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2007.02.10 (第18話) それは愛の表現だった!
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やったぁ、新しい種目だ!!
しかも、ルンバ

興味あったんだよなぁ。

当時、
競技会で踊るラテン種目としては、チャチャチャとルンバがあったんだけど、
男女がぴたっと組んで踊るモダン種目よりも、
こちらのほうが見た目には変化があって、
先輩方の練習を見ていても、断然面白いのがこのラテン。
で、私は特にルンバが好きだった。

教習所(プロのスタジオ)で仕入れてきた新流行のステップを、
先輩方がドヤッ!って感じで披露してくれるんだけど、

これがまた「カッコイイィー!!」

憧れたなぁ。
早くアンナンできるようになりたぁい。

ボックスのパイプ椅子に座り込んで、
同じ先輩方の同じ練習をズーッと見ていると、
ステップを覚えてきてしまって、
「次、そこで手を挙げてラインを決めて・・」
なぁんて、先が読めてくる。

わたし的にお気に入り部分に差し掛かると、
見ているこっちのカラダまで喜んじゃって、

「ア~そこ、もっと、ハァ~いいわぁ~」
なんて気分に・・・。

きっと脳ミソの中ではその先輩ではなく自分が踊っていたんだろうな。
(これがイメージトレーニング。1月29日の記事参照

何を表現しているダンスかとか、詳しいことは知らなかったけれど、
今まで自分たちが踊っていた、
ワルツやクイックステップとは全く違う雰囲気というか、独特のムードというか。
そう、男性はらしく、女性はらしくってのが、
ものすごく問われる種目かなって感じがしたんだな。

ソレがモノスゴーク新鮮で好奇心バリバリ。
だって、先輩たちったら「マジドキっ」なステップを、
堂々目の前でご披露してくれるんだモノ。

例えば、男性が女性の背後から抱きすくめるところから、
サッと向かい合って、正面から抱き合ったかと思うと、タタッと離れて・・
なんていうステップを初めて見たとき、
「ヤヤヤ、こんなことしちゃってイーの?」
確かこの人らは別に“恋愛カップル”でもなかったはずなんだけどなどと、
ちょっと心配になったりして。

でもそんなこちらの気持ちを全く気に留める様子もなく、
事態は進んでいく。
同じステップを何度も何度も練習しながら、
「もっと後ろから、きつく。
ソウソウ、そうやってくれヘンかったらとバランス取りにくいネン」

「え?このくらいで良いノン?ヨッシャ、もう一回!」
「今のは、アカン。キツ過ぎるわぁ」
「なんでやネン、さっきと一緒やでぇ」
なんて、まじめぇーに言い合いながら、
眉間にちょっとシワを寄せた“官能ウッフン表情”まで作りなおしつつ、
繰り返し真剣に踊る様子を見ていると、
「ア、ソウよね、これって本気じゃないよね」
ってホッとしたり、
「一体、さっきと今とどこが違うンやろ?」
なんて一緒になってテクニックを観察始めたり・・・
「どうやったらあんなに腰が動くンや?」
で、二人のお尻ばっかりジーッと見たり、
また、そんなことをしている自分が急におかしくなったりして・・・
結構楽しめるんだなぁ。
 
ある日の担当で、
「えー、今日は、春の京大部内戦に向けてルンバを教えます」
おもむろにそう切り出した先輩たち、
ずらっと横並びの1回生を、
「ハーイ男子はソッチ、女子はココで。まず分けてステップを教えるからね」
とさばき始める。

女子担当のY先輩、
「コレは、愛の表現のダンスよ。
年上の女性が年下の男性を誘うドラマからできていて・・・」


へぇ~そんなダンスあんの??

だから、あんな感じになるんかぁって思いつつも、
のキスシーンや愛撫シーンを表したステップもあり・・・」
ほんのりを上気し、
そんなことをマジメに話すY先輩を慮って(おもんばかって)
想像力が、タクマシュウなる自分を制しながら、
こちらもまじめ気分にシフトしなきゃなんてちょっぴり気を遣っての、
おかしーなスタート。

で、習ったステップ自体は「??」
そりゃぁ、シャドウ練習なんで、
男性とどう絡むかなんて想像が付かないからというせいもあるンやけど。
腰をクネラセながら、足を引きずるような感じで歩き、
時にキュッとターンしたり・・・??
よくわからない。

ただ順番は、結構思ったより早く覚えられ、
手でライン作るところなんかは、バレエっぽくて良い感じ。
さて、極めつけは曲。
「ルンバはネ、1を待って2から出るの」
ナ、なんでわざわざ1を待つの?
ナンテ言う質問は誰もしていないから、パス。

ココで初めて音楽登場だ。


♪♪♪♪ ♪♪♪♪


アノ好きな曲や。
先輩らが練習しているときにもかかっているおなじみの曲。
と、周りを見るとみんな「2341・2341」って、
目玉を上に向けてモゴモゴ曲とりに必死に。

先輩から、その音楽に合わせて、
今習ったばかりのステップをやってみなさいとの命が下る。

まずは先輩の号令+音楽で、
「ツー・スリー・フォー・ワン ツー・スリー・フォー・ワン・・」

チラリと見るや、男性軍のほうが手間取っている様子だ。
色気なさそうだもんなぁ~みんな。

ボガード君なんてもう、
「お、おれ、こ、こんなカッコウようせんわぁ」
のヘロヘロ状態。

他の男性部員も、あまりのブサイク加減と、音楽の難解さに、

「ア、アカン、ルンバと相性悪いわ」

そんな中で、ニヒル君は、さっさとステップを覚え、
お次はもうアームアクションつきで、
男の先輩を女性役にしたて、みごとに踊ってるぅ!!

「オマエ、何でそんなんできるネン!?」

ニヒル君、珍しくちょっと鼻高々。
調子に乗ってしまい、サービスで男性先輩と組んで、
今度は女役まで!・・・


「キぃーモチ悪ぅ~」(全員)


さすがにいっせいにひかれ、ちょっとニヒル君、後悔気味・・・。


でもね、
ジュンコは惹かれましたよ、ルンバに。
ってテーマも気に入ったし。
ズンズクズクズクズク・・・・・・・
子宮に直接響いてくるようなギュイーンな音楽も。
ボックスで目の前で先輩のダンスを見続けた、
イメ・トレの成功、洗脳効果もあってか、
みるみる上達!!

「ジュンコちゃん、ルンバすごいヤン!!ようそんな表現できるナァ」
と、先輩からも言われるように、
気が付いたら、
ボデイ&アームアクションつきでガンガンに踊ってましたから・・・。

そのうち、見よう見まねでルンバウォークも習得!?
不器用&ドンクサジュンコにしたら、珍しく上出来じゃぁありませんか。


さて、
ジュンコは何でそんなに早くルンバが上達しちゃったの? 
思い当たることをちょっとまとめてみましょ。

「音楽を数字に置き換えずにダイレクトに受け止めていたから」
つまり“ツー・スリー・フォー・ワン”とは聞いていなかったということ。音楽が鳴ったら、いつも「あーエエ音やなぁ」ってまず“感じ入っていた”ように思う。音楽の世界に入りこんでいっていたんだな。で、流れを感じ取って、そのままスーっと抵抗なく乗っていけた。エスカレーターに、スぅーと乗っていくように、そう「踊りながら、スタートを切る」そんな感じだ。あとはその独特のパーカッション、ビートに身を任せ、カラダが、どんな動きをしたくなるかを感じ、それに素直に従って踊ったことが功を奏したのだ、と思う。濃厚なボディアクションも、音楽を聞いて気分が乗ってきたら、恥ずかしがらずにやっていただけ。


「難しいテクニックの前に、雰囲気をつかんでしまったから」
ダンスだから許されるってわけでしょ。の表現、らしい演出・・許されるって以上に、やらねばならないわけでしょ、演じなきゃ駄目なわけでしょ。そのタテマエを堂々利用させていただいて、ガツーンと自分のスキなように雰囲気で踊ったので成功したんだろなぁ。ステップをただただコナすんじゃなくて、「ココはキスシーンで」みたいな、いわゆるステップの意味を重要視したわけ。つま先から出る・膝を伸ばすみたいなテクニックよりも、音楽を感じ、相手との愛の会話で・・なんてノリで練習を繰り返していたら、自然なメリハリある表現ができるようになっていったんだと思う。
 

「ルーツを知ることで、ルンバへの理解が深まったから」
ルンバに興味を持ったついでに、そのルーツを調べたら、意外とおもしろくて、単なるステップとしてのルンバではなく、立体的に捉えることができるようになった。結果、踊るときの意識が少し変わったんだな。キューバが発祥なんだけど、実はキューバで昔から踊られているルンバは、私たちがやっているものとはベツモノ。男女の愛の表現もあからさまで、ワイルド。スカートをたくし上げて腰を振って踊るらしい!?音楽も抑揚がなく、早めで・・・コンナン、どうやって踊るんやろう?って感じの音楽。で、競技用のルンバは、キューバでは「ソン」と呼ばれているもの。頭上に重い荷物を乗せたときのように頭の位置が常に一定、ヒップを左右に動かし、足かせをはめられたように足を引きずって歩くルンバの基本動作は、奴隷制時代のキューバの黒人たちがモチーフ・・・。


ふーん


単なる「愛の表現」の前に歴史という重みがあったのか・・・
ってルンバの見え方がかわったもんな。

それから、私の中でのルンバのテーマは、

 「人類愛」「男女の愛」

みたいな大きなものがドカーン。


ちょっぴり大切に踊るようになった。



ルンバに夢中になっている間に、
「今日は、春の京大部内戦に向けてのもう1つの種目を・・・」


え?まだあるの!? 
      
それが、何ともハチャメチャなダンスで・・・。


        続く 第19話へ


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