます」

アナウンスが流れた。


さぁ、いよいよだ。


シャカーン!スポットライトが当てられる。


ま、まぶしい。


「背番号、380番、マーカス・ジュンコ組、関西大学」

かぁんだーい!!!割れんばかりの大拍手だ。

ボルテージは最高!


うやうやしく一礼し、マーカス君にエスコートされフロアーへ。



あぁ、

夢にまで見た一歩一歩を今、ジュンコは歩いているよぉ!



「・・・以上6カップル、スローフォックストロットの決勝戦です!」
ドキドキしながら音楽を待つ。


始まった。
「さぁ、おいで」マーカス君ニッコリ、いい顔だ。
腕の中へ、スゥーっと吸い込まれる。

そして、溶けあう。

あ、うまく踊れそう・・・。
好調な時の感覚だ・・・と、なんだかやたら頭は冷静。
いまや、得意技となった、フェザーステップを何度も何度も。
さすがに決勝戦、みんなスムーズに流れているから踊りやすい。


夢のような時が過ぎ、一礼して引き揚げ、
さぁ、息つく間もなくルンバの決勝だ。


バタバタとドレスを着替えに。
「ジュンコ、あわてんでエエゾ」
すかさずマーカス君の声が飛ぶ。

ありがとう・・・。


出場のスタンバイ。
気持ちをルンバのモードに切り替えてゆく。

さぁ、いよいよフロアーへというその時、
エスコートするときの格好で私の手を取り、クッと正面を見据えたまま、
マーカス君、突然、真声になってこう言ったんだ。



「ジュンコ、これが最後や。がんばろな」



えー、それ今言う?


あかんやん、

やばい、泣きそうになるヤン。



そう、これが二人にとってのラストナンバー。
3か月余りの楽しかったリーパー時代の最後のダンス。
そしておそらくはもうこれっきり、2度と組むことはないだろう・・・
ってことも、お互いちゃんとわかっていた。
それにしても、団体戦の決勝、
しかもルンバがラストダンスなんてちょっとデキ過ぎって気もするけど。



マーカス君へ

覚えているかなぁ…。
あれは確か、京大部内戦の前の猛烈に練習していた頃だった。
いつものように窓際で冷やコーイ風にあたりながら汗を乾かしていた時、
キミは急にこんなことを私に言ってきた。
「なぁ、男と女のホンマの友情ってアリやと思うか?」
「・・・」
私が答えにつっかえていると、キミはこう続けたんだ。
「おれは、アリやと思うねん」
お前となら…って言わないところが、ホント、キミらしいよなぁ。

その頃、マーカス君には高校時代から付き合っていて、
もう結婚まで決めている彼女がいた。
(結婚を決めているってところもキミらしいけど)

で、私にもニヒル君がいた。
もしどっちもが、またはどちらかがフリーだったら、
マジでヤバいことになっていただろうし、
そうなるのがまた、ナチュラルってものだったとも思うよ。

それくらい、キミとは色んなものを分かち合える関係だった。
お互い、越えてはいけない一線を大切に守りながらも、
ダンスを踊るという行為の中には友情を凌駕した健全なエロスを注いでいく、
またそれがダンスだからこそできる素晴らしきパフォーマンスであることも、
お互いカラダを通して知っていた…そんな気がする。

ダンスを通し「勝つ」ことの喜びを知ったキミ。
でも、いくら男・信長といえども、ダンスの中で天下を取るには、
どう転んだって一人じゃ無理だってこと、
そのためにはパートナーである女性と仲良くしていかねばならないこと・・・。

ダンスは一人で踊れないってことを、
キミはある時からキッパリ受け入れた。
どうしても、
「天下を取りたい」と願うキミは、
「おれに着いてこい!」路線から、
「おまえと一緒に」路線へ、
実は少々無理をしながらシフトしていったこと、
ジュンコはわかっていたよ。

キミは努力もしたし、何より忍耐強くパートナーである私に接してくれた・・・。

だからこそ、

本当にありがとう!っていつも思っていたんだ。

キミは最後まで、素晴らしいリーダーだった。



「天下取り合戦」ホント、楽しかったよ。 




スパンコールきらきらのセクシードレスはそのとき、
一段と輝いていたことだろう。
エロスを排除しない真の友情のルンバ、
堂々踊り切った・・・。


結果は両方とも5位。
大健闘だった。



あー、つかれたぁー。



次の競技会は、西部日本ラテン戦。
ルンバとチャチャチャの総合だ。
いよいよ最後の、新人戦。

さぁ、リーダーは?

ひょっとして、リベンジなるかぁ!?                   


      続く 第28話へ


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