2007.02.18 (第26話) 見よ!これぞパートナーシップの勝利だ
目次へ
競技会の会場では、目に見えない所で色んなドラマが繰り広げられている。
競技であるからには、フロアーの上は “戦いの場”、
一応、大学対抗だから「敵は他校にアリ」なんだけど、
実は闘っているのは、ふたり…
つまりカップルなんてこともよーくあるんだな。
どれだけ険悪なムードに、二人の仲が発展していても、
まぁ、踊っている最中は、
ニコニコ笑顔で通さなきゃいけないのが辛い。
踊り終わってフロアーから引き揚げてくるや、
いきなり、場外乱闘・大舌戦!?の始まりィ~ってか?
でも、初めてあのシーンを目撃したときは、ちょっとドキドキしたなぁ。
今の今まで幸せそのものの笑みを浮かべ、
優雅で格調高きワルツの世界にいたはずの二人。
それが・・・
音楽が止み一礼してフロアーから立ち去るや、
とたんに石やナイフが飛び交いそうな大激論勃発!なんだもんなぁ。
その二人っていうのが、初めて目の前でダンスを披露し、
その“仲睦まじき”行為で私のダンス部入部を決定づけてくれた、
4回生の山さんと、ユー子さん。
恋愛カップルである二人の口論は、
お互いのことをヨーク知り尽くした上でのモノゆえに、
その厳しさもハンパじゃない。
「そもそも、アンタの中途半端な性格が!!△□×」
なんてキツーイ言葉がボンボン。
「お前、なんやねん、
何であれぐらいのステップ、ついてこられへんねん!」
「あんたのリードが悪いネンヤン!!
それになんで、人のおるとこ、おるとこばっかりに行くのん!?
ガンガン(人に)当たってバッカリやんか!」
どうもユー子さん、後頭部を他カップルにぶつけられ、
髪のセットが乱れたらしい。
火の出るような怒りの目ん玉で大きな手鏡を覗き込みながら、
一生懸命に乱れた髪をピンで留めている。
が、思うようにうまくいかない。
バラバラっとほかの所まで崩れてきて・・・
「アアん!もう、ムチャクチャやんッ!!」
と山さんをギーッと睨みつける。
「あのなぁ、それはオレのせいか!?」
「“オレ”以外の誰やノン!!」
ユー子さん、泣きださんばかり。
「おい、もう1回ステップ確認しておこう。
そんなん(髪のこと)もうそんでエエがな」
山さん、さっきうまくリードができなかった箇所が気がかりなようで、
でもユー子さん、
それよりも、ヘアーの崩れを何とかしたい、アー女ごころ・・・。
「この人、いっつもこうやねん!絶対、自分は悪くないって思ってる」
ユー子さん、そう言い捨て、
山さんの待つフロアーの隅に行き一緒にステップのチェックを始めている。
またそこで口論・・・。
でも周りのみんなは、ぜーんぜん気にする風もなく、
「いつものことよ。仲がいいほど喧嘩するってね」ぐらいのノリ。
次のヒート、
あ、山さんとユー子さんが踊っている・・・。
今度はうまくいったみたい。
さっきの大喧嘩はどこへやら、仲良さそうに笑顔で戻ってきたよ。
ふーん、色々大変だなぁ。
勝ち残っていくためには、もちろん、一生懸命さも必要だけど
私の夢というか、希望は、
競技会そのものも、そのプロセスである練習も
二人、力を合わせて
エキサイティングに、スリリングに、ロマンティックに楽しみたい!!
その先にはきっと輝かしい勝利が待っている・・・ってこと。
たぶんマーカス君とは、
その辺の気持ちがピッタリ!合っていたんだろうと思う。
それに彼は、
ダンスのパートナーってものをスペシャルな存在として考えていたはずだ。
友達以上恋人未満・・・
人生の同志・・・
ダンスを通し、お互いを支え合い、
心とカラダの両面からサポートし合える、
メンター(信頼のおける相談相手・助言者)・・・
たとえ一時期だけのパートナーであっても、かけがえのない存在、
高め合っていくべき相手として良い関係を築きたいという、
彼の思いは、
色んなシーンでのほんの小さな言動からでも容易にうかがい知れた。
例えば、
集合場所だった難波のロケット広場に到着するやすぐに、
「おい、オレのパートナーはおるかぁ?」って必ず声をかける。
で、
「お?今日のヘアースタイル、ええやん」
てなチラ褒め言葉も添える心遣い。
おまけに今日は、
「あのドレス(団体戦の)ちゃんと持ってきたか?」
そんなチェックも忘れない。
「調子、どうやぁ?昨夜は早よ寝たか? 」
と、さりげなく。
で、最後にニコーって笑いながら、
「ジュンコ、今日はヤ・ル・ぞぉ」の勝利宣言。
そりゃぁ、パートナーとしては、
「ええ、あなたのためにもがんばります」
って気にもなるわね。
会場でも、始終ステップなり、ボディポジションなりをチェックしながら
一緒に士気を高め合う。
ん? それにしても今日はなんだかビンビン視線を感じるなぁ。
今期最初の公式戦で他校のOB・OGも結構いっぱい来ているんだけど、
心地イィほどの“注目の的”だわね。
どうやらまだ、前の京大部内戦での優勝の余韻を引きずっているみたい。
「おいおい、あいつらやで。すごい新人っていうてたん」
ってところじゃぁないの?
わぉ、スターやん♥ ウレシイナァ ヤル気でまんなぁ
マーカス君も私も全くその辺は気負うところがなく、
騒がれれば騒がれるほどにもっと気分良くなって、
燃えちゃうタイプだもんなぁ。
ノリノリで「では、ご期待に応えてみせましょう!」って感じ。
さぁ
まず最初の種目、タンゴ。
今日のリンクの切れは抜群!
もう、首よ吹っ飛べとばかりの熱演だ。
マーカス君のボディもいい感じ。
エネルギーがボンボン伝わってくるよ。
モチ、スローは絶好調!
昨日のプロレッスン、あれが、ヤッパ利いたなぁ。
フェザーステップやるたびに、
「ああーん、ここ楽しい!」そう思っちゃう。
大嫌いだったのに、一番大好きなステップになっちゃった。
マーカス君とのトップラインがきれいに離れている実感がある。
後退もスムーズ!!
コリャぁ、羽が生えたように踊れてるんチャうん!?
結果は、見事優勝!!
マーカス君、声をかみ殺しての、ガッツポーズだ。
で、「ジュンコ、ようやったな」肩をポン。
うれしいじゃない、この一言、このボデイ・タッチ。
次に、気持ちをさっと切り換えた彼、キッと目を見据えてこう言った。
「ホンマの決戦はこれからやでぇ」
おぉっそうくるか! さすがじゃ。
これは前座、勝って当然ってか。
よ~し団体戦も、やったるでぇ~。
いよいよドレス姿に変身だ。待ちに待ったこの瞬間。
ちょい派手メイクに羽の髪飾り、
ダイヤストーンのネックレスに、イヤリング…
もう、ダンスだから許される“まんかんしょく”で登場だ。
おぉ、みんな注目し・て・る。
マイ・リーダー、マーカス君の出迎えだ。
「よう、似合おうてるわ。よっしゃぁ、がんばろな」
とまた肩をポンポン。
種目は、絶好調のスロー・フォックストロットと
そして、セクシードレスでギンギンのルンバ。
並みいる3・4回生に交じって堂々踊り切る。
楽しい、すごく楽しい。
みんな、自分たちだけに注目している…そんな錯覚?現実?
予選を突破、すごい!準決までいっちゃったよう!!
ヤンヤ、ヤンヤと盛り上がる関大応援団。
でも、マーカス君たら落ち着いて
「ジュンコ、決勝、いくぞ」のひとこと。
そうこなくっちゃ!!
大盛り上がりの準決勝のフロアー
「380番、関大~」
「マーカス、ええぞぉ!」
「ジュンコぉ~がんばれぇ」
見ると、
予選落ちした3・4回の先輩たちまでが声を限りに応援してくれている。
・・・よ~し!!
音楽がかき消されるほどの大声援のなか、
決まったぁ、豪快なフェザーステップ、スリーステップ。
ルンバはおなじみ、なり切りパワー炸裂だ。
思い残すことがないほどに、踊り切ったぁ・・・。
結果が出た。
おおおぉっ!!
模造紙に書かれた380番に、
決勝進出を告げる赤丸が・・・しかも2種目とも!!
うへぇ~!!
続く 第27話へ
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とても励みになっています。(ジュンコ)
競技会の会場では、目に見えない所で色んなドラマが繰り広げられている。
競技であるからには、フロアーの上は “戦いの場”、
一応、大学対抗だから「敵は他校にアリ」なんだけど、
実は闘っているのは、ふたり…
つまりカップルなんてこともよーくあるんだな。
どれだけ険悪なムードに、二人の仲が発展していても、
まぁ、踊っている最中は、
ニコニコ笑顔で通さなきゃいけないのが辛い。
踊り終わってフロアーから引き揚げてくるや、
いきなり、場外乱闘・大舌戦!?の始まりィ~ってか?
でも、初めてあのシーンを目撃したときは、ちょっとドキドキしたなぁ。
今の今まで幸せそのものの笑みを浮かべ、
優雅で格調高きワルツの世界にいたはずの二人。
それが・・・
音楽が止み一礼してフロアーから立ち去るや、
とたんに石やナイフが飛び交いそうな大激論勃発!なんだもんなぁ。
その二人っていうのが、初めて目の前でダンスを披露し、
その“仲睦まじき”行為で私のダンス部入部を決定づけてくれた、
4回生の山さんと、ユー子さん。
恋愛カップルである二人の口論は、
お互いのことをヨーク知り尽くした上でのモノゆえに、
その厳しさもハンパじゃない。
「そもそも、アンタの中途半端な性格が!!△□×」
なんてキツーイ言葉がボンボン。
「お前、なんやねん、
何であれぐらいのステップ、ついてこられへんねん!」
「あんたのリードが悪いネンヤン!!
それになんで、人のおるとこ、おるとこばっかりに行くのん!?
ガンガン(人に)当たってバッカリやんか!」
どうもユー子さん、後頭部を他カップルにぶつけられ、
髪のセットが乱れたらしい。
火の出るような怒りの目ん玉で大きな手鏡を覗き込みながら、
一生懸命に乱れた髪をピンで留めている。
が、思うようにうまくいかない。
バラバラっとほかの所まで崩れてきて・・・
「アアん!もう、ムチャクチャやんッ!!」
と山さんをギーッと睨みつける。
「あのなぁ、それはオレのせいか!?」
「“オレ”以外の誰やノン!!」
ユー子さん、泣きださんばかり。
「おい、もう1回ステップ確認しておこう。
そんなん(髪のこと)もうそんでエエがな」
山さん、さっきうまくリードができなかった箇所が気がかりなようで、
でもユー子さん、
それよりも、ヘアーの崩れを何とかしたい、アー女ごころ・・・。
「この人、いっつもこうやねん!絶対、自分は悪くないって思ってる」
ユー子さん、そう言い捨て、
山さんの待つフロアーの隅に行き一緒にステップのチェックを始めている。
またそこで口論・・・。
でも周りのみんなは、ぜーんぜん気にする風もなく、
「いつものことよ。仲がいいほど喧嘩するってね」ぐらいのノリ。
次のヒート、
あ、山さんとユー子さんが踊っている・・・。
今度はうまくいったみたい。
さっきの大喧嘩はどこへやら、仲良さそうに笑顔で戻ってきたよ。
ふーん、色々大変だなぁ。
勝ち残っていくためには、もちろん、一生懸命さも必要だけど
私の夢というか、希望は、
競技会そのものも、そのプロセスである練習も
二人、力を合わせて
エキサイティングに、スリリングに、ロマンティックに楽しみたい!!
その先にはきっと輝かしい勝利が待っている・・・ってこと。
たぶんマーカス君とは、
その辺の気持ちがピッタリ!合っていたんだろうと思う。
それに彼は、
ダンスのパートナーってものをスペシャルな存在として考えていたはずだ。
友達以上恋人未満・・・
人生の同志・・・
ダンスを通し、お互いを支え合い、
心とカラダの両面からサポートし合える、
メンター(信頼のおける相談相手・助言者)・・・
たとえ一時期だけのパートナーであっても、かけがえのない存在、
高め合っていくべき相手として良い関係を築きたいという、
彼の思いは、
色んなシーンでのほんの小さな言動からでも容易にうかがい知れた。
例えば、
集合場所だった難波のロケット広場に到着するやすぐに、
「おい、オレのパートナーはおるかぁ?」って必ず声をかける。
で、
「お?今日のヘアースタイル、ええやん」
てなチラ褒め言葉も添える心遣い。
おまけに今日は、
「あのドレス(団体戦の)ちゃんと持ってきたか?」
そんなチェックも忘れない。
「調子、どうやぁ?昨夜は早よ寝たか? 」
と、さりげなく。
で、最後にニコーって笑いながら、
「ジュンコ、今日はヤ・ル・ぞぉ」の勝利宣言。
そりゃぁ、パートナーとしては、
「ええ、あなたのためにもがんばります」
って気にもなるわね。
会場でも、始終ステップなり、ボディポジションなりをチェックしながら
一緒に士気を高め合う。
ん? それにしても今日はなんだかビンビン視線を感じるなぁ。
今期最初の公式戦で他校のOB・OGも結構いっぱい来ているんだけど、
心地イィほどの“注目の的”だわね。
どうやらまだ、前の京大部内戦での優勝の余韻を引きずっているみたい。
「おいおい、あいつらやで。すごい新人っていうてたん」
ってところじゃぁないの?
わぉ、スターやん♥ ウレシイナァ ヤル気でまんなぁ
マーカス君も私も全くその辺は気負うところがなく、
騒がれれば騒がれるほどにもっと気分良くなって、
燃えちゃうタイプだもんなぁ。
ノリノリで「では、ご期待に応えてみせましょう!」って感じ。
さぁ
まず最初の種目、タンゴ。
今日のリンクの切れは抜群!
もう、首よ吹っ飛べとばかりの熱演だ。
マーカス君のボディもいい感じ。
エネルギーがボンボン伝わってくるよ。
モチ、スローは絶好調!
昨日のプロレッスン、あれが、ヤッパ利いたなぁ。
フェザーステップやるたびに、
「ああーん、ここ楽しい!」そう思っちゃう。
大嫌いだったのに、一番大好きなステップになっちゃった。
マーカス君とのトップラインがきれいに離れている実感がある。
後退もスムーズ!!
コリャぁ、羽が生えたように踊れてるんチャうん!?
結果は、見事優勝!!
マーカス君、声をかみ殺しての、ガッツポーズだ。
で、「ジュンコ、ようやったな」肩をポン。
うれしいじゃない、この一言、このボデイ・タッチ。
次に、気持ちをさっと切り換えた彼、キッと目を見据えてこう言った。
「ホンマの決戦はこれからやでぇ」
おぉっそうくるか! さすがじゃ。
これは前座、勝って当然ってか。
よ~し団体戦も、やったるでぇ~。
いよいよドレス姿に変身だ。待ちに待ったこの瞬間。
ちょい派手メイクに羽の髪飾り、
ダイヤストーンのネックレスに、イヤリング…
もう、ダンスだから許される“まんかんしょく”で登場だ。
おぉ、みんな注目し・て・る。
マイ・リーダー、マーカス君の出迎えだ。
「よう、似合おうてるわ。よっしゃぁ、がんばろな」
とまた肩をポンポン。
種目は、絶好調のスロー・フォックストロットと
そして、セクシードレスでギンギンのルンバ。
並みいる3・4回生に交じって堂々踊り切る。
楽しい、すごく楽しい。
みんな、自分たちだけに注目している…そんな錯覚?現実?
予選を突破、すごい!準決までいっちゃったよう!!
ヤンヤ、ヤンヤと盛り上がる関大応援団。
でも、マーカス君たら落ち着いて
「ジュンコ、決勝、いくぞ」のひとこと。
そうこなくっちゃ!!
大盛り上がりの準決勝のフロアー
「380番、関大~」
「マーカス、ええぞぉ!」
「ジュンコぉ~がんばれぇ」
見ると、
予選落ちした3・4回の先輩たちまでが声を限りに応援してくれている。
・・・よ~し!!
音楽がかき消されるほどの大声援のなか、
決まったぁ、豪快なフェザーステップ、スリーステップ。
ルンバはおなじみ、なり切りパワー炸裂だ。
思い残すことがないほどに、踊り切ったぁ・・・。
結果が出た。
おおおぉっ!!
模造紙に書かれた380番に、
決勝進出を告げる赤丸が・・・しかも2種目とも!!
うへぇ~!!
続く 第27話へ
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