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もっと音楽を楽しんで踊って欲しい!!
私が常々持ち続けている生徒さんへの提言だ。
もちろんレッスンにおいても、アレやコレやの手法を用い、
生徒さんの“音楽と一体になる・ダンスボディ作り”を実践してはいるが・・・。

「音楽に乗って楽しく踊ること」って、
ダンスが絶対的に上手くなるキーなんだけど、
ナカナカ感覚的に理解してもらえない。


「わかっちゃいるけど、音楽を楽しんで踊る余裕なんてまだないよ、
他にやることいっぱいあるんだから」


「音楽を楽しんで踊る?もっと上手になればできるんだけどネェ」

と、なーんだか話がズレちゃうケースが非常に多い。


ウーン、違うんだよなぁ。
ヤッパ、音楽は大切なんだよなぁ。

音楽をもっと聴けば聴くほどに楽しくなって、
ダンスのテクニックも後からついてくるのになぁ・・・。


なんてことをいうと、こんな声が聞こえてきそうだ。

「音楽が大切だということはわかるけど、
音楽を楽しく聞いて踊るだけでダンスが上達するなんて、そんなわけがない。
ダンスはソウソウ簡単にはいかないよ」


「もっと音楽を聞きなさいって言われても・・・。
だってちゃんと聞いているんだもの。
自慢じゃないけど、音楽だけは外したことがないんだから」


という人もいるだろう。


オホン!ではそういう方々に逆に質問、イイかな?

“本当に”あなたは音楽を聴いて踊っているのだろうか?
また“本当に”外れていないのだろうか?
改めてこう尋ねられると、
自信を持って「ハイ」といえる人はものすごく減っちゃうかもしれない。
事実、ほとんどの人はダンスをするとき音楽を、

聴いて
いない、聞いている。


ダンスの上達のためには「聞く」人から「聴く」人へ、
そしてより深く「聴く」人への成長が必須条件なのだ。

ちょっと待って、「聞く」「聴く」は違うのかって?
もちろん全く違う。
「聞く」は単なる情報を受け取ること、いわば受身だ。
「聴く」は違う、能動的だ。

これは、意識的に耳を深く傾けること。
そしてそれは、聞きたい音だけを選択し、それに集中することともいえる・・・
「あなた地獄耳ねぇ」そんな聞き方だ。
どんなにうるさい場所でも自分のウサワ話は、
よーく聞き取れるだろうし、
また恋人の「あ・い・し・て・る」なんて囁きも聞き逃すことはないだろう。
実はこれも「聴く」のなせる業なのだ。

ダンスの場合、
音楽を“聞いて”いるか“聴いて”いるはかなり大きな差となって現れてくる。
例をあげて説明しよう。
音楽を「聞く」人は、音楽が鳴り始めるとまず、
「コレ、何踊れんノン? ルンバ?ブルース?」」
を判断し、
次に「1・2・3・4」を捉え、常に踊っている間中、その情報に“踊らされている”
またはこんな人も多い。
「何を踊るか、どこからスタートを切るか」の情報を手に入れた後は、
もう聞いてもいない、単なるBGM替わり。

なぜって、他にやることがいっぱいあるからだ。
相手のこと、次のステップのこと・・
「忙しくって音楽なんて聴いている暇はない!」
という世界に行ってしまうのだ。

それが「聴く」人になると、世界は一変する。
音楽が鳴り始めるとまず、自分の動きを制してジッと聴き入り、
音楽の中に入っていこうとする。
そして音楽の持つ揺れに乗りながら自らを同調させ、
“細やかに音楽の変化を拾い続け、カラダで表現”しようと試みる。
上級者になれば、あたかもカラダ自体が楽器のように音楽を拡大したり縮小したり、
“自身のカラダの中で音楽を鳴らし続ける”ことが可能になってくる。


ソウ!カラダそのものが音楽を奏で始めるのだぁ~。


突き詰めると、ダンスは“音楽の表現”だ。
だから、ダンスのテクニックと言うものも、まずは音楽ありき・・・のはず。
ワルツを聴いて「アラ、良い音楽ネェ~」とカラダが揺れたくなることが、
スウイングの始まり、原点だろうし、
サンバを聴いてこころがウキウキ♪ルンルン♪になってきて、
思わず跳ねたくなるって行為に名前が付いたのがバウンスなんだろうし。
「この音楽を感じたら、私の身体はこんな動きがしたくなっちゃった」
といった、ヒジョーに“個人的な欲求”がその原点だと思うんだな。

こう考えると、
「ワルツは振り子のスウイングと横向きのサイドスウイングで踊りなさい」
とか、
「サンババウンスはヒザと足首を使ってせねばならない」
なんて人から強制される類のものではなく、
やりたくなったらやれば良いぐらいのものであって、
「もっとこうしなさい、ああしなさい、せねばならない」が先にある以上、
「しなさいといわれても、できない」苦痛や、
「やってはいけないことをやっているのでは?」
という間違いに対する恐怖みたいなものが、
常にダンスを純粋に楽しむことから遠ざけてしまうように思われて仕方がない。

でも、その世界にはまっている人にとっては、
「もっと音楽を楽しみなさい!」
っていうのも“強制”になっちゃうんだよなぁ、きっと。


そもそも、ダンスにとって音楽がどれほど大切なことかを感じ始めたのは、
プロ4年目のロンドン留学のときからだった。

そういえば、そのときに出会ったあるコーチャーは凄かったなぁ。
ダンスのすべてのテクニックを、
「オンリー・ミュージックだぁ♪」で言い切っちゃうんだもの。

「ジュンコ・プリーズ・リスン・モア・ミュージック」
(ジュンコ、もっと音楽を聴きなさい)

そればっかり。

当時の私は、
「そりゃぁ音楽は大切だろうけど、
もっと上手くなる“秘訣”のようなものを習いに、
ハルバル日本からやってきているのに、もっとソッちの方を教えてよ」
なんて心の中では思っていた。
そんなカタチでないものを教えられても・・・って。
今から思えば、正に“秘訣中の秘訣”を教えてもらっていたのにね。


さてここで、
生徒さんから、よく聞く「音楽に関する問題点」をザッと挙げてみよう。

踊る種目が分からない・・・
ビギナーの頃多い。「自分だけ違う種目、踊ってたらかっこ悪いヤン」

音楽の1・2・3・4や、ウラとかオモテが聞き取れない・・・
ルンバ、チャチャチャなどを外す人に多い。
「自分では外している気はないんですけどね」と言う人も多い。

ボーカル・メロディを聞いているとリズムが、わからなくなってくる・・・
良い音楽過ぎて、わかりにくい?
「踊らずに聞いているだけだと良いんだけど」

テンポに付いていけない・・・
速いクイックステップ・チャチャチャなど、
「間に合わないので足だけで踊っちゃう」
逆にスローすぎるワルツ・ルンバ・・「間が持たない!」

メリハリ、スローとクイックのフィーリングなど音楽表現が難しい・・・
中・上級の人に多い「もっとタンゴらしく踊りたいけどむずかシー」
「スローフォックストロットのスローとクイックの差が分からない」
                                                          

・・・聞けば聞くほどに、
どうも「私、音楽には全く問題を感じていません」
なんていう人はめったにいないんじゃないかって言うほどに、
「ダンス・ミュージック症候群」は多いようで。


でもでも、こんなエピソードだって現実にあるんです。


「外したってイイヨ、大丈夫! ルンバのフィーリングを大切に踊れば問題ナシ!」と、
デモの直前にアドバイスしたら、曲を外すストレスから解放されたのか、
“奇跡”を起こし、まったく外さずに一曲を踊り通せた、熟年ご夫婦カップル。


ムッツリ無表情でジミーに踊っていたのに、タンゴのレッスンになるや突然豹変。
「私、タンゴの音楽、大好きなんです」

と涙を流さんばかりに喜んで、突然生き生きノリノリの踊り子体質に変身?
“ラ・クンパルシータ”を軽やかに踊り始めた、50歳代の女性。


「モア」と言う曲が好きになって、スローフォックストロットに興味を持ち、
練習時間が飛躍的にアップ。
からだにスウイングが起こり始めた40歳代の男性。


「この曲やったら、ようわかりますネン」相性の良いルンバの音楽に出会ってから、
その曲を繰り返し繰り返し聴くことによって曲取りを克服。
他のルンバ音楽でもほぼ外れることがなくなって、万歳!の60歳代の男性。


「スタンダードは苦手」の30歳代女性に、
「男性に合わせるのではなく、女性も音楽を表現して自由に踊って良いのよ」
とアドバイスした途端にボディスイングがかかり始める。
「ファシネーション」の曲に乗って楽しそうに踊り始めた。
「良い曲ですね。ワルツ、面白くなってきました」

・・・ね、ネ、夢のある話でしょ?


音楽に悩まされ、そして今度は音楽に救われる・・・。

ダンスの妙

ダンスと音楽は、正に切っても切れない、切りようのない関係なんですな。


            続く 第16話へ


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